【再構成のため停止】レィル・クローターと魔法生物   作:antique

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不思議少女は密かに笑う

 

 

 

母子の仲が邪険なまま過ぎていくが、別に誰もそれを指摘も仲介もしないのでどうしようもなく。レィルも自分から歩み寄ることをかなぐり捨てているため、ぶっちゃけステファニーが根気よく続けていくしかないのだ。

現在レィルは一年前に取得した禁じられた森の無許可入出権を行使し、土曜日だから、というのを口実にトランクの住人の一部をここへと放そうとやってきている。一応勝手に出入りできるとはいえなんの報告もなしに行くのは心配をかけるかと思いたまたま出会ったスネイプに告げている。

 

「さてと……カム、ノノ、コール、ライナー、ナリフォーレ、フリーヤ、リディ。みんな出ておいで」

 

トランクをあけ、杖で二回叩く。それが外出時の合図だ。初めに出てきたのは大型の雌雄(つがい)の狼、ヒッポグリフ二匹、ズーウー、サンダーバード、ニューレル・ユニコーンの計7体だ。

カムとノノは響狼と呼ばれる基本的に沼地に生息し、広範囲を番とともに旅をする巨大な狼で、二匹は旅をしている最中ノノが大怪我をした際、レィルに助けられてトランクの住人となった。見た目もさながら、牙や鬣は美術品として飾られていたこともあり、現在はそこまで個体数が多い訳では無い。

トランクの中には響狼の番は彼らしかいないので、子供が出来るとしてもトランクの子孫は親近相姦の成れの果てなので、いずれは外に放すことも彼らと約束している。因みにコミュニケーションツールはやはりネイキッドたちシリンドミッションである。

 

コール、ライナーは以前にゼノが「トランクの中の賑やかしに」といってオークションで売られていたので保護するために従者に買わせたものだ。一応隷属扱いではあるが、そのような縛りはないに等しく、トランクの中では四足獣の纏め役のような立場にいる。

コールは普通のヒッポグリフの雌なのだが、ライナーはヒッポグリフとグリフォンのハーフという希少種にも等しい。因みにライナーは雄である。

雑学程度にヒッポグリフとグリフォンの違いを解説しておくと、グリフォンが「鷲の頭と翼を持ちライオンの胴体をもつ獣」で、ヒッポグリフは「グリフォンと馬を交配させた動物」である。結果として突然変異なのか馬とロバの交配種であるラバのように「鷲の頭と翼と鉤爪を持ち、馬の屈強な脚をもつ獣」というありえないものへと進化した。

現在でも交配成功例はライナー以外におらず、どこからかディマイント家が保有しているという情報をリークした金持ちが金をつぎ込もうとしているが、さすがに薮蛇と分かっているからか直接的に手を出そうとしている輩は少ない。それでも現在魔法界でディマイント家以上の財力を有している方が少ないのだが。

 

ナリフォーレは二年前、すなわちホグワーツに入学する少し前にトランクの中に入った新参者のズーウーである。中国旅行の際、やはりサーカスの一員として虐待にも等しい状態で飼われていたのでディマイント家が買収、レィルに預けたのだ。

未だ人間に臆病なのは変わらないが、激昂すればありとあらゆるものを駆逐する生きる兵器と呼ばれる攻撃力は健在である。が、一応言うことは聞くのでそういうことは滅多にない。

 

フリーヤは絶滅危惧種サンダーバードの生き残りであり、さらにこの個体は昔、ニュート・スキャマンダーが保護した個体の子孫に当たると言われている。幻の生物とその生息地であとがきの方にちょこっと書かれていたが、ニュート・スキャマンダーが「なお、私が保護し、とある一件でアリゾナに帰ることになったサンダーバードのフランクの子孫は私の盟友であるヘルミオネ・クローターに保護されている」とあり、フリーヤはその子孫、という説はあながち本当であると言えるだろう。

 

最後にでてきたリディだが、ニューレル・ユニコーンという世にも珍しい「雄が白の体毛」を持ち、「雌が黒の体毛」を持つユニコーンだ。そして特徴的なのが、激昴すると雄は赤の、雌は金のラインが背中に走る。

前年度、スネイプに「ユニコーンの血を提供してくれ」と言われた時に提供したのがリディの血である。そして、ヘルミオネの正体をダンブルドアに明かした時に言った「読心術をしかけてくる動物」というのも彼らである。

ユニコーンといえば基本的に処女にしか心を許さないことで有名だが、ニューレル・ユニコーンは比喩表現なしに心を読み、心が綺麗であると判断した者だけに懐く。結果としてレィルとヘルミオネに懐いたわけだ。

そしてこれは文献にも載らず、レィルでさえわかっていない事だが、ニューレル・ユニコーンは「永遠に愛する者」がいるならば、真なる忠誠を主人に与える。だからヘルミオネもレィルも、普通以上に懐かれているのである。

リディはそんなニューレル・ユニコーンであるが、他の個体よりも些か激高しやすく、よく背中にラインが走っている。仲間思いといえば聞こえはいいが、それで約一名を殺しかけたことがあるので、その戦闘能力は確かにユニコーンなのだ。

 

彼らは悠々自適に久しぶりの生の自然というものを堪能している。それと同時に、レィルは後ろの少女へと振り返った。

 

「これでいいか?ルーナ」

「うん。大満足」

 

プラチナブロンドのボサボサの髪を揺らしながら、目をキラキラと輝かせながら少女は頷いた。

 

ルーナ・ラブグッド。スネイプに禁じられた森へ行くことを告げる時に偶然にも会ってしまった今年入学した1年生で、何やら魔法動物に興味があるということらしく、スネイプに同伴を任せられたので一緒に来たのだ。

初め会ったときもどこかふわふわしていたが、リディに懐かれるぐらいには心は綺麗らしいので、一応の警戒心は残しているものの触らせるぐらいならばどうとでも、というぐらいには触れ合いを許可している。

今でもノノやリディといった雌個体に囲まれながら、先天性的な読心術を使えるのか、はたまた噂で聞いた「空想的発言」というやつなのか、それでも彼女らと話が出来ているというのは、一種の才能なのだろう。雄個体組は、羽を休ませたり、妻を見守ったりと各々がしたい事をやっている。

 

レィルはそれを目尻に、トランクをもう一度開けた。ルーナがこちらに気がついたが、それを無視して杖を取りだした。

 

「……プロテゴ・トラタム(万全の守りよ)インペディメンタ(妨害せよ)カーべ・イミニカム(敵を警戒せよ)サルビオ・ヘクシア(呪いを避けよ)

 

守護系の、何かバレてはいけないようなものがあるように、一帯に結界を張るレィル。十分だと判断したのか、レィルはトランクから一人の少女を引き上げた。

 

「……景色は悪いけど、ごめんね……君が望んだ外だよ、リル」

 

前と同じように、やはりシャボン玉のようなものに包まれたままだが、それでも彼女を外に出す。これが今年中の目標だった。

 

リベット・ガードナー。

 

ある事情で、絶対に壊れない泡沫から出ることの叶わない悲劇の少女。定期的に、有り体にいえば月に二日ほど様子をレィル達が見に行っている。

今回、カム達を外に出す、というのは仮の目的で、一番外に出したかったのは彼女なのだ。

 

「……これが……」

「どうかな?お気に召した?」

「うん。ありがとう、レィル」

 

リベットはシャボンから出ずに、レィルに抱擁した。因みにこのシャボンは割れこそしないが、特定の人間が近づくと中に入るようになっている。

ルーナがは特別な事情があるのかと幼いながら理解し、ノノの毛皮に包まれていた。ノノも子供のように扱っているのか、ルーナに割りと好意的である。

 

その後、ルーナは動物達と共に自然を満喫し、レィルはリベットと心行くまで一緒にいた。

 

・・・

 

「でもすごいね、ズーウーなんて初めて見たよ」

「まぁ、その年で見ている方が少ないとは思うけど」

 

リベット達をトランクに戻し、ホグワーツに戻る途中、レィルとルーナは普通に談笑していた。空想的な発言も、裏を返せば「自分のやりたいようにやっている」だけなので、今のところ自由とは縁遠いところにいる(・・・・・・・・・・・・・)レィルからすれば羨ましいものであった。

 

「基本、魔法動物を目にする機会というのは人の死を見ることよりも低頻度。だから、本当はこんないきものなんだよ、って世界に伝えると同時に、虐待や隷属化しているような動物達の解放を目標としている。まあ、ようするに正しい知識を身に付けましょう、ってことなんだけど」

「いいことじゃないかな。偽善の押し付けでもないし」

 

まっすぐとしたことを言ったつもりだったが、やはりこの不思議少女には解釈のしかたが違うようで。それを問おうとしたときに、前から知り合いが歩いてきた。

 

「およ~?レィルー。やっほー」

「こんにちはメズール」

「飴ないかなー?切らしちゃってー」

「僕が持っているはずないだろう?無限飴玉はどうしたのさ」

「飲み込んじゃったー」

 

あいかわらずなのほほんとした、されど取っつきにくいようなしゃべり方をするメズール(友人)にレィルは思わずため息を吐きかけたが、隣にいる少女に紹介をすることを忘れていた。しかしやはり天然というのは行動が読めず、メズールは既にルーナの前まで瞬間移動していた。

 

「おー?可愛い娘だねー。一年生かなー、お名前はー?」

「初めまして、ルーナ・ラブグット。ルーナでいいよ」

「ルーちゃんかー、私はメズール・キラグリードだよー、よろしくねー。それとレィルー?浮気は良くないよー?」

「何でそうなるのさ。彼女とは今日初めてあったばかりだよ」

 

自己紹介をしていたはずなのに、なぜか浮気を疑われげんなりするレィル。一応弁明しておくが、レィルの行動するに当たる脳内ヒエラルキーの最上位はヘルミオネで不動なので、彼に浮気を疑っても仕方がない。

だというのに平然と浮気を疑ってくるあたり、流石は同年代一のつかみにくさである。しかしそんなメズールも、天然同士繋がるところがあるのかルーナと意気投合していた。

 

彼女らはそのまま話ながらどこかへ行ったので、レィルはやるせない気持ちになりながら部屋へと戻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

なお、その日の生気の吸引は、いつもよりも少し多目であったことをここに記載する。

 

 




ども、自分を大切にする方法、antiqueです。チップスターウマウマ。

先週中間テストとかいう意味不明なものがあったので少しばかり短めになってしまいました。ご了承ください。
前章「畏怖の象徴」につづき、動物登場回です。やったぜ。

ノノ、カムの種族名からわかる通り、彼らの出展はモンスターハンターフロンティアよりカム・オルガロン、ノノ・オルガロンです。見た目もまんまとお考えください。
ヒッポグリフと銘打つものの、その片方は変異種というオリジナル。名前は勘なので特に深い意味はありません。
で、ズーウーのナリフォーレ。ファンタビで出ていたあの猫ですね。
サンダーバードはこういう設定があった方が外伝で絡ませやすいかなと思いこうしました。名前はフランクをちょいともじりました。

で、この回で一番出したかったリディ。一応雌個体であり、勿論雄個体もいます。
ご唱和ください、ユニコォォォォォォォーンッッッッッッッ!!!

では、次の話で会いましょう、サラダバー。




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