【再構成のため停止】レィル・クローターと魔法生物 作:antique
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ロナルドを打ち負かしたフィリップはフリットウィックに五十点の減点と九十点の加点がされた。曰く、
「確かに急に決闘を挑み、ウィーズリー君を下したことの理由は正当で、しかし結果として彼は気絶し、重度の打撲と骨への罅を与えたました。それは余り褒められたものではありません。しかし彼の戦術やメンタルは素晴らしいものでした。先ず煙幕をはる、ということは無言呪文使用者にとって最大のアドバンテージです。なにせ相手に何をするか伝えない訳ですから。そこから呪文を使用しただ相手に怒りをぶつけるならば失神呪文で吹き飛ばせばいいのです。ですが私怨と粛清の意が彼にはありました。かつて私の友人が『最大の教育法は飴のタイミングと鞭の強度、そしてほんの少しの恐怖だ』と言っていたことがあります。飴のタイミングは決闘直前のクローター君の忠告、鞭の強度は彼の戦術、そして恐怖は彼の言葉です。粛清の意味を込めて、物理攻撃をした点は人間として合っています。ですので総評として、ウィーズリー君に危害を加えた事と私闘を行ったことについて各二十五点を減点し、彼が人間として出来ていたことと魔法の戦術の組み上げる早さ、それを実行するメンタルを各三十点の加点をし、合計して四十点をレイブンクローに与えました」
とのこと。長ったらしく言ってくれはしたが、フィリップからすればあれはハーマイオニーの報われた努力を馬鹿にしたことを後悔させてやるためである。勿論本人は人間としてできているとは思ってないし寧ろ破綻してるとまである。
結局、ロナルドは次の授業を休んだ。それに対してスリザリンのドラコ当たりがフィリップを囃し立てたが、事事の起承転結を話したところハッフルパフ、レイブンクローが味方に着いたおかげで何も言えなくなった。
ウィーズリーツインズやその兄のパーシー・ウィーズリーもなにか言おうとしていたが、アリシアの「あなた方は自らの努力を否定されて怒らないのですか?」という言葉に引っ込んだ。
夕飯はやはりレィル達の部屋で食べた。今回は更にトランクの中で談笑しながら食べていた。しかし今回はいつものメンバーに一人増えていた。
「えーっと、どうしようか。私が言おうか?」
「いえ、アリシア様のお手は煩わせません。私が自分で自己紹介しますので」
「あらそう?じゃあお願い」
「わかりました」
金髪の少女はひとつ咳払いをし、真面目そうな顔で自己紹介を始めた。
「今回はこの輪の中に入れていただき有難うございます。スリザリン所属の一年生、ダフネ・グリーングラスです。聖二十八一族のうち、グリーングラス家の長女になります。アリシア様からは幼い頃から良くしていただきました。今後とも長いお付き合いになることを期待します。よろしくお願いします」
レィルやヘルミオネは言葉と佇まいから聖二十八一族であると確信していたが、まさかのグリーングラス家であることに驚いた。ハーマイオニーは何故ここにスリザリンがいるのか不思議でならなかった。アリシアもスリザリンだが。
そして先程から肩を震わせ俯くフィリップとメズールは反応していなかった。ハーマイオニーが起きているかどうか確認しようとするといきなり起き上がって大笑いした。
「な、中々上手いじゃないかダフネ!お父様から叩き込まれたか?ふはははははは!」
「あひゃひゃひゃひゃひゃひゃ!ダッフィー、練習お疲れ様ー!イメージ付けのつもりなら私たちがいないとこでやればよかったネー!」
「うっさいソコ!アリシア様の前で何か不手際をすれば恥で死ぬのよ私は!それとフィリップ!お父様を侮辱するならその歯ァ全部叩き折るわよッ!?」
「ほら綻びがでたぞ?やっぱり完璧じゃないな!はははははは!」
「アリスの従者を目指すなら怒りを出さないくらいもっと完璧で瀟洒なになんないとー、まだまだ
「やっぱ一回死ねあんたらァァァーッ!」
素をさらけ出したダフネはフィリップとメズールを叩きのめすため杖を抜かんとローブの中に手を突っ込んだ。いきなり素を出したダフネに呆気に取られていたレィルは、この小屋でレィルとヘルミオネ以外が杖を出せないことを言えなかった。
ダフネが杖を出そうとした瞬間に何かに杖を取られた。その取られた杖は宙に浮遊し、レィルの手元までやってきた。
「あー、ネクサス。その杖をグリーングラスに返してやってくれないか?」
「仕事したのは、えらい」
レィルが苦笑いし、ヘルミオネが何も無いところを撫でた後、杖はダフネの手元まで戻ってきた。
「え、何、どういうこと?」
何をされたか分かっていないダフネは杖を手に取ってもポカンとしたままだった。それが何の仕業によるのか理解しているのはレィルとヘルミオネを除きフィリップとハーマイオニーだけだった。
「デミガイズね。本での知識しかないけど、姿を自由に変えられて、透明にもなれるっていう猿の見た目をした魔法生物。毛皮が透明マントの原料になってるって話ね」
「そのせいで乱獲が行われた哀れな種族。今では保護が広まって数は前ほどまでに戻ってるけどね」
ダフネとアリシアは言われてその存在に気付いた。メズールだけがまだ首をかしげていた。
「グリーングラス、ここでは杖の使用を控えてほしい。薬品とか素材とか結構数あるから、壊れたら後処理が大変なんだ」
「ダフネでいいわよ。後処理が大変って言うけど、例えばどんなのがあるの?」
レィルはどれを見せるか悩んだ挙句、手元にいた蚕のようなものを手に取った。その尻尾を中指にまきつけてスナップをしながら手を開いた。
中の繭が大きく開き、緑と赤の羽の蛇のような顔をした生き物がダフネの顔寸前まで近づいた。それは数秒そこにとどまった後、レィルの掌に戻って行った。
「お、スウーピング・イーヴルの亜種かい?」
「そう。ミローって言うんだけど、こいつの毒は少量でも垂らせば肌が溶ける程に強い。だけど、薄めて使えば調合剤として使えることがわかってる。様々なものに使えるから原種より使い勝手がいいんだ。勿論原種もいるけどね」
レィルはミローを元いた位置に戻した。ダフネは毒の危険性を認識しながらかぼちゃタルトを口にした。やはり昼食も夕食もかぼちゃ尽くしだった。
レィルとヘルミオネが席を外しトランクから出ていくと、やはりフィリップとメズールはダフネを笑った。ついていけていなかったハーマイオニーにアリシアは謝りながら状況を説明した。
「置いてけぼりにしてごめんなさいねハーマイオニー。メズールは元々家が近くて、フィリップも幼い頃に私の家の近くに引っ越してきたのよ。子供って好奇心旺盛でしょう?だから同年代の子供と遊びたくなって、お父様が近所の子なら、ってフィリップとメズールと一緒に遊んでたのよ」
「へぇー。じゃぁダフネは?」
「それは私の家柄。聖二十八一族総督家なんて立場だから、そういう場所にはよく立ち入るの。ダフネはいつも私のボディーガードを請け負ってくれたの」
「いい子なのね。スリザリンだからって身構えてたわ」
「聖二十八一族といっても色々あるのよ。ウィーズリーみたいにマグルの人を家に迎え入れるところもあれば、マルフォイのように完璧純血主義の家だってある。私やダフネのところは婿嫁は半純血までね」
聞いていて微笑ましかったり、上流貴族の間柄を見ることが出来るような会話だが、その目前で行われていることが些か物騒である。杖の使用禁止を言い渡されているからというのもあるが、ダフネは拳と脚を使っていた。
ジャブにストレート、後ろ回し蹴りに果ては踵落としまで。これが魔法使いのすることなのだろうかと割と困惑しそうである。
「いい加減当たりなさいよ!」
「当てているだろ?君のチンケな拳を右手で受け止めている。ほらほらどうした?両方使えるとはいえ僕の利き腕は左だぞ?」
「人を煽んなきゃ死ぬのかアンタは!アガルタおば様からアンタの性格矯正頼まれてんのよこっちはァッ!」
「およー?おばさんそんなことしてたのかー。諦めた方が早いってのにー」
「全くだな」
気付いていないが、ダフネは先程からパンチの度に拳に微量の魔力を纏わせている。それによってフィリップの目が解析し、どの方向にどの速度で振るわれるかが分かっているのだ。物理攻撃に魔力を込めるのは割と高等技術なだけあって、ダフネも優秀なのだろう。
結局彼らのじゃれ合いは、レィルが帰ってくるまで続いた。
一方、外に出たレィルは共に来ていたヘルミオネに生気を吸われていた。勿論接吻である。
レィルは自分のベッドで休息を入れていた。ヘルミオネは傍に座ってレィルの頭を撫でていた。この時間が彼女にとって一番幸せを感じるものだった。
だがそれは不意に終わることとなる。大広間の扉が勢いよく開けられた後、悲鳴などが連呼され、その後誰かが爆音を鳴らしたのだ。防音魔法を施していなかったレィルは当然起き、ヘルミオネは頬を僅かに膨らました。
「何の騒ぎ?」
「分からない。行ってみる?」
「そうしよう」
レィルが服を整え、いざ扉を開けようとすると三回の高速ノックの後扉が開かれ、三人の生徒が顔を出した。一人は割と煽ることに定評がついてきたドラコだった。
「あー、ごめん。急用で。フィーを見なかった?レイブンクローの席にいなかったんだ」
「アリシア様やダフネもいなくなってるんだ。何処か知ってるか?」
「ハーマイオニーもメズールもいないの!」
雪崩込むように各々の探し人の名を出す三人。急なことでレィルは少しフリーズしたが、直ぐに意識を戻した。この辺りの順応性は彼らとの生活で鍛えられたのだ。
「フィー、というのがフィリップの事なら、全員トランクの中に居ますよ」
「トランク!?なんでそんな所にアリシア様が……いや、いい。あの方が安全ならそれでいい」
「マルフォイ、この騒ぎは何?」
過保護なのか、アリシアが無事だとわかった途端に安堵したドラコにヘルミオネが問うた。
「ドラコでいい。君たちは
「トロール?知能上昇薬を飲ませてないトロールかホグワーツに入ったのか?」
「どうやらその様らしい。ボクもおかしいとは思ってるけどね。とりあえず、アリシア様をスリザリンに返してくれ。談話室で点呼がある」
「わかった、必ず送り届ける。ヘルミオネ、頼んだ」
ヘルミオネは頷いて、トランクの中に入っていった。レィルはそのトランクを鍵を閉めて持ち上げた。
「ドラコ達も寮に戻って。僕はトロールを処理してくる」
「殺すのか?いくら不法侵入したからって……」
処理という言葉に顔を曇らせたハッフルパフの先輩。レィルはこの人がフィリップの言っていた「セドリック」であると気付いた。
「いえ、処理と言ってもトランクに入れるだけです。おそらく山トロールなので高山エリアにでも放っておきます」
「良かったぁ。危険でも、殺すのはヤだしね」
胸に手を置いて褐色の少女は息を吐いた。以前にメズールが言っていたパチルの片割れだろう。
レィルは人間には反応しない生物探知機を使ってトロールを探した。トランクは認識偽装をしているために反応しない。
「場所は、南東の下?ってことは地下廊下付近のトイレ辺りか」
レィルは加速魔法を自分にかけてその場所へと向かった。途中でハリーとロナルドが何やら誰かを探しに行くみたいなことを言っていたが、レィルはそれを無視した。
壁や天井を蹴っていきながら地下室に付くと、トロールがフラフラと彷徨いていた。まるでそうしなきゃいけないからそうしてる、というような雰囲気をかもしながら。
レィルはトランクの鍵を開け、出口を高山エリアに設定し、口笛でトロールを呼び寄せた。トロールは定評のあるアホ面を見せながらゆっくりと振り向いた。
故郷の匂いと同じようなものを感じたのか、トロールは誘導されるままに入口の広がったトランクの中に入っていった。ちょうどその瞬間、ヘルミオネが姿くらましをしてレィルの隣に立った。
「レィル、先生達が来る」
「なら急いで帰ろう。よろしく」
「任せて」
レィルはトランクを元の形に戻し、左手に持った。これより小さくできるが、やはりトランクの形が一番しっくりくる。
ヘルミオネはレィルの右手をそっと握り姿くらましをした。その数秒後にダンブルドア、マクゴナガル、スネイプ、クィレルが到着した。
彼らは報告にあったトロールがどこにもいないことに困惑し、報告元であるクィレルの幻覚として処理した。クィレルはやはりオドオドしたままであった。
部屋に戻った二人は鉱山エリアに先程のトロールが居ることを再度確認した。先にいた山トロール達は降ってきたトロールを新たな仲間として迎え入れていた。
トランクを再び閉めて、レィルはベッドへと倒れ込む。急な保護が入ったために神経をすり切らしたレィルは直ぐに夢の中に入っていった。
ヘルミオネはレィルが寝たのを確認して、貪るようにではなく、包み込むようなキスをして今月分の生気を補給した。起きているならばともかく、寝ているならば起こすようなことはあってはならない、と心に刻んでいるのだ。
レィルは世の男どもに背中から刺されそうなことをしている間、意識を残しながら夢の中に入っていった。夢を見やすいのはレム睡眠だが、彼は話すならば意識がはっきりしているノンレム睡眠の方が良かったのだ。
『約1ヵ月ぶりか。調子はどうだ?レィル』
「微妙」
『それはミオがキミの生気を吸ったからだろう?ボクが聞きたいのはそこじゃない』
レィルの目の前にいるのは一人の少年。髪は白いが、先端になるにつれて青くなっている。瞳は人間ならばありえない紫色である。
少年の服装は白いシャツと黒のズボン、至って単純そうなもので、印象に残りにくいのが印象と言った顔立ちであった。
『キミの精神の調子だ。この世界では精神疲弊も魔力切れもないが、大事なのはイメージなのだろう?』
「知ってるよ。精神の調子だっけ?良好だよ。君よりかは全然だろうけど」
『食料に困らないな、ココは。妬み嫉み疎みだのなんだの、ボクの糧となるものが多い』
「まぁ、ヴォルデモートあたりがマグルを敵視してるからね。美味しい?」
『不味い』
「けどそれしか食べ物がないんだろう?」
『あれを永遠と食べるならまだただ甘ったるくしたみたらし団子の方がいい。セルフサービスのお茶で舌を誤魔化せられる』
レィルと少年は訳もなく談笑をする。少年の見た目は高校生かそこらだが、少年はこれでも五世紀後半辺りから生きている。彼の言う別の世界も含めて数えれば千を超える。彼は
「でも君の食料はそれらだけじゃないだろう?美しいものだって」
『いいかレィル。それはダメだ。それを食べるのは、嘗て
十メートルは離れていただろう二人の距離が、僅か鼻先数センチという所まで近づいた。音もなく、風もなく、足元を一ミリだけ満たす水に波紋さえ出さずに、確実に瞬間移動してレィルのそばまで来た。
これだけで、この行動だけで彼がどれだけ規格外かをレィルは再確認する。
『私はあの世界で、
レィルは何も言わない。彼の言っている「あの世界」というものを知らないし、以前の彼も知らない。先祖であるヘルミオネ・クローターにも教えていない故に、知っているのは彼のみとのこと。
それに対して口を刺すのは、彼の言う「あの世界」の部外者であるレィルでは役不足である。少年が言った「彼ら」ならば或いは、と考えてしまうが、ここに居るのは自分一人である。「彼ら」の力は借りられない。
「ごめん、無神経だった」
『……いや、ボクの方も素を少し出した。ここは互いに流そう』
少年はそういうと、レィルから少し離れた。先ほどよりも少し近い5メートル辺りの距離だ。
レィルはその様子に少し口角を上げると目を閉じた。この空間は少年が作っているようなもので、ノンレム睡眠からレム睡眠に移行できる。
レィルは数秒もせずにここから光となって消えていった。少年もそれを見届けてからこの場を去った。
ども、おコタとファンヒーター、ストーブ、暖房とフル装備なantiqueです。あったけぇ()
フィリップの加点と減点。なんだかんだ言ってフリットウィックも自分の寮に甘いです。
作中でフリットウィックが言った「最大の教育法は飴のタイミングと鞭の強度、そしてほんの少しの恐怖だ」というのは、どこぞのヌルヌル教師のとこの理事長先生です。私の持論ではありません。
レィルメンバーNo.8かな?ダフネ・グリーングラスの登場です。
原作でも出番らしい出番もなく、更にはポッターモアにも大百科にも果てにはwiki大先生にも載ってなかったので彼女の性格は妄想です。公ではきっちりと、オフになればいじられキャラに落ちます。
そしてプロローグで登場したネクサス、ミローの登場です。
ネクサスはデミガイズです。結構トランクの中をうろちょろしてますが、外に出ることは滅多にありません。
ミローはスウーピング・イーヴルの亜種個体。説明はレィルのした通りです。
レィルチームNo.9、10のセドリック・ディゴリー、ドラコ・マルフォイ出場。彼らは今後も出番ありです。
セドリックはフィリップを「フィー」と、フィリップはセドリックを「セド」と呼びます。彼らはとても仲がいいです。
ドラコはレィル達を良く見ています。ハーミーと関わっているのはあれですが、ハリーもロンも居ないので割と好印象です。
トロールの
賢者の石を2周したあたりに「あ、こうすりゃ早いわ」と思った次第です。他意はありません。
で、最後の彼。予想しやすいでしょう?
では次の話で会いましょう、サラダバー