IS-転生性転物語-   作:ケヴィス

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 こっちもようやく更新出来ました。
 
 かなりの間放置してしまって申し訳ありません。
 



第十一話 【学年別タッグトーナメント】 Aパート

 六月最終週に入り、IS学園は月曜から学年別タッグトーナメント一色へと変わる。その慌ただしさはすごく、第一回戦が始まる直前まで、全生徒が雑務や会場の整理、来賓の誘導を行っていた。

 

 それらからやっと解放された生徒たちは急いで各アリーナの更衣室へと走る。ちなみに男子組は例によってだだっ広い更衣室を一夏とシャルル(男装バージョン)の二人占めとなっていた。

 

「しかし、すごいなこりゃ……」

 

 一夏とシャルルはISスーツに着替え、更衣室のモニターから観客席の様子を見ていた。そこには各国政府関係者、研究所員、企業エージェント、その他諸々の顔ぶれが一堂に会していた。

 

「三年にはスカウト、二年には一年間の成果の確認にそれぞれ人が来ているからね。一年には今のところ関係ないみたいだけど、それでもトーナメント上位入賞者にはさっそくチェックが入ると思うよ」

 

「ふーん、ご苦労なことだ」

 

 一夏はあんまり興味がなかいようで話もそこそこに聞いていた。シャルルには一夏が考えていることが筒抜けだったらしく、くすっと笑った。

 

「一夏はボーデヴィッヒさんとの対戦だけが気になるみたいだね」

 

「まあ、な」

 

 一夏はあの騒動を、颯とラウラの模擬戦を思い出し、無意識のうちに左手を握りしめていた。それがあまりに力がこもっていたらしく、シャルルがさりげなく重ねた手でそれとほぐした。

 

「感情的にならないでね。彼女は強いから」

 

「ああ、解ってる」

 

『一夏、シャルル。今入って大丈夫?』

 

 シャルルが一夏の気持ちを鎮めていたら、ドア越しに呼ぶ声が聞こえる。その声の主は颯だ。

 

「ああ、大丈夫だ」

 

 一夏はすぐに返事をしたが、シャルルは一夏に触れていた手を慌てて放した。

 

 放したのとほぼ同時にバシュッとドアが開く。入ってきたのは颯、簪、セシリア、鈴の専用機持ち四人だった。

 

「どうしたんだ?」

 

「どうしたもこうしたもないわよ!」

 

 一夏の問いに鈴は若干苛立って答えた。

 

「私たちの方の更衣室は一年女子全員で、あまりにも狭いからこっちに避難してきたんだよ」

 

 そう、一夏とシャルルの二人が二つしかないアリーナの更衣室の一つを占領したため、反対側の更衣室は一年女子全員が入っており、大変なことになっていたのだ。

 

「ちょっと腕を広げれば誰かに当たる、ベンチも埋まってる、身動きもろくにとれやしないわよ」

 

「それで、僕と一夏しかいないこっちの更衣室にきたんだね」

 

「そういうこと」

 

「皆さん、トーナメント表が発表されますわ」

 

 セシリアの言葉で全員がモニターを見る。

 

「「「「――え?」」」」

 

「へぇー」

 

「………」

 

 出てきた文字に一夏、シャルル、セシリア、鈴は同時にぽかんとした声を上げ、簪は無言だった。

 

 

  Aブロック一回戦第一試合

 

 

   セシリア・オルコット

       &

      凰 鈴音

 

       VS

 

     織斑 一夏

       &

   シャルル・デュノア 

 

 

  Aブロック一回戦第二試合

 

 

      城戸 颯

       &

      更識 簪

 

       VS

 

  ラウラ・ボーデヴィッヒ

       &

     篠ノ之 箒

 

 

 

「見事って言えるくらいに専用機持ちが固まったね」

 

「まさか一夏となんてね」

 

「専用機持ち四人の試合だなんて……」

 

「おそらくですが、IS学園始まって初ではありませんの?」

 

 セシリアがそういった理由は、毎年IS学園に専用機持ちが来るのは大体一人か二人で、三人以上になることはまずない。その理由は新しいISの開発には膨大な時間がかかるため、同学年が専用機を持ってIS学園に入学することは殆ど出来ないからだ。

 

 しかし現在一年生専用機持ちは、一夏、シャルル、颯、鈴、セシリア、ラウラ、簪の計七人と異例の人数となっていた。そしてその専用機持ちが第一試合と第二試合で固まっていた。

 

「どうやら一夏がラウラと戦うことは叶わないみたいだね」

 

「………俺とシャルルが負けるって言いたいのか?」

 

「私と簪が勝つから」

 

 颯がそう言いながら簪の肩を軽く、ポンッと叩く。簪は「うん……」と答えた。

 

「……そうか……」

 

「もっとも一夏とシャルルが負けるかもしれないってのは否定出来ないけどね」

 

「おいっ!」

 

「一夏が頑張んないとシャルルひとりで専用機持ち二人を相手しないといけないんだから」

 

「あぁ、解ってるって」

 

『まもなく第一試合が始まります。第一試合出場者はすぐに来てください』

 

 一夏が返答に困っていたら、アナウンスがアリーナ全体に流れた。

 

「一夏、オルコットさん、凰さん、呼ばれたから行こう」

 

 シャルルの言ったことに三人は返事をして頷いた。

 

「……これで僕たちは敵って訳だね。負けないよ」

 

「わたくしも負けるつもりはありませんわ」

 

「二回戦で待ってるから負けんじゃないわよ」

 

「僕たちだって負けるつもりはないよ。凰さん」

 

「そうだぜ。鈴」

 

 四人は更衣室を出て、セシリア、鈴はAピットに向かうため右へ、一夏、シャルルはBピットに向かうために左へと歩いて行った。

 

 そして四人が出たことで更衣室のドアは閉まる。

 

「…………」

 

 颯は四人を見送ってから再びトーナメント表を見る。

 

「初戦がラウラと……か。因縁めいたものを感じるねえ」

 

「颯、頑張ろう」

 

「もちろん」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『試合終了。勝者――織斑一夏、シャルル・デュノア』

 

 第一試合の勝者は一夏とシャルルとなった。この試合の戦闘法(メソッド)は、一夏とシャルルはコンビネーションを主軸とし、それに対して鈴とセシリアは一対一に持ち込んで倒すものだった。ちなみに鈴が一夏の相手をして、セシリアがシャルルの相手をしていた。

 

 鈴、セシリアが考えたのも悪くない。代表候補生の専用機持ちの二人なら、訓練機が相手なら一対一で戦えばまず負けることはない。

 

 おそらく鈴とセシリアはそう考えてこの戦闘法を選んだのだろう。仮に専用機持ちと当たっても、やられないだろう……と考えて。

 

 しかし、二人は負けた。敗因はシャルルの視野の広さとコンビネーションの練習不足と言ったところだ。

 

 シャルルの視野の広さには本当に驚く。こういうのが空間認識能力と言うのかもしれない。セシリアの位置、一夏はもちろん。鈴の位置までしっかり把握して、絶妙な立ち位置で戦っていた。援護射撃のタイミングもまた絶妙だった。

 

 そして鈴とセシリア、二人のコンビネーションに関しては全くと言っていいほどに…………していなかった。

 

 セシリアがシャルルに向けて撃った《スターライトmkⅢ》のレーザーが鈴を掠めたり、鈴が一夏に向けて撃った衝撃砲がセシリアのブルー・ティアーズのビットに当たってビットを撃墜したりと散々だった。

 

「鈴さん! 無駄にばかすかと衝撃砲を撃ちすぎですわ! わたくしのブルー・ティアーズを撃ち落とすなんて!」

 

「あんなとこにビットを浮かしてたのが悪いんでしょ! しかもエネルギー切れるの早いし!」

 

 そして今、二人は試合終了と同時にケンカしているという。コンビネーションのコの字もない自分勝手なパートナーに文句を言い合う二人。

 

 二人はオープン・チャネルで怒鳴ってケンカしているためケンカ内容がアリーナ全体にだだ漏れしている。

 

 しかも二人の主張もそこそこあってるからみっともないことこの上無い。多分、二人の専用機持ちと代表候補生のブランド株価が急転直下しているに違いない。

 

『さっさと退場しろ!』

 

 痺れを切らした千冬さんの一喝がアリーナ全体に響き渡る。そして、その一言で早々と退場する鈴とセシリア、今のはまさに鶴の一声と言える。

 

『……第二試合を開始します。出場者はすぐに来てください』

 

 一夏、シャルル、鈴、セシリアが退場したのを確認してから、アナウンスが流れた。

 

「それじゃ行くよ。簪」

 

「うん」

 

 二人は更衣室を出て、Bピットへ向かった。その道中で一夏とシャルルに会う。

 

「一夏、シャルル、お疲れ様」

 

「おう、なんとか勝てた」

 

「シャルルがいたからなんとかなったね」

 

「まったくだよ」

 

「そんな……大袈裟だよ」

 

「いや、そんなことねーって」

 

 謙遜するシャルルに対してすぐに否定する一夏。

 

「シャルルがいなかったら本当に勝てなかったって」

 

「そんなことないと思うんだけど……」

 

 一夏の言葉で困惑するシャルル。

 

「それじゃ二回戦で会おうね。お二人さん」

 

 颯はシャルルを助けるのもかねて話題を逸らした。

 

「ああ、相手はラウラなんだ。気をつけろよ」

 

「油断しないでね」

 

「ご忠告ありがとう」

 

 颯は二人に礼を言って、簪とともに再びピットへと向かった。

 

 

 

      ◇

 

 

 

「もう先に着いてたみたいだね」

 

 俺と簪がピットに着いてモニターを見たら、すでにラウラと箒がISを纏って、フィールドに立っていた。

 

「それじゃ……スローネ、エクスタミネート!」

 

「来て、打鉄弐式」

 

 俺はISを展開、簪もすぐにISを展開して、ピットの中で俺と簪は光に包まれる。

 

 光が晴れればISを纏った俺と簪が立っている。

 

「勝つよ」

 

 俺は右手を上げて簪に向ける。

 

「……う、うん……」

 

 簪は恥ずかしそうに若干頬を紅くしながら右手を上げる。

 

 

 ガンッ!

 

 

 ピットの中で短く響いたのは金属同士がぶつかる音。

 

 そう、俺と簪はISの手でハイタッチした。

 

 

 




 これからは出来るだけ『転生性転物語』、『インフィニット・ブレイド』、両方とも更新頑張っていきます。


オマケ

劇場版ガルパン……良かった。
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