真・恋姫✝無双~月と陽~   作:朱鎌蟹

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始まりと日常

~始まりの章~

 

 ???サイド

 「親父!」

 嘘だ…嘘だ嘘だ嘘だ!!あんなに強かった親父が…あんなに優しかった親父が…敵の将の矢に当たり、倒れた。俺は無我夢中で親父の元に駆け寄った。

 

 「親父!…しっかりしろよ!親父!」

 「……息子か……俺はもう駄目だ…娘の月のことは…頼ん…だ……ぞ」

 「何言ってんだよ!…………?親父?死ぬな、親父ィ!!」

 

 俺はそう呼びかけたが、親父は既に息を引き取っていた。

 「………許さない……許さない!親父の仇は…絶対討ってやる」

 そう宣言した俺は矢が飛んできた方を向いてそう誓った。俺が目を向けた先、そこには特徴的な弓を持った、水色の腰まで届く程の髪をした将が立っていた。

 

 ◇◇◇◇

 

 「懐かしい夢だ。」

 実に何年ぶりだろうか、この夢を見たのは。

 

 「今でも覚えている。親父の仇の姿……。この手で殺してやりたいのは山々だが「陽様」……何だ、明日」

 「起こしに来たのですが………どうやら必要なかった様ですね。半々刻後に定例会議がございます。」

 「そうか……分かった。すぐに向かう。おまえは先に行っていろ。」

 「御意………月様と詠殿は如何致しますか?」

 「寝ていたら叩き起こせ。起きていたら用件を伝え、玉座の間に向かえ」

 「御意」

 

 そう言って、我が軍の筆頭軍師、李儒ー明日は俺の部屋から出て行った。

 

 「殺してやりたいのは山々だが、今は自分の役割を優先することにしよう」

 

  ◇◇◇◇

 

 ~李儒SIDE~

  

 私の名は李儒。涼州の中にある安定という町の太守、陽ー董旻様の筆頭軍師を務めております。私は今、陽様の妹君、董卓様と董卓様のお付きの軍師(見習いの文字が離せない)賈駆殿の寝ている寝室に向かっています。

 私的には、兄であられる陽様が起こしに行った方が良いと思うのですが、陽様曰く、

 

 「妹といえど女性の寝室。断りなく入るのは、気が引ける」

 

 だそうで。

 

 「まあ、だからこそあの方に付いて行くのですが」

 

と言っていたら、御二方の部屋に着きました。

 

 「明日です。董卓様、起きていらっしゃいますか?」

 

 ………返事がありません。どうやら、まだお眠りのご様子。心の中で失礼しますと言いながら戸を開ければ、案の定。二人はまだ寝ていました。仲良く手を繋ぎ合って、微笑ましい光景です………と、いけません。二人を起こさなければ。

 

 「董卓様、賈駆殿。朝です、起きてください」

 

 ゆさゆさと揺すっても、声をかけても起きる気配は皆無。ならば、奥の手を使わせてもらいましょう。

 

 「今すぐに起きなければ、………分かっているだろう「起きました!!ですから、お仕置きだけは!」な…なんだ、起きているじゃないですか」

 「え!?お兄様は?」

 「先ほどの声は、私の声真似です」

 「あ、明日さん。お早う御座います」

 「………もぅ、なんなの?月ぇ」

 「起きましたか?賈駆殿」

 「あ、明日様!態々お越しに来てくださったのですか!?」

 「えぇ。陽さまのご命令で。あ、そうでした。半々刻後にある、朝の定例会議に出席せよと。」

 「分りました。急いで準備しますので、先に行っていてください」

 「分かりました。くれぐれも遅刻せぬようにしてください。それでは、後ほど」

 

 そういって、私は董卓様の部屋から出て、玉座の間に向かいました。

   

 

 


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