【再構成のため停止】レィル・クローターと魔法生物   作:antique

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第1章 トランクの住人
コンパートメントより


ホグワーツ魔法魔術学校。

魔法使いになるべく少年少女が七年制で魔法の知識を学ぶ学校。全寮制で四つあり、それぞれグリフィンドール、レイブンクロー、ハッフルパフ、スリザリンである。

グリンゴッツ銀行を除き、世界で一番安全だと言われている。それはひとえに、アルバス・パーシバル・ウルフリック・ブライアン・ダンブルドアの存在だろう。

正義側の魔法使いで歴代最強と言われている彼がホグワーツの校長に就いている。これほど安全なものは無いだろうと誰もが述べる。

 

「そんな安全な場所で許可も取れた。ダームストラングじゃ無理だったかな」

 

そんなホグワーツに少年、レィル・クローターもお呼ばれした。イギリスでは珍しい黒髪に青い瞳が特徴的な、どこか包み込まれるような雰囲気を持つ少年だ。

レィルは現在一人でホグワーツに向かう列車、ホグワーツ特急のコンパートメントに座っていた。灰色に青いラインが入ったマフラーを首にまきつけ、ウィンチェスターコートを羽織っていた。

景色を眺めながら、覚えている魔法の脳内反復などをしていると、トランクからコツコツという音の後、一つ鳥の鳴き声らしきものが聞こえた。レィルは苦笑いしつつ、トランクを膝の上に乗せて囁いた。

 

「レイヴェル、後で飛ばせてあげるから今はじっとしてて」

 

トランクを一撫でし、また下へと下ろすと、三回のノックがされた。「どうぞ」と答えると三人ほどの男女が入ってきた。

 

「このコンパートメント、空いてる?待ち合わせとかしてない?」

 

代表して金髪の少女が問うてきたので、レィル。

 

「空いてるよ。魔法族の知人はそんなにないからね」

 

少女は頭を下げて、少年はレィルのトランクを興味深く見ながら、最後の一人は楽しげに入ってきた。

 

「入れてくれてありがとう。私はアリシア・ティフール。今年入学するの。良ければアリスと呼んでね」

「あたしはメズール!メズール・キラグリードだよ!ヨロシク!」

 

アリシアは金髪碧眼の綺麗な少女だった。動作の一つ一つに気品を感じる所を見ると、恐らく彼女は純血の家の出なのだろう。

変わってメズールは茶髪にパーマをかけ、バレッタで後ろ髪を纏めていた。灰色の瞳はキラキラと輝いている。

歳より精神年齢が低いかもしれない。

 

「レィル・クローター。僕も今年入学するんだ。こちらこそよろしく」

 

二人と握手した後、今まで会話に入らずにトランクを凝視する少年を見た。自分と同じ黒髪に、彼は目の色も黒だった。

アリシアは呆れながら首にチョップし、自分の隣に座らせた。因みにアリシアの向かいがレィル、左前がメズールである。

 

「フィリップ、貴方さっきから何してるの?ずっとレィルのトランクを凝視して」

「ん?レィル?それはこのトランクの持ち主のことかい?」

 

黒髪少年は惚けた様子で首をかしげた。アリシアは力なく項垂れてしまった。

 

「私達より先にいたんだから当たり前でしょ。頭良いんだから使いなさいよ」

「数年前に僕の頭をポンコツと罵ったのは君だろう?何故いいと言える?」

「うっさいフィリップ。それ以上私を揶揄う事で頭回したらノルウェー・リッジバックの前に突き出すからね」

 

アリシアは杖を抜き出してフィリップと呼ばれた少年に向けた。フィリップはヘラヘラと笑いつつ、視線をこちらに合わせるなりズイっと顔に近寄った。

 

「君がレィルかい?僕はフィリップ・L(レッカ)・ハワード。よろしく」

「あー、うん。レィル・クローター、よろしく」

 

挨拶を終えたフィリップは再びトランクを凝視し始めた。メズールがやれやれと嘆息しているところを見るとこれが平常運転らしい。

 

「で、そのトランク、なんなの?」

「へ?」

 

目は呆れつつ、アリシアがそう問うた。

 

「別に隠さなくていいわよ。告げ口とかしないから。ただ、フィリップはちょっと変でね」

「特異体質と言ってくれ、それじゃまるで僕が変質者のようじゃないか」

「特異体質?」

 

その言葉に素直に首を傾げる。基本的に人間の体に新たなアビリティが着くのは症候群や障害として現れるからだ。もっとも、それはマグルの世界ではのことで、魔法界ではそれが偉大な魔法使いの象徴とも言えるが。

だが、それをハッキリ特異体質と呼ぶ人は少ない。何故ならば親が子供の体質を持ち上げるからだ。

疑問に思っていると、メズールが荷物の中から引っ張り出したらしい棒付き飴を舐めながら言った。

 

「なんかねー、角膜が特殊らしくてー、魔法が色や形で見えるらしーよー。食い入るように見てるのは多分それだねー」

「青の羊のペンタグラム...ということは認識阻害魔法か、しかも緑の五芒星、拡大呪文?けど紫の鱗雲ってことは妨害魔法だろ。中に何が...」

 

顎に手を当てて考え込むフィリップ。カバンからペンと紙が綴られたルーズリーフを取り出し、何やら式を描き始めた。アリシアは呆れ、メズールは三本目の飴を取り出した。ゴミが二つあるから三本目で間違いはない。

そんな時、ポケットから僅かに音がした。取り出したものは、普段なら砂が一直線上に並べられたものだが、今は波打っている懐中時計のようなもの。レィルはそれと耳をリンクさせた。

 

「それなに?」

「あー、砂打ち式連絡機。マグルのモールス信号を元に作ったんだ」

「あー、トンとツーで言葉を伝えるやつでしょー?やったことあるよー」

 

メズールは飴の付いていたはずの棒を上下に振って笑った。いくら何でも食べるのが早過ぎないかとレィルは思った。

 

「Rayle、DE、N.H?HR、I am philosopher。8、1143、BT、Rayle in the train、BT、Hogwarts、F4、stone?use freely。あ、終わった」

 

音の鳴り終わった砂は移動して現在時刻の十一時四十三分を指した。ため息を吐くと、レィルはそれをポケットの中にしまった。

また面倒なことが増えたなと思いつつ、未だにルーズリーフに向き合っている少年を見る。と同時にガバッと起き上がってまたレィルの顔まで近寄ってきた。

 

「どういうことだいクローター?このトランクは物が大量に入るだけの拡大呪文が何度も重ねがけされてる。しかも薄らと、ガラスのような三角形のようなものまである!なぁ、中身を見せてくれないかい?」

「あひゃひゃひゃ、やめときなよフィリップー、人のを物色しても面白いことなんてないよー?」

 

ケラケラと笑うメズールと、呆れてものも言えないアリシア。だが二人ともトランクの中身には興味があるようだった。

レィルはトランクを引っ張り出し、鍵の下のダイアルをマグル用から研究室へ、そして皆の家に変えた。そして片方だけ鍵を開け、しどろもどろになりながら。

 

「あー、別に秘密にしてるわけじゃないけど、魔法生物たちが結構。ダンブルドアや魔法省から許可は貰ってる。これ持ってていいって」

「ダンブルドアから?ってことは皆安全なの?」

「いや、危険なのもいるけど、皆いい子だよ」

 

そう言ったレィルは微笑みながらトランクを撫でた。その表情からは、本当にトランクの中身に愛情を注いでいるのがわかる。

それを微笑ましく見たアリシアをレィルは中身がさらに見たくなったと勘違いしたらしく、二つ目の鍵を開けた。

 

「一体だそうか?」

「大丈夫なの?」

「何時もは危険のないやつだから大丈夫」

 

ガチャリと音を立てて開かれたトランクに頭を突っ込んだレィル。普通のトランクならそうなる前に頭をぶつけるが、頭をぶつけないままある動物に呼びかけた。

 

「おーい、フォウ。来てくれないか?」

 

その言葉に「フォーウ?」という鳴き声らしきものがした後、手を伸ばしていたらしいレィルの肩に猫なのか栗鼠なのか犬なのかわからない生き物が飛び出してきた。そしてアリス達の方をみてコテンと首をかしげた。

 

「おー、可愛いー!キミー、フォウくんって言うんだー?どこから来たのー?」

「フォウ、フォーウ」

 

メズールがフォウを抱き上げ、頭を撫でる。満更でもない様子のフォウは目を細めて心地良さに身を任せている。

アリシアは一向に体勢を戻す気配のないレィルを見ていた。何やら格闘しているようだった。

 

「こら、レイヴェル、出てくるなって。お前の存在は希少何だから」

「おや、クローター。それが僕が見たガラスのような三角形の正体かい?」

 

歌声にも似た綺麗な鳴き声に何かの波長を感じたフィリップはトランクを覗き込もうとする。レィルの体格上、隙間からトランクの中がチラチラと見えるのだが、レィルは気付かずに鳥を抑えていた。

 

「ほら、早くカゴに戻って。なんなら飛んできていいから。違う、外を、ってことじゃない!あっ!」

 

奮闘数分、勝利したのは鳥らしい。フォウは未だにメズールに撫でこねられていた。

アリシアが飛び出した鳥を見ようとして、その美しさにみとれてしまった。それはフィリップもであり、フォウを捏ねていたメズールもだった。

そこに居たのは青い鳥だった。羽は先端に向かうにつれてだんだんと色が薄くなり、先端に近くなるほど綺麗な銀色になっていた。幻想的にも美しいその鳥はコンパートメントを一周すると床に音もなく降り立った。

 

「レイヴェル、外の空気が吸いたくなったのはわかる。けど君は不死鳥の希少種だ、もし邪な考えを持ったやつに見つかりでもすれば捕えられるのが目に見える。入ってくれ」

 

レイヴェルは一度頷き、一鳴きすると、トランクの中に戻って行った。それを見届けたレィルはしっかりとトランクを閉じ、鍵を閉めた。

 

「レィルー、さっきのって不死鳥ー?でも色おかしくないー?」

「えぇ、あれの羽の色は青と銀よ。不死鳥なら赤と金の羽のはず」

 

メズールとアリシアがレイヴェルに疑問を持っていると、フィリップがカバンから本を取り出した。フィリップが出した本は黒字に金枠が付けられた革本だった。フィリップは目を閉じて、本を開いた。

 

「え、中身が全部白紙なのか?」

「フィリップの特殊体質その二ね」

「タイトルも本文も何もないまっさらな本を開いてー、自分の意識を地球の中心部にアクセスするんだってー」

「フィリップはこれを《地球の本棚》と呼んでるわ。キーワードさえ集まれば何でも分かるそうよ」

「へぇー」

 

素直に関心したと同時に、フィリップは恐らくレイブンクローだろうなとレィルは思った。知識がある人ほど知識欲があると言われている。

レィルは自分がレイブンクロー、若しくはグリフィンドールと考えている。まだ見ぬ動物達を見たいという欲求か、どんな動物を相手しても臆さない精神力が上かは分からないが。

メズールはハッフルパフで確定だとレィルは思う。あの間延びしたような雰囲気は誰とでも溶けあえるだろう。

アリシアが入る寮を考えようとした時、「検索完了」と呟いたフィリップがやっと目を開けた。

 

「確かに確認した。フェニックス特異個体、青と銀の羽を持つ。能力事態は通常個体と変わらない。通常個体よりも好奇心が強い。出現確率はファイブカードと同じ」

「ファイブカード!?それってロイヤルストレートフラッシュよりも確率高いじゃないの!」

「幸せの青い鳥とも称されてるね」

「理由聞けば当たり前―、って思うけどねー」

 

フォウが捏ねられることから脱し、レィルの肩へと場所を戻していたために手持ち無沙汰になってしまったメズールは蛙チョコを食べながらカラカラと笑っていた。この反応が嫌なせいでレィルはレイヴェルを出したくなかったのだ。

レイヴェルとは別の青い不死鳥は今でもオークションにかけられており、今は3400万ガリオンが付けられている。それを避けるためにいち早く青い不死鳥を探し、保護したのがレイヴェルなのだ。

この先に不安をよぎらせるレィルにアリシアはひとつ微笑んで、その両手を取った。

 

「そんなに心配しなくても大丈夫よ。仮に私たちが貴方の言う邪な考えを持っているならもう既にトランクをパクってるわよ」

「こちらとしてはトランクの隅から隅まで全部調べ尽くしたい、君は情報秘匿できる。Win-winと言うやつさ」

「そうでなくてもー、私はフォウくんを守るぞー!」

 

フィリップは本の背表紙を撫で、メズールは最後の蛙チョコを口に放り込んで高々と答えた。その姿にレィルは少なからず安心できた。

 

その後、フォウ以外にもアフリカオオコノハズクのメディクルスを取り出して談笑していたところ、2回のノックのうちに赤毛ボサボサの女の子とひょろっとした黒髪の男の子がでてきた。

 

「ねぇ、カエル見なかった?」

「さっき食べ終わったよー?」

「君のはチョコだろうメズール」

 

食べ終わった、という所に後ろの男の子が「ヒュッ」と息を飲んだが、チョコという情報に凄く安堵していた。どうやら男の子のカエルが逃げたようだ。

レィルはトランクから一匹の蛇を取り出し、男の子に近づいた。

 

「君、名前は?」

「え、ね、ネビル。ネビル・ロングボトム」

「じゃあロングボトム、君のカエルの名前、種別、大きさ、色なんかを教えてくれ。あと君の手貸して」

 

ネビルは伝えられるだけカエル、トレバーの情報を渡した。そして差し出した右手が蛇に嗅がれていたので口の端をひくつかせていた。

 

「オーケー。じゃあクロエ、情報とおなじヒキガエルを連れてきてくれ。食べちゃダメだよ」

 

クロエと呼ばれた蛇はシュー、と一鳴きしてその場から姿を消した。文字通り、一瞬で。

 

「クローター、彼女は角水蛇なのか?」

「あぁ」

 

姿くらましを終えて帰ってきたクロエの口にはヒキガエルが咥えられていた。

 

「トレバー!」

「ビンゴか」

 

レィルの手に乗ったクロエはトレバーをネビルに渡し、甘えるように首にすり寄ってきた。

 

「ありがとクロエ。後でラットをあげるから」

 

最後にもう一度鳴いたクロエは腕を伝ってトランクに帰って行った。女の子、ハーマイオニー・グレンジャーとネビルはこのコンパートメントにいることになった。

 

「荷物を取ってくるわ」

「行かなくていいだろ?」

「なんで?」

 

荷物は前のコンパートメントにあるので取りに行かなければならないはずなのに、動かなくていいというフィリップにハーマイオニーは首をかしげた。フィリップはその仕草にハーマイオニーがマグル出身者であると見抜いた。

 

「こういうことさ、アクシオ(来たれ)

 

杖を取り出したフィリップは呼び寄せ呪文を唱え、結構離れていた距離にあった二人のトランクを自分たちのコンパートメントまで引きずり出した。杖を離し両手を開いたその時には二人のトランクが手のひらの中にあった。

 

「これくらいは予習範囲だろう?」

「そうね、スコージファイ(清めよ)

 

杖を取り出したアリシアはメズールのゴミカスに呪文を当てた。当てられたゴミは縮小していき、やがてなくなってしまった。

予想通りマグルだったらしいハーマイオニーに質問詰めにされた二人は、着替えの時間になるまで疲れることを今はしらない。

 

 

 

 

 

 




どもども、筋肉痛のantiqueです。皆さんも過度な運動はお気をつけを。

オリキャラが三人出てきましたね。彼らの間柄は幼馴染です。思いが拗れて恋仲になんて展開はありません。
もう一人彼らと幼少期からつるんでいた人がいるのですが、それはまた後で。原作では妹がフォイと結婚してましたね。

フォウくん魔法界入り。これは昔からやりたかった。
この世界のフォウくんは割とチートです。闇の呪いを受けません。死の呪文も効きません。
プロローグにいた「ビート」という魔法動物といつもレィルの肩を取り合ってます。

で、レイヴェルちゃん。書いてて思ったけどなんだよ不死鳥変異種って。
基本的な解説はフィリップが言った通りです。彼はこの先もハーミーと共に解説役に回ってもらいます。
因みにレィルの事が好きです。大好きです。溺愛してます。

水角蛇のクロエ。水角蛇とは、姿くらましを額にはめた宝石の力によって使い、各地を転々とする蛇です。見た目自体はハリポタ公式サイトをチェック。
彼女がトレバーを連れてきてくれたおかげでハーミーのハリーとロンの顔合わせはホグワーツまで持ち込みになりました。呼び寄せ呪文をしてもいいんですけど、もっと魔法動物達に出番を上げたいので。

では、この辺りで。次の話で会いましょう、サラダバー




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