【再構成のため停止】レィル・クローターと魔法生物   作:antique

21 / 27
いっそ清々しいまでに

 

 

 

レィル達は、突如としてフィリップに呼び出された。

 

とは言えども、やはり集合場所はトランクの中。ので、授業終わりに食事にも出ずにレィルの部屋へと向かうように指示された。

一応このことは先にアリーに言っていたようで、レィルがアリーへと伝えると「まだ聞いてなかったのか?」と少しだけ驚かれていた。いつ聞いたかと問えば「一昨日のチェス勝負の時」だそうだ。

詳しい話なんて誰も聞かされていない。とりあえず集まったのはアリシアとメズール、ドラコ、ダフネ、そして……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うむ、集まってくれて感謝する」

 

まず初めにフィリップがそう切り出すと同時に頭を下げた。レィル達は早く本題に入って欲しいので何も言わない、のだが。

 

「えっと……フィリップさん、なんで私まで……?」

 

また面倒事のたぐいか、それともこのメンツでなければ出来ないことなのか、まだ詳細を話されていないために定かではないが、それでも何故か一年生のジネブラがここにいるのはやはり何かを疑う他ない。アリシアとメズールを見ればうんうんと頷いており、ダフネに関しては溜息をつきながらフィリップに目を向け、ドラコは裏切り者の血と同じ空間にいるのが少しばかり気に入らないようだ。

頭を上げたフィリップはひとつ頷き、杖を取りだした。

 

「マルフォイとジニーには言っていなかったが、僕にはひとつ特異体質がある。魔力を目で確認す()ることが出来る」

「魔力を目で?どういうことだ?」

「厳密には、戦闘用呪文、すなわち武装解除のような対象が生物であったり、もしくは当たれば直ぐに効果が発揮される粉々呪文のようなものを除き、人の魔力を色、形、大きさから判断することが出来る。網膜が少々特殊なようで、僕はそれを見ることが出来る」

 

フィリップはひとまずソーサーに認識阻害呪文をかけ、一緒に持ってきていた紙にインクを少量垂らして杖を振るった。紙には青の羊のペンタグラムが描かれた。

 

「これが認識阻害呪文の形だ。こんなふうに魔力が見えはするが、色に関してはどこまで効き目があるかで、青が最高ランク、最低ランクは赤だ」

「マグルのサーモグラフィーを逆にした感じなんですね」

「サーモグラフィー……?」

「あ、マグルの技術で、温度を測る事ができる機械、だそうです。お父さんがこの前珍しいものを見た、とはしゃいでいたので」

「ウィーズリー……本当に聖二十八一族から除外するか」

「ドラコ、その言葉はせめて次代になるまで取っておきなさい。こちらも魔法省から「マグルとの隔壁的存在のはずなのに大きな穴を空けられている」と難癖つけられてるのだから」

「申し訳ございません、アリシア様」

 

さも平然としてウィーズリーへの悪態を零すドラコを宥めるアリシア。自分の父親がそんな評価を受けていることに驚きつつ、やはり「父がすいません」と謝っているあたり、ジネブラは出来た子なのだろう。

フィリップはその様子を見つつ、紙に書かれたインクの色を青から黒にもどし、紙から抜き取った。結果的に羊皮紙には何も書かれていなかったことになる。

自分と遜色のないレベルの魔法使いと思っていたレィルだが、どんな訓練をすればここまでの技術を得られるかも疑問に思った。レィルはトランクの中という外から絶対にバレない場所があるが、フィリップの場合はそうではないだろうし、何より聖二十八一族総督家というアリシアが近場にいるせいで人目もあっただろうに、自分と同じ領域に立っているフィリップに少なからず驚いていた。

 

「で、なんだが、それでもやはり確認していない模様もあったりする。最近新しく確認したのは不死鳥変異種のレイヴェルの透明な逆三角」

「透明?どういう……」

「いや、それはどうだっていい。ともかく、そういったものを見れるということだけを認識して欲しい。で、最新は……」

 

言葉を紡がず、フィリップは杖をジネブラに向けた。

 

「君だ。ジネブラ・ウィーズリー」

「……えっ?」

「薄緑色だからこそまだ本質を保てているが、分からないのはその形だ」

 

再び杖を振り、今度は羊皮紙にはインクをこぼさず、宙にその形を書いた。その形を見て、数人が、首を傾げた。

 

「……フィリップ、これは?」

「僕がみた形だ。お生憎様、この正体を僕は知らない」

「三角形に真ん中で割られた線、で三角形の辺全てに当たる円?」

 

不可思議な模様に反応を示したのは聖二十八一族の純血代表とも言える三人。フィリップもそれがわかっているからなのか、アリシアの方に目を向け、彼女もそれに頷いた。

 

「……これは、死の秘宝よ」

「死の秘宝……?」

「三人の魔法使いが死から逃れるために死から与えられた三種の用具。1つは、現在校長先生が所持しているニワトコの杖」

「1つは、忌々しいポッターが持っているとヘルミオネが言っていたな。透明マント」

「1つは、今はどこにあるか分からない、蘇りの石」

「真ん中の線が杖、丸が石、三角がマントよ」

 

解説をいれる三人に、納得のいく表情をしたようなレィルとフィリップ、ヘルミオネ。ジネブラだけはまだ状況が掴めていないのか、少しだけ困惑している。

 

「そんな……その、死の秘宝が形として現れるのは……?」

「残念ながらそこまでは分からない。ただ、色つきであるという点を考えれば何らかの形でジニーを蝕んでいる可能性が高い」

「っ!?でも、どうやって?」

「まだ被害が出ていないところから見れば、精神干渉系、恐らくゆっくりと効果が現れるのだろう」

 

まさか自分がそんなことになっているとは露ほども思わなかったジネブラは多少なりともショックだったのか、少しだけその体をふらつかせた。倒れそうなところをダフネに支えられ、ベッドへと腰をかけた。

 

「どうするのフィリップ?」

「勿論原因を破壊する。とはいえども、問題はどこにあるか、なのだが、やはりジニーの所有物の可能性が高い、そこでだ」

 

フィリップはアリシアの問いに頷きながら、ジニーの前に膝をついた。

 

「君の所有物に気が付かないうちに混ざっていた(・・・・・・)もの(・・)はないか?」

「……一つだけ。あの、マルフォイのお父さんとうちのお父さんとのゴタゴタの後、気づいたら鍋の中に入っていた本が」

「決まりね。というかドラコ、あんたその時何してたの?」

「2階で本を漁っていた」

「……ほんとアリシア様以外になるとどうでも良くなるのね。知ってる?あんたって「女になるとツンデレっぽくなりそうなのにデレることもなければツンすらなくなりそう」って言われてるのよ」

「何だそれは?侮辱なのか?」

「さぁ?ハッフルパフの子に又聞きしただけだから意味は知らないもの」

 

恐らくハーマイオニー、またはマグル界、魔法界ともにある程度の知識があるメズールなんかがいれば吹き出していただろうが、残念ながらここにはレィル(ヘルミオネと魔法動物)ヘルミオネ(レィル)アリシア(箱入り娘)ジネブラ(フィリップ)などというその手の趣味がわからないものだらけなのでスルーするしかない。勿論フィリップは意味を知っているのだが、こんな状況でツッコミを入れられるほどシリアスブレイカーではなかった。

ひとまずその対処は後日に回すとして、ジネブラの「気づかないうちに呪われている」というショックから解放させるため、1度解散させた。行動するのは、一週間後。

 

 

・・・・・

 

 

一週間後、の前に、フィリップはジネブラに頼んで呪いをかける本らしきものを借りていた。見た限りはただの日記帳だが、古びているが上質な革本であり、トム・マールヴォロ・リドルという文字も刻まれている。

ただ、問題が一つだけ存在する。もちろんそれはジネブラの呪い関連の話である。

 

実は、あの時フィリップは2つほど嘘をついた(・・・・・)

 

三角形に丸と垂直二等分線。それが死の秘宝を表すものであるということは勿論知らないわけがない。と言うよりも、そもそも世界の知識全てと接続できるフィリップが知っていないはずがない。

では何に嘘をついた、と聞かれれば、ジネブラに着いていた魔法の形である。そう、本当は三角に内円、垂直二等分線ではない。

 

骸骨ととぐろを巻いた蛇(・・・・・・・・・・・)

 

それに気がついたフィリップは、ひとまず事情を説明するべくとして、皆が集まる前に基礎知識が必要だと思い地球の本棚に接続。「骸骨」「蛇」「魔法」と3つのキーワードから検索をかけ、その意味を知った。

 

モースモードル(闇の印を)

 

かつてハリー・ポッターがヴォルデモートを打倒する以前より、ヴォルデモートのシンパが使用していた呪文である。空に打上げることにより、骸骨ととぐろを巻いた蛇を雲に浮かび上がらせ、死喰い人の出現の証となっていた。

これにより、フィリップは今回の事件の騒動から確実にルシウス・マルフォイが死喰い人であり、この呪いをかけてきたものが死喰い人、もしくはヴォルデモート自信が起こしたものであると狙いをつけた。というよりも、犯人はヴォルデモートで確定であるとフィリップは思う。

 

何故ならば、トム(T o m)マールヴォロ(M a r v o l o)リドル(R i d d l e)の文字を入れ替えれば「私がヴォルデモート卿だ(I am Lord Voldemort)」となるからだ。

 

だからこそ、前準備が必要であった。フィリップは日記帳を適当に開き、羽根ペンにインクを通して文字を書いた。

 

「こんにちは、リドル」

 

たった二単語。その小さな英文はたちまち日記に吸い込まれてゆき、新たに先程の答えとなるような文が帰ってきた。

 

「こんにちは。僕はトム・リドルです。あなたの名前をお聞かせ願っても?」

 

フィリップはこれで確信した。この日記はトム・リドルである。

日記からそう帰ってきたことが問題なのではない。こちらの名前を聞いてきたのが日記帳をトム・リドルと決定づけた理由だ。

別に会話をするだけなら互いの名前は必要ない。だが、わざわざ情報を引き出すかのように名前を聞いてきた。

温和な雰囲気を出しつつ返事をすれば、それ相応の返事を返す。これがそう設計されたにしては、そんな魔力反応がない。

その上、形は一つだけ。無駄に高性能ならばそれ相応の数が現れるし、認識阻害呪文でさえ見えるフィリップの目は、欺けない。

 

故に、これはヴォルデモートである。

 

「……」

 

フィリップは一人思考する。この日記帳を破壊できるかどうか。

確かにレィル達には「当然破壊する」と告げた。だがそれは最終目標であって、現在それができるとは限らない。

そも、これがヴォルデモートとわかっただけであって、結局のところ日記帳が実際なんなのか、ということはわからない上、仮にそれが判明したところでその破壊方法も思いついていない。大前提として普通の魔法は聞かないであろう。

だからこそ、早急にこれに対しての実態の判明と破壊方法を模索しなければならない。

 

フィリップは地球の本棚に接続し、一度全てを検索した。




ちょっとしたデータが入らなくてなんでこんなシステムが私の代に入ったのだろう、と絶望してるantiqueです。お値段はシグマkは8から10までの6です。

ちょいと難産でした。次はお辞儀滅亡か……な?
感想の方でステフの登場によってお辞儀滅亡が早まるか、と予想していた方がいらっしゃったのですが、そりゃ取り合われる仲ですもん。助けますよ。

自分の身内と判断したもの以外には意外と無関心なフィリップの欠点として、身内には徹底的に甘やかすのです。レィルも同じような欠点を持っているので、同族嫌悪なんてものもなく、いいタッグでいられるのです。
ので、フィリップにはジニーを助けていただきましょう。それと同時にフラグも……へへへ()

では、次の話で会いましょう、サラダバー




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。