気がついたらわたモテの世界に転生していた 作:イチゴとメロン
今日は高校の卒業式だった。卒業式はすでに終わって僕は学校の校門近くで黄昏れていた。
もう自分が高校生ではなく、長く通ったこの学校の生徒ではないと思うと少し寂しくなる。
高校生活の感想は? と聞かれたら、凄く楽しかったとしか言いようがない。
クラスのみんなとは仲良かったし、男子と女子どちらとも仲良くやってた。
学校で虐められたこともないし、周りにも虐められたりする人もいなかった。
まるで日常アニメみたいな楽しい高校生活だったと思う。
唯一の不満は彼女が出来なかったことだろうか?
仲の良かった女子は何人もいたけど、友達より深い関係になることはなかった。
でもまぁ…彼女は出来なかったけど、凄く楽しかったらそれでいいのだ。
出来ることならもう一度、高校生活をやりたいなぁ…
そんなことを考えながら思い出に浸っているとクラスメイトから呼びかけられた。
どうやらこれからみんなで遊びに行くみたいだ。仲の良かったクラスメイト達が集まってる。
彼らの所に向かおうと足を踏み出した瞬間、いきなり激しい頭痛が僕に襲いかかり、意識を失った…
………………………………
………………
……
(えっ!?!?!?!?)
意識を失って目が覚めると、何故か女性に抱っこされていた。
(はっ!?)
(僕はさっきまで学校にいたはず…)
周りの様子や自分の状態を確認すると、さらに混乱した。
(えっ!?!?!?!? ど、どどどいうこと!?!?!?!?)
そのはずだったが、何故か僕は病院らしき所にいた。
しかも僕は赤ちゃんになっていて、知らない女性に抱かれているのだ。
訳がわからない…
それにこの女性…よく見るとめちゃくちゃ美人である。
(えっ…なんで僕は赤ちゃんになって…こんな美人に抱かれてるんだ?)
僕は自分の置かれた状況がまったく理解出来なかった。
声を出そうとしても…「あぎゃ~」というような声しか出ない。
「たっくんが無事に生まれて本当によかった~」
女性はそう言いながら僕の頭を優しく撫でた。
たっくんとは僕のこと言ってるみたいだが…本当にどうなってるんだ!?
「ああ、そうだな。ほ~らたっくん。パパでちゅよ~」
そう声をかけてくるイケメンの男性。
どうやら僕はこの人達の赤ちゃんになっているらしい。
何故!?
えっ…まじでどいうこと!?
いきなり頭痛がして気を失ったら知らない人たちの赤ちゃんになってました。
う~ん…自分でも何を言ってるか訳が分からん。
もしかして…僕は死んで…別の誰かに生まれ変わったのか?
………………………………………
いやいや!? さすがに人間こんな急に死んだりしないよね! 体に何の予兆もなかったし!
うん、これは夢だな! きっとそうだ夢に違いない。
高校卒業してセンチメンタルな気分になってたから、こんな変な夢を見ているのだ。
そのうち目が覚めるだろう。
そう思って七年が過ぎた…
はい、全然夢が覚めませんでした…
夢が覚めることもないまま、小学一年生にまでなってました。
どうやら僕は前世の記憶を持ちながら、生まれ変わった? らしい…
これが転生と言うやつか…
そして…さらに驚くべきことが僕の身に起こっていた。
僕は卒業式に死んだ?…そして新しく記憶を持ったまま生まれ変わった。
それはまだ分かる。前世の記憶を持ってる人がいるって聞いたことあるし…。(それが本当かどうかしらないが)
だが僕は"僕が死んだ年から18年前"に戻って生まれ変わっていた。
つまり僕が転生前の両親から生まれた年に、新しく別人として生まれ変わったのだ。
………………………………………
もう訳が分からない。
死んだ後に新しく生まれ変わるのならまだ理解できなくもない。
輪廻転生とか死んだ"後"も魂は受け継がれていく……みたいな考え方とかもあるし…
でも過去に戻って生まれ変わるとか…そんなことあるんだろうか?
まぁ…このことはもう考えてもどうにもならないので考えないようにしている。
これからのことを考えたほうがいいだろう。
この生まれ変わった僕の名前は神埼 拓弥。
両親が美男美女でその血を引いた僕も美少年になってました。
自分でもビックリするくらいの美少年である。元の顔は本当に普通って感じの顔であった。
転生してよかったことの一つである。
でも転生してつらい事もいっぱいあった。
例えば…転生した直後の頃だろう。
赤ちゃんの僕は何も出来ず、すべて転生後の母にやってもらっていた。
精神年齢18歳の男がよく知らない女性に下の世話をやってもらうのは精神的につらかった。
まぁ、特殊な性癖を持つ人ならご褒美と思うかもしれないが、僕にはキツイ。
それに今現在……辛いことの一つは学校に行くことである…。
転生前は学校に行くのが好きだった……。
でも転生して七年が経ち、今の僕は小学校に通っているが…学校の授業がつらい。
理解してる内容を長時間勉強させられるのである。これが地味にキツイ。
同級生とは仲良くやってる…だけど精神年齢が離れているせいで話を合わせるのがしんどい…。
転生したことによるメリット、デメリットはいろいろあった。
だが僕にとって一番きつかったのは、
この時代のゲームや漫画などの娯楽作品の内容を知っていることだった。
世の中の大抵の男子はゲームや漫画好きだろう。僕もそうである。
そして、僕は過去に戻っているのだ。
今出ている新作ゲームなんかも、転生前にプレイして内容は知ってるものばかりで新鮮味がなかった。漫画やアニメ、映画もそうだ。僕の好きそうなやつは、すでに転生前に全部見ていたのだ。
有名雑誌に連載されてる漫画もほとんど完結まで知ってるし、長期連載されてる漫画も十年ぐらい先の内容まで知っているのだ……。
漫画を読む楽しみが減った。漫画好きの僕には辛いことだ。
両親は映画好きだったので、新作映画が出ると面白そうだから見に行こうと連れられることが多かった。僕は映画の内容もオチも全部知っていることが多く、心の底から楽しめることが少なかった。
そんな感じで僕は転生してから少し退屈な日々を過ごしていた。
今、思い返すと転生前は暇さえあれば友達と遊び、漫画やゲームばっかりしてたなぁ…。
だが今は漫画やゲームをする気がまったく起きなかった。
(いや…せっかく転生したのだし、今度の人生は勉強もスポーツもできる文武両道な人間を目指すのもいいかもしれない)
ふとそう思った。そうだ……せっかく転生したのだ。
転生前の僕は普通という感じだったが、今度はちょと凄い人間を目指すのもいいかもしれない……どうせ暇だし。
とりあえずテニスを頑張ることにした。何故なら転生前の僕はテニス部だったからだ。
一応、真面目に部活動はやっていたが、それほど本気でやってなかったのでそれほど強くなかった。
だが今度は本気でやって全国目指してみるのもいいかもしれない。
それに勉強も今のうちに色々やっていたほうがいいかな?
子供の時の方が記憶力いいだろうし……若いうちに頭に詰め込んでいたほうがいい気がする。
まずは苦手だった英語でも勉強してみるか……
そんな感じで僕は文武両道を目指して頑張ることに決めた。
それから数カ月後、僕はテニススクールに通いながら勉強も頑張っている。
だが最近、未来の知識を生かしてなにか出来ないかと考えていた。
(やっぱり…せっかく未来の知識があるんだから、なにか有効に使うべきだよね?)
色々考えた結果、出した結論が"株"であった。
未来の知識を生かして株でお金を稼ぐことも出来るじゃね?と思ったからである。
(うろ覚えだけど、将来有名になる企業とか覚えてるし、今のうちに買っとけば大金になるかも!)
自分でも短絡的で考えが浅いとは思うが、試してみるのも悪くない。
まぁ、問題は小学生に株をやらしてくるかどうかだけど…。
無理を承知で両親に頼んだらあっさりとOKをもらった。
どうしてOKしてくれたのか理由を聞いたら…
「拓弥は昔から何もわがまま言わないし、おもちゃも欲しがらないから心配だった」
「自分からやりたいことを言ってくれるのは嬉しいし、親として出来るだけ叶えてやりたい」
と言われた。出来るだけ両親に迷惑をかけないように良い子にしていたがそれが却って心配だったらしい。まぁ、聞き分けの良すぎる子供も気味が悪いよな…。
そういえば両親に頼み事したのも、前にテニスを習いたいぐらいしか記憶にないな…。
株を始める環境は両親が整えてくれた。口座を作ったりパソコンを用意してくれたりと頭が上がらない。そうして株を始めた。元手は僕のお年玉とお父さんのお小遣いであった。
「頑張ってお父さんの小遣いを増やしてくれよ」と言われたので色々世話になってる恩を返すためにも頑張ろうと思う。
それから一年たった。
一年経ったが生活は特に変わらない。普通に学校に通いながらテニスして、勉強して、株をやってる。株は本などを見て勉強したが最初は上手く行かず……損失もけっこう出したりしていた。
だが最近は慣れてきたのか、今は順調である。元手が少ないので大してお金は稼げてないが順調だった。少しずつ資金を増やしている。
それから更に時は過ぎて、僕もいつの間にか中学生になった。
二回目の中学校生活である。中学になると周りのみんなも少しずつ大人っぽくなった。
そのため同級生達と少しずつ話も合うようになって学校も小学生の時よりは楽しくなった。
相変わらずテニスは続けて本気でやっている。勉強の方はそこそこやるぐらいに変わった。
小学生の時に高校の範囲はすべての教科を勉強しまくったので、もうあんまり勉強する所がなくなったので減らした。
株の方は自分でもビックリするくらい順調である。
未来の知識があると言ってもうろ覚えだし、社会情勢とかに企業に詳しいわけじゃなかった。
ダメ元でやってみるか!って感じでやっていたのだが…いつの間に資金が億を超えていた。
これには自分も両親もビックリである。というかうまく行き過ぎて怖い…。
両親はこの子は天才だ!って親バカっぽくなってたけど、僕は未来の知識を利用してるだけの凡人なのです。
そうして更に三年の月日が経ち…僕はいつの間にか高校生となった。
今日が高校の入学式である。
中学生活を振り返ると僕にしては頑張ったなという感じだ。
頑張って続けていたテニスはなんと中学の全国大会で見事優勝を果たした。
でも人生二回目だし、大人が子供の大会に参加して優勝したって感じでなんかズルいような気がするけど…
さらに中学生活を思い返すと……めちゃくちゃモテたことを思い出す。
性格は転生前とたいして変わってないのに凄くモテた。
転生前は彼女が一人もできなかったので、やはり男は顔なのかと落ち込んだ。
そしてある日、僕は一人の女子に告白された。
精神年齢30歳ぐらいの男が女子中学生と付き合うのは、なんか犯罪臭いと思ったりもしたが気にしないことにした。僕にとって初めての彼女であったが……すぐに別れた。
別れた理由は……彼女の愛が重すぎたとしか言えない。
高校受験もあったけど高校は正直どこでも良かったので、家から近くの学校を受験して普通に合格した。
中学生活はそんな所だ。
株の方は…自分でも信じられないが、何十億というお金を株で稼いでしまった。
もう将来何も心配せずに遊んで暮らせるが、ここまで稼ぐと冗談抜きで何者かに命を狙われそうで怖い…。
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転生後の人生は転生前と比べれば、ずっといい人生だ。
前と違ってイケメンだし、スポーツもテニスでは全国一位、お金だって山程ある。
でも……何故だろう……転生前の人生の方が楽しかった気がする……
転生後の人生に不満なんてないし、楽しくないわけじゃない……
でも……何かが足りない気がした。
転生前の僕は普通だった、顔も普通だし、スポーツはテニス選手としてはごく普通で、お金はない……
今の人生の方がずっと充実してるはずなのに……僕は転生前の人生より退屈に感じてる……
それは…未来を知っていたり、僕にとって新しい娯楽作品がないせいだけじゃない。
上手く言えないけど……今の人生はそれなりに楽しいけど……何かが足りなかった。
そう思うのは二度目の人生だからだろうか?
転生前……僕はもう一度、高校生活をやってみたいな……と思った。
そう思ったのは高校生活が凄く楽しかったから……
そして今日、これからまた二度目の高校生活が始まる。
あの時と同じように……僕は楽しい高校生活を送れるだろうか?
小説書くのってすごい大変……定期的に長文投稿出来る人…しゅごい…