IS-転生性転物語-   作:ケヴィス

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ようやく更新が出来ました。『ガンダムブレイカー2』をやりまくっていてようやく落ち着いてきました。


第八話 【フランスの貴公子とドイツの軍人】 Aパート

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れなことも多いかと思いますが、みなさんよろしくお願いします」

 

 転校生の一人、シャルル改めてシャルロットがにこやかな顔でそう告げて一礼する。

 

 あっけにとられたのは一夏を含めてクラス全員だった。

 

 もちろん俺を除いてだけどな。

 

「お、男……?」

 

 誰かがそうつぶやいた。

 

「はい。こちらに僕と同じ境遇の方がいると聞いて本国より転入を――」

 

 人なつっこそうな顔。礼儀の正しい立ち居振る舞いと中性的に整った顔立ち。髪は濃い金髪。黄金色のそれを首の後ろで丁寧に束ねている。

 

 印象は、誇張じゃなく正真正銘な『貴公子』といった感じで、特に嫌味のない笑顔が眩しい。

 

「きゃ……」

 

「はい?」

 

 俺は両耳を塞いだ。

 

「「「「きゃあああああああーーーっ!」」」」

 

 ソニックウェーブというやつが起きた。冗談抜きで起きた。クラスの中心を起点にその歓喜の叫びはあっという間に伝播する。

 

 両耳を塞いでいたから耳は大丈夫だけど、ソニックウェーブの振動は体にしっかり伝わった。

 

「男子! 二人目の男子!」

 

「しかもうちのクラス!」

 

「美形! 守ってあげたくなる系の!」

 

「地球に生まれて良かった〜〜〜!」

 

 元気だね、うちのクラスの女子一同は。最後のやつは織田裕二がオリンピックの陸上競技の時に言ってたのだし。ちなみに隣のクラス及び他の学年からまだ誰も覗きに来ないのはHR中だからだ。多分早く来たくてそわそわしているだろう。

 

「あー、騒ぐな。静かにしろ」

 

 面倒くさそうに千冬さんがぼやく。仕事がというより、こういう十代女子の反応が鬱陶しいんだろう。

 

「み、皆さんお静かに。まだ自己紹介が終わってませんから〜!」

 

 千冬さんと山田先生の注意で静かになるクラス。そして皆の視線が銀髪の転校生、ラウラ・ボーデヴィッヒへと向けられた。

 

「…………」

 

 ラウラはまだ一言も発しておらず、左目には黒眼帯。眼帯をしていない赤色の右目の温度はかぎりなくゼロに近い。

 

 ラウラの印象は『軍人』。当の本人は腕組みをした状態で教室の一ヶ所を見ている。

 

 そう、俺を見ているのだ。

 

「……挨拶をしろ、ラウラ」

 

「はい、教官」

 

 いきなり佇まいを直して素直に返事をする転校生――ラウラに、クラスがぽかんとしている。異国の敬礼を向けられた千冬さんはさっきとはまた違った面倒くさそうな顔をした。

 

「ここではそう呼ぶな。もう私は教官でないし、ここではお前も一般生徒だ。私のことは織斑先生と呼べ」

 

「了解しました」

 

 そう答えるラウラはぴっと伸ばした手を体の真横につけ、足をかかとで合わせて背筋を伸ばしている。

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

 

「「「「…………」」」」

 

 クラスメイト達の沈黙。おそらく続く言葉を待っているのだろう。しかし、名前を口にしたらまた口を閉ざしてしまった。

 

「あ、あの、以上……ですか?」

 

「以上だ」

 

 空気にいたたまれなくなった山田先生が出来る限りの笑顔でラウラに訊くが、帰ってきたのは無慈悲な即答だけでまた沈黙を続ける。

 

「え……え〜〜っと、それではデュノアくんは織斑くんの隣へ、ボーデヴィッヒさんは右奥へお願いします」

 

「はい、解りました」

 

「…………」

 

 シャルロット、じゃなくってシャルルは返事をしたが、ラウラは相変わらずの沈黙。別々の反応をして言われた席に着く。

 

「ではHRを終える。各人はすぐに着替えて第二グラウンドに集合。今日は二組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」

 

 ぱんぱんと手を叩いて千冬さんが行動を促す。

 

「おい織斑。デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だろう」

 

 千冬さんがそう言う理由は男子は空いているアリーナ更衣室で着替えるからだ。ちなみにクラスにいると女子と一緒に着替えることになる。

 

 一夏は千冬に言われてシャルルに近付いた。

 

「君が織斑君? 初めまして。僕は――」

 

「ああ、いいから。とにかく移動が先だ。女子が着替え始めるから」

 

 説明すると同時に行動に移す。一夏はシャルルの手を掴んでそのまま教室を出た。

 

「それでは皆さんも遅刻しないでくださいね」

 

 千冬さんと山田先生も教室を出た。

 

 残ったクラスの女子はISスーツへと着替え始める。もっとも、クラスの女子の殆どが最初からISスーツを着ていて制服を脱げばISスーツ姿になる。俺もその中の一人、最初からISスーツを着ていた。

 

 どうやらラウラも最初から着ていたようで制服を脱いでさっさと第二グラウンドへと向かった。着替え終えた女子は次々と第二グラウンドへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「遅い!」

 

 俺やクラスの女子は遅れなかったが、一夏とシャルルは僅かながら遅刻した。 

 千冬さんは腕を組んで仁王立ちして二人を見る。

 

「くだらんことを考えている暇があったらとっとと列に並べ!」

 

 バシーン! たしかこの時は金棒ってcanabowって書くとブランドみたいって考えてたんだっけ。

 

 相変わらずの読心術ですね千冬さん。

 

 一夏とシャルルは一組整列の一番端に加わる。

 

「ずいぶんゆっくりでしたわね」

 

 一夏の隣の女子、セシリアが話しかけている。ちなみ俺はセシリアのその隣だったりする。

 

「スーツを着るだけで、どうしてこんなに時間がかかるのかしら?」

 

「道が混んでいたんだよ」

 

「ウソおっしゃい。いつも間に合うくせに」

 

 仕方ないってセシリア。今回はシャルルが一緒だったんだ。その転校生目当ての女子から逃げるのに時間かかったんだ。

 

「そうよ。なんで遅れてんのよ」

 

 俺たちの後ろにいる鈴が話しかけてきた。

 

「だから道が混んでたんだよ」

 

「真面目に答えなさいよ!? このバカ!!」

 

 俺は一切会話に参加せず、一夏はバカと言われても『今は』黙っている。

 

 なぜなら、

 

「――安心しろ。バカは私の目の前にも二名いる」

 

 ギギギギッ……ときしむブリキの音で首を動かすセシリアと鈴。

 

 視線の先ではもちろん鬼が待ちかまえていた。そう千冬さんがこっちに向かっていたから黙っていた。セシリアと鈴は会話に気を取られていて気づいていなかった。

 

 

 バシーン!

 

 

 蒼天の下で今日もまた出席簿アタックが響くのだった。

 

「では、本日から格闘及び射撃を含む実戦訓練を開始する」

 

「「「「はい!」」」」

 

 一組と二組の合同授業なので人数はいつもの倍。出てくる返事も妙に気合いが入っていた。

 

「くうっ……。何かというとすぐにポンポンと人の頭を……」

 

「……一夏のせい一夏のせい一夏のせい……」

 

 叩かれた場所が痛むのか、セシリアと鈴はちょっと涙目になりながら頭を押さえていた。

 

 それと鈴、叩かれたのは千冬さんの授業中に話しをした自分達の自業自得なんだから一夏のせいにしない。

 

「今日を実演してもらおう。――城戸!」

 

「はい!」

 

 俺は千冬さんに呼ばれて前に出る。そうしないとセシリアと鈴と同様に千冬さんによる。メインの物理攻撃の出席簿アタックを頭部にくらうことになる。

 

「えっと……実演ってことは模擬戦ですよね? 誰とするんですか?」

 

「対戦相手は――」

 

 

 キィィィン……。

 

 

 上から空気を裂く音にすごくよく似たのがする。

 

 そうですか。あなたですか。

 

「ああああーっ! ど、どいてください〜っ!」

 

 さてこのままだと一夏に……ん? あれ、この軌道は……違う! 俺だ!!

 

 

 ドカーン!

 

 

 落下の軌道が一夏ではなく俺だったのに気づいた時にはすでに遅く。山田先生の突進の直撃を受けた。

 

「あいたたた」

 

「痛いのはこっちの方ですよ。山田先生……」

 

 スローネの展開はギリギリ間に合ったが、回避することが出来ずに俺は山田先生の下敷きとなった。それにより山田先生の落下のパワーは100%俺に伝わった。

 

 体が痛い。

 

「山田先生。とりあえずどいてもらっていいですか?」

 

「あぁあ! ごめんなさい!」

 

 山田先生はPICで浮き上がってどいてくれ、俺は立ち上がった。

 

 それにしても山田先生、あなた本当に教師か? なんで落下してくるんだ? しかも生徒に向かって。

 

「では山田先生と城戸で戦闘の実演をしてもらおうか」

 

 せめて山田先生が俺に落下したことに関して少しは山田先生に注意とかしてほしかったな。心情的に……。

 

「では、はじめ!」

 

「…………GNシステム、リポーズ解除」

 

 テンションが落ちまくっていたが、なんとか切り替えて千冬さんの号令でGNドライブを起動させて飛翔する。それに続いて山田先生も飛んで来た。

 




『生きてる』ってなんだろう?

『生きてる』ってなぁに?


by「笑う犬の生活(だったと思う)」より

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