「さて、今日も会議を始めようかしら……議題は学校ね」
「幻想郷に学校はないでしょう?」
「……終了!」
「いや、ちょっと待ちなさい。会議を終わらせるのが早すぎるわ」
なんなのかしらね、この八雲紫たちのコンビネーション……全員同じ人物だからとかがあるのかしら?いや、今はそんなことを考えるより会議の流れを元に戻すのが先だけど。
「でも、幻想郷に学校なんてないことにはかわりないわよ?」
「でも、学校はなくても寺子屋はあるわよね?」
「私の世界には寺子屋も無いわね。勉強は親から学べばいいのだから、あんなの無駄よ」
……第十一紫の世界の人たちって全員賢いのに学校とかの集団教育する場所はないのね。親が仕事や家事をしながら勉強を教えるのはかなり大変だと思うのだけど……第十一世界は科学がかなり発展してるからなんとかできるやつがあるのかもしれないわね。
「じゃあ、第十一紫は参加しなくていいわよ」
「……えっ?」
「じゃあ、会議を始めましょうか」
「だっ、第六紫さん……?」
「皆さんは、寺子屋についてどうお思いですか?」
「あっ、あのー……」
……第十一紫、今回は会議に参加できないんじゃないかしら。第六紫って不必要なやつは普通に切り捨てるし、仲間でもお荷物にしかならないって判断したら殺すまであるし……そんなに第六世界については知らないけど多分、殺伐してるんじゃあないかしら。
「寺子屋ねぇ……最近建ったばかりだから特に言うことはないわ」
「えっ?昔からあるわよね?」
「すみません、私も参加してよろしいでしょうか……?」
「そちらではそうなの?こっちはこの前の紅霧異変あたりにできたわよ?」
……やっぱり会議に入れず無視されてるわね、第十一紫。やはり、凄いコンビネーションがここにはあるわ。それが無駄なことに使われてるのだけどね……って紅霧異変あたりにできた?
「……紅霧異変ってかなり前よね?一番最初の異変だからかなり前なのだと思うのだけど」
これまで何度も異変が起きたわけだけどだいたい何度も連続で起こってたわけじゃないし、一年間異変が起きない年とかもあったわけだから少なくとも七年前……よね?まあ、七年は私たちからしたらそれなりに短いわけだけど。
「そうなの?こっちで紅霧異変が起きたの一年前よ?」
「……ん?そちらの世界で最後に起こった異変はなんなのかしら?」
「おーい、八雲紫の皆様ー?」
「四季が同時に各地で発生するやつだったわね」
「……もしかして、そちらの世界って結構な頻度で異変が起こってるの?」
「1ヶ月に一回ぐらいは起こってるわね」
……かなりの頻度で起こってるわね。その世界の霊夢が過労で倒れないかが心配だわ。異変解決をするのは主に人間であって巫女ではないとしても、大抵異変解決に動くのは巫女な訳だし。
「異変ってそんな祭りみたいなものだったかしら」
「解決したら宴会が起きるんだし、祭りのようなものよ」
「それが案外間違いと言えないのがね……」
異変を起こした黒幕も、終わりの宴会で幻想郷に馴染んだりしたりするのよねぇ……知らなかった者同士が仲良くなれるようになる幻想郷らしいルールとは思うわね。酒が入れば、遠慮は消える……それが良いか悪いかはケースバイケースでしょうけど。
それより、さっきの会話に第十一紫が居なかったのだけど大丈夫なのかしら……周りと一緒に無視してる私が思うことでもないかもしれないけど。ちょっと、チラッとだけ見てみようかしら……ほんのちょっとなら何も言われないでしょうし。
そう思いこっそり、第十一紫の方を見る。第十一紫は顔を第六紫の胸にうずめて泣いていた。そして第六紫はその泣いている第十一紫の頭を撫でている……えっ?
まあ、第十一紫が泣いているのは分かるわ。一番メンタル弱いし。けど、なんで第六紫に泣きついてるの……?そいつ一応、第十一紫が無視される元凶だと思うのだけど……あっ、第一紫が近づいてる。
声が聞こえなくても分かるぐらい第十一紫をおちょくり始めたわね……案の定第六紫に殴られてボコボコにされてるし……いつも通りの光景よね。
「だいぶ前に狐の子供がいるって騒いでたわね」
「へぇ、そっちじゃあ妖怪は寺子屋で学ばないのね。こっちは人里の外に寺子屋があるから妖怪も学んでいるのよね」
「人間の子供は大丈夫なの?」
「時間は昼間と夜で別けてるから妖怪が人間を襲うなんてことはさせないわ」
そんなことを見ている間に、当然会議は進んでいて私が入れそうには見えない。まあ、普段から積極的に会議に参加してる訳じゃないしら別に問題はないわね。ストレス発散にもなるし、第一紫がボコボコにされてるところでも見ておきましょう。
そうして、目線を第六紫と第十一紫にボコボコにされている第一紫に戻した。私も混ざろうかしらなんて思いながら。
「さて、今日も会議を始めましょうか。議題は霧雨魔理沙ね」
魔理沙……霊夢の親友ってイメージがかなり強いわね。そう言うと、付属品みたいで本人は絶対に嫌がるでしょうけど、あまり会話することもないからそのイメージが離れる様子はないわね。
「魔理沙はこっちの世界では天才なのよね。それに慢心してるところが残念なのだけど」
「まさちゃんは努力家よ。越えられないと分かってる壁を越えようと努力してるところがまさちゃんのいいところだわ」
「正直、黒歴史と言われても仕方ない生き方してるわよ彼女」
「普通に努力家ね。父の仕事を手伝いながらよくやってるとは思うわ」
結構、周りの紫たちは魔理沙と仲が良いみたいね……宴会とかでしか見かけないし、そこぐらいしか会話もしないしで関わりもないけど、異変解決にも貢献してるのだし普通に話しかけに行ってもよいかもしれないわね。
「魔理沙は結構、科学の発展に貢献してるから幻想郷には欠かせない存在よ」
「魔法使いなのに科学に貢献しているの?」
「魔法の本来の意図は未知の解明よ。そしてそれは、科学も同じってことね」
「へー、よくわからないけど凄いわね」
ゆかりん……本当に何かを考える癖がないんでしょうね。平和ボケってやつかしら。まあ、そんなところがゆかりんの良いところで、癒されるのだから問題は全くないのだけど。
「魔理沙って誰とでも話せるコミュ力的なアレがあるから結構、誰とでも仲良いイメージがあるわね」
「何かに集中する癖があるから、魔法を研究し始めるとしばらく顔を見なくなるのよね」
「でも、その研究が終わると結果を見せびらかしにみんなに会いに行きまくるイメージもあるわ」
「分かる」
……あれ?もしかして、私この議題についていけないんじゃあ……と言うかもしかしなくても魔理沙とそんなに関わってないの私だけみたいね。なんか本格的に会話に行った方が良さげな気がしてきたわ。
「魔理沙と言えば、霊夢たちとよく異変解決に行ってるわよね」
「霊夢を助けてくれてるのは素直にありがたいわね、話しても案外楽しいし……かなり警戒されるけど」
「八雲紫あるあるね。そんなに深い意味ないのに警戒されるの」
「分かる」
そのあるあるは確かにあるわね……あの店主とか私が店に行くたびに何かを疑われてるような気がするもの……霊夢のところに遊びに行ったら、「何のよう?」から会話が始まるのは当然になってしまってるもの。
「八雲紫ってどんなイメージって聞くと、胡散臭いが一番高くなってしまうものねぇ……なぜかしら」
「分かる」
「誰よ、さっきから分かるbot化してる八雲紫は?」
「私よ」
「貴女だっ──」
「それ前やったからやらなくていいわよ」
ノリが良すぎる……そりゃあよく議題から話が脱線して、会議してない風に見える訳よ。実際にしてない方が多いけど。
「話を戻すわよ……他に魔理沙で話せることってあるかしら」
「魔理沙が香霖堂の店主に遠回しに告白して、気づかれずに泣きながら店を出ていった話ならあるわね」
「そういうのはやめなさい。まだ、引きずってるでしょうから」
「金髪の子かわいそう」
恋愛話は……まあ、振られてるわけじゃあないから笑い話と言えば笑い話なのだけど……今のところ黒歴史でしかないでしょうし、やめといた方が良いとは思うわね。
「魔理沙は努力家の見本みたいなのがいいわよねぇ」
「黙れ、第一紫。あんたは見本なんかになれないでしょう?」
「あら、私は魔理沙の話をしてるのだけど」
「魔理沙について話してるのは私たち、あなたは違うでしょう?」
「……?なんで私がはぶられているのかが分からないわね」
「こっちは、なんではぶられないと思ってるのかが分からないわ」
また、第一紫との喧嘩が始まってる……本当に第一紫って嫌われてるわね。私も嫌いなのは変わらないのだけど……関わりたくない気持ちの方が強いから、あんな風にけしかけてはいけないのよね。
「うーん……考えても分からないわ」
「そもそも、第一紫は根本的なところが違うのだから入ってこないで欲しいわ」
「えー、幻想郷自体はほぼ一緒でしょう?」
「息を吐くように嘘をつくのはやめて欲しいわね」
「なら、一旦私の幻想郷に来てみる?もてなすわよ?」
「……あそこには二度と行かないって決めてるわ」
「あら、残念」
第一紫って実力はヤバいし、メンタルもヤバいし、性格もヤバいしのヤバいの三点セットだから言い合いだと確実に勝てないのよねぇ……常識を知らない人に常識で殴りに行っても全くきかないのと一緒みたいなものだし。
第一紫ほど、触らぬ神に祟りなしが似合う存在はいないと思うわ……問題なのは向こうからこちらにやって来てるところだけど。この十一人の八雲紫が揃って会議ができているのも第一紫のおかげだし……まあ、それで第一紫の気持ち悪さが消える訳じゃないのだけど。
「うちの魔理沙もそちらの魔理沙も変わらないでしょう?」
「変わり過ぎてるのだけど?」
「……?」
まだまだ喧嘩は続いてるみたいだし……この喧嘩をBGM代わりにゆっくりと休むのも悪くないわね。そう思いながら、私は目を閉じた。
第九紫……気づけば霊夢に幻想郷を支配された八雲紫。取り返すために活動していたところ仲間が一度0人になったが、正邪を味方にしてからは少し味方が増えた。
基本的に正邪と共に幻想郷で仲間を探し、他の味方はもう一つの幻想郷で修行をしている