ガールズ&ガンダム   作:プラウドクラッド

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 前回尺が足りず入れれなかった内容があるのですがそちらを書くよりも今は二章完結への進行を優先させていただきます。その内容というのも華さんとメカニックマンとして同行しているリュウセイの話と先の展開上かなり重要になるみほと杏の絡みであるので投稿の方はまた別の回として二章が終わるちょっと前くらいにしようと思います
 尚誠に申し訳ないことに尺の都合上今回も前編後編に分けることになりました。デシルは今回登場しませんが次回冒頭より彼の愉快な男友達と共に登場させる予定です(なんか毎回普通に書いてるだけなのにめちゃくちゃ長くなるので物語を書くのって本当に難しいのだなと痛感しまくりです)



20話 惹かれ合う魂(前)

 しほからまほへの愛。それは現在謀殺を謀られかねない立場に身を置く自分がもし討たれた時まほを迷わせないため、自分を超えるより完璧な指導者へ成長させるべく敢えて母として愛情を与えず感じさてやらずに彼女を育ててやることであった。だがしほの想いとは裏腹にまほが誰よりも強くなろうとしていたのは母の期待に沿うことができればまたいつか幼かった頃のように愛し抱きしめてもらえると愚直に信じていたから、妹と親友が孤独な自分の傍にいつも居てくれるのは自分に力があるからだと歪んだ思い込みを持っていたからであった。誰かから自分を愛してもらいたいという個人が持つ極々普遍な感情がまほを学生史上最強のパイロットと賞賛されるにまで至らせ未だ力への渇望を抑えさせなかったのだ

 しかし妹と親友に見捨てられた今、もはや母の示していた道には自分が求める強さや価値など無い。新たなる絶対的な力を手に入れ二人を取り戻さなければならない・・・・・・その手段に思い悩むまほへマリーは目を付けた。まほを自身の傀儡へ仕立て利用しようと企むマリーは甘く魅惑的な言葉でまほの弱みへつけ込み間もない時間で彼女に忠誠を誓わせた。常人とは遥かかけ離れた才を持つマリーにとってか弱き少女一人の意思を掌握し手駒にする事など造作もなく片手間で成した事に過ぎなかった・・・

 

 しほとまほ、親子としては到底正しいと言えないながらも互いを確かに想い繋がっていた。だが二人の絆は刻の歯車が産みし抗えぬ運命、人それぞれが辿りし道を平気で狂わせ悪戯に弄ぶマリーの介入によって引裂かれようとしていたのであった・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ンだと・・・マザーが連合の監視から脱走して・・・その事を知ったトレノのバカがマザーを助けに地球に家を出ていっただと!?」

 

 愛里寿が庭の花壇へ水やりに向かった後、ソファに座るフブキが放った言葉にレビンは凄まじい剣幕と共に怒張していた。それはかつて愛里寿と共に地球へ連れて行かれ地球連合軍の監視下のもとモビルスーツ開発に協力させられていた島田千代が先日軍の監視下より脱走し潜伏先から月へ交信を送ってきたとの事だった

 千代からの通信に応じていた衛から伝えられたフブキはこの報を愛里寿に知られないため誰にも口外するつもりは無かったのだが帰宅後、居合わせていたトレノに何故かこの事を悟られてしまい千代に養子として育てられてきた彼は地球でまだ彼女が生きているということを知るや否や即座に助け出すべく地球へ向かおうと家を飛び出したのだ

 

「テメェ・・・なんであのバカを止めなかった!?アイツがンな事知っちまったらマザーを助けに行くに決まってんだろ!・・・まだ地球行きのシャトルは出てねぇから間に合うはずだ、今からあのバカとっ捕まえてくる!」

 

「待て。トレノには過去の記憶がない、奴の過去を知っているのは千代様しかいないというのはおまえも知っているはずだ。トレノが地球へ行くのは母親となってくれた千代様を救出するため、そして何よりも己の過去の記憶を取り戻すためなのだから我々が止める謂れなどあってはならない。わかってやれ」

 

 強化人間として造り上げるためニュータイプ研究所へ迎えられた子供達・・・・・・彼らにはより優秀な強化人間へ造り上げるため場合によって脳内から必要のない過去の記憶や情報の抹消、偽造された記憶の刷り込みや洗脳の施術が行われていたのであった。その末に過去の記憶の一切を奪われたトレノ、そして彼と同様にフブキも愛里寿救出のため地球滞在から宇宙へ戻った後衛によって新たな刷り込みと強化が成されたことで地球での記憶を上書きされ、必ず再会することを約束し合った大切な者の記憶までも今の彼女からは忘却させられてしまっていたのだ

 故にフブキは強化人間として自身と同じ、それ以上の境遇にあるトレノに少なからず同情していたため彼の独断による行動を止めることができなかったのだ。本来戦闘能力のある強化人間には闘争と敵を殲滅することしか考えられないよう徹底された洗脳が行われるのだが、親友や今や忘却の彼方へ消えてしまった何者かが与えてくれた暖かな感情がフブキに誰かを思いやらせていたのだ

 だがフブキの意向にレビンは変わらず反発し依然凄まじい剣幕のまま彼女へまくし立てた

 

「ざけんな!もしあのバカが連合の犬にでも捕まりでもしたら二度と帰って来れなくなんだぞ!ンな事になったら大隊長が・・・愛里寿がまた哀しむに決まってんだろ!」

 

「私は美香からおまえ達一人一人の事を託されている、お嬢様の望みだけを尊重している訳にはいかない。それにそもそも私と共にこれからシュバルツ・ファングへ行こうとしているおまえが言えたことなのか?しくじりでもして西住しほに捕えられたならおまえが今言ったように二度とお嬢様のもとへは帰れなくなるのだぞ?」

 

「・・・・・・クソッ!なんだってんだよ・・・アイツはまだ13なんだぞ・・・・・・なのになんで愛里寿ばっかこんな辛い目に合わなきゃいけねぇんだよ!テメーらまでアイツを追い詰めんのかよ!?」

 

「そういう意味ではない。お嬢様のことばかりではなくおまえももっと自分のことを大切にしろと言っているのだ。・・・時期に私も所長が議会に採択させた侵攻作戦の尖兵として地球へ行かされる事となる。私が傍から居なくなればいよいよ所長はお嬢様とおまえ達を私兵に仕立てるため連行しに来るか、あるいはこの先もはや邪魔者にしかならないお嬢様を処分しようと動くはず。いずれにせよ所長や連合へ対抗し得るには強力な戦力が必要なのだから西住みほというニュータイプを味方に付けなければならんということだ」

 

 フブキは立ち上がりレビンの胸ぐらを掴み彼の顔を引き寄せた。いつにも増してつり上がった彼の目からは西住しほと彼女の私兵が守護する要塞シュバルツ・ファングへ向かう覚悟、必ず愛里寿のためにみほを連れて帰るという強い意志が感じられた。フブキがシュバルツ・ファングへ向かいみほを連れ去ろうとするのは私達に愛の温もりを教えてくれた親友の妹愛里寿の幸福を守り続けるために・・・彼女を脅かす悪意ある者共へ対抗できる戦力が必要であるため何としてでもニュータイプを手に入れなければならなかったのだ・・・

 

 

 

 

 


 

 

 

 しほがみほを守るためシュバルツ・ファングの本島から出撃した頃、みほ達は絹代達と共に合同演習を行うため停泊していた中継衛星より出航しシュバルツ・ファングの領海宙域内における最外縁部に近い地点へ到着していた。この地点では宙域内のステージギミックとして投棄された巡洋艦やスペースコロニーの太陽光ミラーの断片が漂流されており、杏をはじめ現在それぞれの艦から出撃中の大洗女子学園と知波単学園のパイロット達の提案と希望あってそれらを生かしたアンブッシュ戦等より実際の試合に近い戦闘演習を行っていたのであった

 

「西住さん!射撃の瞬間ライフルの銃口がブレていますぞ!自動照準へ頼りきりの射撃に当たる者などそれこそ西絹代達位しかいないのだからマニュアルで当てれなければ意味が無い・・・もっと落ち着いて相手をよく狙うのです!それと西絹代!貴様は私の言う通り今日は回避運動の習熟に集中しろと言っただろう!所々で突撃しようと機会を伺うんじゃない!」

 

「は、はい!もう一度お願いしますマシュマーさん!西さん!」

 

「ううう・・・突撃したい・・・うぐぐぐぐ・・・」

 

 みほはこの日リュウセイとシュバルツ・ファングの整備士達によって損傷箇所の修理、そして元来より壊滅していた射撃プログラムの完全修復が成され本来の姿へ復活したプロトタイプガンダムと共に演習用の光線を放つよう設定したビームライフルを携え、マシュマーの指導のもと自身の射撃技術を向上させるため射撃訓練に励み、同時に絹代はマリーネライターを駆り何時もの様に吶喊しようとする衝動を何とか堪えながらみほからの射撃の回避に専念していたのであった

 そしてみほ達が繰り広げる演習の様子を遠方に待機していたホワイトベースにてごく一般的なノーマルスーツを着用した杏とロックオン、私注の薄紫のパイロットスーツを装備したガトーの三人は右舷甲板上へ登り観戦していた

 

「西住のヤツ随分張り切ってるみたいだな。ようやく皆と一緒に自分達のモビルスーツでまともな訓練ができてるんだから当然と言えば当然か」

 

「うん。そうみたいだね・・・・・・」

 

「ん・・・?」

 

 しかし感心する自分とは対照的に杏はどこか浮かない表情でみほのガンダムの光を追っていた。ふと思い返せば彼女とみほが同じ部屋割りだったことを思い出しロックオンは何か二人の間にトラブルでもあったのかと不安なものを感じた

 

「なぁ角谷。やけに意味深な顔してどうかしたのかよ?昨日の夜西住と何かあったのか?」

 

「え・・・・・・そ、そんな事ないって!いやだなぁニールちゃんは〜!それよりも一昨日初めて宇宙に出た時とは見違えるくらい皆上手に動けるようになったねぇ。これもニールちゃんとガトーちゃんが皆にわかりやすく教えてくれたおかげかな?」

 

 杏は少し焦った様子でみほ達とは少し離れた宙域にて機動訓練を行う他のメンバーのMS達へ半ば強引に話題を逸らすよう仕向けた。この距離ではMS達の挙動までを目視することはできなかったが、杏の言う通りそれぞれの機体が閃かせるスラスター光は戸惑いもなくかつ俊敏に様々な残光を描いており彼女達が確かに宇宙空間を高速機動している事が観て取れた

 

「誰がガトーちゃんだ。・・・私は彼女達へは新米パイロット向けの訓練メニューと宇宙でモビルスーツを操縦する上で初歩的となる知識しか教えていない。だがしかし現在彼女達一人一人がこの宇宙空間において機動戦闘が行えるほどモビルスーツを操縦してみせている・・・まだ挙動に粗は見えるが通常あの域にまで達するまでには一月近くは費やさねばならんと言われているにも関わらずにだ」

 

「へぇ〜。初心者でもすぐに覚えちゃうもんだと思ってたけど結構意外なことなんだ」

 

「・・・昨日一日中みっちり教えこんでやったとはいえ確かに言われてみればかなりまともに動けるようになってるよな。けど単純にアイツらが強くなろうとするやる気がそれ程あるってだけじゃないのかよ?」

 

「すなわちそれはみほさんと同じく彼女達もまたニュータイプである・・・ということではないのでしょうか?」

 

 バイザー越し故に少し曇らされながらも透き通った美声が背後より聞こえ振り向くとそこには自前の白と蒼を基調としたパイロットスーツを身に纏い背部のバーニアを使って甲板上へ上がってきていたマクギリス・ファリドの姿があった。彼もまた昨日より臨時の教官として皆へ指導を行っていた

 

「皆がニュータイプ・・・?何言ってんのファリドちゃん・・・?」

 

「あくまで可能性の話です。ここまで早く宇宙という環境に順応できる人間などそうそう居たものではない。みほさんのみがニュータイプであるという確証も無ければ他の皆さんが素質を持っていても何らおかしくないはずだ」

 

「ニュータイプねぇ・・・俺は聞く度にイマイチピンと来ねぇんだけどおまえは信じてるのかよ?」

 

「ストラトス教官、角谷君。これ以上その男の話に耳を貸す必要はない」

 

 平静な声とは裏腹に敵意を剥き出しにしてマクギリスを睨むガトーに杏とロックオンは驚かされた

 

「私には随分と手厳しいのですね。ガトー教官殿」

 

「黙れ。何がニュータイプだ・・・あんな物は己こそが優等な種であると驕り高ぶる夢想家達がそれらしい理論と共にでっち上げた妄想物に過ぎん。ましてみほが超能力者だのという根も葉もない偽りを口にするじゃない、耳障りだ」

 

「ガトー教官はニュータイプを信じてはおられないと・・・・・・確かに進化した人類ニュータイプの存在を世へ提示した男は実歴のある学者でなければ詳細な身元属籍が不詳である人物。そして存在の確固たる立証も未だ成されておらず、ましてやニュータイプの名称は大昔のSF作品に登場していた同じく覚醒した人類を指す者の名から引用し命名しているときた。到底現実味を帯びているとは考えられるはずがない・・・だが我々の世界にも確かにニュータイプは存在している、私はそう確信しています」

 

「ふん・・・貴様も焚き付けられた者の一人ということか。何の信念も持たずにいればあの男の様な邪な者の言葉に踊らされて当然なのだろうな」

 

 しほと同じく元よりニュータイプの存在など端から信じていないガトーはマクギリスの言葉へ関心を示そうともせずその全てを一蹴した。だが当のマクギリスは確信に満ちた態度を一切崩さず、まるで自分は本物のニュータイプの存在を目の当たりにしてきていると言わんばかりに自信げな微笑をたたえていた。両者の間には決して互いに相容れようとしない険悪で張り詰めた空気が流れるも二人のやり取りに置き去りにされていた杏に破られた

 

「ちょ、ちょっとガトーちゃんにファリドちゃん!どうしちゃったのさ急に!喧嘩なんて止めてよね!」

 

「・・・これは失礼しました。少し横柄が過ぎたようです」

 

「おいガトーさんよ。あんた昨日からファリドにだけ対してそんな調子だけど一体どうしてなんだよ?いい加減教えてくれたっていいじゃねぇか」

 

 杏とロックオンは確かにマクギリスの話には首を傾げるしかできなかったがそれでも彼を不審がるまでには至らなかった。みほによれば彼とは聖グロリアーナ女学院との練習試合以来の顔見知りらしく、経歴自体も特に不審な点は無く現在も日本における有名私立大学の一つであるヴァルキュリア大学の一生徒にしてモビル道部隊の隊長であるとのこと。そして何より彼は襲撃されていた自分達を助けに駆け付けてくれたため、だからこそ何故ガトーが彼を敵視し警戒しているのかが気がかりでならなかったのだ

 

「君達には関係ないことだ・・・彼女達がものを呑み込むまでの時間が通常よりも早い様だがその実力はまだ他の学園のパイロット達からすればまだ序の口の段階。確かにパイロットとしては稀有な人材ではあるが天才と称するには至らない。狐の様なこの男の言葉に惑わされず気を緩めないことだ」

 

「フッ・・・私が狐ですか。しかしガトー教官も実際に対面すればお分かりになるでしょう。ニュータイプの存在が真実か偽りかを・・・・・・」

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 その時あまりにも突如として、強く明瞭な感覚が稲妻の如く頭の中へ襲来した

 

(・・・・・・っ!?な、なんだ・・・?)

 

 なんの前触れもなく突然不思議な感覚が頭の中に閃き電流の様に奔り抜けた。あまりにも突如襲来したその衝撃に操縦桿を握る手は操作を止めスラスターペダルに載せていた足も自然に離れた。激しく操縦していたMSを急停止させ頭部のメインカメラを回転させ謎の気配の出処を探すように周辺を見回した

 

(なんだろうこの感じ・・・・・・誰かの声が聴こえたような・・・・・・?)

 

「む、いきなりどうしたのだ?まだ演習は終わっていないぞ」

 

 回避行動の訓練に付き添ってくれていた男の不思議がる声が聴こえたが彼に耳を傾ける暇は無かった。誰かが自分を呼んでいる・・・この宇宙の何処かにいる誰かが・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「西さん?どうかしたの?」

 

「・・・・・・・・・あっちからだ!」

 

 絹代は足元のペダルをいっぱいに踏み込み各部スラスターの出力を全開にさせ現在の場から自分を呼ぶ何者かが待つ方角へ躊躇することなく一直線に向かった

 

「何!?どこへ行く西絹代!演習中に勝手な行動は許さーん!」

 

「え・・・?ま、待って西さん!そっちはこの宇宙の外だから行っちゃ駄目!戻ってきて!」

 

 だがみほとマシュマーの制止に絹代は答えることなくマリーネライターの速力を上げ離れていきシュバルツ・ファングの演習宙域外へ出ようとしていた。絹代を止めるためやむを得なく二人も演習を止めその場から飛び立ち彼女の後を追った

 

「あれは西隊長?一体どちらへ行くのでしょうか・・・」

 

 また別の地点でザクIに搭乗し演習に出ていた隊員の福田は何故か演習中の地点からどんどん距離が離れていく絹代とみほ、マシュマーの3機を目撃し不穏に思った

 

「ん?どうしたの福ちゃん?」 

 

「ボール殿!西隊長と薔薇の騎士殿と・・・其方の西住隊長殿がこの宙域より離脱しようとしているのです!」

 

「なんだって・・・・・・こちら磯辺機!武部さん応答お願いします!西住隊長達が・・・!」

 

 福田と同様に典子も異変を感じすぐ様乗機のボールからホワイトベースの沙織へ緊急の通信を送った。その間もみほ達の機体は更に遠ざかり続けスラスター光も次第に小さくなっていた・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

「何!?みほ達が隊列を離れ単独行動を取り始めただと!?彼女から応答はあったのか!」

 

『みぽりんはマシュマーさんと一緒に突然何処かへ向かい始めた西さんを追ってこの宙域の外へ向かっているみたいです!みぽりんには今も通信を送っているのに回線に異常が出てるみたいで全然繋がらなくて・・・・・』

 

「なんだと・・・!通信が繋がらないだと・・・・・・クッ!不覚を取った!」

 

「な、何?何かあったのガトーちゃん・・・?」

 

 沙織からの報告にガトーは緊張し顔をしかめ杏とロックオンも彼の反応から何か異常が発生している事を察した

 

「現在みほが知波単学園の生徒を追って現宙域より離脱しシュバルツ・ファングの外へ向かっている・・・。外縁部へ行くこと許可したことがまさかこんな事になろうとは・・・・・・私の失態だ!」

 

「つ、通信が繋がらないってどういうことだよ・・・?今なんて試合用のミノ粒なんて撒いちゃいないし武部はレーザー通信の使い方だってもう覚えてんだぜ?」

 

「・・・シュバルツ・ファングの最外縁部の宙域には民間や軍隊が()()()()()不法投棄していったデブリが今も処理し切れず大量に残留している。それらがレーザーを妨げているのに加え彼女達の進行先からミノフスキー粒子を散布している者がいたとすれば・・・・・・」

 

「おいおいなんだよそれ・・・・・・ってことはまさかまたアロウズの連中が来たってのかよ・・・」

 

「まだ侵入者が来たと決まった訳ではない。いずれにせよ私がみほ達を今すぐ連れ戻しに行くまでだ!武部君!直ちに近隣の中継基地へこの事を通報してくれ!」

 

『もう通報済んでます!今からみぽりん達が向かった方へモビルスーツ隊を応援に出動させて訓練中の他の団体さん達にも緊急避難警報を出すみたいです!』

 

「・・・本当か!?よくぞ迅速に対応してくれた武部君!後は我々に任せてくれ!アストナージ、私のドライセンは出せるな!?」

 

 ガトーはMSデッキ内のシュバルツ・ファング直属のメカニックマンチームへ通信を回しながら甲板上より降下しデッキ内へ入った

 

「大丈夫だ!リュウセイと自動車部の皆が手伝ってくれたからドライセンとドダイの補給も済んでるからいつでも出せる!」

 

「何だと・・・!?学生に実戦用のモビルスーツを弄らせたというのか!」

 

 デッキ内へ降り立ったガトーはシュバルツ・ファング所属のメカニックマンチームのリーダー、アストナージ・メドッソの胸倉を掴みあげ彼へ怒声を上げ傍にて備品の整理中だったリュウセイとナカジマ達自動車部の面々は突然のガトーの怒鳴り声に驚き身体を縮み上がらせた。ガトーの【AMX-009 ドライセン】はシュバルツ・ファングの開発部より生産された実兵器搭載のMS、モビル道用のMSとは違いといえば実物の装備する実弾火器がモビル道で使用する火器と違い火力を最低まで低くしていないこと、外装にモビル道にて使用されるビーム兵器に対応した特殊センサーが内蔵されていないため教導用の光線を受けても一切影響が出ないないことが挙げられる

 そして以前大洗へ出向した時とは違いシュバルツ・ファングの警護を目的とした実戦用兵器を装備するガトーのドライセンを点検整備するために下手な素人を起用することなど許されるものではなかったのだ

 

「この子達がやりたいと言ったから手伝わせてやっただけだ!それにあくまで装甲のチェックと工具の受け渡しをして頼んだだけで危ない所は一切触らせちゃいない!」

 

「アストナージ貴様・・・今は言い合いをしている場合ではないが帰ってきたら修正してやる!覚えておけ!」

 

 ガトーはアストナージの身を乱暴に投げ捨てドライセンの胸部へと跳躍した。そのまま開かれたコックピットハッチの中へ入ろうとしたがマクギリスが自機のペイルライダーへ近づいて行くのが見えたためガトーはハッチを掴み身体を固定し彼へ喚起を上げた

 

「待て!貴様の出撃は許さん!此処へ残っていろ!」

 

「何故です?非常事態なのでしょう?私もこの機体を修理して貰った恩を返したいと思っているのですが・・・」

 

「そうだよガトーちゃん!一昨日西住ちゃんを攫おうとしてた子達がまた来てるかもしれないっていうのにそんな余裕なこと言ってられないよ!」

 

 彼の後に続きロックオンと共にデッキ内へ降り立った杏はガトーを見上げながら彼の判断を非難した

 

「・・・貴様が信用に足らん以上みほへ近付けさせる訳にはいかんのだ。武部君の通報で既に中継衛星からも援軍が出撃したはず・・・貴様の手など借りるまでもない!我々でみほ達を連れ戻す!」

 

 ガトーはマクギリスへそう吐き捨てドライセンの中へ入り機体の動力に熱を入れた。杏はこの期に及んでもマクギリスの行動頑なに制するガトーの真意が理解出来ず少し反感を抱いたが、当のマクギリスは大して気に病む様子もみせずあっさりと引き下がった

 

「了解しました。ここは貴方の指示に従いましょう。ただせめて演習中の生徒皆さんの安全確保だけでもやらせて欲しいです」

 

「・・・勝手にするがいい!全員進路を空けろ!アナベル・ガトー、ドライセン出るぞ!」

 

 デッキ内の者達がドライセンの進路上より退避させた後ガトーは搬入口まで歩み出てデッキ内から宇宙空間へと跳躍、中央デッキより出撃された無人のドダイと合流しサブフライトシステムの接続の完了後、バーニアの出力を最大戦速にしみほ達の居る方角へ向かって行った

 

「また西住が狙われてるってか・・・そう奴らの好きにさせてたまるかよ!何か出せるモビルスーツはないのか!?」

 

「・・・落ち着いてニールちゃん。西住ちゃんはガトーちゃん達に任せて私達は外に出てる皆を呼び戻して安全に避難させるのが先だよ。ファリドちゃんも手伝ってくれるよね?」

 

「勿論。しかしまさか一度のみならず二度までも現れるとは・・・まして不落の砦と謳われるこのシュバルツ・ファングからみほさんを奪えると踏んでいるとは余程の自信があるようだな。ルナリアンめ・・・」

 

 遠のいて行くガトーのドライセンを見据え僅かに口角をつり上げ微笑を浮かべるマクギリスに杏は少し怪しさを感じた。思えば彼は練習試合後に知り合ったとはいえ今後再会するのかなど知り得ないはずのみほへ再び接触するために自ら出向いて来たこととなる。しほからの忠告と先程のガトーの対し方から鑑みればまさか彼もまたニュータイプとしてのみほを狙う者の一人ではないのだろうか・・・・・

 彼への疑念が一瞬頭を過ぎったがしかし、彼はみほを護るために盾となり戦ってくれたのだ。そして初心者である自分達に無償でモビル道を教えてくれると共に力の無い自分達の代わりにみほを護衛しようと言ってくれたのだから信用に足る人物であって欲しいと杏思いたかった

 

「あ、あのさファリドちゃん。ファリドちゃんがあの時来てくれたのは本当に偶然というか教えてくれた通り西住ちゃん達を驚かせるためだったんだよね?さっきやけにニュータイプの話で熱くなってたけどファリドちゃんのこと信じてもいいんだよね・・・?」

 

「・・・・・・ええ。私はただ友人のみほさんを外敵からお守りしたいと思い君達と同行することを望んだまで。そこに嘘偽りは無ければみほさんがニュータイプであるということも関係ありません。それでも私が信じられないかな?生徒会長・・・?」

 

「い、いや・・・そりゃファリドちゃんの事は信じてあげたいけどね。たださっきはちょっと普通じゃなかったなって気がしてさ・・・」

 

「フフフ・・・私にとってニュータイプは言わば憧れの様な存在。先程は貴女の言う通りガトー教官に否定されたため少々熱くなっていたのかもしれません・・・・・・では、私も行かせていただきます。隊長のみほさんと西絹代さんが突然居なくなったことでおそらく皆さん混乱しているかもしれませんので」

 

 マクギリスは依然として涼し気な様子のまま告げると地を軽く蹴りペイルライダーのコックピットハッチへと上がって言った。そもそも現時点で杏達には知る由もなかったのだ、何者かの意思でマクギリスがあの場へ参じみほを護ろうとしていたなどと・・・

 

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 宇宙という人々が生命を紡ぎ繁栄するもう一つの世界は地球から搾取を受け続け過酷な生活を強いられていた。しほはその現状を打破するため西住流のスポンサーや同志達の支えのもとシュバルツ・ファングを組織し活動を行った。モビル道を通し宇宙市民達と共に在ることの大切さを伝播していくと同時に自ら地球政府と対立し地球に住む人々の意思を変えようと立ち上がったのだ

 未だ地球圏代表議会の議員達をはじめ地球における強権者達の関心を宇宙へ向けさせることはままならずにいたが彼女の活躍で搾取政策の方は年々に縮小されて行った。それは宇宙に住む市民達にとってしほの活躍は崇高且つ有難い施しであり誰もが彼女を英雄として賞賛し感謝していた・・・・・・だが全ての宇宙市民達がしほの活動を良しとしている訳ではなかった

 

 数刻程前、艦船の亡骸や小隕石など大量のデブリが漂流する宙域の中から3隻の大型輸送船がシュバルツ・ファングの領海内へ入ろうとしていた。その内の先頭を進む1隻はシュバルツ・ファングの司令部からの通信に応答していた

 

『確認完了しました。本日はようこそお越しくださいました。物資の受取は第6中継区域にて行います』

 

「はい、かしこまりました」

 

『・・・随分と難しい航路を渡って来たのですね。現在其方の宙域を哨戒中の部隊を向かわせますので彼女達の誘導にしたがって進行してください』

 

「はいはい、どうかお構いなく・・・・・・と、これでシュバルツ・ファングの中へ堂々と入れますぜ?フブキさん?」

 

 船の操縦士は司令部からの通信を切り背後で腕を組み静かに佇むフブキを見やった

 フブキ達が同乗していた輸送船隊はこの日シュバルツ・ファングへ月の近隣小惑星から資源物資を届けようとしていた資源流通公社の企業貨物船、だが事前にフブキからの言伝を預かっていた彼女の旧友達により本来の操縦員であった派遣社員達から船を物資輸送の任務と共に買収し小惑星より出航、その後フブキ達と彼女達のモビルスーツを拾い上げシュバルツ・ファングの中へ送り届けようとしていたのであった

 

「ああ、でかしたぞ。やはり持つべきものは悪友といったところだな」

 

「悪友だなんて嫌だなぁ。ま、フブキさんとは宇宙海賊やってたガキンチョの頃からの仲なんだ。こんくらいのことなら協力しますよ」

 

「しかし手助けできるのはここまでだ。俺達はこのままこの船が本来果たすべき任務を果たして帰らしてもらう。貴女方をこの宙域まで送りモビルスーツも用意させて貰いましたが例のニュータイプを捕まえて帰還しようってのは自力でお願いしやす」

 

「わかっている。急な頼みの上にこんな事に付き合わせて悪かった。礼を言う」

 

 フブキは旧友達へ余裕そうな笑みを送りドアのロックを解錠し操舵室から退室、渡り廊下へ出て大量の物資コンテナが貯蔵されている収容デッキへ向かった

 フブキが収容デッキへ入ると中では激しくもリズムの調和が取れた楽曲が響いており、下層には既にνA-LAWSのユニフォームでもあるダークグリーンのパイロットスーツ一式を装備し待機していたメグミ、ルミ、アズミの三人の姿があった

 

「待たせたなおまえ達。準備はいいか?」

 

「ええ。トリモチランチャーガンの準備もバッチリよ」

 

「これで私達も実戦用のモビルスーツと何とか戦えるって訳だ。燃えてくるね」

 

 デッキ内に数多く積まれたコンテナに隠されるように壁際へ佇む3機の高機動型ゲルググに目をやりながらメグミとルミは答えた。各機のマニュピレーターにはいずれも【トリモチ】を発射するカートリッジ式のピストルランチャー、トリモチランチャーガンが装備されていた

 トリモチはコロニーや月面都市の外壁が損壊した時応急処置として緊急修繕させることができる粘着性の充填材。シュバルツ・ファングをはじめそれら施設に穴が開けばが何が引き起こされるのかを()()()()()()組織のMSにはマニュピレーターに内蔵される形で装備され使用されていた。そしてモビル道用のMSも装備出来るようにとメグミ達の高機動型ゲルググが標準装備するロケットランチャーを基の形状に開発されたのがトリモチランチャーガンだった

 

「・・・まさかおまえ達三人まで着いて来ると言い出すとはな。咎めはせんが今回の相手はおまえ達が普段相手にしている者達ではなく実戦のプロフェッショナルだ。それ相応のリスクが伴うこととなるのは覚悟しているのだろうな?」

 

「その言葉そのまま貴女に返させてもらうわ。私達が着いて来たのは大隊長から貴女とレビンが捕まらないように守ってあげて欲しいと頼まれたからなのよ?いくら優れた強化人間でもあのシュバルツ・ファングから人一人を連れ去るだなんて不可能に決まってる・・・それなのに貴女達ってば勝手に行こうとするんだから少しは取り残された私達が不安になることくらい考えてよね」

 

 アズミは少し怒りを顕にさせながら冷ややかな口調でフブキへ諭した

 

「だけどまぁ私達も美香の事関係なく西住みほさんがどうしても必要だっていうのは分かってるから今更止める気なんてないし協力するつもりだよ。けど仕切り直すにしてももうちょっと後でもよかったんじゃないの?例えばみほさん達が地球へ帰ろうと出て行った時とかさ・・・」

 

「・・・・・・すまんなルミ。お嬢様へはまだ伝えていないが近い内に私はお嬢様の傍を離れなければならなくなる。お嬢様の召使いという役目を失い所長に手網を握られた強化人間として闘わされるためにな。故に今シュバルツ・ファングへ滞在している西住みほを奪うことが私にとってお嬢様と美香へ恩を返せる最後の機会ということだ・・・」

 

「フブキ・・・・・・・・わかったわ。だけど貴女をつまらない殺し合いになんて絶対連れて行かせないんだから。そうね・・・トレノも地球へ向かったしこれが終わった後ナオも助け出して皆一緒に地球の何処かへ逃げましょう?確かに地球に住んでいるのは心が冷たい人達ばかりだけどさ・・・きっと静かで平和な毎日を過ごせる居場所が私達にだって必ずあるはずよ?」

 

 メグミは明るい笑顔で前向きになれる言葉を発した。彼女は昔から一番のリーダーシップを持っておりいつも皆が前向きになれるポジティブな言葉を送ってくれた。今この時も彼女のおかげで渦巻いていた暗い空気も一蹴されルミ、アズミ、フブキの三人もメグミと同様に笑顔を零した

 

「そうだな・・・断言はできぬが私もできる限り所長に抗うとしよう」

 

「そうこなくっちゃ!それじゃ出撃前の円陣やるよ!」

 

「あ、コラ!そこでさっきから音楽聴くフリして盗み聞きしてるツンツン頭!いつまでも一人で黄昏れてないでこっち来い!」

 

 ルミが後ろ手のコンテナへ向かって声を掛けると先程まで響いていた音楽が止みその陰から同様のパイロットスーツを着用していたレビンが呼ばれるがまま渋々と姿を見せた

 

「・・・ンだよ。気づいてたのかよ・・・」

 

「お姉様方を差し置いてヘッドホンもしないで音楽聴くなんて貴方も相変わらずね。それに貴方が好きなそのジャズっていうのも私には聴いててよく分からないわ・・・」

 

「アズミはジャズ苦手なんだ。私はそんな嫌いでもないかな〜」

 

「はっはっはっ。アズミおば様とは違いルミお姉様はジャズの魅力がわかる良いセンスをお持ちのようで。私弟分として光栄であります」

 

「・・・貴方たかが2つ下のくせに私の事おばさんだなんていい度胸じゃない。帰ったら思い切りボコボコにしてやるんだから覚悟しておきなさいよ?」

 

「はいはい喧嘩は終わり!二人も恥ずかしがってないで早く輪になるよ!」

 

 メグミに急かされ五人は輪を描くように寄り合い円陣を創り輪の中心へ各々手を重ね合った

 

「おい・・・本当にこんな青臭いことをやる必要があるのか?」

 

「いいじゃない気合い入るんだし!サンダースにいた頃なんて皆で必ず試合前にはやってたし大隊長だって気に入ってるんだからフブキも好きにならなきゃ!」

 

「はぁ、全く・・・・・・各々覚悟はいいな?これより我等が向かうは西住しほと奴の私兵達にとっての本拠点。何より西住しほは我々が目的とする西住みほの実の母親、娘を狙う者等容赦なく殲滅しにかかってくるはずだ。だから今ここで約束しよう、必ず私が西住みほを捕えおまえ達をお嬢様のもとへ帰還させてやると・・・」

 

「貴女も一緒じゃなきゃ駄目でしょフブキ。それに貴女ってばいつの間に私達よりも強くなったのかしら?」

 

「そーそー。守ってやろうだなんて上から目線なセリフ、ちゃんとタイマンで白黒はっきりさせてから言えよなー」

 

「フッ・・・そうだな。そういえばおまえ達とはロクにやり合った事が無かったな・・・」

 

 他の皆を守りきれるかフブキは気がかりだったがアズミとルミの言葉により一切の不安が取り払われた。ニュータイプでもなければ強化人間でもない彼女達三人、だがそのパイロットとしてのセンスはフブキにも引けを取らない程であり確かな実力を持ち合わせていた

 

「さーて、皆準備はオッケーね?西住みほを捕まえて皆一緒に脱出できたら私達の勝ち!絶対に成功させて大隊長・・・愛里寿と美香のもとへ帰ってやろうじゃない!」

 

「よっしゃ!」

 

「ええ」

 

「ああ」

 

「・・・オウ」

 

「それじゃあ行くわよ!‪チームスリーMアンドスパルタン!レディー・・・・・・GOーーーーーーーー!」

 

「「「おおおおーーー!!!」」」

 

 声高々とはつらつな掛け声と共にに拳を上げるメグミにルミ、アズミ、フブキも同様に続いた。レビンは羞恥心からか掛け声は出さなかったが渋々合わせるように拳だけ突き上げていた

 

「ちょっとレビン!あんたも声出しなさいよ!」

 

「う、うっせー!ンなガキくせー真似できっかよ!」

 

「ところでレビン。私が使うモビルスーツは一体どれだ?」

 

「ああ、オメーのは確か俺のガンダムの傍に置いてあったヤツだ」

 

 そう言ったレビンはメグミ達の高機動型ゲルググとは反対側の方へ行き後に続いていくと、そこにはバックパックを外した状態で連れて来たレビンのフルアーマーガンダムの隣で静かに佇む1機の細くスリムなジム、【RGM-79V ジム・ナイトシーカー】の姿があった

 

「ナイトシーカーか・・・やはり奴らではモビル道用のモビルスーツしか手配できなかったか・・・」

 

「宇宙海賊に実戦用のモビルスーツが用意できる訳ねぇだろ。つかおまえスーツはどうしたんだよ?まさか未だに着ねーで毎度乗ってたのか・・・?」

 

「当たり前だ。あんな品あっても無くても弾に当たりさえしなければ必要ないだろう。武装はサーベルにダガーにジャベリンか・・・奴らめ、私の趣向を分かっているようだな」

 

 フブキは満足そうに笑みを浮かべながら旧友達が用意してくれたナイトシーカーを見上げ、コックピットハッチへ跳躍した。中へ入り動力に火を入れ機体を起動させ他の四人も同様に機体を起動させた事を目視し各自へ通信チャンネルを開いた

 

「私が先行する、おまえ達は後に続け。デブリが無数に漂っているこの中を最短且つ最速で西住みほのもとまで向かう・・・遅れるなよ」

 

「そういえば一つ気になってたんだけど貴女西住みほがこの広い宙域の何処に居るのか知ってるの?」

 

「・・・先日から何者かが私を強く求め呼んでいるかのような気配を感じ取ってていた。そして現在も奴の方からの私に対し強い意思を送ってきている。間違いなくこの感覚はニュータイプが放っている物・・・正確な位置が分かる程にまで強くはっきりとしているのだ」

 

「何それ・・・オールドタイプにも分かりやすく言ってよ・・・そんなの全然感じないんだけど・・・」

 

 メグミからの問いに曖昧な答えを出すフブキにルミは気を落としコンソールへもたれかかった。その間にフブキはナイトシーカーのマニュピレーターで解錠レバーを操作し輸送船の搬入口の大型ハッチを開かせついに出撃しようとしていた

 

「私には分かるのだよ。これから行く先に必ずニュータイプは居る・・・・・・フブキ・ドゥルガー・マカハドマ。ナイトシーカー出るぞ」

 

 今私を呼んでいる者の気配が伝わってくる。身体全身を包み込む様な強く明瞭な感覚、このシュバルツ・ファングへ来て更にその強さは増され確実に距離がせばまっている、この感覚を発信しているニュータイプへ近づいている事を確信できた

 

 

 

 だがフブキが感じ取っていた自身を呼ぶ何者かの気配、それを発信していたのはみほではなかった。みほであるはずがなかったのだ。誰よりもフブキとの再会を望む者がこの宙域には居たのだから・・・・・・

 

 

 

 

 

 




 読んでいただきありがとうございました

 今回にかけて本作品の世界設定や今後の展開に繋がる大事な話を書いてきましたが次回からはかなり久しぶりのモビルスーツ戦になります。アンチョビ外伝以来書いていないというのもあり正直不安ですが持てる力を尽くし書かせていただきます

 念のため補足させてもらうと以前にもちょいちょい登場していたトレノですが彼が千代さんを探しに地球へ向かったということだけは一応覚えておいて欲しいです。彼にはいずれあるガルパンのキャラクターにとってΖガンダムにおけるフォウ・ムラサメの様な恋人になってもらいます。あのフォウ・ムラサメです。言ってしまえばいずれガルパンのキャラクター達の中から一人Ζガンダムの主人公カミーユ・ビダンに相当する人物として登場するキャラクターがいるからです。その都合上かなり行き過ぎた捏造設定も加えられるので今の内にお詫び申し上げさせていただきます(一応今まで何度か登場しているキャラクターです。ここまで言うと誰なのか察せるかもしれません)
 あと本作品において初期の頃から登場していた千代さんですがその詳細の解説は現時点では明かせません。本編で何処まで書けるかわかりませんがおいおい明らかにしていこうと思います。尚千代さんと同様本作品前半から度々登場しているマッキーもまた今の所は詳しく語ることは控えさせていただきます

 今更ながら第二章は宇宙で暮らす人々と強化人間達が直面していた現実等宇宙世紀という世界から汲み知るべき大事な要素や意義を交えながら書き綴ってきたので章タイトルはサイレントヴォイスの方が良かったのかなとちょっぴり後悔してます。だったらΖとZZ見た方が手早くてわかりやすいだろという話になりますが()
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