【再構成のため停止】レィル・クローターと魔法生物   作:antique

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傀儡人形と蛇の末裔
夏休み


 

 

有難くもないバーボンをステファニーから貰ったレィルは結局ヘルミオネと共にディマイント家の別荘地へと向かうこととなった。キングス・クロス駅で出迎えてくれたゼノはこの展開を既に予想していたようで、「心配しなくていい」と言った。

イギリスからモナコまでの距離は約1,219マイル。車で移動すれば二十時間ほどかかるが、今回は姿くらましをして飛ぶので一瞬だ。煙突飛行をしてもいいのだが、あれば服だの何だのが汚れてしまうのでこちらを使う。

ちなみにいつも一緒にいる人達の予定はというと。

 

アリシア──聖二十八一族の会合、及びパーティーへ出席。その他各家との交流。

フィリップ──新たな魔法の研究、及び固有魔法の制作。魔法薬の短縮レシピの研究。

メズール──家族と共にアメリカ旅行。その後は寮のルームメイト共にお泊まり。

ハーマイオニー──夏休み後半にフィリップ宅に行き魔法の勉強。それまでは自由。

ダフネ──聖二十八一族の会合、及びパーティーへの出席。またアリシアの護衛。

ドラコ──ダフネに同じ。

 

となっている。ちなみに監督生だったユーリは見事グリンゴッツ銀行に就職が決定したらしく、今ではゴブリンと共に窓口、及び金庫の管理を任されている。

フィリップの盟友セドリックは家族と共にイタリアに旅行に行ったらしい。期間は長くはないそうだ。

 

モナコの別荘へ行くレィル達だが、実はゼノ、というかディマイント家は別荘をいくつか所有している。モナコ、ドイツ、アメリカ、オーストラリア、ブラジル、ロシア、ジャパンの計七つだ。

これらはモナコとアメリカ以外は全て贈与品である。そのどれもが一等地ながら賄えているのは流石魔法界の監視役といったところだろうか。

 

「忘れ物はないかね?2人とも」

「うん、大丈夫」

「いつでも行けるよ、ゼノ」

 

トランクの中に荷物を入れたレィルとヘルミオネ。もちろん拡張領域の方のクローゼットに入っている。

通常のトランクにも変えられるが、それでは普通にサイズが足りない。なぜトランクの中にクローゼットがあるかだが、一人旅などをする時に椅子では寝にくかったのだ。

ゼノは二人の返事を聞いて微笑み、手を取って姿くらましをした。人類という基準から外れているからか、吐き気もしなければ巻き込まれるような感覚もない。

瞬きを一度すれば、そこは地中海沿岸部、モナコのモンテカルロである。眼前に広がるは美しい街並み、カラーコード1E90FFの空と海、そして純白の別荘。

 

「うむ、ここに来るのも何回目かの」

「多分、私が生まれてから三回目」

「そんなもんかの。さて、まどろっこしいことはなしじゃ。ほれ、中に入ろう」

 

レィルは頷いて中へと入っていった。中も白く、埃など一切ない綺麗な部屋たちが三人を出迎える。

与えられた一室でレィルはトランクからビート、フォウ、レイヴェル、ヴェールヌイ、メディクルス、ユミルを出した。どこかに行って何かをやらかす前に全員を引っとらるつもりだったが、誰もそばを離れなかった。

 

「レイヴェル、ヴェールヌイ、メディクルスはそこに止まり木があるから休んでくれ。魔法がある範囲内ならどこに飛んでも大丈夫だけど、レイヴェル、君はダメだ」

 

レイヴェルはある意味では悲しそうな顔をしたが、レィルは苦笑しその体を持ち上げて体に寄せた。すると自然にレイヴェルはレィルに寄ってくる。

 

「君を思ってなんだ。この別荘の敷地内ならいいよ。でもあんまり高く飛ばないでね」

 

レィルは耳を甘噛みしてきたレイヴェルの背中を撫でた。保護した当時は素っ気ない態度だったのに本当に甘え上手になったと心から思う。

メディクルスは止まり木に行くと直ぐに目を閉じて眠りについた。ヴェールヌイとレイヴェルは外に飛びに行ったが、どちらも賢いので与えられた範囲しか飛んでいない。

ビートは注意を聴き終わったと同時にレィルの肩へと移動していた。フォウはイスに座ったレィルの膝の上へ。

そして、まだ外を知らない一匹がいる。

 

「ユミル、ようやく外に出られた感想は?」

 

ユミル。

数年前に保護したオカミーが産んだ兄弟達の末っ子。兄弟の名前は上から順番にリュコス、アナーキー、アブゾーブ、リベンジ、リラクサ、アリエッタ。初めが「リ」で始まるのが雄で、「ア」から始まるのが雌である。

彼女だけが銀卵だったので、特別に「ユミル」と名付けたのだ。名前の由来は北欧神話「スノッリのエッダ」に登場する原初の巨人だ。

ユミルはからだの調子を精一杯鳴いて伝える。産まれて間もないが、意欲旺盛な子である。

レィルはそんな様子に微笑みながら、ユミルを胸ポケットに入れた。身をおいた場所合うように大きさを変えるオカミーは大きなものに入れてはいけないのだ。

 

「レィル、荷ほどきはできたかの?」

「できたよ」

 

部屋を出れば、リビングにはコートを脱いだゼノしか居なかった。レィルが返事をすると同時にヘルミオネも部屋から出てきた。

どうやらヘルミオネも荷ほどきが終わったらしい。

 

「一応年を押して言っておこう、君の家に届いたふくろう便は全てトランクに転送されることとなる。安心せい」

「毎年のことだからもうなれたよ」

 

ふくろう便の転送技術は数十年前に魔法省の神秘部、ぶっちゃけて言ってしまえばステファニーによって作られた。なんでもその時にいなければいけない案件を見逃さないように、とのことらしく、今ではあたらしい家がたつとその転送魔法が施される決まりになってる。

 

「さて、ささやかながら儂からの休暇のプレゼントじゃ。モナコの通貨はユーロじゃから、そこの両替機に突っ込めば勝手に出てくる。儂は仕事がまだまだ残っておるのでの、二人で楽しみなさい」

「ありがと、ゼノ」

「何、将来が確定している二人のためじゃよ。ではな」

 

ゼノはそれだけいうと、音もなく姿くらましでどこかへいってしまった。きっと監視塔だろう。

 

「とりあえず、明日までの食料買わなくちゃな」

「安い店を知ってる。行こ」

 

ヘルミオネが先に両替をしていたのか、肩掛けか版を引っ提げてドアの前にいた。レィルはうなずいて、ヘルミオネの手を取って外に出た。

ここにウィーズリー・ツインズがいたならばきっと囃し立てていただろうが、残念ながら彼らの家にモナコまでこれる金はない。これたとしても止まる宿を見つけられるかである。

 

食材の買い出しが終われば既に日も落ちかけていた。別にあっちにいったりこっちにいったりしていたわけではないのだが、いく先々で「はい、これサービスね」といって少し多目に何かをもらうか、別の何かをもらうのだ。それらを処理していく度に時間がかかり、遅くなってしまった。

別荘に到着したレィルは一先ずトランクを確認した。手紙がはいっていないかを確かめるためである。

見てみれば二通、メズールとアリシアからであった。

 

「レィルへ

 

やっほ、メズールだよ。手紙を出すのはこれと新学期前にもう一通だから君のポストが満杯になることはないよ。安心したまえ。

たしかモナコ公国だっけ?やっぱ監視塔の管理者は違うね~。

これを書いているとき、宿題を同時進行でやってます。二人も早めに終わらせなよ~。

二人がモナコを楽しむように、あたしもアメリカで楽しんできます。お土産はみんなの分買ってくるね。

 

じゃ、くれぐれも節度を守るように。

 

君の盟友メズール・キラグリードより」

 

「親愛なるレィルへ。

 

いかがお過ごしでしょうか。私は初日に宿題をほとんど終わらせました。

きっと貴方たちもそうなのでしょうね。レポート、私にも読ませてね。

さて、来週の週末、聖二十八一族の懇親会を行います。そこで、勝手ながら、貴方とヘルミオネの名前を出させていただきました。反対者はなし。貴方たちの合意さえあれば迎えを出します。参加は自由なので断っていただいても構いません。

個人的には、来ていただければうれしいです。いい返事を待っています。

 

よい休暇をお過ごしください。

 

貴方の友人 アリシア・ティファールより」

 

手紙はこんな感じの二人らしい文面だった。レィルはどうやってメズールが手紙を書くのと宿題を済ませるのを同時進行しているのかが個人的に気になった。

そして、アリシアからのパーティーの誘いだが、これはヘルミオネが了承しないとなんとも、と言ったところだ。この家の権限は今のところヘルミオネが握っているし、それにヘルミオネの嫌がることはしたくない、というのがレィルの本音だった。

基本的に第一優先事項がヘルミオネである彼は、どんな物事であろうと全てを後回しにできる。いつかの生気補給も「場所を変えよう」としただけで後回しにした訳ではない。行動における脳内ヒエラルキーのトップは間違うことなく彼女なのだ。

ともあれ、そんな事情もあり、今すぐに決められないのがレィルという人間だ。彼は部屋を出て、まっすぐにヘルミオネのもとに向かう。

長年、といっても十年ちょっとの付き合いではあるが、「たぶんこの辺りにいるだろう」ということは自然にわかるようになってきた。恐らく、リビング。

その予想はズバリ当たり、ヘルミオネはリビングにいた。安上がりにできる簡単なカルボナーラを作っていた。

 

「どうしたの、レィル?」

 

物音はしなかったにも関わらず、レィルがリビングへと通じるドアを開いた瞬間に振り向いた。やはりヘルミオネもレィルの位置が何となくわかるのだろう。

 

「アリシアから手紙が来てた。聖二十八一族の主催のパーティーに参加しませんか、だってさ」

「レィルはどうするの?」

「行ってみたい気はあるけどね。でも、ヘルミオネも呼ばれてるんだ。君がいくなら僕もいくよ」

 

そういいながら、レィルは冷蔵庫からサイダーをとりだし栓を開けた。ヘルミオネはずっとレィルを見ていたかったが、ベーコンを焦がしてはならなかったのでフライパンに目線をも度した。

 

「……行く」

「わかった。アリシアに返事をしておくね」

 

少しだけ思考したヘルミオネは、賛同を示した。しかしてその頭の中身は、「レィルが行きたそうにしているから」である。なんだかんだ言ってこの二人、互いが最優先事項に入っているのである。

丁度焼きあがったベーコンをフライパンからまな板に乗せて包丁で短冊上に切っていく。それをソースとパスタに絡ませ、皿に盛れば、完成。

 

「できたよ」

「ん」

 

飲みかけのサイダーを脇において、レィルはフォークを取り出す。始めてくる場所なのでフォークの位置がわからなかったので、呼び寄せ呪文で取り出した。

 

「「いただきます」」

 

食事をしている間、そこに会話は一切ない。そも、どちらも打ち明けるような性格ではないので、ただ食器と皿が擦れる音しかしないのはある意味必然だ。

きっかり二十分後、二人の皿からパスタが消えた。流石にソースは少し残っているが。

 

「明日はどうする?」

「宿題を終わらせよう。あまり量がなかったけど、スネイプ教諭から新薬のレポートを書けって言われてるし」

 

本来の課題の中にそんなものは無いが、列車に乗る前に姿くらましで現れたスネイプがレィルにこう言ったのだ。

 

「吾輩から貴様に特別課題だクローター。生ける屍の水薬を超える睡眠薬を開発し、そのレポートを提出しろ。もちろん現物も一緒にだ」

 

そのまま質問に答えるわけでもなく、現れたときのように直ぐに消えていったのだ。レィルはスネイプを自由人認定するのにそう時間はかからなかった。

とはいえ構成案事態は元々あったものなので、それほど苦にはなっていなかった。睡眠誘発薬といい、当たりに散布するだけで激しい睡魔に襲われるというものだ。割りと民間でも手に入れられる素材ばかりなのでできれば封印したかったのだが、仕方ないと諦めた。提出するのはこの薬だ。

ただし、まだレポートは書いていないものとする。

食べ終わった食器を片付けて、レィルとヘルミオネはそれぞれ自室に入っていく。ヘルミオネはすることもないのでそのまま寝るが、レィルは手紙の返事を書かなくてはならない。ベッドにタイブしたい気持ちをおさえ、机の羊皮紙を一切れ取って、羽ペンをインクにつけて書き始めた。

 

「親愛なるアリスへ。

 

手紙をありがとう。宿題はこれから始めるけど、きっと二日もかからないと思う。

レポートは懇親会の時にでも見せるよ。ドラコやダフネにもね。

懇親会の話だけど、喜んで参加させてもらうよ。ヘルミオネも行くけどね。

そちらで会えるのを楽しみにしています。

 

貴女の親友 レィル・クローターより」

 

こんな感じの簡単なもので済ませ、メディクルスの足にくくりつけておく。眠っている動物を起こすのは嫌なのだ。

レィルはそのままベッドに入り、流されるようにまぶたを落とした。来週を楽しみにしながら、二人の夏休み初日は幕を閉じた。

 

 

 




いえあ、二章開始しました、antiqueです。焼き鯖クソうめぇ()

これと、あともう一話はオリジナル小話です。基本的に原作と関係がないのであげようか迷ったのですが、あげることにしました。

別荘の多いディマイント家。彼らを貸している状態なのでその分お金も入ります。

で、プロローグにいたビートの登場。個体名スフィンクス・アウラードです。
イメージ、というか、某人理焼却ゲーの太陽王さんがバレンタインのお返しにってくれたあの猫です。かわいい()
プロローグにいなかったヴェールヌイ。オーグリーです。
アイルランドの不死鳥と呼ばれています。アイルランド・マリジョールのダイアナと一緒にトランク・インしました。
彼は、一応レイヴェルに慕情があるのですが...私と同じタイプですね。「好きな人が幸せならそれでいい」ってラブコメで報われないタイプ。
そして、ユミル。生まれて間もないとらんくの中の主人公()

メズールとアリスからの手紙。私には女子からの手紙なんて0ですよ、欲しくなんてありませんけど
とりあえず行かせることにしました。オリジナルを考えなきゃいけないっていうリターンが痛すぎる()

では、次の話で会いましょう、サラダバー




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