コンコンッ。
「きたきた。どうぞ」
現在放課後、俺が目を醒ましたのが正午前の十一時だった。その後は怪我の検査などであっという間に放課後になった。
そして千冬さんに頼んで呼んで人物が来た。ドアを開けて入ってきたのが、織斑 一夏、セシリア・オルコット、篠ノ之 箒の三人である。
俺は上半身を起こして座った状態で三人を出迎える。
「ごめんね。来てもらって」
「いや、お前は大丈夫なのか?」
一夏とセシリアは気不味さからか何も言わず、箒が代弁するように答えた。
箒に来てもらった理由は、一夏とセシリアがうかない顔をして答えないのは予想がついたからである。
「私は大丈夫だよ。退院は五月になるってさ」
普通なら完治に最低は一ヶ月はかかるが、活性化再生治療によって約三週間で治ると言われた。
「そ、そうか。それはよかった」
「…………」
「…………」
一夏とセシリアは入ってきてからまだ一言も喋っていない。これはかなり重症だ。
小説三巻、福音に負けた時の箒みたいに二人が落ち込んでいる。俺は思わずため息が出た。
「……はぁ。二人とも、落ち込むなとは言わないけど、落ち込みすぎじゃない?」
「……俺のせいで颯がこうなったんだ……」
一夏はそういったら黙ってしまった。セシリアはなにも言わないがおそらく同意しているだろう。
二人ともこんなんだったか? 正直言ってメンドクセーな。
「それじゃあ一夏とセシリアに罰を与える。拒否権無しだから」
「………解った。それでいい」
「わたくしも……それで構いませんわ」
セシリアは抵抗するかと思ったが、すんなり受け入れた。それだけ意識してるのか。
「まず、一夏はクラス代表になること」
「…………は?」
「颯、お前が決めていいのか?」
「大丈夫だよ。ちゃんと千冬さんからクラス代表の決定権の許可はもらってるから」
俺が言ったことに一夏は唖然として、箒が疑問を訊くが俺は即答する。
「いや……でも、なんで俺なんだ?」
「最後に私が受けた一撃、あれがもしセシリアに当たったら勝ってたと思うからだよ。因みに千冬さんも同意見だから」
あの一撃でシールドエネルギーが0になったかは解らないがおそらく二桁にはなってはいただろう。
なんせ雪片弐型の一撃を受けたスローネのシールドエネルギー残量が580から22とかなりもっていかれた。
「セシリアも構わないよね?」
「えぇ、構いませんわ」
「いいのか?」
セシリアがすんなり受け入れたのが意外なのか一夏が訊く。
「最後の一撃を受けていたら負けていたとわたくしも思っていましたわ」
「決まりだね。それじゃ一夏、クラス代表頑張ってね。さて次はセシリアだけど、私が退院するまで一夏にISの知識や操縦、訓練のレクチャーを頼もうかな」
「なっ!? そ、それなら私がすれば問題ない!!」
解っていたが箒が反対してきた。
「訓練機のオーバーホールまだ終わってないんだよ。どうやって訓練する?」
「…………」
「知識だって箒はあるとは思うけど、セシリアは代表候補生だから申し分ないでしょ」
「………………」
さすがにここまで言われたら箒も反論出来ないだろう。
「ま、そういうわけだから頼める?」
「そのようなことでよろしいのなら」
「決まりだね。んじゃとりあえず一夏は退室してもらおうかな」
「え? なんでだ?」
「上着を着替えるから」
理由を言ったら一夏はそそくさと退室した。
「………ねぇセシリア」
「なんですの?」
「一夏のレクチャーを受けたってことは一夏のことを少しは見直したってこと?」
原作ではクラス代表決定戦でセシリアは一夏に恋をした。しかし、イレギュラーな俺がいたことで多少は変化が起きていると思ったから一夏のレクチャーを頼んだ。
本音を言えば一夏をハーレムにして、苦しむさまをニヤニヤしながら眺めるのもあるが……。
「そう、ですわね。少し見直しましたわ。今の時代、男はみなペコペコと女性に頭を下げて媚びをうったりしますわ」
今の世の中、男は圧倒的に弱い。女性の機嫌をそこねないように媚びをうったりする。それにそれを利用して男をこきつかおうとする女もいる。
「……ですが、彼はクラスで一度もそのようなことはいたしませんでしたわ」
一夏はそんな性格じゃないからな。言うことは言うからな。それで唐変木じゃなかったらよかった。
いや、唐変木じゃなかったらただの女たらしか。今でも十分無自覚な女たらしだけど。
「一夏がどんな男かみたくなってみた?」
「………そうかもしれませんわね」
セシリアは微笑みながら言う。病室にきて、ようやくセシリアは笑った。
「ま、一夏は馬鹿だけど、根は悪くないから。それと――」
俺はセシリアを手招きする。セシリアは疑問を感じながら近づいてきて、俺は耳うちする。
「一夏は『情けない男とは結婚しない』って理想に近い存在だからね」
「〜〜〜〜〜!!!?」
セシリアは一瞬で顔を真っ赤にして飛び退くように離れる。
「初々しいね〜」
「あ、あ、あ、あなたという人は!!!」
「???」
セシリアは怒鳴り、状況をイマイチ理解出来ない箒は『?』マークが頭の上で浮いていた。
◇
とある一室。そこでは山田先生がディスプレイを真剣な眼差しで見ながらキーボードをうっていた。
「どうだ、山田くん。なにか解ったか?」
そこへ千冬が入室して摩耶に訊く。
「はい。おそらくですが、城戸さんのIS『スローネ』から放出されていた光る粒子は磁気単極子、『モノポール』だと思われます」
そう、先程から摩耶がしていたのは、スローネの放出してGN粒子を調べていた。
「『モノポール』か………たしかかなり珍しい素粒子だったな」
「そうです。宇宙的に見てもかなり珍しいです。理論上には高磁場環境の木星であれば収集可能と言われています」
「なるほどな」
「ですが……」
千冬が納得していたら、摩耶少し申し訳なさそうに言う。
「いくら『モノポール』を収集出来るといっても、収集には100年以上かかってしまうといわれています。さらに言えば、収集設備を作ることも木星に行くことも容易ではありません。たったIS一機に使うには明らかにコストがかかりすぎています」
「…………」
摩耶が調べたことを言うと千冬は黙ってしまった。
(………第二回モンド・グロッソの時に一夏が誘拐された時にあいつは専用機を持っていた)
第二回モンド・グロッソの決勝戦の日に一夏が誘拐された。それはすぐに千冬のもとにドイツ軍から連絡が入って、棄権して一夏を助けに行こうとした時に、颯から一夏を救出に行くと連絡が入った。
(仮にあの時からあいつの専用機がこの『スローネ』だとしたら、矛盾しすぎている)
設備もさることながら収集に100年以上かかることをふまえたら、『元々ISに使うとは考えていなかった』と千冬は考えた。
(いや、それ以前に……)
千冬は一番の疑問を摩耶に言う。
「『モノポール』をISのコアで生成出来るのか? スローネはおそらく機体内部で生成しているぞ」
「普通に考えれば無理です。……ですが、生成出来ていると考えるべきでしょう」
颯の知らないところでオーバーテクノロジーに等しいスローネを調べられていた。
STORY 03 END
GNドライヴ
概要
ソレスタルビーイングが製造したガンダムの動力源。通称「太陽炉」。5基存在する。