IS-転生性転物語-   作:ケヴィス

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 こっちを先に上げました。『インフィニット・ブレイド』も頑張りますのでよろしくお願いいたします。


第七話 【ボーイ・ミーツ・ボーイ】 Cパート

 山田先生について行って、新しい部屋の前に着いた。

 

「ここが城戸さんの新しいお部屋になります。ちゃんと挨拶をしてルームメイトさんと仲良くしてください」

 

「解りました」

 

「それでは、私はまだ業務があるのでここで失礼します」

 

「ありがとうございました」

 

 俺は山田先生が歩いて行ったの見てからノックした。

 

 

 コンコン!

 

 

「……ど……どうぞ」

 

(……あれ? 今の声って……)

 

 返事の声を気にしつつもドアを開けた。部屋の中にいたのは予想通りの人物がいた。

 

「は……はや……て……? どうして……?」

 

「今日からこの部屋になるの。よろしくね簪」

 

「!! こ……こちらこそ」

 

 こうして俺の新たな部屋のルームメイトは更識 簪となった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は荷解きを終えてからシャワーを浴びて、今ベッドに座っている。

 

 ちなみ格好は短パンにTシャツとかなりラフだ。一夏と一緒の時も寝る時は大体これだった。

 

「ねぇ? 颯、今日の用事ってなんだったの?」

 

(……用事?)

 

「今日、颯と出かけようと思ったら、本音から……颯は用事があって無理って聞いた……から」

 

 成る程……楯無さんの差し金か。本音を使うなんてな。

 

「ある人と会ってたの」

 

「……誰?」

 

 言うべきかどうか、悩むけど、素直に言うか。

 

「簪の姉、更識 楯無さん」

 

「ッ――!!」

 

 簪は楯無さんと表情を曇らせた。

 

(越えるとは言ったけど、まだ完全に姉、楯無さんへの劣等感は消えないか……)

 

「ど……どう…して……?」

 

 簪は困惑しながら俺に訊いてきた。

 

「本音のお姉さん、虚さんが私のところに来て、ついて行って楯無さんと会った」

 

「…………」

 

「色々話したけど、簪は楯無さんのこと、嫌いなの?」

 

「嫌い……じゃない。だけど、お姉ちゃんはなんでも出来る。それが……怖い」

 

「…………」

 

 簪は拳を強く握っていた。しかも体は僅かに震えていた。

 

「完成された美、優れた頭脳、常人を超越した肉体能力、多くの人心を掴んで離さない魅力。私とは、全然違う」

 

 簪は体を抱え込んだ。

 

「もちろん私は私、お姉ちゃんはお姉ちゃん、それは解ってる。……だけど時々、夢を見る。『あなたは何もしなくていいの。私が全部してあげるから……だから、あなたは――無能なままで、いなさい』……って言う」

 

 簪の目尻に涙が溜まっている。

 

「……簪」

 

 俺は簪を抱きしめた。

 

「――!!」

 

 簪は驚いたのか体を硬直させる。

 

「違う。簪は無能じゃない。あなたには十分な才能がある」

 

「で、でも……私は……」

 

「『打鉄弐式』のデータ、一人であれだけ組んだこと。『打鉄弐式』での稼働データを取ることを兼ねた私との模擬戦でのISの操縦と戦闘技術。どれをとっても十分な才能がある」

 

 俺は簪の優れている点を挙げた。

 

「そして何より、簪は『日本代表候補生』って自分の実力を証明出来るものを持ってるんだから」

 

「……ありがとう。颯……」

 

 簪が腕をまわして抱きついてきた。俺もそれに答えるように抱き返す。

 

「どういたしまして」

 

 

 

     ◇

 

 

 

(……暖かい)

 

 簪は颯の温もりに浸っていた。IS学園に来てから―――いや、それよりも前から『誰かに甘える』、『自分をさらけ出す』ことをしなかった。正確には出来なかったと言うべきである。

 

 その理由は、『更識家の人間、更識 楯無の妹』だからだった。まわりはそれでしか見なかった。颯のような簪として接してくれる人はいなかった。だからこそ颯の存在は大きかった。

 

 最初は完成された美に優れた知識で姉である更識 楯無と姿が被った。

 

 だが、一緒に作業をして、本音との三人での夕食を食べている内に被っていた姿が消えた。

 

 何より、『誰かといるのが楽しかった』のだ。

 

 そして簪は颯と友達になりたいと思って互いに名前で呼ぶようにした。

 

「……さてそろそろ寝よっか」

 

「…………うん」

 

 渋々といった感じで颯の提案にのる簪。本当はもう少しこのままでいたかったが、明日は授業があるからと自分に言い聞かせて二人は眠りについた。

 

 そしてこの時の簪は気付いていなかった。簪の中で颯のことは『友達以上』に感じる特別な感情が芽生えつつあることを……。

 

 それは異性に恋する感情に近いものがあることを……。

 

 そして翌朝、二人は一緒に食堂で朝食を食べ、その後も一緒に教室へと向かう。

 

「それじゃ、私一組だから」

 

 校舎で階段を上がって左右で別れる。一組は右、四組は左である。

 

「…うん。……ねぇ颯」

 

「何?」

 

 歩きだそうとしたら簪が颯を呼んだ。

 

「今日の放課後って時間…ある? 出来れば、一緒に来てもらいたいところがあって」

 

 放課後には一夏の訓練があったが颯から一夏に教えるべきことは大体教えた。なので今日は自称コーチの箒、鈴、セシリアの三人に任せていいか……と颯は考えた。

 

「いいよ。それじゃ放課後になったら四組にいくから」

 

「あ、ありがとう。そ、それじゃ―――」

 

「それと放課後の前にお昼一緒に食べない?」

 

「えっ? えーっと……」

 

 颯からの誘いに簪はなにやら困って考えていた。

 

「都合が悪ければ、別にいいけど」

 

「違う……! それじゃ、待ち合わせで、食堂の前で」

 

「了解。それじゃお昼食堂でね」

 

「うん」

 

 颯と簪は互いに教室を向かうべく歩き、そして颯が教室へ向かって歩いている後ろ姿を簪は見ていた。

 

「かんちゃ〜ん」

 

 簪をそう呼ぶのはただ一人、簪は階段の方を振り向くと本音がゆっくりした足取りで階段を上がってきた。

 

「やっぱりきっちーと一緒にいるかんちゃんはとっても楽しそうでしたー」

 

 本音の言葉に固まる簪。

 

「……い、いつから、見てた…の……?」

 

「食堂からずーっと、見てましたー。朝からあんなに楽しそうなかんちゃん。IS学園に入ってから一回も見たことありませんよー」

 

 言い終えたら、本音は「ばいば〜い」と言って一組へと走ったが、かなり遅かった。

 

 簪はホームルームのチャイムが鳴るまで本音の言葉で硬直した。

 

 

 

     ◇

 

 

 

「やっぱりハヅキ社製のがいいなぁ」

 

「え? そう? ハヅキのってデザインだけって感じない?」

 

「そのデザインがいいの!」

 

 月曜日の朝。クラス中の女子がわいわいと賑やかに談笑をしていた。みんな手にカタログを持って、あれやこれやと意見を交換している。

 

「ねぇ、城戸さんのISスーツってどこなの?」

 

「私のはスローネ用の特注品だけど、元はミューレイのスムーズモデル」

 

「そうだったんだ。私もそれにしようと思ってるんだよね」

 

「あれってモノはいいけど、高いじゃん」

 

 俺のISスーツはスローネと一緒にあったのだ。予備も合わせて計三着。

 

「おはよう」

 

「ねぇねぇ、織斑君のISスーツってどこのやつなの? 見たことない型だけど」

 

「あー。特注品だって。男のスーツがないから、どっかのラボが作ったらしいよ。えーと、元はイングリッド社のストレートアームモデルって聞いてる」

 

「おー、よく覚えられたね。さすが勤勉家」

 

 ちなみにISスーツというのは、文字通りIS展開時に体に着ている特殊なフィットスーツだ。スーツなしでもISを動かすことは可能なのだが、反応速度が悪くなってしまう。

 

「ISスーツは肌表面の微弱な電位差を検知することによって、操縦者の動きをダイレクトに各部位へと伝達、ISはそこで必要な動きを行います。また、このスーツは耐久性にも優れ、一般的な小口径拳銃の銃弾程度なら完全に受け止めることができます。あ、衝撃は消えませんのであしからず」

 

 すらすらと説明しながら現れたのは山田先生だった。

 

「山ちゃん詳しい!」

 

「一応先生ですから。……って、や、山ちゃん?」

 

「山ぴー見直した!」

 

「今日が皆さんのスーツ申し込み開始日ですからね。ちゃんと予習してきてあるんです。えへん。……ってや、山ぴー?」

 

 入学から約二ヶ月。山田先生には八つくらい愛称がついていた。慕われている証拠ではあるが、慕っていると言うより同級生のように思っているようにしか見えない。

 

「教師に対してあんまり砕けたあだ名つけちゃ駄目でしょ」

 

「そうですよ皆さん!」

 

「えー、いいじゃんいいじゃん」

 

「それじゃ、千冬姉……織斑先生のあだ名はなんなんだ?」

 

 一夏がそう言ったら皆の動きが止まり、震えながら一夏の方を振り向く。

 

「え? 織斑君は私達に死ねと?」

 

「……え?」

 

「千冬様とかお姉さまはあだ名じゃないんだ?」

 

「あれは尊敬を込めた敬称よ!」

 

「砕けた名前つけたら怒られるよー」

 

 怒られるなんて生温い。殺されるな。

 

「諸君、おはよう」

 

「「「「お、おはようございます!」」」」

 

 一組担任の千冬さんの登場でざわざわとしていた教室が一瞬でぴっと礼儀正しくなる。

 

 山田先生と千冬さんとの差が酷い。このままじゃ山田先生が教師としての自信を無くしてしまう。

 

「今日から本格的な実戦訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるので各人気を引き締めるように。各人のISスーツが届くまでは学校指定のものを使うので忘れないようにな。忘れたものは学校指定の水着で訓練を受けてもらう。それもないものは、まあ下着で構わんだろう」

 

 女子だけだったらいざ知らず、今回はイレギュラーな男子の一夏がいるんだから下着姿は駄目でしょ。

 

 ちなみにIS学園の指定水着は何を思ったか、絶滅危惧種だと言われていた紺色のスクール水着だ。ちなみに体操着はブルマー。

 

「ちなみに山田先生は去年二回ほど忘れて下着で授業をした」

 

 何してんのこの学園!? っていうか先生が忘れるって。

 

 山田先生はトラウマなのか落ち込んで俯いてしまった。反面教師のような扱いを受けてるな山田先生。

 

「では山田先生、ホームルームを」

 

「は、はいっ」

 

 連絡事項を言い終えた千冬さんが山田先生にバトンタッチする。落ち込んでいたが、教師としての責務を果たそうとする山田先生。しかし、慌てた姿がわたわたとしている子犬のようだった。

 

「ええとですね、今日はなんと転校生を紹介します! しかも二名です!」

 

 さっきのことを忘れようとしてたか、声をはる山田先生。

 

「え……」

 

「「「「えええええっ!?」」」」

 

 そしていきなりの転校生紹介にクラス中が一気にざわつく。それはそうだ。この三度の飯より噂好きの十代乙女、鈴の時には引っ掛かったその情報網をかいくぐっていきなり転校生が現れたんだから驚きもする。しかも二人。

 

(まぁ、俺は知ってたから大して驚かないけどな……)

 

 そんなことを考えていたら、教室のドアが開いた。

 

「失礼します」

 

「……………」

 

 クラスに入ってきた二人の転校生を見て、ざわめきがぴたりと止まる。

 

(まぁ、そうだよな。こうなるよな……)

 

 そのうちの一人が――男子(正確には男装)だったんだからな。

 

 

 STORY 07 END




 『クロスアンジュ』、いくら『サンライズ』だからってメカニックデザインが『コードギアス』の人だからって、

『ルプスビームライフル』

『ファーストガンダムビームライフル』

『バラエーナ』

『対ビーム・コーティングシールド』

『フリーダムのウィング』

 あれはアカンて……。
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