IS-転生性転物語-   作:ケヴィス

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ようやく更新出来ました。遅くなって申し訳ありません。


第七話 【ボーイ・ミーツ・ボーイ】 Bパート

「お引っ越しです」

 

「「はい?」」

 

 現在、夜八時過ぎ、山田先生が突然やってきた。……まあ解ってはいたけどな。

 

「部屋の調整が付いたので、今日から同居しなくてすみますよ」

 

「ああ、そういうことですか」

 

 知ってはいたが、納得したように言わないと怪しまれる。

 

「よかったね一夏。これでノックもせずいきなりドアを開けても同居人の下着姿をみることはないよ」

 

「あ、あん時は悪かったって」

 

 本当にあったことだ。俺が制服から着替える時にドアに鍵をするのを忘れてて、俺が丁度制服を脱いだ時に一夏がドアを開けて遭遇。

 

「私は気にしないからいいけどね」

 

 もっとも相手が箒だったら間違いなくぶった切られてるだろうけどな。

 

「えっと、それじゃあ私もお手伝いしますから、すぐにやっちゃいましょう」

 

「解りました」

 

 俺は引っ越しのために荷物を整理し始めた。

 

「俺も手伝おうか?」

 

「大丈夫大丈夫。そんなに無いから」

 

 俺の作業は一時間もかからずに終わった。

 

「じゃあね一夏」

 

「おう」

 

 俺は部屋を出て山田先生に付いていく。

 

「あ、箒」

 

「む、颯か」

 

 新しい部屋に向かう途中で箒と逢った。

 

「先生、箒と少し話しがあるんですけど、良いですか?」

 

「構いませんが、出来れば早めにお願いします」

 

「解りました。箒、ちょっとついて来て」

 

「……解った」

 

 俺は箒を連れて山田先生から少し離れる。

 

「話しとはなんだ?」

 

「単刀直入に言うけど、一夏に用事があるでしょ?」

 

「………なぜそう思う?」

 

 そりゃ原作見てるから、なんて言えないからそれっぽいこと言っておこう。

 

「簡単だよ。箒の部屋は一夏の部屋の反対側。その反対側から来たってことは一夏に用事があるんでしょ?」

 

 箒は観念したかのように小さなため息をついた。

 

「お前は本当に鋭いな」

 

「用事は大方『今度の学年別個人トーナメントで優勝したら付き合え』って言おうとしたってとこ?」

 

「…………」

 

「否定しないってことは肯定と判断するよ」

 

「……鋭いとかの話ではないな。お前は読心術でも持っているのか?」

 

「さぁ? どうだろうね? あとなんだったらアドバイスもするよ」

 

「……まあ……その、なんだ。お前はどう思う?」

 

「さっきの通りに言っても一夏には伝わらないことを断言する」

 

 俺は箒からよく一夏関連の相談を受ける。

 

 一夏と箒の出会いは剣術道場。俺の場合は席が隣で話すようになったことで親しくなった。小一の時で俺は一夏のことを最初から『一夏』と呼んで、一夏も俺を『颯』と呼んでいた。

 

 しかし箒の場合は『織斑』と『篠ノ之』と呼び合っていた。それから小二くらいの時に、学校で俺は箒に呼ばれて……

 

『どうやったら織斑と名前で呼び合えるような仲になれる?』

 

 そう訊かれた時は、

 

(もう一夏に惚れたのか……)

 

 と思った。だから俺は、

 

『簡単だよ。一夏って呼べば、一夏も箒って呼んでくれるよ』

 

 そう言った。もっともその日の放課後に男子三人が箒を馬鹿にしていて、俺と一夏の二人で大立ち回りしたことで二人の距離はさらに縮まって名前で呼び合うようになった。

 

 それ以来一夏のことに関して箒は俺に相談してきた。もっとも箒は小四で引っ越したから受けたのはそこまで多くはない。

 

「つ、伝わらない……か?」

 

「だって一夏はウルトラハイパーキングオブ唐変木だからね」

 

 あれは異常を通り越して神の領域だ。一夏が自ら箒たちの好意に気付くなんてまずありえない。

 

 手札も場も無しでドローしたカード一枚で『ハムドオベリスク』を倒せって言っているものだ。

 

「ど、どうすればいい?」

 

「ハッキリとストレートに『今度の学年別個人トーナメントで私が優勝したら結婚を前提に交際してもらう』って」

 

「なっ!!?」

 

 箒が頭から煙が出そうなほどに一気に真っ赤になった。

 

「そ、そ、そこまで言う必要があるのか!?」

 

「うん、必要がある。幼なじみ歴は私が一番長いんだから一夏のことなら大体解るよ」

 

 あの馬鹿に遠回しは絶対に通用しない。『二階から目薬』より酷い。

 

 なんせ鈴の『料理が美味くなったら毎日私の作った酢豚を食べてくれる?』っという遠回しの告白を一夏は歪曲するかのように間違った覚えをしやがったんだからな。

 

(まぁ、酢豚ってチョイスにも問題があったんだけどな……)

 

 だから一夏には、ど真ん中どストレートに200マイル(約320キロ)の超剛速球を投げるくらいにハッキリと言うべきだ。

 

「し、しかし……け、けっ結婚を前提……だなんて……」

 

「それくらい言わないと一夏は気付かないって」

 

「城戸さん、そろそろいいですか?」

 

「あ、はい。大丈夫です!」

 

 山田先生に呼ばれたからもう話しは終わりだな。

 

「あー、そうだ。箒、言いたいことがあった」

 

「……なんだ?」

 

「一つは箒と一夏の交際がかかっているとは言っても、私は個人トーナメントで手を抜くつもりはないから。基本私負けず嫌いだから」

 

「む、無論だ。真剣勝負で手を抜かれるのは武士の恥だ」

 

 今、箒若干困ったな。まあ、この先のことは知ってるから色々と残念だけど。 

 しかし、俺という存在がいるから物語がどれくらい変わるかなんて解らないけど……。

 

「もう一つは、絶対に遠回しに濁して言わないで、スパッと言うこと」

 

「……本当にあのように言わなければならないのか?」

 

「さっきも言ったけど、一夏はウルトラハイパーキングオブ唐変木だからそこまで言う必要がある。……んじゃ、頑張ってね箒」

 

 俺は手をひらひらと軽く振りながら箒から離れて山田先生の元へと戻って、新しい部屋を目指して歩いた。

 

 

 

     ◇

 

 

 

「…………」

 

 颯と別れた箒は一夏の部屋に向かって歩いていた。

 

(一夏に言う。一夏に『学年別個人トーナメントで私が優勝したら……け、け、けっ結婚を前提にこ、交際してもらう』っと……)

 

 箒は一夏の部屋に向かう途中で顔を赤くしながら自分に暗示をかけるように何回も言う。そうしている内に目的の一夏の部屋に着いた。

 

(落ち着け、落ち着けだ。私……まずは颯の言ったように部屋の中に入るんだ。そこから一夏に……)

 

 言うべきことを考えたら、また顔が赤くなり。箒自身も顔が赤くなっているのが解るほど熱を持っている。

 

(ええーい! 落ち着け、落ち着くんだ!)

 

 箒は顔を左右に振って無理矢理にでも落ち着けようとしていた。

 

「すぅ、はぁ……よし!」

 

 深呼吸をして落ち着いた箒はノックをする。

 

 

 コンコン。

 

 

 箒はノックしたが、反応がない。

 

(何故出ない!! 一夏!!)

 

 

 ドンドン!

 

 

 箒は出てこない一夏に対して、ドアに八つ当たりするかのように殴るように拳でノックする。

 

「はい、どちらさまで――」

 

「…………」

 

 箒は一夏が出てきて言うべきことを考えたら顔が赤くなりそうになるのをむすっとした顔でごまかす。

 

「箒? どうした?」

 

「…………」

 

 箒は答えない。と言うより、

 

(学年別個人トーナメントで私が優勝したら結婚を前提に交際しろと、一夏に言う。学年別個人トーナメントで私が優勝したら結婚を前提に交際しろと、一夏に言う……)

 

 言うべきことを頭の中で何回も考え一夏の声が聞こえていなかった。

 

「……箒、用がないなら俺は寝るぞ」

 

「よ、用ならある!」

 

 箒がいきなり大声を出して一夏はびっくりする。

 

「ら、来月の学年別個人トーナメントだが……」

 

 本来なら部屋に入ってから話すのだが、恥ずかしさのあまりそのことは忘却していた。

 

「六月末にあるあれか、それがどうしたんだ?」

 

「わ、私が優勝したら、け……け、けっこ……」

 

 頬を紅潮させながら箒は言葉を続けようとしたが詰まった。

 

「……結構?」

 

(こんな恥ずかしいこと言えるか!!)

 

 自称『武士』と言えど、箒も十五歳の乙女であった。

 

「一夏!!」

 

「お、おう」

 

「学年別個人トーナメントで……わ、私が優勝したら……つ、付き合ってもらう!」

 

 びしっと一夏に指を差す箒。

 

「……はい?」

 

 一夏は何がなんやら解らないと言った顔をする。

 

「いいな! 約束だからな!」

 

「……おう」

 

 一夏はとりあえず返事をした。

 

「約束だからな! 話しはそれだけだ!」

 

 箒は内心言いきった感で安心して自室に戻った。しかし颯が言った『結婚を前提に交際』を言うことは出来なかった。

 

「聞いた?」

 

「聞いちゃった」

 

「面白いことになりそうね」

 

 物影に隠れて訊いていた女子は大盛り上がりで自室へと戻る。

 

「…………」

 

 一人になった一夏は部屋に入って考えていた。

 

(……付き合う? 何にだ……?)

 

 何か閃いた用で頭の上で電球が光る。

 

「そうか、買い物で男手が必要だったから俺に頼んだのか」

 

 相変わらずの安定した唐変木っぷりの一夏であった。

 

 

 その後、自室に戻った箒は、

 

「549!!」

 

 

 ブオン!!

 

 

「550!!」

 

 

 ブオン!!

 

 

 鬼気迫るほどのオーラを発しながら空気を裂くような凄まじいスピードで竹刀の素振りをしていた。

 

 その理由はこの学年別個人トーナメントは専用機持ちも出るため、優勝候補は自然と専用機持ちに絞られてくる。しかも颯も手加減しないと言った以上、専用機を持っていない箒が出来ることは今まで以上の鍛練となった。

 

「い、いつにもまして気合いが入った素振りだね。篠ノ之さん」

 

 ルームメイトは若干怯えながら見ていた。

 




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