IS-転生性転物語-   作:ケヴィス

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スピード投稿、と言っても原作に寄りすぎてしまったところがありますが、暖かい目で閲覧ください。


第一話 【入学、IS学園】Bパート

「――であるからして、ISの基本的な運用は現時点で国家の認証が必要であり、枠内を逸脱したIS運用をした場合は、刑法によって罰せられ――」

 

 すらすらと教科書を読んでいく山田先生。俺は一夏を見る。一夏は教科書を見ながら青ざめてる。

 

(そう言えば、一夏って勉強したのか?)

 

 俺は勉強を教えていない。正確に言えば教えることが出来なかった。なんせ、一夏の家の前には研究者やら報道陣やらが陣取っていたからだ。

 

「織斑くん、何か解らないところがありますか?」

 

 山田先生が教科書を凝視していた一夏に訊いてきた。

 

「あ、えっと……」

 

「解らないところがあったら訊いてくださいね。なにせ私は先生ですから」

 

 えっへんとでも言いたそうに、胸を張る山田先生。

 

「先生」

 

「はい、織斑くん!」

 

 顔を青ざめながら弱々しく挙手。山田先生はやる気に満ちた返事をする。

 

「ほとんど全部解りません」

 

 一夏は大量の冷や汗をかきながら、素直に自分の弱さを吐露。

 

「え……。ぜ、全部、ですか……?」

 

 山田先生が困り顔で引きつった。

 

「え、えっと……織斑くん以外で、今の段階で解らないっていう人はどれくらいいますか?」

 

 挙手を促す山田先生。しかし、当然誰も挙げない。

 

「……織斑、入学前の参考書は読んだか?」

 

 教室の端で控えていた千冬さんが訊いてきた。

 

「えーーっと……あ、あの分厚いヤツですか?」

 

「そうだ。必読と書いてあっただろう」

 

「いや、間違えて捨てました」

 

 パアンッ!! 出席簿で一夏の頭を叩いた。またいい音がしたね。

 

「あとで再発行してやるから一週間以内に覚えろ」

 

「い、いや、一週間であの分厚さはちょっと……」

 

「やれと言っている」

 

「……はい。やります」

 

 ギロッと一夏を睨む千冬さん。一夏には従う以外選択肢はない。

 

「一夏、あとで教えられるところは教えてあげるから」

 

「……頼む」

 

「ん、任された」

 

「それでは山田先生、授業の続きを」

 

「は、はいっ!」

 

 千冬さんに呼ばれて慌てて教壇に戻って―――あ、ころんだ。

 

「うー、いたたた……」

 

 

 

 

 

 

「この『PIC』ってなんだ?」

 

「『パッシブ・イナーシャル・キャンセラー』って言って、ISはこのPICで浮遊、加速、停止をしてるんだよ」

 

「へぇー」

 

「ちょっと、よろしくて?」

 

「へ?」

 

 二時間目の休み時間、一夏から解らないところを聞いて教えていたら、いきなり声をかけられた。

 

 話しかけてきたのは、地毛が鮮やかな金髪で、白人特有の透き通ったブルーの瞳のイギリス代表候補生のセシリア・オルコットだった。

 

「聞いてます? お返事は?」

 

「あ、ああ。聞いてるけど……どういう用件だ?」

 

 一夏がそう答えたら、セシリアはかなりわざとらしく声をあげた。

 

「まあ! なんですの、そのお返事。わたくしに話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるんではないかしら?」

 

「「…………」」

 

 正直、この手合いは見ていて嫌になる。

 

 ISを使える。それが国家の軍事力になる。だからIS操縦者は偉い。そしてIS操縦者は原則女しかいない。

 

 それにより、女=偉いの構図となって、『女尊男卑』の出来上がりとなった。

 

 だからといって、その力を振りかざすのは違うだろう。

 

 もっとも、今は俺って女なんだよな。でも喜ぼうとは思わん。

 

「悪いな。俺、君が誰か知らないし」

 

「わたくしを知らない? このセシリア・オルコットを? イギリスの代表候補生にして、入試主席のこのわたくしを!?」

 

「一夏、自己紹介はちゃんと聞こうね」

 

「いや、千冬姉が担任だったことが百倍ショッキングだったから、正直覚えてない」

 

「……まあ、解らなくはないけど……」

 

「ああ、それと颯。訊きたいことがあるんだけど」

 

「なに?」

 

「………代表候補生って、何?」

 

 がたたっ。聞き耳を立てていたクラスの女子数名がずっこけた。

 

「あ、あ、あ……」

 

「『あ』?」

 

「あなたっ、本気でおっしゃってますの!?」

 

「おう。知らん」

 

 セシリアは怒りが一周して逆に冷静になったのか、こめかみを人差し指で押さえている。

 

 一夏は素直すぎるというか思ったことをすぐにいうというか。まぁ知ったかぶりをするよりはマシだけど。

 

「一夏、代表候補生っていうのは、国家代表IS操縦者、その候補生として選出された人のことだよ。狭き門を突破したエリートってとこかな。単語から想像出来るでしょ?」

 

「そういわれればそうだ」

 

「そう! エリートなのですわ!」

 

 セシリアが『エリート』の単語で復活。

 

 びしっと一夏に向けた人差し指が、鼻に当たりそうなくらい近かった。

 

「本来ならわたくしのような選ばれた人間とは、クラスを同じくすることだけでも奇跡……幸運なのよ。その現実をもう少し理解していただける?」

 

「そうか。それはラッキーだ」

 

「……馬鹿にしていますの?」

 

「お前が幸運だって言ったんじゃないか」

 

 一夏……もうちょっと言葉を選ぼうよ。言葉がストレートすぎる。

 

「大体、あなたISについて何も知らないくせに、よくこの学園に入れましたわね。唯一男でISを操縦出来ると聞いていましたから、少しくらい知的さを感じさせるかと思っていましたけど、期待外れですわね」

 

「俺に何かを期待されても困るんだが」

 

「とりあえず一夏はISのことを勉強しないとね」

 

「ISのことで解らないことがあれば、まあ……泣いて頼まれたら教えて差し上げてもよくってよ。何せわたくし、入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」

 

 別に俺が教えるから、泣いて頼むことはないと思う。

 

「入試って、あれか? ISを動かして戦うってやつ?」

 

「それ以外に入試などありませんわ」

 

「あれ? 俺も倒したぞ、教官」

 

「は……?」

 

「倒したっていうか、いきなり突っ込んできたのを避けたら、壁にぶつかってそのまま動かなくなっただけだけど」

 

「それは、勝ったんじゃなくて、教官の自滅なんじゃ」

 

「わ、わたくしだけと聞きましたが?」

 

「女子ではってオチじゃないのか?」

 

 ピシッ。氷にヒビが走ったような、そういう音が聞こえた。ちなみにその発信源はセシリアなんだけどな。

 

「つ、つまり、わたくしだけではないと……?」

 

「いや、知らないけど」

 

「あなた! あなたも教官を倒したって言うの!?」

 

「えーと、落ち着けよ。な?」

 

「こ、これが落ち着いていられ――」

 

 

 キーンコーンカーンコーン。

 

 

 話に割って入ったのは三時間目開始のチャイム。

 

 なんともタイミング良く鳴ったものだ。

 

「っ……! またあとで来ますわ! 逃げないことね! よくって!?」

 

 そういって自分の席に戻るセシリア。

 

 これから授業なのにどうやって逃げろって言うんだ。だがしかし――

 

「大変なことになったね。一夏」

 

「……なんでニヤニヤしてるんだよ」

 

「気のせいだよ」

 

 一夏と一緒にいると本当に毎日退屈しなくてすみそうだ。

 

 三時間目は山田先生じゃなくて千冬さんが教壇に立っている。

 

「さて、この時間は再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決めたいと思う」

 

 隣の一夏を見るとイマイチ理解出来ていないような顔をしている。

 

「クラス代表者とはそのままの意味だ。対抗戦だけではなく、生徒会の開く会議や委員会への出席……まあ、クラス長だな。一度決まると一年間変更はないからそのつもりで、自薦他薦は問わない。誰かいないか?」

 

「はいっ。織斑くんを推薦します!」

 

 早速一夏が推薦された。一夏は驚いてる。

 

「私もそれが良いと思います」

 

「お、俺!?」

 

「他にはいないか? いないなら無投票当選だぞ」

 

「ちょっ、ちょっと待った! 俺はそんなのやらな――」

 

 一夏が反論をしようとした一夏を、突然甲高い声が遮った。

 

「納得がいきませんわ!」

 

 バンッと机を叩いて立ち上がったのは、あのセシリアだ。

 

「そのような選出は認められません! 大体、男がクラス代表だなんていい恥さらしですわ! わたくしに、このセシリア・オルコットにそのような屈辱を一年間味わえとおっしゃるのですか!?」

 

 随分男を見下してるね。

 

「実力から行けばわたくしがクラス代表になるのは必然。それを、物珍しいからという理由で極東の猿にされては困ります! わたくしはこのような島国までIS技術の修練に来ているので――」

 

「そんなに文句があるんだったら自薦すればいいじゃん」

 

 俺の一言でセシリアは黙った。

 

「あなた! その男を守るつもりですの!」

 

「私は事実を言っただけだよ。自薦もしないくせに推薦された人のことをとやかく言っていいわけないでしょ」

 

「なんで――」

 

「そこまでにしておけ、ガキ共」

 

 千冬さんの鶴の一声でまだ文句を言おうとしたセシリアは黙った。

 

「推薦者は織斑、自薦者はオルコットでいいな。では次に副代表を決める」

 

 えっ? そんなの原作にないぞ。というかそういうのって代表が決まってからじゃないのか?

 

「副代表は代表の補佐が主な役目だ。誰か副代表をする者はいるか」

 

 千冬さんの問いに誰も挙手をしない。

 

「はい。自薦します」

 

 俺は挙手した。

 

「城戸か。他にはいないな」

 

 誰も挙手をせずに俺は、副代表に決まった。

 

「それでは代表はISで勝負をつけるとするか」

 

「織斑先生!」

 

 セシリアが挙手した。嫌な予感がするな。

 

「なんだ。オルコット」

 

「わたくしはその二名と二対一で戦いますわ。それに完璧なわたくしには副代表など必要ありませんわ」

 

 俺が専用機を持ってないから高を括っているのだろう。

 

「……織斑、城戸。お前たちはどうだ」

 

「私は構いませんよ」

 

 黙って戦いを見るより、面白そうだしな。

 

「当然、あなたも受けますわよね」

 

 セシリアは一夏を見る。しかし、一夏は女子相手に二人がかりと言うのがイマイチ納得出来ないようで返事を躊躇っている。

 

「まさか逃げるおつもりですの。男なんて所詮臆病者な生き物ですわね」

 

「ッ! いいぜ。やってやるよ」

 

 今のセシリアの言葉で一夏はやる気になった。

 

「決まりだな。それでは勝負は一週間後の月曜。放課後、第三アリーナで行う。織斑、オルコット、城戸はそれぞれ用意をしておくように。それでは授業を始める」

 

 

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