【再構成のため停止】レィル・クローターと魔法生物   作:antique

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天然令嬢と王の日記

 

 

「いつかはやらかすと思っていたが、この天然娘は……」

「卒業まで持たせると思ってたけど~、なかなか早かったね〜」

「う、うぅ……」

 

紅茶を優雅にすすりながら、パラパラと活字のない本(・・・・・・)を読み進めていく男一人、棒付き無限飴をスプーン替わりにしてカランコロンと音を立てる女一人。そして、そんな2人に見守られながら正座で座っている女一人。

さらに、それを遠巻きに見ている男女六名。何たる公開処刑か。

 

先の決闘クラブでのまさかの発覚で騒然とした場をステファニーが沈め、レィルがアリシアを引っ張って自室まで連れ込んだ。その時にはもちろんダフネとドラコもついている。

その隙に砂打ち式連絡機を使ってヘルミオネにフィリップ、メズールを呼んでもらった。その時にはもちろんハーマイオニーとジネブラもくっついてきた。

全員をトランクの中に突っ込んで誰も入れないように二重ロックをかけ、アリーに紅茶を出してもらいつつ、何か知っているのではないかと思ったフィリップとメズール(二人)に聞いた。そのところ、やはり二人の前で1度見せているそうだ。

 

遡ること二年。当主となったアリシアを狙う輩から身を守るための知識やら何やらの授業の合間、フィリップと息抜きにチェスをしていた時だ。

どこからか迷い込んでしまったサファイアを額に着けた角水蛇と遭遇し、どうにかして元々の住処に返そうとしていた時に発覚したらしい。ちなみにメズールはその時隣で魔法界のマイナー作家、ダリル・ワーグナーの小説「動物擬きと霞の蛇」を偶然にも読んでいた。

始めはそれが何かわからなかったが、やはりそこは世界の図書館。一発で正解を導き出したらしい。さすがリアルチーターは格が違う。

 

「せめて五年生になるまで持たせて欲しかったがな」

「うっ」

「まさか自爆とは思わなかったよね〜」

「うぅっ」

「だからこいつが当主など無理だと言ってるんだ。花婿を迎えいれて育児に専念した方がまだマシだ」

「だ、だって……」

「いつもアリスのオチの付け方は想像できないから面白いんだよね〜」

「め、メズールは私を助けなさいよぉ……ただでさえフィリップの苦言は耳に痛いのに」

「そりゃ、そうなるように言ってるからな」

「独り立ちって大事だよ~?」

「二人とも他人事のようにズバズバ言って……」

「「だって他人事じゃないか。何言ってるんだ?」」

「うぅ……」

 

何たるアトモスフィアか──この二人、キレッキレである。最後に至ってはメズールも間延びしなくなっている。

かくして、二人に為す術なくボコボコにされたアリシアは蹲り、フィリップはやはり本を読み進め、メズールは無限飴を噛み砕いた。ちなみにこの無限飴、噛み砕く、若しくは胃液に触れる、のどちらかが行われた場合無限生成は止まる。

ドラコは完璧なる従者をめざしているゆえに苦言を呈すことはない。ダフネもこのうっかり癖は昔から目に余っていたそうだが、今はボロボロに打ちのめしたフィリップをどう殴るかを内心腸を煮え滾らせながら静観している。

 

だが、あくまでダフネの言い分は「そこまで言う必要は無かった」とのことであり、発言については改めることもない。事実、それを理解しているからこそ、理由のでっち上げに死力を尽くしているのだが。

ちなみにハーマイオニーとジネブラはズバズバとものを言うフィリップを色呆けフィルターをかざしてみていた。もう何しても賛同するほどの恋慕心、ある意味信者である。

 

「はぁ、うっかり者のせいで予定変更だ。レィル、蛇の王の居場所は分かるか?」

「……蛇の王?バジリスクの事か?」

 

レィルの問に首肯するフィリップ。しかし、レィルにはなぜこのタイミングでフィリップがバジリスクを求めるのかが分からなかった。

 

「なぜバジリスクなんだ?」

「蛇語使いは、本来聖二十八一族が提唱する『古き良き血統』の体現者、サラザール・スリザリンの直列家系、もしくは分家出なければ発現しないものだ。まぁ、調べてるうちに裏技があるのがわかったがそれは今はどうでもいい。で、もしスリザリンの怪物と言われるバジリスクが今もこのホグワーツにいるのならば、それは早急に取り除かなければならない異物だ」

「異物って……そこまで危険視するものか?」

 

確かに、取り扱いには厳重注意すべき対象だろう。何せ目を合わせただけで対象を殺す魔眼持ちだ。

だが、現状バジリスクを起こせるのはアリシアだけだというのに、何を危険視するのか。その答えは、フィリップが今まで調べていたものだった。

 

フィリップはパタリと空白の書を閉じ、代わりに黒革の本を取りだした。背表紙の端に名前が書かれた、トム・リドルの日記(・・)である。

 

「これはつい最近まで悩みの種だったジニーが持っていた本だ」

「そ、それとバジリスクのなんの関係があるんですか?」

 

恐ろしいものに触れると同時に、どこか嬉しそうにジネブラが問う。自分が先まで触れていたものを堂々と見せびらかされる恐怖もあるだろうに、それでも想い人に愛称で呼ばれたことの嬉しさが見え隠れするのは流石と言ったところだろう。

 

「色々と独自に調べた結果、こいつは遺物である可能性が高い」

「その遺物がどんな影響を及ぼすんだ?」

「影響はないさ。ただ、あのままジニーがこれを所持していたら、死人の一人や二人出ていてもおかしくなかっただろうね」

 

器用に本の角を人差し指に乗せて自立させながら目を伏せるフィリップ。中指で弾いて開店までさせ始めたが、その才能はどうなのだろうか。

ストン、と音もなく開かれたトム・リドルの日記に羽根ペンでスラスラと適当に文字を書いていく。次第に文字は消えていく。

 

チェイン・イヴェラブルズ(視覚共有)

 

おもむろに杖を取り出してその場にいた全員に新年度前に作ってきたのであろう魔法をかけ

るフィリップ。何事かと杖を抜いた(・・・)ドラコが次に見たのは、自分が目の前で杖をもって構えている景色で、しかも自分の意図とは関係なしに動いている。

 

「今君たちが見てもらっているのは、網膜を介した僕の視点だ。頭のいい君たちなら、これがどう言うことか、分かるだろう?」

「えっと、つまりはどう言うことなのでしょう」

「つまるところ、こいつの特殊なものが見えるってことでしょ?何で私がこいつと視界を一緒にしないといけないのかしら」

 

ため息をはきつつ、嫌悪していないまでもなかなか辛辣に言葉を吐き捨てるダフネ。その様子にジネブラは苦笑しつつ、共有された視界を見る。

そして、その先に見えたものに、他でもなくドラコとダフネ、アリシアが驚愕した。

 

「嘘だろ……なんでこの模様がここに!?」

「なるほど、フィリップがこれをジニーから遠ざけた理由がいたいほど分かるわ」

「本当に、不味い話ね、これ」

「え、っと、これは?」

 

ジニーに聞かれて口を開こうとしたフィリップ。だが先に、珍しくヘルミオネが喋った。

 

モースモードル(闇の印)。今は姿を消している、闇の帝王が眷属、死喰い人(デスイーター)の印」

 

目の前の、骸骨からの蛇の舌、という不気味なデザインの緑色のそれを忌々しいものを見るような口調で言った。実際、闇の帝王のものと聞いて気分をよくするっ物好きなんて彼のシンパしかいないだろう。

 

「精神干渉系統魔法と同時、生気を吸引し空いた魂の器に自分の魂を刷り込んでいく、虚言う気の一品。だが、それだと元々の魂の器、つまるところこの日記だが、力関係に齟齬が発生し耐えられなくなって自壊してしまう」

「それで、もっとも魂としての格が高くなるその魔法を使ったのね……本当につくづく、ね」

「結局、これは……?」

 

この日記を送りつけてきた第三者、ならびに日記を製作したトム・リドルに苦虫を噛み殺したような声音で話し合うフィリップとハーマイオニーに、割れ物をさわるような感覚で問うジネブラ。深いため息をついたフィリップは、その答えを口にする。

 

「これは、分霊箱。ホークラックスさ」

「ホークラックス?」

「自らの魂を分けて入れ物にいれることによって不死の身体を手にいれることが出来る使用禁止項目第一種魔法(許されざる呪文)。そして魂の元は、ヴォルデモートだよ」

「つまり、乗っ取られたジニーがバジリスクを起こしたかもしれない、と?」

「彼は蛇語使いだったらしいからね。可能性は十分だろ?」

 

もっとも、その心配はもうないが、と続けるフィリップだったが、ジネブラにはもし彼がそうしていなかったら、と思い、恐怖した。打ちひしがれてしまい、ふらっと倒れそうになるが、他ならぬフィリップに支えられ、今度は羞恥やら何やらで固まってしまった。

 

「言ったろう?もうその心配はない。空気中を伝う魔力を吸収するのは無理らしくてね。先手を取り続ければ、まぁこうなるさ」

「じゃぁ、それこそバジリスクに会う必要があるな……その前に」

「ん?」

 

いつの間にか視覚共有魔法が切れていたことを確認しつつ、レィルは厳重に管理された透明なフラスコを持ってきて、おもむろに開かれていた日記のページに垂らした。何を、とドラコが思ったが、すぐに異音と異臭、そして変に燃えていく日記を見て困惑した。

 

「……レィル、一応聞いておくが、これは?」

「バジリスクの毒やら何なら、少なくとも放置していれば死に至る毒(・・・・・・・・・・・・・・・・・)をかき集めて企業秘密的黄金比で配合した殺傷薬品、名付けて『不死殺し(イモータル・キラー)』」

 

さらっととんでもないものを作りあげているレィルに戦慄しつつ、文字通りの劇薬がバチッと変な音を立てつつ日記に吸収されていく様をみつつ、少し彼が恐ろしくなってくる一同。そしてハーマイオニーがふと気になったところを指摘した。

 

「待って、さっきなんて言ったの?」

「少なくとも放置しておけば……」

「違う、そこじゃなくて、その前!」

「……?バジリスクの毒やら何やら」

 

「「「さらっと会ってんじゃあないわよ」」」

 

「え、何、つまり今このトランクにあの蛇の王がいる訳?怖っ、なにこの人怖っ」

「僕らに出来ない事を平然とやってのける……」

「痺れたいし憧れたいけど実質私たちがやろうとすると自殺行為よね」

「これ、褒めていいんでしょうか……?」

「一応、褒めるべき案件だと思うぞ、ジニー」

「違うと思うわ、私」

 

ナチュラルに吐かれた事実に体に鳥肌が立ってきたダフネに、凄いことをした人にはこれを言っておけ、と言われたから実践してみたがさして感性がわからないので棒読みになったドラコ。すごいと一瞬思いはしたがそれが自殺行為であることに気づくアリシアや、褒めるべきかどうかを談義するジネブラとフィリップに否定するハーマイオニー、素晴らしきカオスである。

しかも、それがさも当然だろ?と言った顔で首を傾げているレィルがいるのだから余計タチが悪い。アリーでさえ首を振ってため息を吐いている。

 

「まぁ、会いに行ってみなよ。ヘルミオネ、案内してあげて」

「アリー、レィルをお願い」

「了解、クイーン(ヘルミオネ)

 

収集がつかなくなったため、その場をあとにしようとするその案には全員が食いついた。

 

日記は、気づけば跡形もなく消えていた。




スマホが治っての初投稿、antiqueです。ご迷惑おかけしました。
今後とも同じペースで話を進めていこうと思いますので、何卒このシリーズをよろしくお願い致します。

さて、うっかり娘の説教をする二人組。幼馴染というよりもう保護者枠。
なまじ昔から知っているからこそ、なんでしょうねぇ……。

この日記、実はヴォルデモートだったのさ!
ΩΩΩ<ナ、ナンダッテー!?
ハイハイテンプレテンプレ。その撃退方法は、バジリスクの牙でもなく破戒すべき全ての符でもなく、ニューメディシンの不死殺しでした!
バジリスクの毒だけでもあれなのにスウーピング・イーヴルの両種の毒とかボツリヌストキシンとかテタヌストキシンとかリシンとか大量の青酸カリとか色々入ってます。きっと死神が横切ったんでしょう(すっとぼけ

さて、次は会談ですね。いざ鎌倉。

では次の話で会いましょう、サラダバー




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