IS-転生性転物語-   作:ケヴィス

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ようやく更新できました。皆さまが楽しく読んでいただければ幸いです。

そして最後に、

こういうのがISの始まりなのかな?
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第九話 【真実】 Aパート

「ええとね、一夏が勝てないのは、単純に射撃武器の特製を把握していないからだよ」

 

「そ、そうなのか? 一応解っているつもりだったんだが……」

 

 シャルルが転校してきてから五日が経って、今日は土曜日。IS学園では土曜日の午前は理論学習、午後は完全に自由時間になっている。とはいえ土曜日はアリーナが全解放なので殆どの生徒が実習に使う。それは一夏も同じで、今日もシャルルに軽く手合わせをしてもらった後、IS戦闘に関するレクチャーを受けていた。

 

「うーん、知識として知っているだけって感じかな。さっき僕と戦ったときも殆ど間合いを詰められなかったよね?」

 

「うっ……、確かに。『瞬間加速(イグニッション・ブースト)』も読まれてたしな……」

 

「一夏のISは近接格闘オンリーだから、より深く射撃武器の特性を把握しないと対戦じゃ勝てないよ。特に一夏の瞬間加速って直線的だから反応出来なくても軌道予測で攻撃できちゃうからね」

 

「…………」

 

「どうしたの? 一夏」

 

 一夏が何か考え込んでしまいシャルルが気になって話しかけた。

 

「いや、実は瞬間加速(イグニッション・ブースト)を覚えたとき、颯に殆ど同じことを言われたんだ」

 

「城戸さんに?」

 

「ああ……『瞬間加速は基本的に軌道変更が出来ず、ほぼ直線的だから相手が軌道予測をして攻撃してくる可能はあるよ。だから一夏は射撃武器の特性を把握しないとまず勝てない』……ってな」

 

 颯から言われたことを包み隠さず言う一夏に、シャルルはなにも言わずに聞く。

 

「だからセシリアから射撃武器の特性を教えてもらったりして、セシリアと鈴に模擬戦をしたりして理解したつもりだったんだ。それで初めて戦うシャルルが射撃武器を使ったときはどれくらいいけるかと思って戦ったんだ」

 

 もちろんその模擬戦でセシリアと鈴の二人に勝てず、シャルルとの模擬戦も惨敗だった。

 

「そうだったんだ。ということは城戸さんから色々とレクチャーを受けていたの?」

 

「最近は全然なんだ。『教えることは大体教えたからあとは試行錯誤して自分の戦闘法(メソッド)を見つけてね』……って」

 

「城戸さんが言うのも解るけど、ちょっと放任過ぎないかな?」

 

「『教えてばっかりじゃなくて、自分で考えてすることに意味がある』って言ってたんだ。『まあ、どうしても解らなかったら訊きに来ていい』とは言ってたけどな」

 

「でも訊きに行ってないんだよね?」

 

「まあそうなんだけどな」

 

 一夏はとある方向をチラッと颯を見る。

 

 

 

 バヂィインッ! ガギィンッ!

 

 

 

 その向いた先には颯と簪が模擬戦をしていた。

 

 颯はバスターソード、簪は薙刀で近接戦をしていた。

 

「あんな風に模擬戦をしてたら訊き難いんだよな」

 

「それもそうだけど、解らないことはちゃんと訊かないと」

 

「そうだな……」

 

 一夏とシャルルの二人は訓練を一時中断して颯と簪の模擬戦を見ることにした。

 

 

 

 

 

 

 

 ガギンッ! バヂィインッ!

 

 

 颯はGNバスターソード、簪はエネルギー刀薙刀《夢現(ゆめうつつ)》で近接戦をして、距離が空けたら、颯は左腕下部に固定装備されている小型ビーム砲のGNハンドガン。簪は《夢現》を左手に持ち、背中に搭載された連射荷電粒子砲《春雷(しゅんらい)》二門の内一門を右脇の下からくぐらせてトリガーを引いての互いに射撃戦をする。

 

 二人の攻撃は鋭いがまだどちらの攻撃も相手には当たっていない。

 

 射撃戦をしていたら、簪が不意に距離を更に空けた。

 

「マルチ・ロックオン……完了……!」

 

 肩部ウイング・スラスター、そこに取り付けられた六枚の板がスライドして開く。

 

 その中から、ちょうど粒子組成が終わった八連装高性能誘導ミサイル《山嵐(やまあらし)》が六ヶ所・計四十八発、一斉に顔を出した。

 

「《山嵐》……一斉発射……!」

 

 

 ドドドドドドドドドドッ!

 

 

 すさまじい音を立てて、ミサイル計四十八発が一斉に発射される。

 

 ミサイルは複雑な三次元躍動をしながら颯に接近していく。

 

「ファング!!」

 

 簪がミサイルを発射したのと同時に両腰バインダーに搭載されている八基のファングを射出し、ミサイル計四十八発を全て撃ち落とした。

 

 それによりアリーナの中ではミサイルの爆発の爆音が響き、アリーナの中で颯と簪の模擬戦を見ていた生徒は爆音で驚いたり、吹き飛ばされかけたりした。

 

 そして、二人の間はミサイルの爆音の煙で見えなくなり互いに相手の姿が見えなくなった。

 

 ――熱源接近――。

 

 スローネからの警告と同時に煙の中から二発の荷電粒子砲が颯目掛けて向かってきた。

 

 颯は上昇して避けるのと同時に簪は『瞬間加速(イグニッション・ブースト)』を使って煙の中から一直線に颯に《夢現》を両手で持ち、右斜め下の下段から切り掛かる。

 

 

 バヂィインッ!!

 

 

 それに対して颯はバスターソードを右手のみで持って上段から振り下ろして簪の攻撃を正面から受け止めて、鍔ぜり合いになる。

 

「今の攻撃はよかったよ。……だけど、少し迂闊だったね」

 

「……?」

 

 簪は最初は何を言っていたのか解らなかったが、すぐに、ハッ……となる。しかし、それはもう遅かった。

 

 簪は鍔ぜり合いの状態で八基のファングに取り囲まれていた。

 

王手(チェック・メイト)

 

 模擬戦は颯の勝利となった。

 

 

 

 

 

「……スゲー……」

 

「二人とも中距離型だから射撃戦と近接戦、どっちもおろそかに出来ないから。しっかり訓練しないといけないんだよ」

 

 颯と簪、二人との面識があるシャルルが二人のISの戦法を一夏に言う。

 

「《雪片弐型》しかない俺には無縁な話しだな」

 

「そうかもしれないけど、射撃型を理解するには無縁って話しじゃないよ」

 

 一夏とシャルルが話していると颯と簪が二人の元に降りてきた。

 

「どう? 一夏。参考になりそうな部分はあった?」

 

 一夏の呟きにシャルルが答えていたら、颯と簪が一夏とシャルルのいる場所に降りてきた。

 

「どうって言われても……俺の『白式』には《雪片弐型》しかないからな」

 

「おい」

 

 不意にISの開放回線(オープン・チャネル)が飛んできた。

 

 四機のISが戦闘待機状態のISを感知、それはアリーナのピットからだった。全員がピットの方を向く。その声の主、ドイツ代表候補生ラウラ・ボーデヴィッヒ。そして纏っているISは『黒雨(シュヴァルツェア・レーゲン)』。

 

「ねえ、ちょっとアレ……」

 

「ウソっ、ドイツの第三世代型だ」

 

「まだ本国でのトライアル段階だって聞いてたけど……」

 

 ドイツの第三世代型ISが出てきたことにアリーナ内がざわつき始めた。

 

「……なんだよ」

 

 気が進まないが無視をするわけにもいかず、一夏が代表して返事をする。

 

「織斑 一夏、私と戦え」

 

「イヤだ。理由がねえよ」

 

 ラウラの言葉に即答で断る一夏。

 

「貴様にはなくても私にはある。貴様の様な弱い奴が教官の弟など、私は貴様を――貴様の存在を認めない」

 

 千冬の教え子ということ以上に、その強さに惚れ込んでいるラウラ。その強い千冬の弟の一夏の弱さに苛立ちをしていた。

 

 しかし、それはあくまでラウラの都合であり、一夏自身が戦う理由にはなっておらず、一夏にはやる気がない。

 

「また今度な」

 

「ふん。ならば――戦わざるを得ないようにしてやる!」

 

 言うが早いか、ラウラはシュヴァルツェア・レーゲンを戦闘状態へとシフトさせる。刹那、左肩に装備された大型の実弾砲が火を噴いた。

 

「!」

 

 

 ガギンッ!

 

 

 シャルルが素早く一夏の前に出て、自分の専用機『ラファール・リヴァイヴ・カスタムⅡ』の左腕のシールドで実弾を弾こうとしたが、シャルルの前に颯が立っていた。右肩を突き出し、右肩に懸架されるGNバスターソードの刀身を開いてGNフィールドを発生させて実弾を防いだ。

 

「……いきなり攻撃とは、は随分と物騒だね」

 

「貴様……」

 

 颯はGNフィールドを解除してラウラと目を合わせる。

 

「代表候補生でもない貴様が専用機を持ち、私の前に立ち塞がるか。身の程知らずが……」

 

「身の程知らずが果たしてどっちなのかな?」

 

「……減らず口を」

 

 互いに涼しい顔をした睨み合う。

 

『そこの生徒! 何をやっている! 学年とクラス、出席番号を言え!』

 

 突然アリーナにスピーカーからの声が響く。騒ぎを聞きつけてやってきた担当の教師だ。

 

「……ふん。今日は引こう」

 

 横やりを二度も入れられて興を削がされたラウラは、あっさりと戦闘態勢を解除してISを待機状態にし、ピットの中へ歩いて行った。

 

「……二人とも、大丈夫?」

 

 ラウラがピットの中に行くのを確認して、颯も戦闘態勢を解除し、二人に問いかけた。

 

「あ、ああ。助かったよ」

 

「ありがとう。城戸さん」

 

 二人とも助けてもらった颯にお礼を言う。

 

「どういたしまして、それと私のことは颯って呼んで。私もシャルルって呼ぶから」

 

「解ったよ。颯」

 

 シャルルは笑顔で答えた。

 

 

     ◇

 

 

「それじゃ、今日はもうあがろっか。四時を過ぎたし、アリーナの閉館時間だしね」

 

「おう。そうだな」

 

「それじゃ私達もあがろっか」

 

「…うん」

 

 そこで俺はふと周りを見た。

 

「あれ? 箒達は?」

 

 そう、セシリア、鈴、箒がいなかった。たしかいたはずだったんだけどな。

 

「あー、箒達は……」

 

 一夏がなんか歯切れ悪く言う。

 

「……あそこにいるよ……」

 

 シャルルが指差した先には壁に向かって体育座りをして、暗くジメジメしたような負のオーラに囲まれていたセシリア、鈴、箒であった。

 

「…………何があったの?」

 

 俺は若干暗さに驚きながら二人に訊いた。

 

「覚えてないの……?」

 

 シャルルが若干驚いているような感じで言ってきた。

 

「えっ!? 私!?」

 

 何かしたっけ……?

 

「三人に説明の仕方で話しただろ?」

 

 ………………あっ。思い出した。

 

 それはアリーナに着いた時の話だ。

 

 俺は簪を迎えに四組に行ったら、簪は日直の作業で遅くなるということで、俺は一人で先にアリーナに来た。

 

 そして一夏が三人の自称コーチのセシリア、鈴、箒の指導を受けていたのだが……。

 

「こう、ずばーっとやってから、がきんっ! どかんっ! という感じだ」

 

「なんとなく解るでしょ? 感覚よ感覚。……はあ? なんで解らないのよバカ」

 

「防御の時は右半身を斜め上前方へ五度傾けて、回避の時は後方へ二十度反転ですわ」

 

「ハッキリ言わせてもらうが……全然解んねーよ!」

 

 この光景を見て頭が痛くなってきた。

 

 

『三人寄れば文殊の知恵』

 

 

 意味は凡人でも、三人集まって考えれば、1人ではとうてい考えられない、よい知恵がでるものだということだ。

 

 しかし、ポンコツが三人揃ってもなんの役にもたたない。ハッキリと言ってこのことわざは嘘だって言いたくなる。

 

 だから俺は三人をアリーナの端に連れていって簪が来るまでずっと『お話』してたんだっけ。

 

(つーか、三時間近くもずっと引きずってたのかよ……)

 

「一夏、GO!」

 

「……なんで俺なんだよ?」

 

 アリーナの閉館時間で三人を呼びに行こうにも俺が行っても逆効果な気がするからだよ。……とは口が裂けても言えないだろう。

 

「私より一夏の方がいいからだよ。だからGO!」

 

「…………解ったよ……」

 

 観念して一夏が三人を呼びに行ったが、それでも箒達が動くのに三十分近く費やした。

 

 今後は『お話』は少し控えようかな? しかし、箒とは最低でも後一回は『お話』をしなければならない。

 

 更衣室で着替えて簪とアリーナの出口に向かっていたら、偶然一夏と山田先生に逢った。

 

「一夏、山田先生と一緒でどうしたの?」

 

「白式の正式な登録に関する書類があるから職員室まで行くんだ」

 

 まぁ、知ってはいたけどな。

 

「実はこれから城戸さんを呼びに行くところだったんですよ。用事は織斑くんと同じです」

 

「えっ? 私もですか?」

 

「城戸さんも織斑くんと同じ、代表候補生でない専用機持ちですからね。学園側での登録が必要なんです」

 

 納得、もっともな理由だ。

 

「解りました。それじゃ簪は先に戻ってて」

 

「うん、解った」

 

 俺は簪と別れて、一夏と一緒に山田先生の後を付いて職員室に向かった。

 




頑張っていきますのでよろしくお願いします。


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