ガールズ&ガンダム   作:プラウドクラッド

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前回よりも期間が空いてしまい申し訳ございません

前回補足し忘れたのですが、この世界の優花里は戦車マニアではなく機動戦士ガンダムが大好きな女の子となってます。と言っても知識は僕が知ってる事ぐらいなのであまり詳しくないかもしれないですすみません

今回も色々詰め込みすぎて長いですがよろしくお願いします


3話 RESTART

沙織達が部屋に遊びに来た翌朝、みほは寝坊してしまった。みほは沙織達が帰った後ベットで皆と過ごした時間を思い出していたら寝るのが遅くなってしまったからであった。今日は授業が早く始まるから急いで学校へ向かっていたら、前にフラフラと千鳥足になっている大洗の生徒がいた

 

「あの…大丈夫ですか?」

 

放っておくことも出来ずみほはその少女に声をかけた

 

「…生きているのが…辛い……」

 

少女は膝から崩れ落ちてしまい、みほはなんとか彼女を起こそうとした

 

「…だが行く!時はすでに私を布団から巣立たせる時が来た…なのだ……」

 

何とか立ち上がりまたフラフラ歩き出したがみほは放っておけず、彼女に肩を貸して学校へ向かった

 

 

 

 

「冷泉さん!これで連続245日の遅刻よ!」

 

ようやく校門までたどり着いたが間に合わず既にHRのチャイムが鳴っていた。どうして200日以上も遅刻し続けれるのだろうか……

 

「朝はなぜ来るのだろうか…」

 

「朝は必ず来るものなのよ!成績がいいからって留年しても知らないわよ!それと西住さん、今度から冷泉さんを見かけても先に登校するように!」

 

「わ、わかりました」

 

「…………そど子」

 

「…何か言った?」

 

「別に」

 

みほは冷泉という少女に肩を貸して玄関へ向かった。少女の体はとても軽く担いでもあまり負担を感じなかった

 

「悪かったな…いつか借りは返す」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅いので心配しましたよ」

 

「ごめん、寝過ごしちゃって」

 

グラウンドに着くと皆格納庫の前で待機しており、それぞれ各チームごとに集まっていた。どうやらモビル道の教官はまだ到着していなかったようだ

 

「教官も遅いよー。焦らすなんて大人のテクニックだよねー」

 

沙織がそんな事を言っていると、遠くの空から何かが2つ近づいてくるのが見えた。段々近づいてきた2つの影は、どちらもドダイに乗ったMSである事がわかった。2機のMS、ギラ・ドーガとドライセンはドダイから降下し、グラウンド近くの駐車場へ着地した。その際ギラ・ドーガが高そうな外車を踏み潰してしまった

 

「学園長の車が!!!」

 

「ぷっ!やっちったねー!」

 

柚子が悲痛な声を上げる中、杏は吹き出してしまった。2機のMSはみほ達の近くまで来ると停止した

 

「こんにちは!」

 

ギラ・ドーガから出てきた女性は元気良く皆に挨拶した。ドライセンの方からは銀髪を後ろに束ねた男が現れた

 

 

 

 

 

 

 

「どうしよう……結構渋めのイケメンが来たよ…やばい……」

 

「沙織さん落ち着いてください…」

 

本物のイケメン教官に沙織は興奮していた。みほは知っている人だったので目を合わせないようにした

 

「こちらの2人は特別講師として来てくれた、日本MS教導隊の蝶野亜美大尉とアナベル・ガトー中尉だ」

 

 

「皆さん初めまして!私は蝶野亜美。モビル道が初めての人が多いと聞いていますので皆で頑張りましょう!」

 

 

「私はMS教導隊員のアナベル・ガトー中尉であります!2年前まで黒森峰女学園の補助教官を務めていたのでわからない事は何でも聞くように!」

 

 

ガトーの険しい顔と声の迫力に皆圧倒された

 

「ちょっとガトー君。相手は女子高生なんだからもうちょっと柔らかくいきましょ」

 

「す、すみません蝶野大尉…黒森峰以外の女子校に来たのは初めてで………ん?」

 

ガトーはみほの存在に気づいた

 

「みほじゃないか……!モビル道を辞めたと聞いていたがまた始めてくれたのか!」

 

「あら?ひょっとして西住師範の娘さん?」

 

「あわわ…」

 

まずい事になってしまった。よりによって自分の事を知っている人達が来るとは…

 

「私、師範にはお世話になってるんです。お姉さんは元気?」

 

「多分元気です…」

 

「西住師範って何かな?」

 

「もしかして有名なの?」

 

「西住流ってのはね、日本のモビル道の中でも最も由緒ある流派なのよ!」

 

他の生徒はそれを聞き皆感心していた。自分が西住流の娘というだけで特別扱いされるのがみほは嫌だった

 

「教官!教官はやっぱりモテるんですか!?」

 

みほの事を察した沙織が話を逸らしてくれた。

 

「んー……モテると言うより狙った的を外した事はないわ!撃破率は120%よ!」

 

「んでガトー教官はどうなの?やっぱモテるんですかねえ」

 

「何……!?いや、私のプライベートなど今日の訓練と関係ないから却下だ!」

 

杏からの質問をガトーは焦って何とか回避しようとした

 

「ダメじゃないガトー君。さっきわからない事は何でも聞くようにって言ったじゃない」

 

「いやそれはモビル道に関する事で…」

 

亜美からも追求され逃げ場が無くなってしまった。ガトーは亜美と目を合わせる事ができず明後日の方向を向いていた

 

「それに私も知りたいから教えてよ!ガトー君好きな人とかいるの?」

 

「え、いや…自分にその様な人は…その…」

 

亜美に迫られるとガトーの顔は赤くなっていった

 

「ねぇねぇこれってさぁ…」

 

「もしかしてガトー教官って蝶野教官の事が…」

 

「うっそお!?」

 

「やばくなーい!」

 

「ヒューヒュー!」

 

「ええいやかましい!!!そんな事よりも大尉!本日の訓練の説明をお願いします!」

 

ガトーは囃し立てる一年生達に吠え、無理やり本題へ入ろうとした

 

「今日皆にはチーム事に別れて本格戦闘の実習をやってもらうわ!」

 

「「「「ええ〜〜〜!」」」」

 

今日初めての訓練なのにいきなり実戦をやるとは誰も思っていなかった

 

「いきなりですか!?」

 

「教官!私達まだMSの動かし方なんてわからないであります!」

 

「大丈夫大丈夫!MSなんてバーッと動かしてダーッと操作してドーッと攻撃しちゃえばいいんだから!」

 

「…大尉はこう言っているが基本操作は我々が教えるので安心してくれ」

 

「というわけで地図に書いてあるそれぞれのスタート地点まで行ってね!」

 

みほや各チームのMSに乗る生徒は地図を受け取ると格納庫へ入っていった

 

「みほ。悪いが君のチームの子達に操作説明を頼めるか?私と大尉で他のチームに説明しなければならくてな…」

 

「わ、わかりました」

 

「あの…会長」

 

「お、どうしたの武部ちゃん」

 

「ありがとうございます」

 

沙織は杏の元へいき熱い握手を交わした

 

「いやぁ〜でもガトー教官が蝶野教官の事がアレだったのは予想外だったよ」

 

「いいえ。とても良いものを見させてもらいました」

 

沙織はとてもいい顔をしてみほ達の元へと帰って行った…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みほはガンダムのコクピットに座り3人に起動手順を説明していた。この時BチームにはガトーがCチームは亜美が教えていた

 

「ここのスイッチで機体が起動して、ここを押すとモニターが映って移動できるようになるの」

 

みほはプロトタイプガンダムのコクピットで他の3人に説明していた

 

「そういえば誰が何乗るか決めてなかったねー」

 

「やっぱ西住殿がガンダムですよね!」

 

「え、いいのかなぁ…」

 

「私もみほさんでいいと思います。それに遠くから攻撃できないのは初心者の私達には難しい気が…」

 

こうしてプロトタイプガンダムにはみほが乗り、沙織は赤いからという理由で量産型ガンキャノンを、華がスナイパーカスタムを、優花里が好きな機体であるザクIIに乗る事が決まった

 

「それじゃあ皆機体に乗り込んで!訓練開始といきましょ!」

 

亜美の号令で皆コクピットの中へ入っていった。BチームとCチームは人数が余っていたので1機に対して2人ずつ乗り、Gブルには生徒会の3人と赤ハロが搭乗した

 

「これを動かすなんてできるかなぁ…あと一人で乗るなんて何か寂しいよ…」

 

「沙織さんなら大丈夫だよ。それに訓練が始まったら通信機で会話できるから安心して」

 

「先程教えてもらった通りにやれば動かせるんですよね…緊張してきました…」

 

「ついにMSを動かせるなんてわくわくします!」

 

みほ達もコクピットへ乗り込みハッチを閉めた

 

「それでは全機MSを起動せよ!まずは目的地に各MSの武装が置いてあるので回収するのだ!」

 

ガトーが号令で皆MSを起動させた。センサーやモノアイが光り各機体からハンガーが外れ動けるようになった

 

「いやっほう!やっぱMSは最高だぜ!!!」

 

「何!?今の優花里?」

 

「通信機も問題なくてよかったね…ははは…」

 

「人が変わってましたよ…」

 

「すみません…」

 

みほ達はMSを起動させてみほのガンダムを先頭に動き出した

 

「最初はゆっくり歩きながら前進して、機体をぶつけないよう気をつけて格納庫から出ましょう」

 

「わ、わ、わわわ!なんかガシャンガシャン揺れてる〜」

 

「音も凄いですね…」

 

「これがいいんですよこれが!」

 

みほ達Aチームは格納庫を出て目的地となる山の中へ向かっていった

 

「それでは我々も出るとしようか」

 

「そうだな。私が先導するから他の3機はついてきてくれ」

 

「了解です!」

 

「流石はカエサル、こういう時は頼りになるぜよ」

 

Bチームも格納庫から出て目標地点へと向かった。指揮官用ザクⅠにはパイロットのカエサルとエルヴィンが後ろに乗り、ザクスナイパーにはパイロットの左衛門佐とおりょうが同乗していた。

 

「私達も行かなくちゃ!」

 

「誰が先に出る?」

 

「………」

 

「おいお前ら!誰も行かないなら私から出るぞ!」

 

桃はGブルイージーを発進させたが機体はまっすぐ進めずに格納庫の壁に激突した。その衝撃で壁が凹んでしまった

 

「あっちゃ〜派手にやったもんだねえ」

 

「桃ちゃんこれは流石にひどいよ…」

 

「桃ちゃんって呼ぶな!」

 

「カーシマドンマイ!カーシマドンマイ!」

 

「コラァ貴様!格納庫を破壊する気か!」

 

ガトーに怒鳴られGブルは体制を立て直し逃げる様に外へ出て行った。一年生達もその後を追うように格納庫から出て行った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

みほ達はスタート位置である山の中に到着すると大きなコンテナを発見した。側面にはモビル道教導隊のエンブレムが付いていた

 

「そのコンテナには私達からのプレゼントで各MSの武器が入ってるから持っていってね!」

 

「とはいえ事前に報告されていたMSの最低限な武装しかない為少し心許ないのは許してくれ」

 

亜美とガトーから通信が入った。みほはガンダムのマニュピレーターでコンテナを開けると中にはAチームのMSが使う武装が入っていた

 

「おお!ザクマシンガンとスナイパーカスタム専用のライフルが入ってますよ!」

 

「まぁ、こんなに頂けるなんて有難いですね」

 

「みほのガンダムの武器は入ってないの?」

 

「私のガンダムは射撃ができないからビームサーベルで頑張るしかないかな…」

 

みほは元々格闘戦は得意だったが、相手に1人経験者がいる事と他の3人を守れるかが心配だった

 

「バレー部諸君、何か問題はないか?」

 

「大丈夫です!カエサルさんの足を引っ張らないよう頑張ります!」

 

「そんな事を気にしなくていい。何事も最初の経験が未来へ繋がるのだから今日は楽しもうじゃないか」

 

「わあ…忍ちゃんカエサルさんカッコイイね…」

 

「うん…キャプテンと同じくらいカッコイイ…」

 

「キャプテン!応援してますのでドンドンスパイク決めちゃってください!」

 

「任せろ佐々木!根性とこのアッガイたんで目指せ東京体育館だ!」

Bチームもスタート地点に到着した。アッガイは昨日の夜に自動車部が弾薬を補給してくれていた

 

 

「私達も何とか着いたね…」

 

「梓お疲れえ」

 

「………」

 

「紗希ちゃん操縦上手かったよ!」

 

「なんかあゆみちゃんが乗ってるせいかちょっと機体が重かった気がする…」

 

「うっそー!てかそんなの関係無くない!?」

 

「なんかあたしらより先に一年生が着いてたね」

 

「やっと追いつきましたね……」

 

「カーシマオッセーゾ」

 

「うるさい!案外操縦するの難しいんだからな!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆スタート地点に着いたようね。ルールは簡単、相手チームの機体を全部動けなくするだけ。つまりガンガン進んでバンバンやっつければいいって訳!」

「大尉…もう少し丁寧な説明を……」

 

「いいのいいの!モビル道は礼に始まって例に終わるの。一同礼!」

 

「「「「「よろしくお願いします!」」」」」

 

「それではこれより試合を開始する!全機出撃!」

 

ガトーが号令を出し戦闘訓練が始まった

 

「ついに始まりましたね!とりあえず適当に歩いてみますか?」

 

「闇雲に動くのは…」

 

「よかったらBチームを狙わない?教官結構イケメンだったし少女漫画みたいなの見れたから生徒会には感謝しないと!」

 

「沙織さん…理由があまりにもひどいです…」

 

「ははは…どうしようかな…」

 

みほはどう動くか考えた。しかし突然警戒音が鳴り背後からビームが飛んできた

 

「え、何!?何が起こったの!?」

 

「あ!他のチームがもう来ています!」

 

華はレーダーを見ると後ろから敵機が来ているのを確認した。攻撃はアッガイからのメガ粒子砲でステルス機であるアッガイの接近に気づくのが遅くなってしまった

 

「く、当たらなかったか!」

 

「その調子だ磯部さん!先ずはこのままAチームを叩く!」

 

背後の山の上からBチームのMSが続々と攻撃してきた。

 

「怖い!逃げようよ!」

 

「こんなに早く仕掛けてくるなんて…」

 

「山の上から攻撃されるのは危険です!ここから退避します!」

 

みほは他の3人に呼びかけ沙織を先頭に退避し始めた

 

「Aチームが逃げていきます!」

 

「このまま追いかけるぞ!門佐は一番後ろからついてきてくれ!」

 

Aチームの撤退に気づくとBチームは追撃を始めた。みほ達はザクマシンガンやビームを何とか避けながら移動しようとしていた

 

 

「どうやら始まったみたいだねえ」

 

「予定通りですね会長」

 

「え?二人とも何か隠してるんですか?」

 

「まあまあ小山には後で説明するよ。つーわけで一年生の皆!私らも移動するからついてきて!」

 

「「「はぁーい!!!」」」

 

生徒会の指示のもとCチームも移動を始めた

 

 

 

 

「優花里さん!少しでいいので牽制してください!華さんと沙織さんは足を止めないと撃てないので移動し続けてください!」

 

「了解であります!」

 

優花里は移動しながら後ろへクラッカーを投げた。それを避けるためにBチームは動きが止まったので、みほはできるだけ距離を離そうとした。その時機体が木陰で眠る生徒を察知した

 

「人……?危ない!皆止まって!」

 

「わ、わかりました!」

 

みほは機体を停止させ華達もみほの通信を聞き動きを止めた

 

「ん……うおっ!」

 

寝ていた少女は目覚めると目の前に4機のMSがいて驚いていた

 

「あ、今朝の……」

 

「あれ?麻子じゃん!こんな所で何してるの?」

 

「その赤いのに乗ってるのは沙織か」

 

「沙織さんの知り合いなの?」

 

「うん幼なじみなの。てか今授業中なのに何してんのよ!?」

 

「ただの昼寝だ。それよりも首が痛くなる…」

 

沙織の幼なじみでありみほが今朝出会った少女、冷泉麻子はMSを眠そうに見上げていた。しかし止まっていた為Bチームに追いつかれてしまい再び攻撃が始まった

 

「とりあえず外は危ないので機体の中へ入ってください!」

 

「麻子急いで!この上に乗って!」

 

「やれやれ仕方ない」

 

麻子は沙織の乗る量産型ガンキャノンの掌に乗りコクピットの中まで運ばれた。麻子が中へ入ったのでみほ達は再び撤退を開始した

 

「何かこの中酸素少なくないか…?」

 

「相変わらず麻子は低血圧なのね…」

 

「それで今朝も大変そうだったんだね」

 

「麻子と会ったんだ。だから今日遅刻してきちゃったんだね」

 

しかしカエサルのザクⅠの射撃がガンキャノンの左肩に命中した

 

「わぁぁぁ!もうやだー!」

 

「西住殿!もう一度クラッカーで足止めします!」

 

「優花里さんお願い!華さんも威嚇のために1回相手の方に撃ってみて!」

 

「わかりました!とりあえずロックオンせずにこのまま…」

 

優花里はもう一度クラッカーを投げたが途中で撃ち落とされてしまったが、その爆煙の中から華のスナイパーカスタムからライフルが撃ち出された。ビームはBチームの真ん中を通って行った

 

「河西、近藤!無事か!?」

 

「私達は大丈夫です!」

 

「ほぅ…反撃してきたか」

 

「門佐、我々も狙撃で反撃するぜよ」

 

「あぁ、我らも手柄を立てなければな」

 

Aチームが撤退し続けていると、50mほどの金属製の大きな橋がかかっている谷へ出た

 

「みほ!橋渡って向こう側行こうよ!」

 

「確かにそうすれば橋の上に来たBチームに集中攻撃できるであります!」

 

「うーん…少し危ないけど行くしかない…」

 

みほ達はは橋がMSに耐えれるか試すため慎重に橋の上へ進んだ。橋は案外頑丈であったためAチームの機体が乗っても大丈夫そうであった。しかし谷の対岸からCチームの機体が接近してきていた

 

「あ!他のチームがもう戦ってる!」

 

「もしかしてこれチャンスじゃない!?向こう側のチームと挟み撃ちにしちゃおうよ!」

 

「……」

 

一年生のライトアーマー達ははみほ達に向かってマシンガンを撃ちまくった。しかし狙いを定めてないため弾はほとんど外れて行った

 

「よぉし挟み撃ち完了!さらにあわよくばBチームも倒しちゃえば私らの勝ちだよ!」

 

「もしかして会長…最初から教官と組んでこの様な展開になるスタート地点にしたんですか?」

 

「そうそう流石は小山だ。西住ちゃんがどのくらい凄いのか知りたかったし、ここで私らが勝てば一年生達は自信つくだろうから美味しい事ばっかだね!」

 

「オイシイ!オイシイ!」

 

「それでは私も砲撃を開始します!蜂の巣にしてやる!」

 

桃もみほ達に向けてビームキャノンを打ち始めたが、何故か弾は明後日の方向へ飛んで行った

 

「挟まれちゃったよ!」

 

「前からも後ろからも攻撃が来ます…!」

 

「西住殿!ここからどうしましょう!?」

 

みほは集中砲火の中弾を避けながらどう動くか考えた。幸い相手が撃ってくる弾はそこまで当たらないので一気に接近して格闘で落とすべきかと思っていた

 

「息付く暇も与えん!まずはガンダムからだ!」

 

突如カエサルの乗る指揮官用ザクⅠがヒートサーベルを抜きみほ達の元へ接近してきた。みほは油断していたせいでビームサーベルを抜くのが遅れてしまい、カエサルの斬撃に反撃する事ができずガンダムの左腕を斬られてしまった

 

「くっ!この放火の中格闘を仕掛けるなんて…」

 

「みほさん大丈夫ですか!?」

 

「援護するであります!」

 

華と優花里がカエサルに射撃したため、やむを得ずカエサルは後退して行った。しかし攻撃は止むことなく続き、やがて一年生達の射撃も正確になりみほ達は少しずつ被弾していった

 

「きゃっ!すみません足が壊れてしまったみたいです」

 

「大丈夫ですか五十鈴殿!?私ももうシールドが持たないみたいです…」

 

「どうしようみほ…このままじゃやられちゃう…」

 

みほはどうするべきか考えた。どちらか片方のチームへ行くともう片方から攻撃されてしまうので、本来なら二手に分かれて攻撃したかったがまだ他の3人とも初心者である事と、ガンダムが左腕を失ったのと格闘戦しかできないので迂闊に動けなかった

 

「どうしよう…でもこのまま動かないと危ないし…」

 

「沙織、操縦替われ。私が行く」

 

「え!?でも麻子動かせないでしょ?」

 

「今覚えた」

 

麻子はガンキャノンのマニュアルブックを読みながら沙織と交代しシートへ座った

 

「流石学年主席…」

 

「西住さん。私はあっちのオレンジ色の奴らを攻撃するから西住さん達は後ろを頼む」

 

「!わかりました!よろしくお願いします!」

 

みほのガンダムはビームサーベルを抜いた

 

「優花里さんは冷泉さんの援護をお願いします!華さんは足をやられて動けないから、そこからBチームを狙撃してください!」

 

「了解であります!」

 

「わかりました!狙撃する時は、照準器を覗きながら…」

 

華は狙撃体制に入り、優花里はCチームの方へマシンガンを撃ち込んだ。一年生達もそれなりに回避し、Gブルも両わきの盾で防いでいた

 

「麻子ほんとに攻撃はできるの?私全然わからなかったけど大丈夫!?」

 

「大丈夫だ。キャノン砲の使い方もわかった」

 

麻子は照準器を覗き3機のライトアーマーの内1機に狙いを定めた。機体に発射体制を取らせ砲撃するタイミングを見計らった

 

(ロックオン完了…撃つ!)

 

量産型ガンキャノンの240mmキャノン砲が火を噴いた。弾はまっすぐ飛んでいき……丸山紗希が操縦するライトアーマーに命中した

 

 

「有効!Cチーム、ジム・ライトアーマー行動不能!やるわね」

 

 

「ふぅ…」

 

「凄い!麻子やるじゃん!」

 

「お見事です!」

 

麻子は初の操縦でこの戦闘訓練がで一番最初に撃破を達成した

 

「紗希ちゃん大丈夫!?」

 

「………」

 

「うげ〜私達は大丈夫〜」

 

「おのれ!よくもやってくれたな!」

 

Gブルイージーがめちゃくちゃに砲撃しながら橋の上へ突っ込んできた。優花里はスラスターを噴かせて、Gブルの側まで急速接近するとヒートホークで本体を攻撃した。ヒートホークが触れた部分が反応し撃破判定である白旗が出た

 

「あっちゃ〜やられちゃったね」

 

「桃ちゃん外しすぎたよ…」

 

「桃ちゃんって呼ぶな!」

 

「次ガンバローゼ…」

 

「先輩達もやられちゃった!」

 

「どうしよぉ」

 

「怖いから逃げよ逃げよ!」

 

「さんせ〜!もう無理〜!」

 

まだ残っていたライトアーマーからパイロットである梓とあやと同乗していた優季とあゆみがコクピットから出て走って逃げて行った

 

「おい沙織…あいつらこんな所で外に出たら危なくないか…」

 

「そうだよね…でもどうすればいいかな」

 

「とりあえず西住殿の援護に向かいましょう」

 

優花里と麻子はみほ達の援護へ向かった

 

「ライトアーマーのパイロット達!戦闘中に外へ出るとは何事だ!」

 

「ガトー君落ち着いて!とりあえず彼女達は撃破された事にするから迎えに行ってあげて!」

 

「……」

 

「なんか私達気づいたら置いてかれてたね…」

 

 

 

 

 

 

麻子がライトアーマーを撃破するちょっと前…みほはサーベルを抜いてBチームの方へ突貫していった

 

「突っ込んでくるか!」

カエサルの指揮官用ザクⅠもヒートサーベルを構えみほの元へ突っ込んだ。2機は接触し激しい鍔迫り合いが始まった

 

「フフ…この熱気!…この高揚感こそモビル道よ!」

 

「やっぱりできる人だ…だけど!」

 

みほはガンダムの馬力を利用しカエサルのザクⅠを押し返した

 

「くそっ!門佐!援護頼む!」

 

「わかった!狙い撃ちだ!」

 

しかしすぐ側に華が狙撃したビームが着弾し、左衛門佐はザクスナイパーを移動させ先に華のスナイパーカスタムを倒す事にした

 

「カエサルさん!私達が援護します!」

 

「うおおおおお!根性ーーー!!!」

 

バレー部の乗るアッガイ2機がガンダムに迫って来た。典子はアイアンクローでガンダムに格闘を仕掛ける為接近し忍は後ろから射撃武装で援護しようとした

 

(後ろのアッガイは攻撃が来ないと思って油断してるはず……だったら…!)

 

みほは忍の乗るアッガイに向けてビームサーベルを投げた。ビームサーベルは光がアッガイの胴体に命中し撃破判定が出た

「そんな!キャプテンすみません!」

 

「でもこれでガンダムの武装は…」

 

妙子はガンダムに武器がないと思っていたがもう1本持っていたビームサーベルを抜いてあっさり典子のアッガイも撃破した

 

「まともにアタックくらったー!」

 

「流石は西住流と言った所か…カエサル行けるか?」

 

「やってやるさ!寧ろここまで強い人と戦えて嬉しいくらいさ!」

 

ガンダムと指揮官用ザクⅠでサーベルの激しい打ち合いが始まった。みほは半年以上のブランクがあったとはいえここまで互角に戦える人がいる事に驚いた

 

「門佐!早く敵の狙撃手を撃破するぜよ!」

 

「わかっている!だけどさっきからつい連続で撃ってしまい銃が撃てなくなってるんだ!」

 

「落ち着いて…みほさんが言ってたようによく狙いを定めて集中して…」

 

華は照準をゆっくりザクスナイパーに合わせた

 

「発射!」

 

スナイパーカスタムが放ったビームは移動していたザクスナイパーの脇を捉え撃破判定を出させた。この時丁度Cチームを撃破した優花里達が到着した

 

「凄いですよ五十鈴殿!まさか初めての操縦で狙撃までできるなんて!」

 

「華凄いじゃん!……華?」

 

「なんだか…凄くじんじんします……」

華は初の狙撃にかなり感動していた

 

 

 

「門佐もやられたか…」

 

「まだだ!まだ終わらんよ!」

 

サーベルの激しい打ち合いが続いていたが徐々にみほのガンダムが押して行った

 

「ならば…これでどうだ!」

 

指揮官用ザクはヒートサーベルを両手に持ち、バックステップを踏み溜めた一撃をガンダムに叩きつけた。ガンダムはサーベルで受け止めたが左腕を切り落とされていた為バランスを崩し、そのままサーベルが右手から離されてしまった

 

「あっ……」

 

「貰った!」

 

「……まだ!」

 

カエサルからとどめの一太刀が浴びせられようとしたが、みほのガンダムは思い切りカウンターのタックルをぶつけた。吹っ飛ばされたザクⅠの胴体に背後の木に叩きつけるように蹴りを入れた。この一撃でカエサルのザクⅠも撃破判定が出た

 

 

「Bチーム及びCチーム全機体行動不能…よってAチームの勝利!」

 

 

 

「私達勝っちゃったの…?」

 

「みたいです…」

 

「凄いです!これも西住殿のおかげであります!」

 

「勝ったと言うべきが他のチームが脱落して行ったと言うべきか…いずれにせよ西住さんが」

 

「ううん…皆のおかげだよ」

 

 

 

「今から大尉が撃破されたMSを回収しに行く。動ける機体はグラウンドまで戻ってきてくれ……お前達、もうメソメソするな…」

 

「「「「ごめんなさい…」」」」

 

「試合中にコクピットの外へ出てしまうと攻撃に巻き込まれたり踏み潰されてしまうかもしれないからな。怖かったかもしれんがこれからは気をつけてくれ」

 

ガトーは試合中に逃げ出した一年生をドライセンの手に乗せて帰還していた

 

「ちょっとガトー君!女の子を泣かせるなんて何してんのよ!」

 

「違いますよ大尉!彼女達は私がドライセンで迎えに行った時は既に……」

 

「やはり西住みほにモビル道を受講させたのは正解でしたね」

 

「作戦通りだね〜」

 

「これで大洗のモビル道も再始動って感じですね」

 

「ケーカクドーリ!ケーカクドーリ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「皆グッジョブベリーナイス!初心者ばかりのはずなのにこんな熱い試合が見れてよかったわ!」

 

戦闘訓練が終わり夕方になっていた。生徒達は再び格納庫前に整列していた

 

「特にAチーム…よく頑張ったわね」

 

「えへへ…」

 

みほも皆と協力して勝つ事ができてとても嬉しかった

 

「後は日々移動訓練や射撃訓練に励む事!あと今日はやらなかったけど戦艦も動かせる様にならなきゃね!」

 

「それに関しては明日から君達の元に専属の顧問が教導隊より派遣される。今年度からの新任教師だが皆仲良くしてやってくれ」

 

「ええ!またイケメンが来るかもしれないってこと!?」

 

「沙織さん声が大きいです……」

 

「それじゃあ皆わからないことがあったらいつでもメールしてね!」

 

「一同!礼!」

 

「「「「「ありがとうございました!!!」」」」」

 

こうして初めての戦闘訓練は終わりを迎えた。

 

「みほ」

 

「あ…ガトーさん…」

 

「心配しないでくれ。家元におまえがモビル道を再開した事は黙っておくさ」

 

ガトーはみほの頭を撫でた

 

「おまえがモビル道を辞めて転校したと聞いた時は自分を責めたよ…何の相談にも乗ってやれず本当にすまなかった…」

 

「そんな!ガトーさんは全然悪くないですよ!」

 

「だが…おまえがこうして新しい友人とモビル道を始めてくれてよかった。これからは仲間達と共に改めて精進してくれ!」

 

「…はい!」

 

ガトーはドライセンに乗ると亜美のギラ・ドーガと共に帰って行った。みほ達は教官の機体が見えなくなるまで見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒森峰女学園にて…

 

「今日の訓練はここまで。総員、解散!」

 

「「「「ありがとうございました!」」」」

 

「エリカちゃんお疲れ!なんか最近調子悪そうだけど大丈夫?」

 

「お疲れ様。別に大したことないから心配しないで」

 

訓練が終わるとエリカの幼なじみである楼レイラが声をかけてきた。エリカはみほという目標を失ったせいか訓練にも支障が出ていた

 

「逸見先輩お疲れ様です!」

 

「エリカ〜隊長なんだから私に甘いの奢ってよ〜」

 

「いいですよ先輩。その代わり隊長権限で卒業まで私にお昼を奢る事を命じます」

 

エリカは修行へ出たまほに隊長を託されてから後輩や先輩と友好な関係が多くできていった。彼女達の支えがあったおかげで黒森峰の隊長という大きな役職を全うする事ができていた。

 

(私は支えられるばかりで…どうしてあの子の事を支えてあげれなかったのだろう…)

 

『緊急連絡!緊急連絡!……西住まほ隊長が学園艦に帰還しました!1軍チームはブリーフィングルームに集合してください!』

 

「え!?」

 

突如信じられない放送がエリカ達の耳に飛び込んできた。去年の全国大会が終わった直後に修行へ出たまほがついに帰ってきたのだ。エリカ達は走ってブリーフィングルームへ向かった

 

 

 

 

 

 

一軍メンバーがブリーフィングルームに集まってから少し経ち、まほが迎えにいった隊員に連れられ部屋へ入ってきた。まほはいつも着ているモビル道の軍服で来たが、以前よりも風格が出ており一目見て強くなっている事がわかった

 

「久しぶりだな皆」

 

「「「おかえりなさい隊長!」」」

 

隊員達はまほへ拍手を送った

 

「学園艦に到着するまで私がいない間の記録は見させてもらった。エリカ…よく頑張ったな」

 

「隊長……」

 

「皆にも迷惑をかけてすまなかった。私の独断で半年以上もいなくなってしまい本当に申し訳ない」

 

まほは隊員達に向かって頭を下げたがそんな事は気にするなとすぐに咎められた。そもそも当時の卒業していった3年生や現在の隊員は皆まほを信用していたから、まほの決定に意義を言う者はいなかった

 

「私は今日から再びモビル道チームに復帰させて頂くが、その上でこれからは一隊員として部隊に参加するつもりだ」

 

「そんな!隊長は西住流の後継者なのですから貴方がチームを率いるべきですよ!」

 

「そう言うなエリカ。私はこれからの黒森峰の未来を見据えておまえに隊長を任せたんだ。それにこの修行で私の西住流は皆と少し違う物になってな。そんな奴が隊を率いる訳にはいかないさ」

 

エリカはまほの言葉にとても驚いた。黒森峰は西住流のチームなので、本来西住流の家元が部隊を率いるのが当然だと思っていたからである

 

「わかりました…でもやはり隊長の存在は黒森峰の象徴の様な物なのでせめて副隊長をお願いします」

 

「副隊長か……」

 

「…あ!申し訳ございません!」

 

エリカは思い切り地雷を踏んだかと思った。隊長だってみほが居なくなった事を悲しんでいないはずが無かったからだ

 

「大丈夫だエリカ。みほが転校したのは彼女の意思で決めた事だから仕方ない。だから皆さえ良ければ私が副隊長を引受させてもらう」

 

「隊長……」

 

「隊長はおまえだと言ったはずだぞエリカ。これからは私の事はまほさんと呼ぶんだな」

 

まほは優しく笑いながらそう言ってくれた。

 

「私は今回の修行で大きく成長する事ができた。今年の全国大会こそは優勝し、再び黒森峰に王者の栄光を取り戻す為に戦う事を誓おう。改めて皆、よろしく頼む」

 

まほは敬礼し隊員達もそれに返礼した。解散した後エリカは思い切ってまほを夕食に誘ったがどうやら実家に帰らなければならないようでまた次の機会という事になった。

そう…黒森峰のモビル道は王者へ返り咲くためにここから再スタートするのだ。エリカはみほがモビル道を辞めてから戦う理由を失っていたが、黒森峰の隊長として優勝へ導こうと闘志を燃やした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

引き寄せられたかのように新しい仲間や新たな協力者がみほ達の元へ集まってきた。そして日々訓練を続ける彼女達に強敵との練習試合が決まってしまった

次回 ガールズ&ガンダム『集う星々』

出会いと別れが人を強くする

 

 




読んでいただきありがとうございました

今回登場した機体やキャラの補足説明をすると

① カエサルの乗るザクⅠs型は言うなればザクⅠゲラート・シュマイザー機です。ゲームによってはヒートホークだったりヒートサーベルだったりしますが、カエサルにはサーベルの方が似合うと思ったのでサーベルを装備させました

② 楼レイラはフェイズエリカに登場するエリカの幼なじみで結構好きなキャラなので一軍メンバーとして登場させてしまいました

③ 黒森峰の制服は本編と違いガンダムooに登場する地球連邦平和維持軍の軍服となってます。パイロットスーツに関してもこれからも何らかの補足を入れていくと思います

こんな感じで続けていこうと思います。わからない部分やおかしな部分があったら教えていただけると嬉しいです

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