小説投稿は初めてで、かつこれが初の作品です。
ですので、あたたかい目で御覧いただければ幸いです。
どうかよろしくお願いします!
八八艦隊前日章
「では、会議を始める。」
薄暗い会議室に、低い声が響いた。
この会議の参加者は、ざっと見ただけでも様々な服装や年齢の者がおり、普通の会議ではないことが一目で分かる。
「各参加者は、自由な意見を述べてよろしい。」
その声をきっかけに、様々な意見や声が、煙草の煙と共に会議室に充満する。
「ワシントン会議がわが国の反対で流れてしまった以上、米国も英国も新型戦艦の建造を、より一層促進するに違いない。」
「本当に条約を蹴ってしまってよかったのだろうか……このままでは国際社会におけるわが国の信用はがた落ちだ。」
「財政の問題もあるぞ。関東大震災の復興予算と艦艇の建造予算は両立できん。このままでは財務官僚が過労死するぞ。海軍もな。」
「だが、八八艦隊計画の完遂は皇室と皇族の方々の御意思だ。あの『存在』が告げたことが本当であれば、向こう20年でわが国は危機的な状況に陥ることになる。」
「しかし本当に実在するのか?その『存在』とやらは。私には荒唐無稽なおとぎ話にしか聞こえないのだが……。」
「1904年の日露戦争時以来、我が日本はあの『存在』に助けられてきたじゃないか。おかげで旅順、奉天、ハルビンと我が陸軍は少ない犠牲で大勝利をおさめ、日本海海戦では短時間でバルチック艦隊を撃滅できた。おかげで有利な立場で講和が結べ、樺太全島と少ないながら賠償金も手に入った。」
「韓国併合もやらなくてよいと、『存在』が伊藤さんと桂さんに告げたから、莫大な借金も抱え込まんですんだ。伊藤さんは残念だったが……。」
「それだけじゃあない。世界大戦の時だって海軍を派遣したおかげで、ユトランド沖海戦では名実共に英国と我が遣英艦隊の大勝利となった。南洋諸島の割譲に英国がとやかく言わなかったのは、それがあるからだ。」
「でも、今回の『存在』からのお告げは無茶だ。『向こう20年以内に、世界第一級の海軍戦力を整備せよ。さすれば御国は安泰とならん。』だと?金はどこから捻り出すんだ?」
「しかし、皇室と皇族の老若男女の方々全員、政府と陸海軍の重鎮達が皆同じお告げを聞いているんだ。これを夢の一言で片付けるには限度がある。現に我々の中にもお告げを聞いた者が少なくない。」
「関東大震災では物的損害はまだしも、人的被害は驚くほど少なかった。これも『存在』のお告げに従い、避難訓練を国民一丸でやっていたお陰だ。」
「結局、やるしかないのか……。」
「議論は出尽くしたようですね。」
一人の海軍軍人が立ち上がって言った。
「八八艦隊計画は、当分の間は予定通り遂行する。しかしこのままでは我が国の財政は破綻するため、適当な段階で新たな軍縮条約を米英に提案するか、米英が軍縮を持ちかけてくるのを待ち、条約を締結する……。
これで宜しいですか?」
「戦艦の建造は制限しない方針だぞ。分かっているんだろうな?」
他の海軍軍人が念を押すような声で言った。
「もちろんですとも。」
そう、先に言葉を発した海軍軍人……「山本五十六」は微笑んで言った。
時に、1924年11月のことであった。
大日本帝国海軍
(戦艦)
・金剛型戦艦
同型艦:金剛、比叡、榛名、霧島
基準排水量、全長、全幅、武装、速度等は、史実と同じ。
帝国海軍最古参の戦艦であり、史実と同じ改装が成されている。
元々は巡洋戦艦であったが、二度の近代化改装により高速戦艦に生まれ変わった。
浅間型超甲巡の就役に伴い、1945年には退役する方針であったが、異世界への転移により、帝国とその同盟国を防衛するには、少しでも多くの艦船が必要と判断され、退役は無期延期となった。
・扶桑型戦艦
同型艦:扶桑、山城
基準排水量、全長、全幅、武装、速度等は、史実と同じ。
1915年~1917年に完成した、日本初の純国産戦艦。
史実とほぼ同じ近代化改装が成されている。
異世界転移時には旧式艦であり、大和型の就役に伴い退役・解体が決定していたが、金剛型と同じく退役は無期延期となった。
・伊勢型戦艦
同型艦:伊勢、日向
基準排水量、全長、全幅、武装、速度等は、史実と同じ。
1917年~1918年に完成した戦艦。
元々は扶桑型戦艦の三、四番艦として計画されたが、扶桑型の防御装甲の欠陥が指摘されたため、改設計されて就役した。
史実と概ね同じ近代化改装が施されている。
扶桑型と同じく異世界転移時には旧式艦であったため、解体が決定されていたが、日本国との交流により航空戦艦への大規模改装が決定、後には帝国海軍初の垂直墳進弾(ミサイル)搭載戦艦となった。
・長門型戦艦
同型艦:長門、陸奥
基準排水量、全長、全幅、武装、速度等は、史実と同じ。
1919年から20年にかけて就役した、日本初の41cm砲搭載戦艦。
八八艦隊計画の第一陣として建造されたため、随所に新技術が盛り込まれており、また国民への知名度も高い。
史実と同じ近代化改装が施されている。
・加賀型戦艦
同型艦:加賀、土佐
基準排水量:4万3600トン(改装後)
全長:241.6m
全幅:34.8m
兵装:45口径41cm連装砲5基10門
50口径14cm単装副砲14基14門
40口径12.7cm連装高角砲4基8門
25mm三連装機銃18基54挺 連装機銃6基12挺
速度:25.5ノット
機関出力:9万1000馬力
水上機2機
八八艦隊計画の第二陣として設計、建造された戦艦。
1924年から25年にかけて就役した。
改装は長門型と同じ回数施された。
これにより、艦橋は長門型戦艦の近代化改装後のものとほぼ同一となり、またバルジを設置したことで、対魚雷防御が充実した。
装甲は長門型を上回るものが施されている。
・天城型戦艦
同型艦:天城、赤城、愛鷹、愛宕
基準排水量:4万5400トン(改装後)
全長:256.2m
全幅:34.4m
兵装:45口径41cm連装砲5基10門
50口径14cm単装副砲12基12門
40口径12.7cm連装高角砲6基12門
25mm三連装機銃20基60挺、連装機銃2基4挺
速度:29.5ノット
機関出力:13万2000馬力
水上機3機
八八艦隊計画の第三陣として、1925年から27年にかけて就役した戦艦。
元々は巡洋戦艦であったが、海軍の艦種類別変更に伴い「戦艦」に変更された。
改装は二回実施され、そのため煙突が二本一纏めとなり、バルジも設置、艦橋構造も長門型に準ずるものに、また防御力も強化された。
装甲は第一次大戦の「ユトランド沖海戦」の戦訓を取り入れ、垂直装甲は傾斜装甲となり、また水平装甲や弾薬庫など、場所によっては加賀型を上回る防御力が施され、ほぼ「高速戦艦」といえる。
関東大震災により「天城」が被災するものの、建造が予定より進んでいたために艦体が小破するのみに留まっている。
・紀伊型戦艦
同型艦:紀伊、尾張、駿河、常陸
基準排水量:4万6200トン(改装後)
全長:254.1m
全幅:35.2m
兵装:45口径41cm連装砲5基10門
50口径14cm単装副砲12基12門
40口径12.7cm連装高角砲6基12門
25mm三連装機銃22基66挺、連装機銃2基4挺
速度:28ノット
機関出力:13万2000馬力
水上機3機
八八艦隊計画の中核を成す戦艦として、1928年から30年にかけて就役した。
米国の主力戦艦である「サウスダコタ級」の情報に基づき、完全な新規設計の戦艦になるはずであったが、財政問題やメンテナンス、および建造速度の促進等の理由から、天城型の図面を流用して設計・建造された。
比較的新しい戦艦であるため、大規模な改装は一度しか行われていない。
・穂高型戦艦
同型艦:穂高、蓼科、乗鞍、戸隠
基準排水量:5万4800トン
全長:274.3m
全幅:36.8m
兵装:45口径46cm連装砲4基8門
50口径14cm連装砲6基12門
40口径12.7cm連装高角砲8基16門
25mm三連装機銃28基84挺、13mm連装機銃2基4挺
速度:29ノット
機関出力:15万馬力
水上機3機
八八艦隊計画の最終艦、かつ最強の艦として、帝国海軍が1933年から35年にかけて建造した戦艦。
米国のダニエルズ・プラン艦に対抗すべく、設計当初より46cm砲の搭載が決定されていたが、1926年に締結された「ジュネーブ軍縮条約」により、16インチ以上の主砲を搭載する戦艦の建造は禁止されていたため、艦体と艦上構造物のみ建造した後は工事を中断、名目上の竣工の後は予備艦として保存されていたが、1937年に条約が失効すると工事を再開し、予定通り46cm砲を搭載して完成した。
帝国海軍初の46cm砲搭載艦であるため、竣工当初は不具合も多かったものの、異世界転移時には完全に不具合を修正しており、戦力としてカウントできる状態になっていた。
なお、水上機用のカタパルトは艦体中央に設置されており、主砲発射時の爆風を防ぐことができるようになっていた。
艦橋の形は大和型とほぼ同じ。
・大和型戦艦
同型艦:大和、(武蔵)、(信濃)、(近江)
基準排水量:6万5000トン
全長:263.4m
全幅:38.9m
兵装:45口径46cm三連装砲3基9門
60口径15.5cm三連装砲2基6門
40口径12.7cm連装高角砲10基20門
25mm三連装機銃36基108挺、13mm連装機銃2基4挺
速力:28ノット
機関出力:15万8000馬力
水上機:7機
「マル3計画」「マル4計画」で二隻ずつの建造が決定され、完成が急がれている帝国海軍史上最大最強の戦艦。
計画された当初の対空火器は僅かであったものの、各国で新型の艦上攻撃機、艦上爆撃機が開発されていること、またドイツ戦艦の「ビスマルク」が英艦上機のソードフィッシュに舵を破壊され、それが沈没の遠因になったことや、「タラント空襲」による英軍の戦果が予想以上であったことなどから、対空火器の増強が図られた。
また八八艦隊計画で戦艦を多数建造、改装した経験から、隔壁や注排水装置等のダメージコントロールシステムは史実よりも増加され、また艦底部分は三重にされて魚雷に対する防御も強化、各部の装甲配置も適正化、副砲も装甲化されるなど「改大和型」とでも呼ぶべきものとなっている。
三、四番艦では、高角砲を10cm砲に変更する予定である。
一番艦の「大和」は1941年12月に完成し、文字通り帝国海軍の「顔」とでも呼ぶべき存在となった。
(航空母艦)
・鳳翔
史実と同じく、世界初の空母として完成した。
・龍驤型空母
同型艦:龍驤、龍鳳
基準排水量:1万2500トン
全長:199.5m
全幅:20.4m
兵装:40口径12.7cm連装高角砲4基8門
25mm連装機銃8基16挺
搭載機:常用32機、補用4機
八八艦隊計画により、1925年から26年にかけて就役した航空母艦。
当初「翔鶴」という艦名が予定されていたが、変更されて今の艦名になった。
戦闘機のみを搭載した「オール・ファイターズ・キャリア」として、艦隊の防空を担当する。
・飛隼
基準排水量:2万4200トン
全長:243.6m
全幅:22.5m
兵装:40口径12.7cm連装高角砲6基12門
25mm三連装機銃8基24挺、連装6基12挺
搭載機:常用66機、補用9機
軍縮条約の枠を利用して「マル1計画」にて建造された航空母艦。同型艦は無い。
・蒼龍
・飛龍
「マル2計画」で建造。史実と同じ。
・翔鶴型空母
同型艦:翔鶴、瑞鶴、麟鶴
米国の「エセックス級空母」に対抗するため、「マル3計画」にて建造された空母。
史実と同じだが、一隻多い。
・大鳳型空母
同型艦:大鳳、天鳳、海鳳
「マル4計画」にて建造が決定された航空母艦。
史実と同じだが、二隻多い。
(重巡洋艦)
※おおむね史実と同じ。
(軽巡洋艦)
※おおむね史実と同じだが、川内型軽巡の数が三隻から六隻に増加。
※駆逐艦以下の艦艇の型名は史実と同じだが、駆逐艦の数は神風型が三隻、吹雪型、朝潮型、陽炎型が四隻多い。
それ以外は史実とほぼ同じ。
いかがだったでしょうか?
次回はダニエルズ・プラン艦の概要を投稿したいと思います。