【再構成のため停止】レィル・クローターと魔法生物   作:antique

17 / 27
ずっとここでお気に入り登録者様方のお名前を出させていただいていたのですが、紙媒体の「InOut」がどこかへ行ってしまったのでこれにて仕舞いとさせていただきます。
それでも日々日々増えていく登録者様方、本当にありがとうございます!


命短し

 

 

 

 

夏休みも終え、やはりひとつのコンパートメントにレィル、ヘルミオネ、アリシア、フィリップ、メズール、ハーマイオニー、ダフネ、マルフォイが集合しトランクの中に入ろうとして、レィルははたと気がついた。

 

「……いつの間にか部屋が大きくなっている」

 

部屋が、というのはトランクの最大容量の事ではなく、トランクの中の世界のど真ん中に立っている小屋のことである。小屋といっても中くらいのコテージぐらいの大きさだったのだが、今は一回り、いや二回りぐらい大きくなった。

別荘にいる間は生物水入らずで、自然に近い活動ができるように、と予め防腐対策などもして餌を置いていったので中には入っていない。ので、誰かが指示した、ということもない。

ヘルミオネも疑問に思っている中、その答えが天井が開くと同時に出てきた。

 

「私がやったのだ、主よ」

「ミネマ」

 

ミネマ。世界最大の蜘蛛アクロマンチュラであり、割とトランクの古参に入る住人。

なんでもミネマが言うにはフォウが外で割と知り合いが増えているからここも大きくしよう、ということでボウトラックルやら角水蛇(クロエ達)やらその他もろもろに頼んで素材を調達してもらい、拡大工事を行ったらしい。

と、言うよりも。

 

「お前の仕業だったのか、フォウ」

「ンキュ?」

 

原因であるフォウは先程からメズールに撫でられていた。恐らくこの他にもきっとやらかしているだろう、レィルは早急にライトニングボルトで探索をすることを決めた。

そのままレィルのレポートの発表、お土産交換、パーティー報告などホグワーツに着くまでには話題は尽きない時間だったが、三回ほどトランク()がノックされたのでレィルは梯子を登っていった。トランクを開け、客の顔を見たレィルは微笑んで「いらっしゃい」と言いながら手を引いた。

そこから現れたのは新入生であるジネブラだった。

 

「紹介するよ。この子はジニー、ウィーズリーの所の末っ子」

「は、はじめまして、ジネブラ・モリー・ウィーズリーです!ジニーとお呼びください!」

 

勢いよく腰を直角に曲げ頭を下げるジネブラ。緊張しているのか、その声は少しだけ震えていた。

何故彼女が彼らがいるコンパートメントが分かったか、という事だが、実はヘルミオネがジネブラ宛に手紙を一通だけこしらえていたのだ。どの辺のコンパートメントに入るかだけを記載したのだが……よもや、フィリップでさえ一発で当ててみせた(・・・・・・・・・)とは思いもしないだろう。

緊張しているのがわかるジネブラのその様子にアリシアは微笑みながら近づいた。

 

「はじめまして、では無いけれど。アリシア・ティファールよ」

「私はメズール・キラグリードー!よろしくねー、ジニー」

「初めまして、ハーマイオニー・グレンジャーだわ」

「久しぶりね、ジニー。私の紹介は要らないでしょ?」

「なら、僕もだな」

 

アリシア、メズール、ダフネ、ドラコの順番で自己紹介(?)をしていった。そして、ジニーの大本命(想い人)

 

「まぁ、はじめまして、だな。フィリップ・L・ハワード、好きに呼びたまえ」

「は、はい!では、僭越ながらお名前で……」

 

フィリップは始め存在を気づかないながら自己紹介をし、ジネブラはそれに頬を僅かに紅く染めながら返した。それを見てハーマイオニーはどこか胸がモヤモヤしたような感覚を覚えるが、それは今は放置した。

一通り自己紹介が終わった後、バチンという音がした。数名はそれが何か分かっていなかったが、ドラコ、ダフネ、アリシア辺りの貴族層は一瞬でこの音の招待を看破した。

 

「レィル、雇ったのか(・・・・・)?」

「雇ったというか……いつの間にか住み着いていたというか」

「けど、普通のとは確実に違う」

 

ヘルミオネが言った違う点は、その音の方を見ればすぐに分かった。普通ならあるはずのないパーカーとズボン、そしてスリッパを身につけているのだから。

 

「お、帰ってたのか、人間(レィル)

「……うん、ただいま、アリー」

「何やら客人も多いらしい。パイはいるかい?」

「お願い」

「了解、クイーン(ヘルミオネ)

 

割と柔らかな大きな目玉、とんがった鼻に羽ばたかせれば少しは受けそうなパタパタする耳、小柄でポケットに手を突っ込んだ、どこかニヤついた顔のソレは、指を鳴らしてパイを用意した。この中でこの生物を知らないのは、恐らくハーマイオニーのみ。

 

「彼はアリー。屋敷しもべ妖精なんだけど……初めからあの格好でね」

「私のことをクイーン、と呼ぶのだけれど、それ以外は人間(・・)で統一してる」

「あのパーティーか終わった後にトランクに入った時にのんびり紅茶を飲んでて……」

 

そう言いながらレィルはアリーを見るが、やはり足を組みながら紅茶を飲んでいた。ドラコもここまで気ままな屋敷しもべ妖精は見たことがないのか、あるいは自分の家のとを比べているのか唖然とし、口が開いたまんまだった。

という時に、やはりマグル出身のハーマイオニーはやはり分からなかったようで、アリシアに問うた。アリシアは頷きながら説明を始める。

 

「屋敷しもべ妖精、見た目はこんなのだけど、基本的なのはボロボロの枕カバーを来てるのだけれど……」

「大体は一つの家に住み着いたら一生をそこですごし、あらゆる家事を賃金なしでやる。家政婦を雇うよりも遥かに効率的だ」

「何かミスをすれば自分から罰をかす、って言うこともあって、一部の魔法使いは屋敷しもべ解放を目論んでたんだけど、他ならぬ屋敷しもべ妖精達によって鎮圧されたっていう歴史もあるわ」

「彼らにとって人間への奉仕こそ最大の幸福、みたいな所があるから」

 

聴きながら、ドラコの時に一瞬だけ顔を顰めたハーマイオニーだったが、アリシアの「人間への奉仕こそ最大の幸福」という発言に非常に不服そうな顔をした。無理もないだろう、マグルの世界は働く者に賃金を与えることは常識と言って過言ではないのだから。

しかし、それを鑑みてもアリーという屋敷しもべ妖精は常識から大きく逸脱していた。優雅に紅茶を飲む姿はとても只管(ひたすら)こき使われるためだけに生まれた存在とは思えず、普通の人間とさして変わらないように見える。

 

「おっと、お客さんの追加だな……二人か?」

 

アリーがニヤついた顔を崩さずに指パッチンでパイをもう二つほど用意する。レィルはため息を吐きながら梯子を上がって行った。

 

「えぇっと……あなた」

「おうおう、普通にアリー、でいいんだぜ?それといった個性も何も無いんだからな。お前らのような人間と違って」

「そう……じゃなくて。アリー、あなたなんで分かったの?」

「このパーカーをくれた人間(ゴシュジンサマ)が変に弄ってくれたからな」

「なっ!?」

「冗談だ、悪いな人間(ハーマイオニー)。答えは魔力反応さ」

 

トン、と一瞬でバチンという音を鳴らしながら姿くらましをしてハーマイオニーの目の前まで移動し胸のあたりを押すアリー。なんという魔力の無駄遣い。

 

「魔力の質が似ているから兄弟か、双子か……この中で一番質が似ているのはジニー(おまえさん)だな」

「──ごめん、普通に心当たりがあるわ」

 

兄弟、もしくは双子、という点だけでもジニーには心当たりがあった。そも、彼女にはホグワーツの知り合いが少ないのだが、それ以上に彼らが何かをやらかしてくれる可能性を失念していた。

 

「「よう皆様方、邪魔するぜ?」」

 

──すなわち、ウィーズリー・ツインズ(フレッドとジョージ)である。

 

・・・

 

「しかしすげぇもんだよな」

「この管理、お前達夫婦でやってるんだろ?」

「忙しいだろうにこの綺麗さ」

「「ぜひロニー坊やに見習って貰いたいな」」

 

上がってきてそうそう、二人は物色を始めた。危ないものは基本的にレィルの研究室に置いてあるものの、たまに失敗作も転がっているこの部屋を「綺麗」と称するツインズ。

逆にそこまで言わせるロナルドの部屋を見てみたい気もしたレィルだが、それはそれで何やら面倒なことになる気がしたので辞めることにした。

二人が入ってきてからしかめっ面なダフネとドラコを宥めるアリシア、フォウを愛でるメズール、アリーとチェスを始めたフィリップとそれを眺めるジネブラ、という割とカオスなトランクの中。レィルは既に慣れてしまっている現状にため息が出そうになった。

 

「しかし悪いなハワード」

「うちの坊やが突っかかったんだっけ」

「形だけで悪いが謝罪はしよう」

「うちの弟が済まなかった」

「……フレッドとジョージが謝った!?」

 

けして謝ることがない、謝ったとしてもふざけてでしか謝らない、というレッテルを自分で貼りに行ったツインズが、目の前で、妹がいる前で謝った光景を見たジニーは素直に驚愕した。フィリップはそれに一瞥し、ナイトを動かして答えた。

 

「別に、どちらかと言えば突っ込んだのは此方だ。貴方達が謝る必要は無い……スティル・メイト」

「……マジか。一応負け無しだったんだがな」

「真っ先にフルーズを出してきた時は焦ったんだけど」

 

スティル・メイト。それは、チェスのルール上どちらも手を出せなくなり停戦状態となる事を指す。

また、フルーズ・メイトとは、チェスの性質上相手が思い通りに動いてくれた場合発動する四手詰み。まさか屋敷しもべ妖精が頭がいいのは分かるがチェスに精通しフルーズを知っているとはフィリップもよもや思わなかった。

コトリ、とチェスの駒を置いたフィリップは立ち上がり、ツインズの方に向いた。

 

「あれはただの僕のわがままで、偽善なだけだ。それに関して第三者にどうこう言われる筋合いはないし、謝罪もはっきり言ってどうでもいい」

「それでもさ」

「こういうのは形が大事だからな」

「では、受け入れよう」

 

杖のメンテナンスをするのか、フィリップは杖を取り出して杖台に置いた。敬語も使わないようなプライベートな言葉だったが、ツインズはそれで満足だったようでアリーに二人1プレイヤーという反則ルールでチェスを挑んでいた。

 

結局、ツインズの頭脳を持ってしても6敗1引き分けを取るに止まり、そのあとは着替えてホグワーツ駅に着いた。男勢がコンパートメントに、女勢がトランクに、ということもなく、ミネマが客が多いことを思い、部屋を増やしたらしいのでそちらで着替えた。

ちなみにツインズがチェスで頭をひねらせてる間、レィルはアリーが何か大きな改造をしていないかを確認するため箒でトランクの中を一周していた。もちろんヘルミオネも一緒に行った。

途中、どこぞの馬の骨(赤毛の同級生)がフィリップに対し突っかかって行こうとしたが、その前に自らの妹の神をも殺せるような目線に萎縮しそのままセストラルの馬車に乗って行った。(くだり)の妹は楽しげにボートのほうに乗って行ったが、あの兄はここ一年間はずっと沈んだまんまだろう。

 

結果先送り(どうでもいいことには関わらない)。レィルはヘルミオネと共にホグワーツの門をくぐった。




最近友人がヤンデレの良さを分かってくれずもやもやしてるantiqueです。ヤンデレいいじゃんか()

ちょいと今回は短かったですかね。約4000文字……まぁこんなもんか。
確か「畏怖の象徴」か「クライアント」辺りででた気がするミネマさん。このトランクでは有権者でもあります。不祥事の際、割と纏める力があるので。

さて、大本命が目の前ではっちゃけそうなジニーと、それをつまらなそうに見るハーミーちゃん。安心しろ、ハーレムルートは用意してある(主人公ではない)

そして、新キャラのアリー。容姿はUndertaleのSansを頭に思い浮かべてください。
こいつもこいつで割りと凄い濃いキャラなんですが……まぁ、彼が主人公のお話は出てきませんので悪しからず。

では、次の話で会いましょう、サラダバー




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。