「残機、スペルともに三つでいいかしら」
「私はそれでいいぜ!前回も”私は”そうだったからな!」
「えぇ、構いませんよ」
「…行くぜ。先手必勝! この前の借りを返すぜ! ”彗星 ブレイジングスター”!」
自慢のスペルカード、”マスタースパーク”を糧に自速を大幅に上昇させ、対象へと突撃する技。
周囲に星型の弾幕をばら撒き、顕在化された光の力で上昇させた速度は、瞬間速度において4桁へと突入する。
「確かに速いけど……、一方向からの攻撃なんて簡単に避けられるんですよ!」
シェルターという閉鎖空間内で、あらゆる方向から同時に放たれる複数のブレスを避け続けた妖夢にとって、ただ速いだけの一方向からの攻撃を避けることなど、造作もないことだった。
「あら、そう…。だったら、一方向でなければいいのよね。”霊符 夢想封印”!」
煌めく七色の光弾。妖怪が毛嫌いするという特性を持つソレは、自らの敵を追尾し続け炸裂する。
「追尾!? ……なら、まとめて叩き斬る! ”断命剣 冥想斬”」
注ぎ込まれた妖力が
「……驚いた。まさか私のスペルを防ぐとは」
「…フッ。この楼観剣に、斬れぬものなど、あんまり無い!」
「少しはあるのかよ!」
「ふぅん…。そこそこ強いみたいね」
「師匠に教えてもらったんだ…。この世は速度だと。速度さえあれば、誰が相手だろうと負けることは絶対にないってね! ”瞬閃 三光刃”!」
瞬きする暇さえ存在しない刃の閃き。一度の斬撃にて三度閃く刃は、視覚で認識することは神でさえ不可能だ。
……妖夢が必死で造り上げたスペルカード。自分が死ぬまでに相手を斬る…。生き残るために速度だけを求め続けた剣捌きは、一度の斬撃で三度斬りつけることを可能にした。
「んなっ……!? そのスペルは…!?」
「そう…。前に貴方に使ったスペルですよ。これで貴方は終わりです…」
「くそっ…、またこれかよ…」
「何言ってんの?まだ1回被弾しただけでしょうが。何諦めてるのよ」
「違う…。私は3回被弾したんだ…」
「何を言って、……そういうことね。やってくれるじゃない」
魔理沙の体には、3回分の斬撃痕が残っていた。
「……悪いけど、本気でやらせてもらうわ」
「無駄ですよ。あなた程度の速度では、私の攻撃は避けられない。……あはは、やれる、やれるんだ私は!」
「馬鹿ね、速度だけが全てじゃないわよ」
「はっ、速度が全てなんですよ!速度さえあれば、一方的に攻撃することも可能なんですよ!」
「”夢想天生”」
主に空を飛ぶ程度の能力。飛ぶということは、同時に浮かぶということでもある。浮かぶ……、浮く。この世の理から外れ、浮き続ける。自由に…、縛り付けるものなど何もない。全ては彼女の思う儘。
「…嘘。弾幕が、すり抜けた……?」
「私の勝ちよ。あらゆる事象から浮いている私に、弾幕は通用しないわ」
「ず……、ずるい!何ですかそれ!?反則ですよ!」
「…1回で3回分被弾させるあんたの方が反則だわ。……それじゃあ、死のうか」
この後、持ち前の回避力をフルに使って挑むも、無敵に敵うはずもなく……。
「ひ、卑怯だあぁぁぁぁ!!」
「勝てばいいのよ、勝てば」
あっさりと倒されてしまうのであった……。
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