八雲紫会議 その1
賢者というものは大変だ。何しろ幻想郷の運営をする一部なのだから。そして、ほとんどの者が憧れる場所だから。どこの誰かに狙われているのが分からないのだからいつでも気が抜けない。だから、誤魔化す。
本当は大したことなんか無いことがバレないように、本当は大したことなんか考えていない事がバレないように。私は幻想郷を創った……だがそれは全然大したことなんかではではなくてやろうと思えば誰でも出来たんだと思う。
今では、幻想郷は立派なものだが昔はそうではなかった。私が原石をある人物に作ってくれるように頼み、それを私が磨いただけ。最初なんて全然誰も知らない辺境の地だったのだ。
ああ、胃が痛む。私はただの賢者の一人だというのに何故、私に運営のほとんどを任せるのか……ああ、吐きたい。弱味を、文句を、後実際に……そう言えば今日は週末か。じゃあ、あれがある。
私は誰にもバレないようにスキマを開きそこへ入って行った。
「……これで全員揃ったわね」
「第七紫、ちょっと遅かったんじゃないかしら?」
「いいでしょう?こちらの幻想郷でもいろいろあるんだから。それは皆さんも一緒でしょう?」
そういい、席に座る。なんか知らないがここには爽快感がある。やはり、自分も含めて八雲紫が十一人も居ればなんとなくそう思えるかもしれない。
「その通りね。いちいち、遅れた遅れてないなんて争いをする必要は無いもの」
「じゃあ、八雲紫会議を始めましょうか……今回の議題は博麗霊夢についてね」
第六紫が議題ボックスからカプセルを取り出しそう答える。霊夢の事ね……多分どの世界の幻想郷も似たようなもんじゃないのかしら。
「霊夢ね、彼女は馬術の天才よ。なんだって陰陽玉の回転すらこなしているのだから」
「努力家ね。元々ある才能もあって幻想郷最強と言っても過言じゃないのかしら?」
「することがなくてゆったりしまくってるわね……何かさせてあげた方がいいんでしょうけど……平和過ぎるのよねぇ」
なんか、結構違うみたいね。世界から違うから当たり前って言ったら当たり前なのだけれども。ちなみに上から、第二紫、第八紫、ゆかりんである。
「うちの靈夢か……釣りが得意ね」
「博麗の巫女要素はどこ行ったのよ……私のところの霊夢は遂に幻想郷を支配し始めたわ」
「第九紫……こちらの霊夢はまた儲け話を思い付いていたわ」
「まあ、まだ始めたばっかりだから大丈夫よ。ちなみに私のところは天才だけど努力を全くしないのが駄目ね」
今度は上から、第十紫、第九紫、第三紫、最後に私である。
「私のところは既に妖怪になってるから特に言うことは無いわね」
「……みんなの所の霊夢って博麗の巫女の筈よね?」
「巫女が妖怪化とか大変ねぇ」
「ゆかりん、そんな簡単に済ませていい問題じゃないと思うわ」
妖怪化って……第四紫は一体何をしていたのかしら?て言うか、こう聞いてみると自分のところはかなりましと、思えるわね。毎日の疲れが取れていく気がするわ……更にゆかりんで癒される……。
「うちじゃあ、霊夢が問題を起こす事なんて無いわ。才能はたっぷりとあるけど」
「第十一紫のところは全体的に天才だものね」
「そう言えば釣りだけじゃなかったわ。亀に乗って空飛んだりもしてるようよ」
「あ~あ、そっちの方は空が飛べたわね。全く、羨ましい」
「馬に乗って移動するのも楽しいと思うわよ?」
「……ゆかりん、第二紫は馬に乗って移動している幻想郷の紫よ?」
第二紫の所は空を飛べないのが普通……なんか十一個も幻想郷があるって考えてみると把握できてない幻想郷もかなりありそうなものね。
「へぇ……色んな幻想郷の霊夢は面白いわね。まあ、一番可愛いのはうちの霊夢だけど」
「「「「「「「「「黙れ第一紫」」」」」」」」」
「あらっ?みんなどうしたのかねぇ、ゆかりん」
「そうねぇ……みんな息ぴったりで羨ましいわ……」
「第一紫?お前ごときがゆかりんに話しかけないで?」
「あらあら、みんな同じ紫なのにおかしいのではなくて?」
「あなたが私達と同じ姿、名前をしてるのが本当に嫌ね」
「ん……なんでこんな嫌われてるのかしらね?」
「自分と自分の世界を見て考えたらいいんじゃないかしら?」
……またケンカが始まったわね、まあ、いつもの事だから仕方ないとも言えるのだけど。第一紫は常識から見たら本当に気持ち悪いのに、私が常識みたいなオーラを出してるから嫌われるんじゃあ無いかしら……。まあ、あと数十分もしたら収まるでしょう。それまでコーヒーでも飲もうかしら。
コーヒーに砂糖を一つ入れて、飲み始めた。
「じゃあ、今回も話し合いましょうか……議題は吸血鬼異変についてね」
吸血鬼異変……あれは結構大変だったわね。弱くなってしまった妖怪達が大量に吸血鬼の傘下に入っていってしまったものね……あのときは、幽香とか幽々子とか萃香が手伝ってくれたから制圧できたけど、幻想郷の危機といっても過言じゃなかったわね。あの一件でスペルカードを使うルールを作った訳だし……他の世界の幻想郷はどうだったのかしら?
「ああ、あれね。結構な数で攻めてきから、私が偵察に行ったら解決しちゃたやつね」
「第二紫……偵察って相手の様子を見に行くのであって、様子を見るついでにボッコボコにする事じゃあ無いのよ?」
「ええ、分かってるわ。相手のボスの様子を見ようとしたのだけど、色んな奴らが邪魔してきたから倒して行っただけであって、肝心のボスも強くなかったしそれで私を帰そうとしなかったのだから……ついね?」
「前々から思ってたけど第二紫って結構な強さよね……うちの霊夢に勝てるかしら」
「霊夢による幻想郷を支配を止めるのは自分の所でやってちょうだい。私は愛馬の手入れで忙しいのよ?」
多分、第二紫の所だから馬に乗って戦ったのよね?私じゃあ、馬に乗るのも大変で戦いなんてできなさそうね。けど、弾幕ごっこと馬を合わせたら案外楽しそうな気もするわ……馬に乗る練習でもしてみようかしら?
「私の所はあれね、霊夢がなんとかしたわ」
「霊夢が?その頃、霊夢は三、四歳でしょう?」
「え?去年の事だから、普通に十二歳よ?て言うか、霊夢が妖怪だってあれで確信したんだし」
「その時、霊夢が何をしたのよ……」
「攻撃を喰らったかと思ったら、体が赤くなって身体能力が増してたわね。そして、手が口に変わって妖怪達を次々と喰らって行ったわ……普段は人間の姿だし妖力も無いから人間だとは信じたいのだけど……」
……確かにそんな姿を見たら人間とは信じがたいわね。妖力を普段は押さえてるって思った方が良さそうだわ。て言うか、吸血鬼異変が起こった時期も幻想郷によって違うのね。全部、ある程度似た世界だから事件が起きた時期も同じだと思ってたわ。
「まあ、私の所も基本的に他の幻想郷と一緒ね。違うところといえば、最初は傘下に入った妖怪もコードから消滅させようとしたところかしら?」
「第十一紫?そこの世界の常識はこっちの世界の常識じゃないのよ?」
「分かってるわ。ただ私はそっちの世界では見つかってないだけでそっちの世界にもコードはあると思うけど」
「そんな、良く分からないけど恐ろしい物はあっても見つかって欲しくないわね」
まあ、第十一紫の所は普通の人でさえ、私の所の永琳以上に賢いものねぇ……あそこの幻想郷の常識に触れたくない……知ってはいけない何かまでも知ってしまいそう。
「でも、あんまり違いの無い第七紫、第三紫の所は私の所とほとんど同じじゃないかしら?突然きた吸血鬼に強い妖怪連れていってボコボコにしたのがうちの吸血鬼異変だけど」
「へえ、第九紫の所も同じなのね。霊夢に支配されてるとは思えないわ」
「されかけてる!まだ、されてはないわ」
「ほぼ、同じだと思うわよ?まあ、吸血鬼異変の方は私の所は二人と同じ流れみたいね」
十一個も幻想郷があれば同じ感じに解決してるところもあるし、違う風に解決している所もあるものなのね……第二紫の解決方法にはちょっと引くけど。
「私の所は突然館ができたものだから、しばらく様子を見ていたのよ。けど、何も起こらないものだから物は試しって感じにスキマで突っ込んだら幻想郷の環境に馴染めずぐったりしていたレミが……」
「……レミ?あのレミリアとか言う吸血鬼の事よね?」
「ええ、私はそう呼んでるの。で、さっきの続きだけど恩を売ってやろうと館内の境界を操って過ごしやすい環境にしてあげたらレミに凄いなつかれて……」
「で、仲良くなったという訳かしら?」
「ええ、そういうことよ」
第八幻想郷のレミリア……うちの幻想郷のレミリアからしたら想像つかないわね。カリスマの塊みたいな所があるし……地味に従者も恐ろしい能力を持ってたりするのよ。本当に嫌なやつね!
「私の所はそもそも話し合いで解決したから吸血鬼異変なんて起こって無いわ。まあ、この前起きた異変で博麗神社がお化けで埋め尽くされていたけど」
「それは、大変そうね……問題は解決したのかしら?」
「ええ、解決したわ。靈夢が異変の黒幕を封印してね……まあ、最終的に逃げられたようだけど」
第八紫と一緒でそもそも吸血鬼異変が起こらないというのもあり得てるのね……そうだとするとうちのところは結構ピンチだったんじゃあ無いかしら?
「私の所も話し合いで解決したわね。話し合いというか、ちょっと雑談した、程度だったけど」
「おお、ゆかりん奇遇じゃない。うちの所も話し合いで終わったのよ?」
「そりゃあ、自分自身と戦おうとするやつなんて居ないわよ。でも、少しだけ安心したわ。第一紫もちょっとした常識は持っているのね」
「幻想郷に何百年も暮らしているのだから常識が身に付くのは普通ではなくて?」
「あなたの幻想郷で常識を語るのはやめていただけるかしら?」
……またケンカね。て言うか、毎回、第一紫と他紫はケンカになるわねぇ……あれっ、そういえば。
「第六紫は自分の所の幻想郷について語らないわよね」
「まあ、私はまとめ役みたいな所があるもの……それに人それぞれの強さが違うだけであなたの幻想郷と同じなのよ」
「へぇ……数字が隣だからかしら」
「もしかしたらそうかもしれないわね」
基本的に議題決めるときぐらいしか第六紫は喋らないからずっと疑問に思ってたけど、案外私の所と一緒なのね……なんかちょっと安心したわ。
私はケンカから目を逸らしながらそう思った。
とりあえず、八雲紫会議のたびにそれぞれの八雲紫の設定を置いていきます。
第二八雲紫……馬に乗って戦う妖怪。スペルカードルールなどは作ってないもよう。八雲紫内でもかなりの実量を誇り、一番強いかもしれない。
けど、一番ヤバイのは第一紫。