ルイスとルイズ 作:胸のルイス
「信じらんない信じらんない信じらんない! ……何考えてんのよこのエロ使い魔!!」
「おしっこ漏らすほど気持ち良かったくせに、あなたがそれを言う?」
あれから蕩けて呆けっぱなしのルイズを、ルイスが部屋へと運ぶためにお姫様だっこをしようとしてみると、胸か邪魔だった。
ルイスはいっそ腕、乳、乳、腕で抱えようかとも思ったが、そうするとルイズの
「うるさいうるさいうるさ~いっ! 自分の顔した相手にこんなことするなんて……あんた本当にわたしなの!?」
「あら、自分を相手に愛でるのだって良いものよ? ひとりでならあなただって去年――もご」
「こ、ここここれ以上わたしの顔して変なこと言うのやめてよね!」
「……。」
しんと、ルイスが突然おとなしくなった。
「な、何黙って――あ。」
咄嗟に手にしたものでルイズの顔をルイズが塞いでしまった物、それは
自分の痴態をさらしたような感覚と、自分の顔にそれを押し付けた苦悶でルイズの思考がショート仕掛けると、再び時が動き出した。
「もぐもぐ。」
「何してんのよおぉっ!?」
ショーツをあま噛みし始めるルイス。少しずつ彼女の口のなかにそれが消えていく、いろいろとヤバイ状態のそれをルイズは大慌てで引っこ抜いて、勢い余ってのけぞった。そのままよろけた彼女の、可愛いおしりがスカートをシーツとの間に敷かないままベッドに落ちる。ショーツもつけていない今の彼女には、まっ白く雪のように冷たさのある光を放つそれが、すこし寒く肌で感じられた。
「ひゃふ……。」
「あら、もったいない。」
「な・に・が!?」
わなわなと怒りに肩を震わせつつルイスを見ると、彼女は食べ損ねた獲物をみるような目でペロリと唇を舐める。そんなルイスがルイズは不気味でしょうがない。なぜなら自分では今のような事は絶対に出来ない行為だからだ。そう、たとえ敬愛するこの国の、そして幼馴染みでもある姫様のショーツだったとしても、自分では出来ないだろうと彼女には思えた。そう思うと、目の前のルイスは本当は悪魔か何かが化けていて、自分では無いのではないかと思いが重なって、更に不気味さが増していく。
気持ち悪い。
ルイスの行動からルイズが感じたことは、それ以外には出会ってから未だ何もない。こんなのが自分の使い魔かと思うと、彼女はわんわんと泣きたくなってくる。
しかし。
あ……と、同時に使い魔だと考えて浮かぶひとつの光明。
そう、使い魔ならしつけ直せばいいだけじゃない! そうルイズは考えてなんとか自信の心に落ち着きと、決意を呼び戻した。
とりあえず躾けよう、こんなことを他の人間にする自分なんぞ見るのは、絶対にごめんだ。そう思ったルイズは足を組んでルイスを睨み付け、杖を片手に持ち、もう片方の手の平にピシャリと良い音をさせながら軽く打ち付けた。
「そういうこと、二度とやらないで。」
「あら、あなたにわたしを止める権利があるの?」
「誰があなたの衣食住の面倒を見ると思っているの? 亜人なんて、他の人間には恐怖か、迫害か、略奪の対象にしかならないのにどうやって生きていくつもり? 姉さまに標本にされるかもしれないわよ。」
そう、どんなに顔が似ていても、彼女自身が言うにはルイスは亜人なのだ。それは、ハルケギニアでは人間に疎んじられる存在でしかない。
たとえそれが亜人になったという未来のルイズの一人だとしても、それは変わらないこと。むしろ、下手を打てば胸が違いすぎて、大貴族の顔を利用する亜人の不埒ものとして裁かれる可能性まである。
しかし、ルイズにとってはものすごく苦手な姉の名前を出したというのに、ルイスはどこか涼しい顔をしたままだ。
「脅すなんて、貴族がそんなんで良いのかしら?」
「ええ、だってこれは使い魔に対する躾ですもの。言うことを聞かねばこうなるわよと
「……言ってくれるじゃない。」
ようやくルイスの雰囲気がすこし変わる、やはり、彼女もルイズ。自身を見下す言い方は癪に障るようだ。空気がはりつめていきそうになって、ルイズがもしかして選択を間違えたのではと思った瞬間に、その緊張の空気をルイスはあっさりと手放した。
「まあ、良いわ。私も気に入らない子や、男の相手なんかしたりしたくないし。」
「ちょっとあんたね……捨てられてたら何してお金を稼ぐつもりだったのよ。ちゃんと普通に働きなさいよ。」
「できると思う?」
そう言ってルイスがルイズにはない超巨大な、ルイスの心のなかでは胸に似た何かと、乳と認めたくないものを小さな両手を左右から沈めながら挟んで見せつけてくる。
「呼ばれる前は何をして生きていたのよ……。」
「それは秘密、トップシークレットよ。」
「……コルベール先生にも言ってたけれど、やっぱりあなたを、未来のわたしなんて信じたくない。」
どうせろくでもない方法なのだろうと、侮蔑の眼差しを使い魔に向けて、ルイズはまたひとつ心に決める。
「決めたわ。私はあなたなんかには絶対にならない、なってたまるもんですか。」
「そうね。むしろなってもらっちゃ困るわ。わたしがまた、わたしになる所を見たって面白くもないもの。せいぜい頑張りなさい。」
「言われなくたって……。」
「そうよ。それでこそ、わたしのご主人様だわ。」
にやにや顔のままにルイスは、そう言いながら、隣へと座ると、ルイズに手を軽く曲げたままに向けて、とんとんとテーブルを叩くような指の動きで下を指差した。
「でもまあ、そんな細い足で組んでるせいで大切なところが丸見えじゃあ、格好つかないわよ?」
「え、ウソ!? やだ……っ!」
「ウソよ。」
大慌てで足を崩して、スカートを手で押さえたルイズに、しれっとルイスが告げる。
「あは、あはははっ! 昔のわたしって、こんなに面白い子だったのねっ♡」
「くっ……くぬぬぬぬぅ!」
してやられたことで怒りで顔を真っ赤にしながら、再び足を組なおそうとして、ルイスがまた告げる。
「あら、また組み直すの? 今のもウソかもしれないのに。」
びたりと、ルイズは固まった。
「んふふ。本当かどうか姿見の前で確認したら? 支えてあげるわよ。」
「ふん、また何かされることやら。そんな危ない奴相手に身を預けるなんてたまったもんじゃないわよ!」
結局ルイスの前で足とスカートで大切な所を隠すように、ベッドに上であぐらをかいて、ルイズはからかわれ続ける事態の解決を図り、杖をルイスにつきつけた。
「大体ね、さっきからあんたは……わたしをバカにしてるけど、他にできることないのかしら。」
「使い魔としてってことかしら?」
「そうよ! 亜人になったんなら、少しは私を守れるくらい出来るんでしょうね!!」
「そうねえ……とりあえずは、えいっ。」
そういいながらルイスが杖を取り出すと、軽くひとふり。
「ゆーびーきーたーすぅ☆でーるーうぃーんーーでっ♪」
「ばかっ!? 何しようとしてんのよ!」
自分が杖を振ったらどうなるか。そんなことは"ゼロの"ルイズである彼女が一番知っていることだった。ましてや今ルイスが唱えているルーンは風のスクウェア・スペル、遍在。そんな高等魔法など唱えられるわけがない。
「……?」
部屋が瓦礫の山になるのを想像して、思わず目を閉じたルイズだったが、何かが弾け千切れるような音も、感じ慣れた頬を掠める風も、起こることはなかった。
恐る恐る目を開けた彼女の目の前にあった光景、それは……5人に増えたルイズだ。
「とりあえず、あいつとおんなじ人数の遍在を作ってみたけど、どうかしら。」
「……。」
ルイスの実力を目の当たりにして、ルイズの口は開いたままに塞がらなかった。こんなこと、今の自分には出来そうもない。
そして同時に、この魔法を成功させたルイス……彼女はとてつもない力の持ち主だということを認めざるを得なかった。
「あなた……これが出来るまでに、何年かかったの?」
震える唇でルイズが尋ねると、本体と思われるルイスは頬に指を当てて子首をかしげ、目を閉じてうんうんとうねり始めた。
「んー、そうねぇ……1300年くらい前かしら。出来るようになったのは、あなた位の歳よりちょっと後かな。」
「せん……っ!?」
ルイスを改めて亜人だと実感した瞬間だった。そしてすぐに、聞きたくなかった答えを返されてしまったことに、ルイズは気づいてしまった。
自分と同じ位の歳……そんなに早くも、彼女は風のスクウェアへと到達したという事実が、ただただ悔しかった。こんなふざけた外見と言動をした彼女が、自分よりはるかに高みにいることが、苦しくて、辛い。
気がつけば、ルイズの双眸からは涙が流れていた。
「何を泣いているの?」
「う、うるさい……っ!」
そんな相手に自信の涙を見られたことも悔しくて、思わず拭おうとするルイズの手をルイスがぎゅっと掴んで止める。
「は、放して……放してよーーひゃうっ!?」
それでも今は使い魔の前に居たくなくて、逃げようとしたルイズの腰が浮く前に、ルイスがペロリと……彼女の頬を伝う涙を舌で舐めた。
思わずルイズがルイスを見たままに固まる。そんな彼女を真っ直ぐと見つめて、彼女は優しくゆっくりと、息をはくように透き通った言葉を紡いだ。
「悲しむことなんてないわ。あなたの方がずっとずっと、すごい者になれるもの。」
「何を、根拠に……っ。」
「根拠なら……あるわよ。だって、私もあなたと同じ歳の頃はね。もっともっとすごかったんですもの。」
ルイズにはもう訳がわからなかった。メイジにとってスクウェアメイジ以上にすごい存在なんて、あるわけがない。自分にすら哀れまれているのかと、止まった涙がまた溢れてきた。
「ぐす、下手な……気休めはやめて。」
「気休めじゃあないわ。でもそうね。きっと、同じことを同じときに言われたとして……わたしも信じなかったと思うし、信じられるわけないわよね。」
目を細めて口を閉じたままにすこし広げて微笑む、そんな懐かしい顔をするルイス。それはルイズが魔法にか関わる前の頃に出来た顔。怒らず悲しまず、ただ楽しく素直に、そして落ち着いて話せた頃にした絵顔と同じ癖の表情だった。無垢の顔だった。
「あなた……。」
「わたしはもう貴族でもないし、とうに捻くれてしまったから、あなたをからかったりするけれど……。」
ルイスの手を握る力が強くなる。その手を自身の胸に持っていき、つよくうずめて、ルイズに鼓動の音を感じ取らせた。
とくんとくんと響く、落ち着いたルイスの心音のリズム。
それは、彼女の心が波風をたたせず、平常心から言っていることの証。からかって興奮しておるわけでも、咄嗟に慌てて哀れんでいるわけでもない、ただ優しさから教えてくれた、それだけだというメッセージ。
「それでも、こんなことまで巫山戯て言う畜生ではないわよ。」
初めて受けた使い魔の気持ちに、ルイズの心が少しだけ揺れる。
「でも……でもでもっ!」
それでも、ルイズは信じられない。先程のふざけた顔やイメージがあるからではない。自分がまっすぐに話すときの顔をしたルイスが、信じられないわけでもない。ただ、自分がこれから一年以内にそんなすごいことが出来るようになるなんて、想像が出来ない。俯いて、目を閉じて、どれだけ考えても、そんなルイズ・フランソワーズは見えてこなかった。
「そんな未来が……わたし、思い浮かべられないっ。」
物心ついてからずっと魔法が失敗続きの人生。そんな蓄積した十数年が報われるにしたって、そんな大袈裟なことになる筈がないのと、出来てもコモン・マジックだけとか……そうとしか彼女には思えないのだ。
「ねえ……いったい何を、わたしは成せるの?」
「え、そんなの……教えてあげないわ。」
「え……?」
優しさをくれた使い魔から、突然突き放された。顔をあげてみれば、そこにはまた、嫌な顔をした使い魔がひとり。
「きっかけも結果も教えてあげない。まあ、それまでずっと辛くてたまらないけれど、せいぜい頑張りなさい。」
「なっ……ここまで言っておいて!」
その使い魔の調子に、ルイズの調子も戻っていく。もう片方の手が、杖を鞭のように振り上げようと力がこもる。
「ふふ、元気……でたみたいね。」
「……っ!」
怒りが戻り、活力が戻ったことを、ルイズは気づかされた。これがルイスの狙いかどうかは解らなかったが、確かにもう、ルイズの中にルイスとの差を嘆いた気持ちは残っていなかった。
悔しい気持ちは、使い魔にしてやられたというもののせいで消えなかったが、それでも最初に感じた悔しさと違い、こそばゆさこそあれどこれが理由でもう涙が出ることはなかった。
顔を赤くして膨れっ面だが、その顔にかわいさを感じ取れることこそが、ルイズの心が和らいでいるということである。
「こ、こんな程度じゃ使い魔の仕事のうちにならないんだからね! 今までの仕打ちを考えたら、まだ足りないくらいよ!」
本来使い魔のしてくれることではあり得ないメンタルケアに対して、そんなことを言うルイズにルイスは起こることなく微笑んだ。
「ええ、もちろん。それに……足りない分は、今から埋めてあげる。」
「そうよ、ちゃんとあんたが言うわたしになれるよう手伝いなさいね!」
「もちろん。それじゃあさっそくーー手伝ってあげるわね。」
「は……? 手伝いって何を……ひぃっ!?」
目の前のルイスが、胸にうずめていたルイズの手をがっちりつかむと、反対側からルイズの乾いた涙の後をなめるルイスの遍在。そして彼女もまた、同じように力強く、胸にルイズの手が埋まるほどに強く、彼女の手を掴んで握りしめる。
「えい♪」
「きゃっ!」
今度は3人目のルイスが、そんなルイズを腕を絡める二人のルイスとともにベッド奥へ押したり引きずり込む。
「よっと……。」
「あうっ!?」
更に先にベッドに女の子座りで待ち構えていた四人目のルイスが、覗き混むようにルイズの顔を見ながら両手でぷにっと頬と顔をつかむと、三人目のルイスがその重みで潰さないように膝を立ててルイズのおへそへ馬乗りになった。
「は……え……?」
「だから、お手伝いよ……お・て・つ・だ・い。」
訳がわからないルイズに、四人のルイスが微笑むと、まだベッドへと乗っていなかった最後のルイスが疑問をはらうように答えたが、ルイスにはまだ現状が理解できない。
「これからきっと辛いことだらけ。きっとあなたはストレスをためると思うわ。」
そう言いながら、ルイスからほぼ上半身だけ見える、5人目のルイスが自分の指をペロリとなめた。その顔は、とてつもなくルイズに悪い予感を連想させる。
だって似ていたのだ。
「だから、ね?」
キスしたさっきのルイスの顔と。
「その度にこうして、思いっきり気持ちよくして……リフレッシュさせてあげるわ♡」
つまりこの体制は……ルイズを5人のルイスが今からーー
「そ、そんなのだめーーふむっ!」
言い終える前に唇をひとりのルイスが塞ぐ。
ふたりのルイスがルイズの指をねぶるように舐めて、馬乗りのルイスがシャツのボタンをはずしていく。
「心配要らないわ、ルイズ。」
最後のひとりが、ベッドへと猫のような四つん這いの姿勢で乗ると、彼女のスカートに両手をかけていく。
「終わる頃には自分でおねだりするくらい、私たちのサービスを気にいってるわよきっと♡」
ダメと抗議したいルイズだが、どこも動かせず、逃げられず、喋れず。
バタバタと足だけ動かしても、それすら5人目に掴まれて。
その5人目のルイスがスカートを脱がせると、彼女の頭がルイズの股の間に沈んでいって……そしてルイズはーー
この日、ルイズのベッドはあまりのルイスたちの重さと、ルイズの激しい動きで、昼間だと言うのにギシギシと、軋みながら激しく揺れ動いた。
それでも壊れないベッドと、崩れ落ちない床に……固定化、万歳♡ と、ルイスは心のなかで笑っていた。
ゆうべは おたのしみ でしたね。
≡キャラクターメモ≡
・ルイス
亜人(淫魔)
角は金色、翼は黒い羽毛、尻尾は銀色
小説本編後のルイズ……ではない
・ルイズ
まさかのロストバージン
後半とんでもなく乱れた