【再構成のため停止】レィル・クローターと魔法生物   作:antique

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クライアント

 

 

 

 

フリットウィックとマクゴナガルに連れられたレィルは校長室の前まで来た。目の前には魔法で固められたガーゴイルが鎮座している。

 

「ピーナッツバター」

 

恐らく合言葉なのだろうが。ガーゴイルが目を開き、横へとその体を退けた。二人が中に入って行ったのでレィルもあとに続いた。

自動螺旋階段を登って校長室の扉をマクゴナガルがノックし、ダンブルドアに確認をとる。

 

「校長先生、ミスター・クローターをお連れしました」

「おぉ、ご苦労じゃったミネルバ。さて、レィル・クローター君、いや、レィルと呼び捨てにしていいかの?入学おめでとう。夜も老けてきたので用事をさっと終わらせることとしよう」

 

レィルは頷いて了承の意を伝えた。そろそろペッツ達が餌をせがむ時間になってくるのだ。最悪ヘルミオネが何とかしてくれるだろうが、トランクの中にいるかはわからない。

 

「歓迎会の時に注意をした四階の廊下、あそこにある物を置いてそれを守ろうと計画しておるのだが、その手伝いをしてもらおうと思っとる。具体的にいえば、君の魔法生物をいくつか貸して欲しいということになるが、引き受けてくれるかね?勿論対価は払おう。要望があるならば可能な限り応えよう」

 

その言葉にレィルは列車内での信号を思い出した。確かにH.Nも四階だと言っていた。

 

「なるほど、その前に校長先生。守るもの、とは賢者の石で間違いないですね?」

「分かっておるならば話が早い。しかしその情報はどこで手に入れたのかね?」

 

途端、レィルは心の中に何かが入り込んでくるような感覚を覚えた。だが昔ならば常日頃から受けていたものであり、真実ではない情報を送り込むことなど造作もない。

造作もないが、口では一応真実を言っておこうとレィルは思った。ポケットから砂打ち式通信機を取り出してダンブルドアに見せた。

 

「ここに通信が入りましたから。実はフラメル氏とは面識があります。それと、断りもなく開心術を使うのは協力交渉において最も悪手であると警告します」

「なんの断りもなく開心術を使ったのは許して欲しい。これはそれほどの問題なのじゃ。ふむ、確かに防げておる上に偽の情報を混ぜ込むことも、か。この技術はどこで得たんじゃ?」

「開心術をしてくる魔法生物がいるので、それに耐えていればいつの間にか」

 

ダンブルドアはこの技術が独学であることに驚きはしたが、確かにそういう魔法生物は確認されているゆえに深くは問わなかった。

 

「そうか。それは一先ず置いておくとして、防衛対象は君が言った通り賢者の石、そして奪おうとする者の名は、名前を言ってはいけないあの人(ヴォルデモート)じゃ」

 

予想以上の大物相手にレィルは一瞬眉をひくつかせた。だがこれまでの彼の行動、そして倒されたという情報から一瞬で全てを繋げたレィルはそこまで驚くことは無かった。

 

「なるほど、賢者の石による復活ですか。分かりました、協力しましょう」

「感謝する。では、対価は何を望むのかの?」

「ひとつは、禁じられた森への付き添い無しで自由に出入りできることを。自由に使える部屋をひとつ要求します。所属はそのままレイブンクローでいいですが、寮ではなく自室での生活の許可を。それと、そこにヘルミオネも入れることを許可してください」

「禁じられた森についてはハグリッドに話を通しておこう。部屋については、そうじゃの。大広間の玄関ホールを挟んで左側の部屋を使うと良い。空間拡張呪文を使用するのもいいじゃろう。実をいえば、魔法省からも君を自由に研究させてやってくれという指示が入っておる。君の提案はどこにとっても悪いことにはならん。しかし、そこに何故ミス・ディマイントが関わってくるのじゃ?」

 

一瞬どう説明したものか、と迷ったが、見せた方が早いとしてレィルは指を鳴らした。それと同時にヘルミオネが姿現しで校長室に入ってきた。

 

「呼んだ?レィル」

「呼んだよ」

 

ヘルミオネはいつもの癖でレィルの左手を取ろうとしたが、今は自重しろ、と目でメッセージを送ると伝わったようでヘルミオネは何もしなかった。

さも平然と入ってきたヘルミオネにフリットウィックやマクゴナガル、果てはダンブルドアまで目を見開いた。

 

「ホグワーツでは姿くらましは出来ないはず……ミス・ディマイント、どうやったのです?」

「そもそも、私は人間じゃない、から?」

「多分それで合ってるよヘルミオネ」

 

マクゴナガルの問いに人間ではない、と返したヘルミオネ。先生ら三人は頭に疑問符を浮かべた。

 

「普通の姿、見せてやってくれないか?」

「……やだ」

「じゃなきゃ証明にならないんだ。頼む」

 

渋々と言った感じで、本当に嫌そうな顔をしながらヘルミオネは目を閉じた。瞬間、黒いローブのようなものが内側から出てきて彼女を包んだ。その時にはもう足は地面についていなかった。

 

「これは…───、なのですか?」

 

ヘルミオネ、その実態が───であることにフリットウィックが杖を抜こうとする。その前にレィルが無言呪文でフリットウィックの杖を奪った。

 

「何故止めるのですミスター・クローター!」

「そういう反応をする輩がこの世界にごまんといるからですよマクゴナガル教諭。それにヘルミオネは()の唯一の家族だ、殺させはしない」

 

少し素が出たレィルからは普段ならば絶対に見せない覇気があった。それこそ、物理空間に干渉しヘルミオネを守るように風を出現させるほどに。

レィルは二人が手出しできないように杖をフリットウィックの杖に向けた。これだけで警戒して手出しは出来なくなる。ヘルミオネはその間に人間の姿に戻った。

 

「杖を抑えておくれ、ミネルバ」

「ですがっ!?」

「もし儂らがヘルミオネを亡きものとしたとしよう。となればすぐさまトランクから本来危険な生物たちを解放するだろう」

「えぇ、当たり前でしょう。なんならハンガリー・ホーンテールやウクライナ・アイアンベリーでも呼びましょうか?あぁ、ズーウーの方がいいですかね」

()してくれ、老耄(おいぼれ)には荷が重い。それにそれ以上のものもいるんじゃろう?」

「あまり外界には出したくないですが、ね」

 

マクゴナガルが杖をしまったのを見て、レィルはようやっとフリットウィックの杖を手放した。投げ渡すのではなく、直接手渡しで。

ヘルミオネは本来の姿を見せたくなかった故か、先程からレィルの胸に隠れている。

 

「レィル、後で貰うから」

「分かってる、それくらいなら甘んじて受ける」

 

三人には二人が何を言っているのかは聞こえなかったが、二人が離れた瞬間に風がなくなった。レィルも杖をホルスターに納めた。

 

「杖を納めてくれて感謝しようレィル。本題に戻るが、石の守りについてを話そう。森番のハグリッド、各寮監の先生、闇の魔術に対する防衛術のクィレル先生、そして最後に儂がそれぞれ防衛用の罠をはっておる。君にはその罠の改良を頼みたいんじゃ」

「分かりました。後でリストを下さい。内容次第にもよりますが、早ければ一ヶ月、遅くても四ヶ月で終わらせましょう」

「一学生の身でそこまで出来るなら上出来じゃよ。一応最終確認をしたいので、出来上がればわしかフリットウィック先生に報告しておくれ」

「全力を尽くしましょう。ところで、一つ確認をしたいのですが」

「何かね?」

 

未だ身体が震えているヘルミオネの右手を左手で握りながら、レィルは先程の覇気を纏いながら、瞳を蒼から金に変えて、言った。

 

「対象の全力排除(・・・・)、で宜しいですね」

「構わん、あらゆる手段を行使してくれ」

 

まさかの指示にフリットウィックもマクゴナガルも息を飲んだ。レィルはひとつ頷いて了承の意思を示した。

 

「ではフリットウィック先生、彼らを専用の部屋へ案内しておくれ。寮内で生活せずともお主の寮生には変わりない」

「分かりました。ではクローター君、ディマイントさん、こちらへ」

「はい、では御二方、お休みなさい。行こう、ヘルミオネ」

「……ん」

 

レィルはヘルミオネの手を引いて、校長室をあとにした。

 

フリットウィックに連れられた部屋にはベッドが二つあったが、どうせならとレィルがダブルベッドに形を変えた。部屋の改造は後回しにするとした。

トランクもここにあったおかげで面倒なことにはならなかった、とレィルは心から安堵すると共に、急いでトランクの中に姿を消した。

 

「ヘルミオネ、夜行性のみんなの餌を頼む。俺はリルのところに行く」

 

ヘルミオネは分かった、とだけ答えてムーンカルフ兄姉弟妹達にえさやりを始めた。レィルはヴィーラの知人に作ってもらったワンメイク品の箒「ライトニングボルト」を呼び寄せ、最大戦速で雪山エリアへと向かった。

雪山の洞窟を抜けて、地下深くに隔離された一室にレィルは入った。そこにも雪が降っていた。

レィルは箒を降りて、少女が入ったシャボン玉に近づいた。起こさないように、機嫌を損ねないようにゆっくりと。実際にはレィルが荒々しくしたとしても、シャボン玉が割れたとしても少女がレィルを傷付けることはないのだが、レィルはせめてでもと言える礼儀としてゆっくりと近づいた。

目標まで数十センチもなくなれば、レィルは右手をそっと少女の頬に添えた。そしてまた割れないように、シャボン玉に頭を入れた。

 

「待ったよね、ごめんリル」

「ううん、レィルが来てくれるだけで嬉しい」

 

少女はレィルの頬を両手で優しく撫ぜた。それだけで、レィルの心は彼女にそわれれて行く。リルはレィルには悪いがその心の揺らぎが何よりも心地よかった。

 

「今度、ホグワーツにヴォルデモートが賢者の石を奪いに来る。闇に当てられたら絶対に暴走する。だから、少しの間だけでいい、眠ってて欲しいんだ」

「……外には」

「……」

「外には、出られないの?」

「……君が望めば。いい景色は見せられないけど」

 

レィルは包帯だらけの体を優しく撫でる。本当は外に出したくないのだが、この子はレィルの贖罪の一つ。

こんな状態にした自分を殺したいまであるレィルは唇を噛み締める。壊れんばかりの力を込めて握りしめる両手は爪がくい込んで血が滲んでいた。

そんな様子のレィルをリルは微笑んで額に唇を落とした。レィルはゆっくりと顔を上げてリルを見た。

 

「そんな悲しそうな顔をしないで。そとにでられなくても、私はレィルと話が出来るだけで嬉しい。また会えるなら、私はなんだってするよ」

 

上半身をシャボン玉の中に突っ込んでいるレィルを、リベットは抱きしめた。まるで割れ物を包み込む梱包材のように、ゆったりとした動きで。

レィルはかなり強い睡眠誘発呪文をリルにかけた。その後、レィルは箒で雪山エリアを出て、いつもの小屋へと戻った。ちょうどヘルミオネが餌をやり終えたところだった。

 

「ありがとう、ヘルミオネ」

「これくらいはいい。より、約束」

「あー、ここじゃアレだし、部屋でやろう」

「だめ、今」

 

レィルが何かを言うよりも先に、レィルの唇をヘルミオネが奪った。じっくりと奥底まで舐れるように、舌まで入れて。息継ぎのために幾度か離しはしたが、それでも直ぐに唇を合わせた。

そうすること実に十分、ようやく身体を離したヘルミオネは何処と無く艶がかかっていた。二人の唇は既にふやけていて、レィルに至っては腰が抜けている。

 

「ご馳走様」

「……お粗末様。ご馳走ついでにベッドまで運んでくれないか?」

「わかってる。そうしたの、私だし」

 

ヘルミオネは一度レィルを浮かせてから横抱き(お姫様抱っこ)の姿勢でトランクから出て、ベッドに寝かせた。レィルは既に眠りについていたので、魔法を使って着替えさせてから布団をかけた。

ヘルミオネも着替えてレィルの隣に寝転んだ。レィルの顔を確認し、額と額を合わせた。

 

 

「大丈夫。貴方は私が、私達が守るから」

 

 

ヘルミオネはもう一度、今度はさっきよりも優しく、舌も入れずに、キスをして眠りについた。

 

 

 

 

 

 




ども、樫の木とドラゴンの心臓の琴線、三十六センチのantiqueです。

そういえば杖のスペック書いてないな、と思いました。ここで上げておきます。

レィル
白檀に不死鳥変異種の尾羽、三十六センチ。忠誠を違えない。

アリシア
スネークウッドにルーンスプールの牙。二十九センチ。非常にしなやか。

フィリップ
トウヒにニューレル・ユニコーンの鬣。四十センチ。持ち主に叡智を授ける。

メズール
モンキーポッドに銀卵オカミーの羽。守護の力が強い。

ヘルミオネ
黒檀に不死鳥変異種の尾羽。三十四センチ。愛するものを守る。

レィルとヘルミオネは兄弟杖で、芯材にはレイヴェルの尾羽が使われています。知り合いの杖作りの方に作っていただきました。

全員の杖には理由があります。ええ、有りますとも()

アリスの杖は芯材を別の使う予定でしたが、どうやって入手したんだ、と言うことで別のものに。杖材は彼と同じです。
フィリップの杖材のトウヒはおそらく一番年寄りだろう約9000歳のトウヒを使用しています。芯材のニューレル・ユニコーンは後々出ます。
メズールの杖材のモンキーポッドは日立の樹と言った方が伝わりやすいかな?芯材は防衛本能が高い銀卵オカミーの羽です。解説はニュートより。

そしてヘルミオネの正体を今回明かすと言ったな。あれは嘘だ(うわぁぁぁぁぁぁぁぁ…………)
ま、本当に明らかになるのは……いつになりますかね?多分3章あたりになると思うんですけど。それまでは「───」で誤魔化します。

最後のオリキャラ、リベット・ガードナー。彼女についても何章か後にお話します。おそらく囚人か、もしくは騎士団辺りかな?

では、次の話で会いましょう、サラダバー




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