【意味】 いみなとは、生前の行状によって死後に贈る称号。
ちなみに普通の人は
例
木村(名字)
拓也(字)
となります。
有名どころで諱を出すと、
『尹達藤次郎正宗』ですが、これは
尹達(名字)
藤次郎(字)
正宗(諱)
のようになります。
なので
更識(名字)
楯無(字)
刀奈(諱)
となります。
余談ですが、時代劇で『正宗様』『正宗様』と呼ぶのは本来あってはならないことです。
今では諱を使うのはまずありません。それこそあるとしたら明治から続く寺や貴族(位の高い身分)くらいなものです。
そして諱を使うときは大きく分けて二つあります。
一つは死んでしまって墓などに彫る時に使います。
そして、もう一つは結婚する際に相手に教える時です。
諱は霊的な名前、つまり魂の名前です。
字は『体』を表し、諱は『魂』を表す。といった感じですかね。
結婚する相手に『私の
なので
楯無が『刀奈』と言った=結婚をする相手は一夏
となりますね。
「へぇー、スカートアーマーを独立ウイングスカートに換装して、肩部ユニットを大型ウイングスラスターにして小型の補助ジェットブースターを二基搭載させて近接防御型の打鉄を機動型にカスタマイズしたんだ」
「うん……」
アリーナから第二整備室へと直行して簪の『打鉄弐式』を見ている。
ちなみに自己紹介は整備室に向かってる最中に済ませた。呼び方は俺が『簪さん』で簪が『城戸さん』って呼ぶ。
「武装は?」
「え、えーと、マルチ・ロックオン・システムによる高性能誘導ミサイル……。それと荷電粒子砲……」
「荷電粒子砲だと構造に合わせて出力制御とかするから、サンプルデータが無いと作り難いでしょ」
荷電粒子砲はアインのGNランチャーのデータを流用出来るはずだ。
「う、うん……」
「荷電粒子砲は単発式? それとも連射式?」
「れ、連射式で……」
「成る程、それじゃそれで出力調整するね。――次にマルチ・ロックオン・システムは出来てる?」
俺の言葉に簪は首を横に振る。
「……出来てない。だから通常のロックオン・システムを使ってる……」
「成る程成る程、簪さんのISを見させてもらったけど、ハードウェアは各部ブースターからスラスター、それに全身の装甲、武器、内蔵火器とほぼ全ての要素。それらを一からデータチェック、必要に応じてパーツを新造しないといけないから少し時間かかるね」
「……それって、どれくらい……?」
「そうだね。………ハードウェアは二時間ちょっとだけど、パーツ新造して交換する必要があるからプラス一時間だね。マルチ・ロックオン・システムに関しては、ミサイルだと大気の状態、各弾頭の機動性、タイムラグとか全て踏まえて組むからまたプラス一時間くらいかな」
「……そんなに早い……の?」
簪が疑問に思うのも仕方ない。簪はずっとやっていたんだ。それが計約四時間で出来るんだからな。
「もっとも出来るって言ってもあくまで形だけ、言うなれば初期設定の状態。その後は実際に動かして稼働データを元に再調整したり、操縦の癖にも合わせたりとか色々あるからクラス対抗戦ギリギリになるだろうね」
「それでも……早いんだね……」
「そうかな。とりあえず今日は時間的にソフトウェアを直すだけだね。パーツ新造の交換とマルチ・ロックオン・システムは明日で良いかな?」
「う、うん……大丈夫……」
「それじゃ、やりますか〜」
◇
(……すごい……)
簪は颯の作業を見て素直にそう思っていた。颯の作業を見ているが、同じ一年でキーボードの早さに作業の的確さに内心驚いていた。
(私は一人で完成させよう……って思ってた。お姉ちゃんが作ったから……)
簪は考えを変えるつもりはなかった……だが、颯の言葉『人を助けるのに理由はいらない』の言葉で考えが揺らいでお願いした。
(どうして、お願い……したのかな……?)
簪は今まで友達を作ろうなんて考えなかった。そんなことよりISを完成させるのが先だった。
(……でも、なんでだろう……? 友達とも、なにか違うような気がする……)
自問自答をしても答えは出なかった。
「……ん? 何?」
簪はいつのまにか颯をジッと見ていた。その視線に気付いた颯は簪を見る。
「あ……えっと……」
本来なら慌てることないのだが、人と話すのが苦手で友達がいない簪。誰かと関わりがあるとすれば幼なじみで専属メイドである布仏 本音だけである。
幼なじみの本音なら普通に話が出来る。しかし会ってまだ一時間の初対面。緊張して上手く話せない。
「……その……すごいなぁ……て……」
簪は『今』考えていたことは言わず、『その前』に考えていたことを言う。
「私が出来ないこと……するから……」
そう言いながら簪はある人物と照らし会わさる。
(そう……お姉ちゃんみたいに……なんでも……)
「私だってここまでなるのに苦労したよ。色んなIS関係の本を読んだしね」
颯は言ったことは事実である。いくらISの知識があっても、『それを扱いきれる知識と技術』が必要となった。
「データを見たけど、地盤はしっかり組まれてる。これだけ組めるんだから凄いよ。さすが代表候補生だね」
「そ、そんなこと……ない。私は全然、お姉ちゃんの足元にも………」
簪はそこで言葉を閉ざした。
「――ねぇ、簪さんは……どうなりたいの?」
「えっ?」
その言葉に簪は驚いて颯を顔を見る。
「『そのお姉さんの様になりたい』? それとも『そのお姉さんになりたい』?」
この二つの言葉は同じようで意味は違う。
前者はその人の様になりたいこと。
後者はその人になること。
「……それは……」
簪も言葉の意味を理解して答えに困っている。
(お姉ちゃんに対抗意識はあった……。でもお姉ちゃんになりたいとは考えてない………はずだけど)
姉である更識 楯無は一人でなんでも出来た。その姉を近くで見て、姉の様になりたいと言う『目標』がいつの間にか『対抗心』に変わっていた。
その理由は『完璧な存在の妹』だからだ。周りは姉がそうであれば妹も凄いと『勝手』に考え、違ければ『勝手』に落胆する。
昔からそれを経験した簪は『対抗心』を抱いた。
周りの勝手によって………。
「もしも、あなたのお姉さんになりたいって言うなら………はっきり言って無理だよ」
「…………」
「あなたは更識 簪であって、あなたのお姉さんに、更識 楯無さんにはなれない。決して他の人になることは出来ない」
「…………」
簪は完全に黙ってしまった。落ち込む簪ではあったが、それとは別に感じるものがあった。
「――でもね。簪としてお姉さんである楯無さんを越えようとすることは出来るよ」
それは、簪という個を見てくれていることだ。
「どうする。お姉さんを越える? それだったら私は協力を惜しまないよ」
初めてとも言える他人との会話。それなのに颯の言葉からは嘘偽りを簪は感じなかった。
「うん! 私は……お姉ちゃんを越える!」
今まで姉の楯無と同じ様に他人に頼らず、己だけでやっていこうとした。
だが自分は自分、ならば自分なりのやり方で楯無を越えることを選んだ。
「よし! それじゃ、今日のノルマのソフトウェアを終わらせよっか」
「うん!」
簪の顔には迷いがなく、生き生きとしている。
「私を越える………か」
整備室の外で颯と簪の会話を聞いていたのは、簪の姉である楯無であった。
「簪ちゃんにならきっと出来るわよ。だって私の妹なんだもの」
その顔は安堵しているが、すぐに引き締まる。
「だけどそう簡単には越えさせないわよ。お姉ちゃんとしてのプライドがあるからね。………だけど」
楯無は一つの疑問が浮かんだ。
「誰とも関わろうとしなかったあの簪ちゃんに会ってほんのちょっとであそこまで仲良くなるなんて、城戸 颯ちゃん……面白い子ね。今度ゆっくり話してみたいわ」
楯無はそういいながら整備室から離れていく。
◇
「よし、ソフトウェアはこんなとこだね」
作業開始から約二時間、ソフトウェアは出来上がった。もっともこれはまだ仮に過ぎない。
理由は圧倒的に稼働データが足りないからだ。ソフトウェアは実際に動かしてから更に調整する必要がある。
脚部やウィングのスラスター出力、エネルギーバイパスのエネルギー伝達などの細かい部分は稼働データを見ながら調整していく。
「とりあえず今日はこれくらいにしてパーツ新造とマルチ・ロックオンは明日にしよっか」
「かんちゃ〜〜ん」
丁度切り上げたら聞き覚えのある声が整備室の入り口から聞こえた。
「本音……」
簪が向かってくる人物を呟く。ブカブカで垂れた袖を振り回しながら、ぱたぱたっと走ってる割にはメチャクチャ遅い。
「かんちゃんやっぱりここだった〜。晩御飯食べに行こ〜」
「……二人は友達なの?」
本音は簪の専属メイドで幼なじみ。しかし、まだその紹介は受けてないからあえて知らないふりをする。
「にゃは〜。私こと布仏 本音は〜。かんちゃんの専属メイドなのだ〜。ちなみにサイズは上から九十一、五十九、八じゅ――」
「本音、それ以上言うと……ひどいから」
簪は自分の体形を気にしてか、本音の脇腹をつねる。
「ぎにゃーー!」
悲鳴をあげる本音。……にしても。
「本音、今九十一って言ったよね?」
「……言ったのだ〜」
本音は簪につねられた場所を擦りながら涙目で答えた。
「アンダーは?」
「? 六十三だよ〜」
「差が二十八って、それIカップじゃん! どんだけ着痩せしてるの!」
バストは大体トップとアンダーの差で決まる。
Iカップはトップとアンダーの差は二十七・五〜二十九・九である。
原作だと本音は簪より二カップも大きいとあったが、そんなレベルじゃないぞ。
ちなみに俺はD(差は十五〜十七・四)だから五カップも本音は上である。
「……どうせ、私は……」
簪は自分の胸を触りながら落ち込んでいる。
(……きっと鈴も本音がIカップの持ち主なんて知ったらメチャクチャ落ち込むだろうなぁ)
とりあえず落ち込んでいる簪を何とかせねばならない。
「まぁ気休めにしかならないだろうけど。元気出して、まだ成長期なんだしさ」
「……城戸さんは……どれくらい?」
「私? 私はDだけ……」
やべぇ、口滑った! しかし、時すでに遅し。簪は更に落ち込んでしまった。
「あ〜、たぬたぬがかんちゃんを落ち込ませた〜」
「元はと言えば本音がスリーサイズ言ったのが原因でしょうが! 訊いた私も悪いかも知れないけどさ! って言うか『たぬたぬ』って何!? ひょっとして私!?」
「だってたぬたぬってタヌキで慕われてるんでしょ〜?」
「タヌキって言うなーー!!」
もしもタヌキで慕われていたら俺はかなりショックだよ。
それから本音からの呼ばれるあだ名で二十分も押し問答を繰り広げ、俺のあだ名が『きっちー』になった。
それからしてようやく三人で夕食を食べに学食に向かった。
「やっぱりここのご飯は美味しいのだ〜」
「……本音、味覚は人のそれぞれなのは致し方無いけど……それはやめてくれない?」
俺、簪、本音は三人で夕食を食べている。
しかし本音が食べている物に問題がある。本音のどんぶりはウーロン茶漬け、ここまではまだ大丈夫だ。だがそこに納豆を入れ、生卵を投入、そしてラストに鮭の切り身をてっぺんに乗せて、ぐりぐりと箸でかき混ぜてそれを幸せそうな顔をして食べている。
白米に納豆と生卵と鮭の切り身を入れるのは、転生前にしたことはあるが、わざわざウーロン茶漬けでそれをやる必要があるのだろうか?
ウーロン茶漬けのせいでどんぶりの中はモザイクがかかりそうな混沌とかしている。
「もう無理ギブアップ。見ていられない」
本音の食事を見ていられない俺は食欲が完全に無くなる前に残りを掻き込んだ。
「ご馳走さまでした。それじゃ私は先に行くね。本音、簪さん」
「ばいば〜い」
「………」
簪は返事がなく黙って俺を見る。
「? どうしたの? 簪さん」
「……その…出来れば『簪』って呼んで。私…も……は、『颯』って……呼ぶ…から」
俺は驚いた。まさか簪からそう言ってくるとはな。
「解った。それじゃあね。簪」
「う…うん。またね。颯」
俺は笑顔で言ったら簪は恥じらっているのか、頬を少し赤らめながら答えた。
多分、本音以外で呼び捨てで呼ぶのが初めてだからだろう。
◇
「……はやて……」
簪はただジッと颯の後ろ姿を見ていた。
「初めてじゃないですか〜? おじょうさまが学校で友達を作ったのは〜」
「そ、そう……かな……?」
「専属メイドとしてうれしいですよ〜」
「………」
ケヴィス「体の一部がホープ!! ホープ!! どうもNo.39 希望王ホープをアーマード・エクシーズしたブラックレイ・ランサーがマジでかっこいいと思っているケヴィスです」
颯「始まりがいきなり遊戯王かよ」
ケヴィス「さて始まりました。『俺の部屋』の時間ですが、今回は前書きで書いたことについてです」
颯「発売されたばかりの原作小説IS⑨巻を読んだ影響か?」
ケヴィス「厳密に言えば少し違う。あれは俺がIS第⑧巻を読んだときに思い付いた仮説だ。」
颯「第⑧巻って本名『刀奈』って名乗っただけじゃねーか」
ケヴィス「その通りだ。『楯無さんが本名を名乗った? そう言えば諱って言葉があったな。もしそうなら……たく本当に一夏は専用機持ちに好かれる運命で生まれてきたのか?』って思ったね」
颯「本当に一夏はそう思っても不思議じゃねーな」
ケヴィス「ちなみにこの仮説は別の小説投稿サイト『エブリスタ』で『ISの謎』というタイトルで投稿した内の一つです。これの最終更新日は去年の2013年です。もし興味がある方はお読みください」
颯(……ちゃっかり宣伝しやがった)
ケヴィス「さて今回はここまでです。それではまたお会いしましょう」
待て、次回!!