八雲紫会議   作:王者スライム

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いつから次は第三の幻想郷が投稿されると思っていた?

……更新の遅さは何も言わないで()


第九の幻想郷

『紫、幻想郷は私が支配することに決めたわ』

 

林の中を走る。ひたすら走る。スキマは使えない、使ったら霊夢に気づかれてしまうから。後ろを見れば私を追いかける天狗が数体いる。木々という壁がなければ私はすぐに追い付かれていただろう。

 

『うーん……本気の霊夢とやりあうのはなぁ……』

 

私の味方は一人もいなく、私の敵はどこにでもいる。敵ではないが味方ではない……そんな存在が何人でもいる。だから私は敵に追いかけられ、誰かに頼ろうとすれば見てみぬふりをされているのだ。

 

『……ごめんなさい、紫。私はあなたの味方になれないわ』

 

何人にも助けを求めた。だが、帰ってきたのは無理の一言。どうしようもない、その言葉だけで納得ができてしまうのが、悲しく、とてもつらかった。

 

『ごめんなさい紫様……』

 

信頼していた仲間はどこかに消え、信頼していた友もどこかに消え、誰も私を救ってくれずに、私は幻想郷を救えずに……何ヵ月が経っただろうか。涙がふと、零れ落ちる。

 

『もう無理です、紫様。諦めましょう……それしかありません』

 

それでも私は諦めなかった。諦めるわけにはいかなかった。幻想郷をもとある姿に戻さなければ、私が求めていた幻想郷を取り戻す為に……。

 


 

「はぁ、はぁ……なんとか、逃げきったわね……」

 

天狗達を振り切り、地面に座りながら少し休憩をする。下手に妖力を使って戦えないのが問題だ。大きな事を起こせば霊夢に気づかれてしまう可能性がある……本当に化け物スペックよね。どうしたら倒せるのよ、あの巫女。

 

私の味方してくれてると思っていたから安心してたのに、おもいっきり裏切るなんて……本当に鬼畜巫女よ、鬼畜巫女。あんな巫女が幻想郷を支配しているって考えたら支配されてる側が可哀想で堪らないわっ!  

 

まあ、周りからすれば可哀想なのは私の方なのだけど……あははは、気が狂いそうだわ。けど、狂ったら狂ったで完全に負けるだけなのよね……いつから現世は地獄になったの?

 

「どうも初めまして紫さん」

 

そんな事を考えていた私にそいつは急に現れ、話しかけてきた。思わず、後ろに下がる。

 

「……そんなに警戒しなくてもいいでしょうに」

「悪いけど、突然現れた相手を警戒しないわけにはいかないでしょう?」

 

怪しさ全開の人物を警戒しない人なんてどこにいるのよ。このタイミングで来るなんて完全に霊夢の手下じゃない。そんな適当な登場で私を騙せるなんて思わないことね!

 

「はぁ……では、手短に目的を話しますよ。紫さん、力を貸してください」

「……いや、警戒してる相手に頼まれたところで手を貸すわけないでしょう?」 

 

何を考えてるのかしらこいつ……やっぱり霊夢の手下に決まってるわ。手を貸したら連れていかれて、霊夢に捕まることに決まってるわ!はい、名推理よ!

 

「霊夢からこの幻想郷を取り返す……そのために力を貸してくれませんか?」

「……!」

 

本気で言っているのなら味方に……いや、騙されるわけにはいかないわ!こんなやつの言葉なんか信用できるわけないもの!その皮、見事に破ってやるわ!

 

「本気で言ってるのかしら?あなたも霊夢の実力は分かっているでしょう?私が力を貸した程度で勝てるような人物じゃないのよ?」

 

とりあえず事実を並べて反応を見る。本当に事実ってところが悲しいわよね。大妖怪なのに人間に勝てないなんて……いえ、これ以上はやめておきましょう。さあ、どう返すつもりかしら?

 

「では、なんで紫さんは逃げ続けているんです?」

「……え?」

 

予想外の回答が来て思わず声が漏れてしまったわね。でも、本当に予想外だわ……だって私を味方につけたいならそこは「そんなことありません!」とか励ましの言葉をつけるんじゃないの?霊夢の手下でなくともそう返答すると思うのだけど……。

 

「紫さんはなぜ逃げ続けているんです?」

「……私の幻想郷を取り戻すためよ。そのためには私が霊夢に下るなんてことはできないわ」

 

とりあえず真面目に答えておこうかしら。想定外の質問をすることによって私を混乱させる作戦でしょうけど、そうはいかないわよ……!最後に勝つのはこの八雲紫なのだから!

 

「あなた一人で霊夢に勝てるなんて思ってないのに?」

「……確かに私一人では勝てないわよ。けど、仲間さえ揃えれば──」

「誰にも助けをもらえず、自分の式神にも裏切られたのにですか?」

「うっ!」

 

かっ、かなり痛いところをついてきたわね……実際私が逃げ続けてる理由って『どこかに私を助けてくれる人がいるはずよ』って理由だけで逃げ続けてるし……べっ、別に何も考えずに行動してるわけじゃないわ!

 

……とりあえず、なんとか返さないといけないわよね。でも、特に思い付かないわ……語彙力!私にはきっとそれが足りないわ!これから身につけないと……って、これからじゃ遅いじゃない!今、欲しいのよ!今!

 

「分かりますよ、紫さんの気持ち……特に何も作戦なんてないのでしょう?」

「うっ!」

 

なっ、なんでそれを……八雲紫という妖怪のカリスマ賢者というレッテルを貼られてるのにそのレッテルからは考えられないような事を当ててこれるの!?こいつタダ者じゃないわ!?

 

「あの霊夢から確実に幻想郷を取り返したいとは強く思っている……けど、味方だと思っていた霊夢に対する対抗策なんて用意していなかったし、最初に手助けを求めようとしていた地底は一番最初に支配されていた……それで混乱しているところを──」

「いえ、もういいわ。随分、私の考えについて分かっているようね?」

 

むしろ当たり過ぎて怖いぐらいだわ……実はこっそり見てたんじゃないかしら?もしそうだとしたら……ストーカーよ!ストーカー!警察に訴えて……そういえば幻想郷に警察はいなかったわね。似たようなのはいるけど。

 

「ええ分かりますよ……私もそうでしたから」

「……?」

「私も霊夢から幻想郷を取り戻そうと行動してる一人ってだけの話ですよ……まあ、仲間がいるかなんてご覧の通りですがね」

 

そう言いながら、そいつは手を広げ少し笑う。私にはそいつが嘘をついているようには見えなかった。ただ、悲しそうな表情をしていたのだ……霊夢の手下ではなさそうね。

 

「そんな時、あなたの噂を聞きました。霊夢に対抗しようと、逃げ続けてるあなたの噂を……」

「……あなた名前は?」

「鬼人正邪です。なぜ名前を?」

「仲間の名前ぐらい知っておかないといけないでしょう?」

 

正直一人だけで逃げ続けていたらメンタル死んでたでしょうし……霊夢と戦うとしては焼け石に水でしょうけど、逃げ続ける仲間としては申し分ないでしょう。とりあえず正邪に手を伸ばす。正邪はそれを手をとり、私たちは握手を交わした。

 

「よろしくしますわ、正邪」

「よろしくお願いします、紫さん」

 

正直、完全にこのキャラは演技だとは思うし、そもそも普通の妖怪なら霊夢には敵対しないのでこの正邪という人物はかなり怪しいわけなのだけど……まあ、敵の敵は味方よ。少なくともその敵を倒すまでは……それまで味方として扱ってあげるわ!

 

 


 

 

真っ暗の中、月の明かりだけが頼りになる夜。八雲紫は葉っぱの中に埋もれ爆睡していた。それも仕方ないだろう。これまで一ヶ月の間、一度も眠っていなかったのだ。いくら妖怪が人間より強いとはいえ、精神では人間と一緒、いや人間以下なのだ。

 

一ヶ月の間、少しも眠れず、ただずっと追いかけられていたとすればいくら妖怪の賢者と言えど精神は疲弊するに決まってる。そのため正邪という仲間を得た、八雲紫は監視を正邪に任せ眠ってしまっていた。

 

そのため監視を任された正邪は眠ることなく、静かに座りながらただ空を見ていた。

 

「……やっと、帰ってきたか」

 

だが、そこまでの間静かにしていた正邪がいきなり口を開く。しかし、周りには正邪と爆睡している八雲紫しかいない筈なのに正邪はまた誰かに話しかけるように口を開いた。

 

「周りには追っ手はいないか……それは良かった。爆睡してるこいつを起こすのは骨が折れそうだったからな」

 

先ほど八雲紫と話していた口調なんて無かったかのような口調で話す正邪。丁寧にさんづけで呼んでいたことが嘘のようである。

 

「そういえば、お前やけに八雲紫に執着してたよな?理由はあるのか?」

 

正邪は会話をしているようだった。誰もいない筈なのに、相手はいるはずはないのに。ただ、まるでそこに誰かがいるかのように口を開き会話をしていた。

 

「教えないね……まあ、いいさ。霊夢という存在にたいしてはちっぽけだが、強力な味方が得れたことには違いない」

 

会話の相手は昔からの付き合いのようである。ただ、勘違いして欲しくないのは、正邪は別に携帯電話などを持っているわけではない。そもそもそんな物は幻想郷にはない。あっても使えない。

 

「ハイハイ、お前には感謝してるって……ハイは一回?お前は私の親かよ」

 

目には見えない存在が正邪には見えている。そして、正邪はそれと会話をしている。それだけが、真実。それだけがこの奇妙な空間を作りだしていた。

 

「とりあえず周りの監視は引き続き頼んだ。正直、こんな暗さじゃ何もわからん」

 

静かな空間に正邪の声が残る。だが、それによって敵がやって来たり、八雲紫が起きたりするようなことはない。

 

「やけに正直だと?正直に言わんとお前は行動しないだろ?」 

 

不思議な会話は続く。恐らく、八雲紫が起きるまで続くのだろう。果たして、八雲紫が正邪を味方として率いれたのは正解だったのか。それとも不正解だったのか。

 

彼女らは霊夢から幻想郷を取り返せれるのか。それともあっけなく敗北してしまうのか。

 

振った賽子の目がどれがでるか分からないように、この二人の話の結末は分からないだろう。何しろ、この物語は始まったばかりなのだから、今結果を言ってしまえば、それはネタバレというやつだ。

 

八雲紫と鬼人正邪……本来なら手を取り合う仲間になるはずが無かった二人が、奇妙なことに平和を守る博麗の巫女によって手を取り合うことになったのだ。

 

では、これで今回はおしまい。この物語の結末はいつかまた語られることだろう。




第九幻想郷設定

霊夢に支配されている。

支配方法は簡単であり、ちょっと良い条件を渡す代わりに私の下につけと命令する。拒否されたら、良いと言うまで力でねじ伏せる。 

支配されているとは言え、あらゆる企業の社長が霊夢に変わっただけでありあまりそれぞれに変わった点はない。しいていうなら、それぞれの部下の給料が増えた。

霊夢は基本優しい。
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