IS-転生性転物語-   作:ケヴィス

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ケヴィス「やっと更新出来た」
 
颯「おい、なんだ。このタイトル」
 
ケヴィス「しょうがないだろ他は『黒い雨VS座天使』とか『専用機VS専用機』ってありきたりなのしか思い付かなかったんだ」
 
颯「それで思いきったってわけか」
 
ケヴィス「まぁ、今回も戦う前に終わっちゃうから戦うのは次回だけど」
 
颯「堂々と言うなよ」
 
ケヴィス「もう1つ、今回もかなり原作沿いなので、申し訳無いです」
 



第十話 【IS VS GUNDAMの模擬戦】 Aパート

 暗い。暗い闇の中にそれはいた。

 

「……………」

 

 いつ頃からこうなのかはもう覚えていない。ただ、生まれた時にはもう闇の暗さを知っていた。人は生まれて初めて光を見るというが、この少女は違う。闇の中で(はぐく)まれ、影の中で生まれた。そしてそれは今も変わりがない。

 

 光のない部屋で一人、影を抱いて闇に潜み、その赤い右目は鈍く光を放っている。

 

 少女の部屋にはルームメイトはいない。一人部屋である。ベッドは二つあるが、人数の関係上一人となった。

 

 しかし、少女は誰とも関係を築こうとは思っていないため、少女にとっては好都合であった。

 

 その少女の名は――ラウラ……ラウラ・ボーデヴィッヒ。

 

 それが自分の名前だとは知っているが、同時にそれが何の意味も持たないことを理解している。

 

 けれど、唯一例外はある。教官に――織斑千冬に呼ばれる時だけは、その響きが特別な意味を持っている気がして、その度に僅かな心の高揚を感じていた。

 

(あの人の存在が……その強さが、私の目標であり、存在理由……)

 

 それは一条の光のようであった。

 

 

 出会った時に一目でその強さに震えた。恐怖と感動と、歓喜に。心が揺れた。体が熱くなった。そして願った。

 

 ああ、こうなりたい――と。

 

 これに、私はなりたいと。

 

 空っぽだった場所が急激に埋まり、そしてそれが全てとなった。

 

 自らの師であり、絶対的な力であり、理想の姿。

 

 唯一自らを重ね合わせてみたいと感じた存在。

 

 ならばそれが完全な状態でないことを許せはしない。

 

(織斑一夏――。教官の汚点になりうる存在……そして城戸颯――。私の邪魔をする者――。ならば……)

 あの男の存在を認めはしない。そしてそれを邪魔するのであれば……。

 

(排除する。どのような手段を使ってでも……)

 

 暗い闘志に火を付け、ラウラは静かにまぶたを閉じる。闇と一体になりながら少女は夢のない眠りへと沈んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そ、それは本当ですの!?」

 

「う、ウソついてないでしょうね!?」

 

 月曜の朝、教室の真ん中で数人が輪を作っており、その中には鈴とセシリアもいた。

 

「本当だってば! この噂、学園中で持ちきりなのよ? 月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑君と交際で――」

 

「俺がどうしたって?」

 

「「「「「きゃああっ!?」」」」」

 

 一夏は自分の名前が出ていたのでその五人に普通に声をかけたつもりだったのだが、帰ってきたのは取り乱した悲鳴だった。

 

「で、何の話だったんだ? 俺の名前が出ていたみたいだけど」

 

「う、うん? そうだっけ?」

 

「さ、さあ、どうだったかしら?」

 

 鈴とセシリアはあははうふふと言いながら話を逸らそうとする。

 

「じゃ、じゃああたし自分のクラスに戻るから!」

 

「そ、そうですわね! わたくしも自分の席につきませんと」

 

 どこかしらよそよそしい様子で二人はその場を離れていく。その流れに乗って、集まっていた他の女子達も同じように自分クラス・席へと戻っていった。

 

「……なんなんだ?」

 

「さあ……?」

 

 隣にいるルームメイトのシャルルに訊いたが、当然シャルルも解るはずもなく、一夏は疑問に思いながら席についた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(な、なぜこのようなことに……)

 

 時間は昼休み、場所は屋上。その屋上には箒以外誰もいない。

 

 箒は表面上平静を装いつつも、心の中では頭を抱えていた。

 

 近頃なにか月末の学年別トーナメントに関する噂が流れていることは知っていた。

 

 しかし、問題はその内容である。

 

『学年別トーナメントの優勝者は織斑一夏と交際できる』

 

(そ、それは私と一夏だけの話だろうっ!)

 

 一夏がいいふらしたとは考えられないので、どこからか情報が漏れたと考える箒。今にして考えると、あの時の声はやや大きかったかもしれない。

 

 そして、颯が情報漏洩を避けるために部屋に入るように言っていたが、その時には完全に忘れていた自分の責任である。

 

「…………………」

 

 そして、その自分のミスによりもう殆どの女子が知ることとなっているらしく、今朝の時も教室に上級生が来て、『学年が違う優勝者はどうすのか』、『授賞式での発表は可能か』などとクラスの情報通に訊きに来ていた。

 

(まずい、これは非常にまずい……)

 

「随分と物思いにふけてるね。『篠ノ之』さん」

 

 箒は声のする方を見る。

 

 そこにいたのは颯だった。

 

「……私になにかようか?」

 

 そう言いながら箒は若干怯えていた。颯が何の用事かは大体の予測がついていた。

 

「今学園中であることが噂になってるけど、何か知ってる?」

 

 

 ギクッ!

 

 

「……さ、さあ……? 知らないな」

 

 箒は僅かに動揺し、声も上擦いた。

 

「………ふぅーん。しらを切るんだ」

 

 颯からしたらそれだけで十分な判断材料となった。

 

「しらを切るもなにも、知らないものは知らん」

 

「本当に――」

 

 颯が箒に歩み寄る。

 

「なにも、知らないの?」

 

 声のトーンが低くなる颯、箒は冷や汗をかき、手が震えていた。

 

 その時の箒の頭の中では以前アリーナで颯と『お話』をした時を思い出していた。

 

「『学年別トーナメントで優勝すれば一夏と付き合うことが出来る』」

 

「………っ!!」

 

「なんでこんな噂が流れているのかな〜〜?」

 

 颯はゆっくりと箒に歩み寄る。

 

 箒からしたら死神が歩み寄ってくるのと同じである。

 

「まさか、私が言った。『部屋に入ってから言う』って言ったのに、しなかったの〜?」

 

「…………」

 

「ふぅーん。しなかったんだぁ」

 

「い…いや、その――」

 

「へぇ、言い訳するんだぁ」

 

 颯は箒の隣に立つ。

 

「まぁ、過ぎたことだからしょうがないけど」

 

「…………」

 

 颯の声のトーンが戻り、内心ホッとする箒。

 

「――で?」

 

「……で、とはどういう意味だ?」

 

「私が言った通りに一夏に言った?」

 

「…………」

 

「成る程、言えなかったんだね」

 

 箒が否定しなかったことにより、颯は出来なかったと判断した。

 

「それじゃ、なんて言ったの?」

 

「わ、私が優勝したら付き合ってもらう……と……」

 

(結局原作通りか……)

 

 何と無く予測出来ていた颯は特に大きな反応はしなかった。

 

「間違いなく一夏には伝わってないだろうね」

 

「そ、そうか……?」

 

「大方、『買い物に付き合ってくれ』って勘違いしてると思うよ。――それと箒」

 

「な、なんだ?」

 

「『強さ』っていうのは、結果とした勝利でもなければ、相手を倒すことでもないよ」

 

「…………」

 

「結果とした勝利や相手を倒すのは、ただの暴力と対して変わらない。箒には解る? 本当の強さがなんなのか」

 

「…………たぶん、な」

 

 颯の問いに箒はしばらくの沈黙の後に自信なく答えた。

 

「……そう」

 

 それから二人の会話は無くなり、二人は空を眺めていた。

 

(今度こそ、私は……強さを見誤らずに勝つことが出来るだろうか……。いや、勝たなくてはならない。何より己自身に)

 

 箒は一夏のことよりも、己のなんたるべきかで意識を埋め尽くしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 時間は流れ、放課後。

 

「「あ」」

 

 場所は第三アリーナ。人物はセシリアと鈴だった。二人は揃って間の抜けた声を出した。

 

「奇遇ね。あたしはこれから月末の学年別トーナメントに向けて特訓するんだけど」

 

「奇遇ですわね。わたくしも全く同じですわ」

 

 二人の間に見えない火花が散る。どちらも優勝を狙っている。

 

「丁度いい機会だし、この際どっちが上かはっきりさせとくってのも悪くないわね」

 

「あら、珍しく意見が一致しましたわ。どちらの方がより強くより優雅であるか、この場ではっきりさせましょうではありませんか」

 

 二人はすぐさまISを展開し、構えて対峙した。

 

「では――」

 

 ――と、いきなり声を遮って超音速の砲弾が二人の間を通り抜け、壁に着弾する。

 

「「!?」」

 

 鈴とセシリアは揃って砲弾が飛んできた方向を見る。そこにはあの漆黒の機体がたたずんでいた。

 

 機体名『シュヴァルツェア・レーゲン』、登録操縦者――

 

「ラウラ・ボーデヴィッヒ……」

 

 セシリアの表情が苦くこわばる。その表情には欧州連合のトライアル相手以上のものが含まれていた。

 

「……どういうつもり? いきなりぶっ放すなんていい度胸してるじゃない」

 

 とん、と連結した《双天牙月》を肩に預けながら、鈴は衝撃砲を準戦闘状態へとシフトさせる。

 

「中国の『甲龍(シェンロン)』にイギリスの『ブルー・ティアーズ』か。……ふん、データで見た時の方がまだ強そうではあったな」

 

 いきなりの挑発的な物言いに、鈴とセシリアの両方が口元を引きつらせる。

 

「何? やるの? わざわざドイツくんだりからやってきてボコられたいなんて大したマゾっぷりね。それともジャガイモ農場じゃそういうのが流行ってんの?」

 

「あらあら鈴さん、こちらの方はどうも言語をお持ちでないようですから、あまりいじめるのはかわいそうですわよ? 犬だってまだワンと言いますのに」

 

 ラウラの全てを見下すかのような目つきに並々ならぬ不快感を抱いた二人は、それでもどうにか怒りのはけ口を言葉に見いだそうとする。

 

 しかし、ラウラは突然二人に背を向けた。

 

「この二人よりマシなヤツが来たか」

 

 ラウラが振り向いた先にいたのは、颯と簪だった。

 

「…………」

 

「城戸颯、私と戦え」

 

 ラウラは颯を見ながら言う。

 

「あんた待ちなさいよ!」

 

「そうですわ! わたくしと戦いなさい!」

 

 ラウラから挑発的なことを言われ、準戦闘状態になっていたセシリアと鈴。

 

 しかし、ラウラはそんな二人に背を向け颯と戦おうとしたことにさらに苛立つ。

 

「雑魚の貴様等と戦うより、コイツとの方が面白そうだ」

 

「なっ……!?」

 

「……言ってくれますわね……」

 

 セシリアと鈴はラウラから雑魚呼ばわりされてさらに苛立ち、腕をワナワナと震わせる。

 

「簪、鈴、セシリア……ピットに戻って」

 

「冗談じゃないわよ!!」

 

「そうですわ! ここまで侮辱されて黙っていられませんわ!!」

 

 颯は三人にピットに戻るように言うが、やはりというべきか鈴とセシリアは戻ろうとしなかった。

 

「鈴、セシリア。悪いけど、私も譲ることは出来ないよ」

 

 颯はスローネを展開して戦闘状態へとシフトさせる。

 

「雑魚どもはさっさとされ」

 

 ラウラは照準を颯に向ける。

 

「……っ!」

 

「…………」

 

 二人も譲りたくはないが、代表候補生として不意打ちをするのは二人のプライドが許さず、おとなしくピットに戻った。

 

「では、始めるか」

 

「GNシステム、リポーズ解除」

 

 




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