IS-転生性転物語-   作:ケヴィス

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 ようやく更新出来ました。

 皆さまが楽しく読んでいただければ私も嬉しいです。


第九話 【真実】 Bパート

「はー、終わった終わった」

 

「そんなに時間かからなくて良かったね」

 

 俺と一夏は職員室での用事を終えて寮に向かって歩いている。

 

 書類の枚数自体は多かったのだが、実際は名前を書くだけのものばかりでそんなに時間はかからなかった。

 

 現在は夕方、空はオレンジ色となり、太陽は沈み始めていた。

 

「なぜこんなところで教師など!」

 

「やれやれ……」

 

 歩いていたら声が聞こえてきた。俺と一夏はその声のする方に注意を向ける。

 

 そこに居たのは、ラウラと千冬さんだった。俺と一夏は近くにある木に隠れる。

 

「何度も言わせるな。私には私の役目がある。それだけだ」

 

「このような極東の地で何の役目があるというのですか!」

 

 ラウラは現在の千冬さんの仕事についての不満や思いの丈をぶつけていた。

 

「お願いです、教官。我がドイツで再びご指導を。ここではあなたの能力は半分も生かされません」

 

「ほう」

 

「大体、この学園の生徒など教官が教えるにたる人間ではありません」

 

「なぜだ?」

 

「意識が甘く、危機感に疎く、ISをファッションかなにかと勘違いしている。そのような程度の低い者たちに教官が時間を割かれるなど――」

 

「――そこまでにしておけよ、小娘」

 

「っ……!」

 

 凄味のある千冬さんの声。さすがのラウラも、その声に含まれる覇気にすくんでしまったらしい。言葉は途切れたまま、続きが出てこない。

 

「少し見ない間に偉くなったな。十五歳でもう選ばれた人間気取りとは恐れ入る」

 

「わ、私は……」

 

 その声が震えているのがここからでも解る。恐怖、なのだろう。圧倒的な力の前に感じる恐怖と、かけがえのない相手に嫌われるという恐怖。

 

「私は忙しい。さっさと寮に戻れ」

 

「…………」

 

 ぱっと声色を戻した千冬さんがせかして、ラウラは黙したまま早足で去って行った。

 

「そこの生徒二人。盗み聞きは感心しないぞ」

 

(……やっぱばれてたか)

 

 振り返ることもなく平然と言う千冬さん。

 

 俺と一夏は観念して隠れていた木の陰から出る。

 

「織斑、お前は油を売っている暇はないだろ劣等生。このままじゃ月末のトーナメントで初戦敗退だぞ」

 

「解ってるって……」

 

「そうか。ならいい」

 

 顔は見えないが、多分ニヤリと笑ってると思う。

 

「颯、どうした?」

 

 一夏は歩き出そうとしていたが、立ったままでいた俺に訊いてきた。

 

「一夏は先に行って私は織斑先生に用事があるから」

 

「おぉ、解った」

 

 一夏はそう言って歩いて行った。

 

「それで、用とはなんだ?」

 

「ラウラのことです」

 

「…………」

 

 千冬さんは何も言わない。俺は千冬さんの隣に立つ。

 

「織斑先生はラウラをどう思いますか?」

 

「代表候補生として実力は十分だ」

 

「だけど、強さを攻撃力と同一だと思っている……ですよね?」

 

「ほお、何故そう思う」

 

 千冬さんは表情には出さなかったが、声は僅かにだが驚きを感じられる。

 

「一夏を見て弱いって言ってたので、そう思っただけですよ」

 

「……そういうことにしておいてやる」

 

「本当なんですけどね」

 

 千冬さんは俺の言ったことに若干疑っていたが、問いただす様なことはしなかった。

 

 千冬さんは本当に鋭い人だ。

 

「それにしても、一夏とラウラって真逆ですよね。一夏は『人を守る』という理由で力つけています」

 

「………」

 

「それに対してラウラが持っているのは『敵を倒す』という理由で力をつけています」

 

 多分、ラウラが信じられるのは千冬さんと自分自身だけなんだろう。

 

「ラウラは力をつけたが、考えは昔と全く変わっていない」

 

 千冬さんが『ラウラ』と言った。千冬さんが名前で言うときは大抵心配している時だ。

 

「それとラウラは負けることを恐れていませんか? 私にはそう見えるのですが」

 

「……昔から思っていたが、とてもお前が一夏と同い年の子供とは思えんな」

 

「案外、歳をごまかしてるかもしれませんよ?」

 

「お前が言うと冗談に聞こえんな。……さて私は仕事があるので行かせてもらう。……それとデュノアと序でに愚弟を頼むぞ」

 

「相も変わらず。実の弟に容赦ないですね」

 

 俺が言い終わると千冬さんは校舎に歩いて行き、俺は寮に向かって歩いて行った。

 

(……そういえば、今日シャルルがシャルロットってばれるんだったな)

 

 俺は寮に戻りながらそう考えていた。

 

「ただいま〜」

 

 部屋について言ったが返事は無かった。簪は出かけているのかと思ったが、部屋の中から微かに何かが聞こえてきた。

 

 入って行ったら簪がベッドに座って小さな空中投影ディスプレイで何かを見ていた。

 

 俺は簪に気付かれないように静かに後ろから覗き込んだ。簪が見ていたのは去年放送されていたヒーローアニメだった。

 

「………!」

 

 簪が俺の気配に感じたのか、素早く振り向いて俺と目が合った。

 

 そこから簪は慌てて空中投影ディスプレイを消した。

 

「…………」

 

 簪が黙って俯いてしまった。

 

「さっき見てたのって去年放送してたのだよね。私も見てたんだ」

 

「え……?」

 

 簪が意外そうな声を出して俺を見る。

 

「昔からロボットアニメやヒーローアニメとか戦隊ものとかよく見てたんだ」

 

 そういうのを見るのは男の性だ。……今は女だけど……。

 

「私がIS学園に入るまで秋と彩の三人で、よく色んなの見てたんだ。あと魔法少女アニメも見てたよ」

 

 前世の時は『リリカル』とかも見てたしな。

 

 別名で『魔砲少女』って言われていたな。

 

「そうなんだ」

 

 簪が安堵の表情と同時に嬉しそうな顔をした。

 

「どんなのがあるの?」

 

「えぇっとね」

 

 俺が訊いたら、簪は嬉しそうな顔で自分のクローゼットから箱を出して開けた。

 

 その中には色んなDVDが入っていた。

 

「これ」

 

「あ、これ昔見たことある。これも」

 

「ほんと……!」

 

 それから二十分近く、簪が持っているDVDで俺が見たことのあるアニメを探した。

 

 簪の持っているDVDを見ていたら夕食を食べるのに程よい時間になり、俺と簪は食堂で夕食を食べた。

 

「ああっ、いいなぁ……」

 

「幼なじみってずるい……」

 

「専用機持ちってずるい……」

 

「ん……?」

 

 その部屋に帰る途中に一夏の右腕に箒、左腕にセシリアが抱き着いて三人で歩いているのに出くわした。

 

「両手に花だね。一夏」

 

「歩きづらいだけ――」

 

 ぎりっ! 箒とセシリアが一夏の腕をつねる。

 

「いっで!!」

 

「この状況で他に言うことがないのか……」

 

「自らの幸福を自覚しないものは犬にも劣りますわね」

 

 本当に自覚ないよな。このウルトラハイパーキングオブ唐変木は……。

 

「……あれ? シャルルは?」

 

 知ってるけどわざとらしく一夏に訊く。

 

「えっ?! あ……あぁ〜〜。い、今シャルルは風邪で部屋で寝てるんだ」

 

 うわ〜。なんて見え見えな嘘をつくんだろ。

 

「そう……それじゃ、ごゆっくり」

 

 俺と簪は一夏達と別れて部屋に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 簪と部屋の前に到着して立ち止まる。

 

「……? どうしたの……?」

 

「……ごめん。ちょっと野暮用があるから先に入ってて」

 

「……う、うん」

 

「大丈夫♪ すぐ戻ってくるから。そしたら一緒にアニメ観よ」

 

 不安そうにするから簪が嬉しくなりそうな約束をする。

 

「……! ホント!」

 

「ホントホント。約束するから」

 

「うん!」

 

 簪が部屋に入って、俺は目的地に向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 歩いて俺は目的地の一夏とシャルルの部屋に着いた。

 

 

 コンッコンッ。

 

 

「……」

 

 ノックするが、返事がない。まぁ予想範囲内ではある。そして案の定鍵は開いていた。

 

(シャルルがいるからって、施錠くらいちゃんとしろよ。一夏……)

 

「シャルル、入るよ〜」

 

 部屋に入ると電気はスタンドライトだけが着いていた。

 

「ごほっごほっ。ど、どうしたの。颯?」

 

 シャルルは俺に背を向け、わざとらしい咳をしながら訊いてくる。

 

「ちょっとシャルルと話がしたくてね」

 

 俺は一夏のベッドに腰がけて足を組む。

 

「僕、今風邪引いてて、うつすと悪いからまた今度で……」

 

「大丈夫、そんなに時間をかけるつもりはないから」

 

「ごほっごほっ」

 

「…………」

 

「……話ってなに?」

 

 観念したようにシャルルが訊いてきた。

 

「回りくどいのは無しにして、端的に言うよ。シャルル、あなた…………女でしょ?」

 

「ど、どうして? 僕は男で――」

 

「ちなみに女だと考える根拠は、あなたがニュースにならなかったこと、デュノア社が公表しなかったこと、あなたが代表候補生なこと」

 

 俺は根拠を言う。

 

「もし、シャルルが本当に男だったらメディアが騒ぎ立てない筈がない。それこそ一夏の時の様に世界的ニュースになってもおかしくない程にね……。そしてそれだけの世界を注目を浴びるチャンスなのに、デュノア社はシャルルのことを公表しないと言う矛盾が起きている」

 

 シャルルは何も言わず黙って俺の話を聞く。

 

「もしこれが、『しなかった』のではなく『出来なかった』つまり、シャルルは本当は女だったとすればこの矛盾も納得がいく」

 

「…………一つ訊いてもいい?」

 

「どうぞ」

 

「どうして僕が代表候補生だと女だって理由になるの?」

 

「知らないの? 国際IS機関で『男が代表・代表候補生になっていのか』って審議中なんだよ。その審議をすっとばしていきなり代表候補生なんて言ったら怪しいよ」

 

「そうだったんだ。知らなかったよ」

 

「不勉強だったね」

 

「そうだね」

 

 シャルルはベッドから起き上がって俺の方を向く。ジャージ姿で体のラインがくっきりと出ていて、胸があることがハッキリと解る。

 

 その後は、シャルルは愛人の子で、デュノア社の社長の命令によりシャルルが男装して一夏と俺のISのデータを奪うことが目的だってこと。

 

「それで……どうするの? 僕の正体を知って……」

 

「何もしないよ。シャルルが決めればいい。それに今こうしているってことは一夏はここにいればいいって言ったんじゃないの?」

 

「……よく解ったね。一夏が何を言ったのか、なんて……」

 

 俺の言ったことにシャルルは若干驚きながら訊いてきた。

 

「だてに幼なじみはやってないからね。それじゃあ私はこれで失礼するよ」

 

 俺はベッドから立ち上がる。

 

「あー、そうそう。もう一つ言うことがあったんだった」

 

 俺は部屋から出るための歩みを止めてシャルルを見る。

 

「なに?」

 

「本当に大切なものだからこそ、あえて遠ざけることもあるんだよ」

 

「えっ? それって――」

 

「私が言えるのはここまで、私はもう部屋に戻るから。あぁもちろんシャルルが女だってことは他言無用を約束するから。じゃあねぇ」

 

 俺は返事を聞かずに足早に部屋を出た。

 

 その後は簪との約束通りアニメを観てから、寝た。

 

 

 

 STORY 09 END

 




ガンプラバトル、本当にあったらやりたいな。
 
 

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まだ未塗装で、バックパックも仮装備ですが、これが私の愛機です。

機体名はまだありません。
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