颯の髪は茶色の肩にかかるくらいのセミロングで、IS学園の制服は無改造のノーマル(箒と同じ)です。こんな感じですね。
それでは転生性転物語、始まります。
入学式が終わって、今は一年一組。そして出席番号順に始まる自己紹介。
しかし、その自己紹介をしている人を見ているクラスメイトは殆どおらず、その殆どのクラスメイトが見ているのは、俺の隣で顔を真っ青にしている『世界唯一の男のIS操縦者、織斑一夏』であった。
ちなみに一夏の席は一番前の真ん中とかなり目立つ席である。
その一夏はちらりとこちらを見る。
救いを求める視線なのは解る。しかしどうすることも出来ないのが事実だ。
俺は左隣の六年ぶりに再会した俺と一夏の幼なじみである篠ノ之箒を見る。だけどふいっと窓の外に顔をそらした。
「……くん。織斑一夏くんっ」
「は、はいっ!?」
裏返った声で返事をした一夏。クラスからはくすくすと笑い声が聞こえくる。
「あっ、あの、お、大声出しちゃってごめんなさい。でもね、自己紹介、『あ』から始まって今『お』の織斑くんなんだよね。自己紹介してくれるかな? ダメかな?」
ぺこぺこと頭を下げる一年一組副担任の山田先生。そこまで腰が低いのも副担任とは言っても教師としてどうかと思う。
「いや、あの、そんなに謝らなくても……」
本当にそう思うよ。
一夏は席を立って後ろを振り向く。当然視線は一夏に集中する。箒でさえ横目で一夏を見る。
「えー……織斑一夏です。よろしくお願いします」
一夏は儀礼的に頭を下げて、上げる。しかし、『もっと色々喋ってよ』とか『これで終わりじゃないよね?』的な空気だ。
一夏は深呼吸をして
「以上です」
がたたたっ!!
「あはははっ!」
コントのようにクラスの半数近くいる女子がずっこけて、俺は思わず笑った。
「なんで笑うんだよ!? 颯」
一夏は笑ってる俺を見る。だって実際に見ると面白いから。
「一夏、後ろ気をつけてね」
「は?」
ゴオンッ!! と一夏は頭にいい音のした
「だから言ったのに」
一夏はその叩いた人物を見る。一夏の後ろにいる人は黒のスーツにタイトスカート、すらりとした身長、よく鍛えられているがけして過肉厚ではないボディライン。組んだ腕、狼を思わせる鋭い吊り目。
「げえっ、千冬姉!?」
ゴオンッ!! また拳骨。すっごい痛そう。
「学校では織斑先生だ」
「あ、織斑先生。もう会議は終わられたんですか?」
「ああ、山田君。クラスへの挨拶を押しつけてすまなかったな」
実の弟に容赦なさすぎるのに対して凄い優しい声で言う千冬さん。
「い、いえっ。副担任ですから、これくらいはしないと……」
山田先生が若干熱っぽいくらいの声と視線で答えた。
「諸君、私が織斑千冬だ。君たち新人を一年で使い物になる操縦者に育てるのが仕事だ」
間違いではないと思うけど、そこまでストレートに言うのもどうかと思う。
そしてクラスからは黄色い声援が響いた。
「キャーーーー!! 千冬様、本物の千冬様よ!!」
「ずっとファンでした!!」
「私、お姉様に憧れてこの学園に来たんです!! 北九州から!!」
憧れで倍率一万越えのIS学園に合格するから凄い。
「あの千冬様にご指導いただけるなんて嬉しいです!!」
「私、お姉様のためなら死ねます!!」
一回死んだ者として言いたい。命は大切にしましょう。
「……毎年、よくもこれだけ馬鹿者が集まるものだ。感心させられる。それとも何か? 私のクラスにだけに集中させてるのか?」
これがポーズでなく、本当にうっとうしがってる千冬さん。
中学時代、後輩から似たような事を言われたからその気持ち解る。
「きゃああああっ!! お姉様!! もっと叱って!! 罵って!!」
「でも時には優しくして!!」
「そしてつけあがらないように躾して〜!!」
このクラスの女子怖い。
「で? 挨拶も満足にできんのか、お前は」
千冬さんは一夏を睨みながら言う。本当に容赦ないね。
「いや、千冬姉、俺は――」
ガアンッ!! 千冬さんは一夏の頭を机に叩きつける。あれも痛そうだ。
「織斑先生と呼べ」
「……はい、織斑先生」
このやりとりを聞けば、二人が姉弟なのがバレる。
「え……? 織斑くんって、あの千冬様の弟……?」
「それじゃあ、世界で唯一男で『IS』を使えるっていうのも、それが関係して……」
「静かに!! ……紹介を続ける。山田君」
「あ、はい! ……次は城戸颯さん」
「はい」
俺は立ち上がって後ろに振り向く。
「城戸 颯です。よろしくお願いします」
頭を下げて、上げる。空気は特に変化はない。
それはそうだ。『世界で唯一男でISを使える』織斑一夏と『モンド・グロッソ二連覇した』織斑千冬さんのあとに『女子』が挨拶してもインパクトがない。
「あ、ちなみに一夏とは小学校からの幼なじみです」
空気が一瞬ザワッとしたような気がするけど、気のせいだろう。
「城戸、席につけ」
「はい」
俺は千冬さんに言われて座る。
「それでは次は――」
俺が終わって次の人が呼ばれていった。
「――よろしくお願いします」
そして三十人の自己紹介が終わった。
「さあ、SHRは終わりだ。諸君らにはこれからISの基礎知識を半月で覚えてもらう。その後実習だが、基本動作は半月で体に染みこませろ。いいか、いいなら返事をしろ。よくなくても返事をしろ、私の言葉には返事をしろ」
ホントに教師とは思えない台詞だ。
「それでは早速一限目の授業を始める。山田先生」
「はい。それでは一時間目はIS基礎理論になります」
ちなみにIS学園はカリキュラムが詰まっているため入学初日から普通に授業がある。
ついでに言うと持ってきたボストンバッグは入学式前に受付に渡して、代わりに部屋の番号が書かれた紙と部屋のカギを貰った。
「あー……」
一時間目のIS基礎理論授業が終わって今は休み時間。一夏は教室内の異様な雰囲気にまいってるみたいだ。
「大丈夫? 一夏」
俺は席を立って一夏の隣に前のめりになって一夏の顔を覗き込むような姿勢になる。
「この状況をなんとかしてくれ」
現在の状況は『世界で唯一ISを使える男』を見るために、廊下には他クラスの女子、二、三年の先輩らが詰めかけている。しかもクラスの女子は『あなた話かけなさいよ』という空気でその中で『女子となってしまった俺』が話かけたことにより、教室内では俺と一夏が幼なじみなのを知ってはいるが、教室外では知らないから『抜け駆けされた』的なざわめきが広がっている。
「んー、無理」
「なんでだよ」
「こうなったのは一夏が原因で私のせいじゃないし」
「そうかもしれないがちょっとは助けてくれたって――」
「ちょっといいか」
「え?」
話かけてきたのは。六年ぶりに再会になる幼なじみだった。
「……箒?」
「…………」
篠ノ之 箒。一夏が昔通っていた剣術道場の子。髪型は腰下くらいまである黒髪のポニーテール。
俺と箒の出会いは一夏が学校で紹介してくれたからで、俺は道場には通ってない。
「ほら、一夏。ご指名なんだから立った立った」
俺は一夏の腕を引っ張って立たせる。そしたら箒が俺のことを睨んだ。
俺は一夏から手を放して箒の耳元で囁く。
「私は一夏のことを幼なじみとしか見てないから、昔と変わらず一夏のことが好きならさっさと告白しちゃえば?」
「……!!」
箒が顔を赤くした。ホントーに解りやすい。
箒は赤くなりながらも日本刀の様な鋭い睨みをする。
「ほらほら、用事があるんでしょ? 早くしないと休み時間終わっちゃうよ」
俺はそう言って自分の席に座る。
「ああ……って顔赤いけどどうした?」
「……!! 何でもない! 行くぞ!」
「お、おう」
すたすたと廊下に行ってしまう箒を追いかける一夏。そのあと二人はチャイムが鳴るまで戻ってこなかった。
かなり原作寄りになってしまいましたが、可能な限りオリジナリティがあるようにしますので、よろしくお願いします。