どうしてってなんだろう
一体どうしたんだろう…、身体が思い通りに動かない…。
隣で倒れているモノも人形みたいに動かなかった。なんで自分は、こんな所で倒れているのか疑問に思っていた。なんで隣のモノは倒れたまま動かないのか疑問に思った。
(…あぁ、そっか。これが死ぬってことなのか…。何にも分かんないや…。)
自嘲の笑みすら浮かんできた。倒れている少年の目には涙が貯まっているのに。
兄であるコーヘイが死んでしまい世界をリセットすると決めて一ヶ月が過ぎた頃、カナが風邪を引いてしまった。大丈夫と言う彼女を姉のヤヨイが無理矢理休ませている。場所は、病院。もちろん既に人っ子一人居ないが…。
「薬は、こんなとこだろう。後は、栄養採ってゆっくり休めば善くなるよ。」
「ありがとう…お姉ちゃん…。」
かなり弱った声で、カナは姉に礼を言っている。多分ああすれば姉が喜ぶことを知っているから。
カナは、昔から人を使うのがとても上手かった。実際、カナの兄や姉達は彼女の言う事はある程度叶えていた。
多分、思い通りにいかなかった事なんて初めてトーマと出会った時だけだった。
その一件でトーマの本質を見極めたカナは、トーマの事をからかって遊んでいた。
(あれ…?なんでこんな昔の事思い出したんだろう…?)
そんな彼女等を見ながら小さな少年は、一つの疑問を浮かべた。
一度思い出すと、止まらなくなってきてしまう。まぁ、このまま思い出に浸るのも悪くないかと少年は、疑問の答えを探すことを諦めた。
少年は、少女とほぼ同時に施設へとやって来た。昔から誰にも追いつけない程の成長を続けていた少年は、この世界はとてもつまらないものでしかなかった。少し練習・特訓をすればすぐに一番になってしまう。少なくとも、此処に来るまではそうだった。
「お前のその生意気な態度更生させてやる。」
暑苦しい少年が少年に言ってきた。年上みたいだが、負ける気がしなかったから受けたら、ぼこぼこにされた。
「あんまり兄ちゃんをバカにするなよ。」
「子供相手に本気で殴ることないだろ!!」
「名前、なんていうんだ?」
いきなり話の流れを変えてくる。少年は、悔しそうにしながら呟いた。
「リク…。」
「リクか…。わかった、ようこそ我が家へ。俺は、お前の兄貴になったコーヘイだ!!」
自己紹介するコーヘイの姿がやけにカッコよくていつの間にかリクは、コーヘイに憧れを抱いていた。
そこから少年の性格は、明らかに変わった。いや、本来の性格はあんな感じだったのだろう。
人を疑う事がほとんど無く信用すれば、とことん信じてしまう一途な年相応の性格だった。
(この後、どうなったんだっけ。あんまり…思い出せないや。)
目の前で、姉と妹が会話をしているのを見ながら様々な事を考える。
(そういえば、カナも施設に来たときは、何にも感じていない感じだったような気がする…。)
ようやく姉の心配を落ち着け眠ろうとしていたカナに、リクは話しかけた。
「どうしてカナは、兄ちゃん達に心を開いたの? 」
リクの声に、カナは顔を向けた。なんで?って顔をして。
「お兄ちゃんや、お姉ちゃんがいてくれたから…。」
そして少女は、静かに語りだした。