「今日と言う日にも関わらず、しっかりと会議に来てくださった八雲紫の皆さん。今日の議題はクリスマスでいきましょう」
「なんでちょっと前半煽ったのかしらね?」
「煽ってなんかないわ。今日は特別な日だから皆さんにも用事があると思ってたのに、しっかり皆さんが揃ってくれたので感謝をしてるだけですわ」
「そういうのを煽ってるって言うのよ!」
……なんでもう喧嘩が始まってるのよ。せっかくのクリスマスの日なのになんでそんな喧嘩っぱやいのかしら。
「気を沈めなさい、第十紫。ここにいる紫全員がそういうことよ」
「うっ」
「なんでこっちにも流れ弾が……」
「いっ、いいわよ。私には正邪が居るもの」
独り身をみんな気にしすぎじゃないかしらね……賢者をやってるんだから忙しくて出会いがないのは当然だし、そもそも妖怪だから付き合うとかの思考もさほど強くないのに……
「第九紫……そもそも正邪って女性でしょ?」
「えっ?女性なの?」
「えっ?第八紫?あの見た目よ?」
「逆に聞くけどあの見た目よ?」
「幻想郷が何個もあるんだからちょっとぐらい変わってることはあるでしょ」
そもそも鬼人正邪を知らない私にとっては何を話してるのか良く分からないのよね……ヤバいやつなのか、女なのか男……はっきりしなさすぎて訳が分からないわ。
「それよりクリスマスよ、クリスマス。人里のイルミネーションが綺麗な日よね」
「うちの人里はイルミネーションなんてないから特に普段から変わらないわよ」
「私はサンタさんとやらが気になるわね」
「……第二紫?」
「だって、一夜で世界をトナカイと共に行き渡るのでしょ?そのスピードの秘訣を教えてほしいわね」
「ああ……そういう」
第二紫は何かずれている気がするわ。て言うか、第二紫の幻想郷はあまりクリスマスが広まってなさそうね。まあ、外の世界の人々がまだ忘れてない行事だから当たり前と言えば当たり前なのだけど……。
「それより、今日はクリスマスなのにケーキとかチキンは無いのかしら?」
「そんなのみんなそれぞれの幻想郷で食べてくださいな。ここはあくまで八雲紫による会議をするところなのよ?」
「あくまでって付けてるところで、会議をやってない時があるのを認めてるわね」
「事実は事実だもの。揉み消すなんてできないわ」
そしてその会議をしてないときのだいたいが喧嘩している時なのよね……だいぶ前に目玉焼きには何をかけるかで喧嘩したときには、解決するのに三ヶ月はかかったわね……全く、目玉焼きには醤油と決まってるのになんであんなに争いあったのかしら。
「クリスマスプレゼント交換会的な行事は?」
「第一紫が居るから無理に決まってるでしよ?第一紫のプレゼントをもらった紫がかわいそうよ」
「あら、酷いわね」
「第一紫の世界の物をこちらに持って来てほしくないもの。当たり前でしょ?」
第一紫のところは小石とかこっそり持ってこられるだけでかなり怖いものね……なんで第一紫だけ、あんな頭おかしいのかしらね。
「良く考えたら全員が1000年以上生きてるのに今さらクリスマスについてなんて語ること無さすぎないかしら?」
「いい?話す内容は私達で決めていくのよ?」
「これだから話が脱線するのよねぇ……まあ、私だってクリスマスについて語ることなんて無いけど」
「おい」
もう、私達はクリスマスではしゃぐというよりはクリスマスではしゃぐ子を見守るみたいな感じになってるものねぇ……子なんていないけど。
「クリスマスってキリストの誕生日なのよね?なんで、あんなにはしゃぐのかしらね」
「そもそもクリスマスってキリストの誕生日じゃないらしいわよ」
「「「「「「「「「えっ?」」」」」」」」」
「詳しくは知らないけど、キリストの誕生を祝う日であってキリストの誕生日ではないらしいわ」
「ごめんなさい、ちょっと良く分からないわ」
……誕生日を別の日に祝うみたいなものなのかしらね?本当に良く分からないのだけど……まあ、そんなに考える必要はないでしょ。
会議はクリスマスもいつも通り進んだ。
今日はクリスマス。それはどの幻想郷でも変わらない。せっかくだから覗いて行くとしよう。まずは第二の幻想郷から。
「このサンタとやらはトナカイで移動しているらしいわ」
「ああ……一夜にして世界を飛び回るってことはかなりのスピードを出しているに違いないぜ」
「けど、ただのトナカイがそんなスピードで飛び回れる訳が無いわ……確実に秘密があるはずよ」
「勿論だぜ。そしてその秘密を暴けば……」
「「次のレースは私の優勝間違いなし」」
「こうしちゃいられん!サンタを捕まえに行くぞ霊夢!」
「ええ、捕獲して秘密を暴いてやるわ」
そんな会話をして二人は博麗神社から飛び立つ。そもそもまだ外の世界で忘れられていないサンタが幻想郷に現れるのかどうか……まあ、いい子の元にやってくるというのだからもしかしたら幻想郷の子供達の元へやってくるかもしれないが。
では、次の幻想郷へ。
「……クリスマスって言うのはキリスト教の行事だろ?完全にキリスト教じゃない霊夢が起こしていいイベントなのか?」
「いいのよ。金儲けの為にはどんな事でも利用するわ。それが異変であれ、どこかの行事であろうがね」
「異変は利用するなよ……」
「ハイハイ、そんな事言ってる暇があったら手伝ってちょうだい。せっかくもみの木を手に入れたんだから飾り付けをしないと」
「へいへい、分かったよ」
今日博麗神社で行われる予定のクリスマスパーティー。霊夢と巻き込まれた魔理沙はそれの準備の為に頑張っていた。勿論、巫女にとっては金儲けの為だが人里の人にとっては楽しいイベントになることだろう。
では、今度の幻想郷へ。
「……チキンにケーキね。これあなた達が買ってきたの?」
クリスマスの夜、博麗神社に一人の巫女と三匹の鳥。だが、その鳥達は丸く大きく黄色い目がたくさんあったり、人型で体がとても痩せこけていたり、唯一まともなのは小さなかわいい鳥だけだった。
そして巫女の質問に鳥達はただ頷くだけだった。
「全く……次からは相談してから買いなさいよ」
その言葉に鳥達は頭を傾げる。まるで怒らないの?とでも聞いているかのようだ。
「もう過ぎた事よ。それに……買ったんだから食べないと損でしょ?ほら、あなた達も来なさい」
鳥達は喜びながら巫女についていった。
そろそろ、次の幻想郷へ。
「さあ、パーティーの始まりよ!」
レミリアの一言でクリスマスパーティーが始まる。吸血鬼なのにキリスト教のイベントを祝って良いのかとか言ってはいけない。彼女は自分が楽しければそれでいいと思っているのだ。
だか、大きなイベントとも言えよう。真ん中には巨大なクリスマスツリーが飾られており、その周りに大量のケーキやチキンなどの料理が置かれている。勿論、テーブルの上にだ。
参加者も大量におりちらほらと人里の人間もいる。吸血鬼の開くものなので怪しがって来ない人達の方が多かったようだが。それでも人里の人間が妖怪とも話せてるのも見るに、パーティー上ではみんな平等ということだろう。
パーティーは続く。夜が明けるまで。
じゃあ今度はこんな幻想郷。
「私の秘策を喰らいやがれ!」
「そんな事を言われて誰が喰らうと思うのよ!」
クリスマスだというのに誰もそれを祝うようなことは無い。誰もが、自らを鍛えようと訓練を続けていたからだ。それもそのはず、この幻想郷の住民は他の幻想郷の住民と比べてかなり弱いからだ。
だが、修行をし続けたこの幻想郷住民は既に他の幻想郷の住民の実力を越えている。不思議な幻想郷もあったものだ。
次の幻想郷は代わり映えしないので更に次の幻想郷へ。
「クリスマスがなんぼのもんよ!」
「クリスマス反対だぜ!」
クリスマスムードで盛り上がる人里の道を[クリスマス反対]等と書かれた看板を持ちながら歩く巫女と魔法使い。しかし、それだけではなく、後ろに天狗、妖怪山にある神社の巫女と神、池周りの妖怪等もいろいろ歩いている。邪悪な気持ちが無いのはなんとなくついてきた妖精程度ではないだろうか。
この祭りは最終的に八雲紫がみんなをスキマで連れていき、パーティーを開くことで収まった。
今度の幻想郷へ。
とある森の中、そこには妖怪の賢者と天邪鬼がいた。知っての通り八雲紫と鬼人正邪である。暗い森の中を照らすランプを中心にして、二人は座っていた。
「なんです?このケーキと酒は?」
「知ってるかしら正邪?今日はクリスマスなのよ?」
「ええ、知ってますよ紫さん。ですが、今の私達は反逆者、いつ敵に見つかるかも分からないのにそんなことを祝ってる暇があるとは思えませんが?」
「……そうよね」
正邪から正論を言われ落ち込む紫。そんな紫をかわいそうと思ったのか、はたまためんどくさいと思ったのか……それは正邪自身にしか分からないだろう。そこで正邪が言い直した。
「……仕方がないですね。今夜ぐらいは付き合ってあげますよ」
「正邪……正邪!」
「おっ、おい!八雲紫!離れろ!」
仕方なく、そう言うとすぐさま抱きつかれ、慌てる正邪。まあ、付き合うと言ったのは自分なのだから自業自得だ。
更に次の幻想郷へ。
「御主人様……いつお眠りになるので?」
「爺、決まってるでしょ?この手でサンタを捕まえるまで起きているわ」
「御主人様……」
神社の中で座禅を組む巫女とプレゼントを隠し持った亀。二人の戦いは始まったばかりである。
最後の幻想郷へ。
「おっ、魔理沙からプレゼントが転送されているわね。とりあえず立体化してと……へえ、扇風機ね。ずいぶん古いのを……なんかちょっと私も古いのを送ろうかしら」
科学がかなり発展した幻想郷。そこではむしろ古いのが人気だったりするので、毎日霖之助の店が繁盛している。勿論、クリスマスだって例外ではない。きっと、今も繁盛しているのだろう。
これがいろんな幻想郷のクリスマス。世界の数だけクリスマスの楽しみかたの数がある。では、最後にメリークルシミマス。
ということでクリスマス編でした。ちょっととは言え全ての幻想郷を書けて少し満足。えっ?第一の幻想郷が無い?あれを見たらSAN値チェックいるんだからそりゃあ無いでしょ。
第六紫……八雲紫のまとめ役であり、能力があれば八雲紫の中でもトップクラス。だが、妖力などは八雲紫の中でも一番低い。彼女と戦っても五分も経ってしまえば話し合いに持ち込まれるとの噂も。
能力も八雲紫の中で唯一[スキマ空間を自在に移動できる能力]と、みんなと違う。程度の能力とも言わない。