ルイスとルイズ 作:胸のルイス
「ぐす……ひっく。」
「もう、血が出るようなことはしなかったんだし、いつまで泣いてんのよ。」
さめざめとした声がひとつ。その声の方を、全裸で椅子に座って見つめる者がひとり。
声の出所は、湿ったり少しだけ色が変わったシーツと、毛布でくるまったまん丸もこもこ。
「もう夕食のお祈りの時間よ? わたしお腹すいちゃっし、行きましょうよ……。」
「……あ。」
「あ?」
「あ゙ん゙だだげい゙げばい゙い゙でじょ゙お゙!!」
顔どころか肌すら見えない程に丸くなった、分厚い布越しから叫んでいるとは思えないほどの、つんざく声。
大切なものをいろいろと失い、自分の顔をした者の与えてくる快楽に一時は屈服してしまった少女、ルイズの声が部屋に響き渡った。
他の生徒が外で使い魔との交流を深めていたり、使い魔に対しての知識を深めるために教師のもとや、図書館へ行っていたのがせめてもの救いか。彼女の恥を知るものは恐らく居ないだろう……今のところは。
そんな最低限、周囲に対する意地と見栄だけは残したかった。それ以外の、ルイズという中身はルイスに
そんな彼女に、ルイスはやれやれとため息をこぼした。
「無理よ。」
「なんでよ!」
「だって、わたしの服もスカートもショーツも、全部ルイズが一緒に掴んで丸くなっちゃってるんだもん。」
「……。」
「裸で使い魔を食堂に行かせるのがお望みかしら。」
まるで自分はそれでも構わないといわんばかりの気楽さで話す。そんなルイスの言った行いを、ルイズが許すはずもなかった。
「あんたはご飯抜き!」
「そんな! 嫌よそんなの……わたしがどれだけ久しぶりに、人間の料理したご飯を食べると思ってるのよ!」
本気の抗議をする大きな声が、今度はまんまるもこもこの外から響く。
「うるさい! 知らない! そのままお腹すかして死んじゃえ!!」
しかしそれはルイズにとっては些細なこと。ルイスにとっては、叫ばざるを得ないほど大切なことなのかは解らないが……それなら先程のルイズの身に起きたことも同じである。彼女にとってはとても大切で、ルイスには軽いことの価値観。それを押しきられた彼女が、今度は仕返しにルイスのわがままを許可しないのも、ある意味当然のことだろう。
「……。」
「もう、しょうがないわね。」
それ以上まんまるもこもこが何も言わなくなってしまうと…しばらくしてガチャリ、パタンと、何かが開いて閉まる音が、ルイズの耳に聞こえてきた。
「……は?」
思わず自分の耳を疑う。
まさかと思って、すぐに追いかけようとしてみるルイズだが、あまりに何もかも絡めて丸まったせいでどこも動かすことが出来ない。
「くぅ、このっ! んしょ……っ! ぶはぁ!!」
なんとか顔を出してみると、もう部屋には誰も残っていなかった。たらりとルイズの頬に汗が垂れる。
「あ、あいつ正気なの……! いや、正気であんなことを日課のようにされても、こ、困るけれど……あの格好でアルヴィースの食堂に行くつもり、なの? う、嘘でしょう……ねえ!?」
散々
「ま、まずいわ……もしもアイツがみんなに見られるようなことになったら……。」
おかげでルイズはそれはもう的確に、自分の各パーツの悔しくても、押し寄せる波のようなナニかに抗えないところを、優しく時に痛くいじくり回されたが、今の問題はそこではないのだ。
そんな自分と同じ顔と下半身、背中やうなじを持つ者が、それを丸出しで外に出ていってしまったのだ。由々しき事態である。
「わ、わたしの裸まで……見られちゃったことになっちゃうじゃない!」
現代で例えるのなら、無修正の自分のヌード写真を等身大パネルに、もしくは立体スクリーンに投影したものを、教室や歩行者天国などの人の集まる外で、誰かに引きずり回されるようなものだろうか? よほどの変な、露出癖のような趣味を持つ人間ではない限り、誰であろうとこんなことをされれば、普通ではいられない。年頃の多感な乙女ともなれば、尚更だろう。
「お、男たちもそうだけど、ツ……ツェルプストーにまで知られたら!」
それだけは絶対に避けねばならなかった。
ヴァリエール家の宿敵であるツェルプストー家に、あんな弱点を知られるわけにはいかないのだと焦りを覚えるルイズ。
5人目のルイスに散々愛でられて、つねられたり入れられたりした所、女の子のだいじな裂け目の少し上。この歳、17でも未だ何もないつるつるのルイズの大切な所を、他の者にも、宿敵にも見られてはたまらない。
そんな一世一代の窮地に陥っていたルイズだが、ふとその時の感覚を、怒りの熱にあてられて思い出してしまった。
凄かった。特に尻尾を使ってあんなことを……その時のされたことと触感を求めて、無意識に伸びた手を片手で押さえつけた。
「はっ……わ、わたしは今何を!? や、やだっ!」
淫裂に伸びかけた手を胸元まで戻して、甲をつねる。はしたない娘に自分がなってしまったのではという……不安からたれる汗の感触が、体と心を冷やして今度は冷静さをルイズに取り戻させた。
「だ、だからそんなことを考えている場合じゃ、ないのよ……うぅ~っ!」
もしルイズの股間に草原がないと知れわたってしまったらーー
「ツ、ツェルプストーだけじゃなくって……モンモランシーたちにだって何て言われることか。」
自分がせめて口だけでも、自分を蔑む者たちから負けないようにと、人の過去や特長を二つ名をもじって言うようなことを、今度は自分がやり返されることになる。
「
こうなってしまえば最後、仮にルイスの言うような存在や、彼女のようなスクウェアメイジになったとしても、もうゼロの蔑称、二つ名は消えなくなってしまう。
意味を変えて転移して、成長の具合から考えれば恐らくは半ば一生、そういわれ続けるに違いない。
「そ、そんなの絶対だめぇ~! 許さない、許さないんだから!!」
しかし、慌ててルイスを追いかけようにも、絡まりあった体を丸く取り巻く布はどこかどう挟まってるのか……それとも気がいくら強くてもか弱い女の子であるルイズの力では、ほどくには足りないのか、全く彼女を放してくれそうにはない。
「こ、この……!」
焦りから単に力任せにほどこうとするが、よりきつく、ぎゅっとルイズの二の腕や肩の位置が締め付けられていくばかりだ。
「うう……やだ、んんっ! 早く、早くほどけなさいよ!!」
何回も繰り返していくうちにも無情に時間は過ぎていく。
まんまるもこもこが主人に牙を剥いて、その形をみのむしか繭に変えてしまった頃に、ルイズはようやく力尽きて、こてん……ぺちゃりと、少し湿り気のあるベッドへ芋虫のような姿のまま倒れた。
「ぐす……ひっく、嫌よこんなの。」
かなりの間に、脱出を試みていた。もう時間はルイスが出ていってから50分以上過ぎているだろう。
間違いなく彼女はすでに食堂だ。
女子の寮塔を抜けて、食堂までの渡り廊下を月明かりのもと、その裸体を晒しながら平然と歩いて食堂へと入り、何も恥じることもなく夕餉を食み、終わった後のデザートとワインを愉しんでいるいるに違いない。その光景を思い描いてしまったルイズの双眸からは、大粒の涙が出続けている。
「うぅ……ひっく、ふえ~~ん……。」
赤の他人の体で自身が恥辱を受けると言う、前代未聞のハプニングと、それにたいして自分が何も出来ないことに、とうとうルイズの心が押し潰された。そんな時、ガチャリと再びドアが開く。
「……何してんの?」
「え、ふえ……?」
そこにいたのはお盆を二つ、器用に左右の手に乗せて、尻尾で器用にドアを開けたルイスが立っていた。
ルイズの目に写ったものはルイスの股。つるつるすべすべつやつやな、今すごくルイズが他の人に見られたくなかったもの。それゆえ彼女が全裸でここまで戻ってきたと思ったのだが、どうやら違うようだ。
ルイスが下着をつけていないことに変りはなかったが、それが見えるのは、尻尾が扉を開けるために取っ手の高さまで、手前にある布を捲り、どかしていたからの様子。
そんなルイスをよく見ると、彼女は何か黒い布を腰から下に付けている。
それは、なんとメイド服。子供サイズなメイド服の黒のワンピースを、入りきらないルイズの胸から上を、胸像のようにはだけさせてだらしなく……いや、とてもいやらしく着ていた。
そしてその淫らにこぼれさせたままの大きすぎる胸はというと、子供サイズのエプロンを首から左右の乳に被せるようにかけて隠している。
ようはルイスは服を着ていたのだ。なんともえっちな、扇情的といっていいのか、いかれていると言った方が良いのか悩むファッションで。
片方だけで顔が沈みそうな大きさなのに、垂れていない。そんなハリのあるルイスの胸だから何とかなっているものの、風に煽られたり身じろぎするだけで、乳に被せてあるエプロンは簡単にひるがえって、大きな桜色の果実を晒しそうだし、スカートだって子供用なので制服のスカートより膝上、そしてその下に布はもうなにもない。尻尾の先で少し、前を隠している程度だ。
変態かと問われれば、間違いなくそういった人間の格好だろう。
「あんたこそ……何よその格好。」
ルイスへの怒りも裸体をさらす悲しみも忘れて、思わずルイズは突っ込まずにはいられなかった程度の見てくれなのは確実のようだ。
「何って、あんな格好のままにアルヴィースの食堂になんて入れないじゃない。追い出されるに決まってるわ。だから今日は、メイド一人捕まえて、服と賄いを持ってこさせたのよ。」
「裸のまま……食べに行ったんじゃないの?」
「そうね。ここが女子高ならともかく、いくらわたしでも男に気安く肌を見せてあげるつもりはないのよ。」
ルイスは、持ってきた料理の乗った皿をテーブルへと置くと、あれからどうしたのかを語りだしたーー
「待ちなさい、シエスタ。」
後ろ向きに話ながら歩くか、振り返らなければまず気づかないような食堂へ続く渡り廊下の草むら。そんな近くの柱から、ルイスがメイドを呼び止めた。
「は、はい……あら? ミス・ヴァリエールぅっ!?」
振り替えったメイド、シエスタはルイスの凄まじい外見と乳に、食堂へもって行く途中だった手のポットを落として、思わず立ち止まった。
食堂へと食べに来た貴族は既にもう、食前の祈りを捧げはじめており、彼女一人だけでなければ、そのポットを落とし叫んだ視線の先、裸のルイスへと他の人間からも注目が集まってしまっていただろう。
「え……ど、どうしたんですかそのお姿!? それにそのーー」
ものすごくたわわな、学院にこんなモノをもつ者が居れば、間違いなく噂されるであろうルイスの胸から視線が離せないままに、翼でそれを少し桜色の場所だけを隠して、尻尾の先端を前貼りのようにして股間にはりつけているだけのあまりの格好に、慌ててかけよって来た。
「落ち着きなさい。わたしは使い魔の方のルイズよ。」
「え、じゃあ……あなたが、ミス・ヴァリエールの召喚したと言う亜人ですか?」
「そういうこと。あ、面倒だと思うしルイスでいいわよ。」
そう言われてもシエスタは少し悩んでいるようだ。学院の給仕とはいえ形的には仕えてる人間の一人であるルイズと同じ見た目のルイスに、馴れ馴れしくするのはためらわれるのだろう。
「で、ではミス・ルイスと。」
「別に呼び捨てでも良いけれど? 今のわたしは貴族じゃなくて亜人だしね。」
「そ、それは流石に恐れ多いと言うか……。」
そう言って勘弁してほしいのか、シエスタは両手を腹部の方へまっすぐ伸ばしたままにもじもじとこすっている。
しかし、そんな敬う態度をやめようとしないでいるのに、彼女がずっとルイスの目を見て話していないことを彼女は気づいていた
「……揉みたいの?」
「へ、へひゃ!?」
「だってシエスタ、ずっとわたしの顔を見ないでおっぱいばかり見てるんですもの。しかもちょっと……えっちな感じに♡」
「そ、そそそんなことないです! してません! 見てません! ただ、すごくおっきいので気になると言うか……その……どうやってそんなになったのか気になって。お顔も背丈も、全くミス・ヴァリエールとお変わりないのに……。」
シエスタの視線は、最後の秘境だけ隠しているルイスの胸にずっと釘付けだった。それも奇異というよりは、憧れや羨望の目で見ていたのだ。
もちろんそんな目で見ていたなど、ルイスをまだ貴族と見なしてるシエスタが言えるわけもない。ばればれの仕草で慌てて取り繕うが、別にルイスはそれを咎めるわけでもなく、くすくすと笑って彼女を許した。
「ふふ、いいの別に。でもどうやったかは秘密。大体亜人と人間じゃかけられる時間とか何もかも違うわよ。でも、大きくなる方法なら教えてあげてもいいわよ?」
「ほ、ほんとうですか!」
「ええもちろん……すうぅっ! さ、寒っ!!」
「わ、わわ。と、とりあえず私の部屋までいらしてください。」
「ええ、助かるわ……わたしもあなたに用事があるのだし、お願いするわね。」
そんな格好では風邪を引いてしまうだろうと、部屋に招く途中でシエスタは何の用だろうと思う気持ちと、平民のなかではかなりのものと思っているものの、今だ従姉妹に追い付けず、生徒の何人かにも負けている己の胸を、どうにか出きるかもしれないという期待に溢れていた。
「ど、どうぞ。狭いところですが。」
おずおずと招き入れてからルイスを部屋のベッドに座らせると、貴族様のと比べて汚くて申し訳ありませんがと毛布を手渡す。
「そんなことないわ……ありがとうシエスタ。」
こんなにも笑うと可愛いのかと、ルイスの……もといルイズの魅力の一面を思い知らされるシエスタ。しかしそれ以上に今の彼女には、名前で貴族に何度も呼んでもらえるという喜びが、大きかった。
ルイスへしたことは大したことではないが、外での会話のときから名前を呼ばれ続けているせいだろう。シエスタにはまるで自分が信頼できるメイドになって、何度も頼られているような気分である。望んでこの職に就いたのであれば、給仕としてこれほど嬉しいことはないはずだ。
「まだ暖かい……シエスタの匂いがするわ。」
「へ……? ええぇえっ!?」
「あなたの匂いは、ぽかぽかした草むらや麦畑にいるような、優しく包まれてるような気分になるわね。」
「え、と……あの……そのっ! も、もうだめです~ミス・ルイスっ!!」
思わぬ方向、思わぬ芳香の称賛にシエスタが耳たぶまで真っ赤になってるのもお構いなしに、しばらくすーはーと香りを楽しみながら、ルイスが毛布で暖まって何度か寝転がっている、と流石に我慢の限界をシエスタが迎えた。
慌てて止めようとして、つい毛布を強く剥ぎ取ってしまう。
「あん。」
「え、あ……っ!」
そうして出てきたのは、片足を少しだけ曲げて仰向けのままに、鎖骨の前、胸の付け根辺りの上に左右から小さくかわいい手をのせたルイスの、生まれたままの姿だった。
巨大な胸も重力に負けてべしゃりと潰れることなく、さりとて肉のように固く形を保っているのではなく、ふるるんと緩やかに揺れている。
そこにさらに艶やかさと、暖まったことで上気したうっすら体の一部に浮かびあがった薄紅色が、より艶かしさを強調する。
大きさこそ異質なれど、その肢体もまたひとつの芸術品のようにシエスタには思えた。
「……先に、お礼をしちゃいましょうか。」
「え……?」
ぐいとシエスタの手を倒れるほど勢いよく引っ張ってルイスの上へ寝転ばせて、もう片方の手と顔をルイスの胸に導く。
柔らかく、それでもある程度の弾力を残して沈む自身の指と、顔に当たる触感にシエスタが何をされたのか理解した時、彼女の耳たぶをふいにルイスが舐めてから、囀ずった声と共に耳に吐息をかけた。
「ひゃ……あっ。」
「ふふ、胸の大きくなる運動、教えてあげる♡」
そういって、シエスタとの位置を、彼女の向きだけはそのままに、入れ替わるように寝転がせてから、ルイス覆い被さるような形でシエスタの上に乗る。すると、おもむろに手を伸ばして、ベッドと彼女達に押し潰されていた胸を揉み始めた。
「は……ぁんっ。ミス・ルイス……何をっ!」
ルイスを少し恥ずかしい気持ちで見続けていたシエスタの体は、ほんの少しだが熱をもち始めており、彼女の胸をまさぐるルイスの指に敏感に反応してしまう。
「目を閉じて、思い浮かべて……。」
「や、あっ……くぅん♡」
「あなただけを愛してくれる、勇者を。」
「はっ……はっ、わた、私だけを、愛してくれる……?」
「そう、あなただけ……あなたを守るメイジにも負けない、見惚れる剣捌きの勇者さま。」
そう言いながらも上へ下へ、付け根へ、先っぽへ、ルイスの指がゆっくり、シエスタの胸をまだ触れてないところがないように、確かめながらほぐしていく。
「あっ……あっあっあっ♡」
「この手から先にあるのはその人の指。あなたは今、いつか結ばれる素敵な恋人に抱かれて、胸を弄ばれているのよ……。」
もじもじとおしりを左右に揺らしてるシエスタの姿は、間違いなく
「その人に、キスをされて、もっと揉まれて、最後はあなたの大切なところまで指を許してーー」
「そんな、私まだ恋もしてことありませんのに……駄目ですそんなの。そ、想像させないでぇ……。」
シエスタの意識が白く染め上げられていく。
ーーーーーー
ーーーー
……
「はぅ……♡」
「そうやって、今してあげたみたいに、自分がしたいからとかじゃなくて、好きな人にしてほしいって気分で、求められてるんだって感じで胸を毎日揉みなさい。」
数十分間、ルイスがしたのは女性ホルモンの分泌をさせながらの乳腺のマッサージ。しかし、約150歳の年季の入ったそれは、生娘同士の乳繰り合い等ですむものではなかった。
「そうすればきっともっと大きくなるわよ、わかった?」
最後に服越しでもわこるほど大きくなったシエスタの胸の先端をぴんっと指ではじくと、ルイスのマンツーマン豊胸マッサージ講座は終わりを告げた。
「はぃんっ! す、すごかったれふ……。む、胸だけでこんな……はふぅ。」
当然こんなものを施されて、17の生娘がまともでいられるわけもなく……あわれシエスタは、先ほどのルイズのようになっていた。顔は火照り、なんかとてつもなくえっちな匂いをスカートからさせて、衣服のいくつかの箇所をほどけたり、はだけて横にぐったりと倒れている。
「やり過ぎたかしら……? まあいいわ、それじゃシエスタ。ちょっとあなたの若い頃の、もう着れない大きさのメイド服とエプロン、借りるわね。」
「はいぃ……どうぞ、ごじゆうにぃ……。」
「残りのお礼はまた今度してあげるからね。それじゃまたね♪」
そんな思春期の男性が見たのならば恐らくは、欲望に負けないでいることなどできない姿をしたシエスタに、ルイスは何かルーンを二言唱えて、一言につき杖を一振りだけ振ると、外へと出ていった。
残されたシエスタが、何故か衣服がもとに戻っていることに気づけたのは、大分後の話。
「そこから賄いもらいに行って……まぁ、今に至るってとね。それじゃあ……えいっと。」
シエスタの、豊胸マッサージだけ話を省いて説明を終えた彼女が、胸の間に挟んで持ち歩いていた杖で、縄抜けの魔法をルイズへと唱えた。
たちまちルイズを縛り付けていたシーツ、布団、毛布、シャツやスカートやら下着、何もかもが剥がれるようにむけて、中から一人の可愛らしいおしりをした裸の少女がつるりと生まれ出でる。
しかしルイズは体を隠そうとしない。緊張の糸が切れて、安堵で動けないのだ。裸を使用人一人を除いて誰かに見られることなく済んだことが、ただただ嬉しい。
「ほら、早く食べないと冷めちゃうわよ。わたしが二つともなんなら食べても良いけれど?」
変な追求をされないように急かすルイスが、少しだけ羽を動かして、料理の匂いをルイズの鼻へと送る。
そんなテーブルの上からは漂うほのかな香りに釣られたかのように……ぐぅと、怒りと悲しみの緊張がなくなって元気を取り戻したルイズのお腹が鳴った。
「わ、わわわ!」
それを誤魔化すように、慌てて新しい下着をはいてから、スカートもはいた後に、動転していて先に着忘れたブラウスのボタンを軽く止めると、ルイズもまた席に着く。
多少はしたない格好ともとれなくもないが、目の前の自分にはもう、本当に全て曝け出してしまったせいで彼女は、ひとまずこの格好で良いやとも、先にご飯だとも思えてしまったのである。
これまでの学院で過ごして居たときはストイックだったルイズらしからぬ行動だが、今が異常すぎるせいでモラルや感覚が麻痺しているのかもしれない。もしくは、単純に鳴いたり泣いたりし続けたせいで、心が疲れきってしまっているのかもしれない。きっとこれが寝て、翌朝に元気にあくびをした後などであれば、こんな行動を彼女はしないだろう。
「まくまく……あ、おいしい。」
賄いと思われるそれは質素な、野菜とベーコンが少し入ったクリームパスタ。これもやはり普段のルイズならば、手をつけなかったかもしれない。
しかしルイズにとっては今はどんなものでも美味しかった。
「当然でしょ、なんたって隠し味にわたしのミルク入りなんだから……。」
「は? はあぁっ!? ……げふっ、ごほごほ!」
「嘘よ。」
「くふ……ふえぇ。」
「もう、本当にバカね。ベッドでそんなもの出してなかったでしょーーぷっ……あはははは!」
顔の拭く布巾を手渡そうとしたルイスが、突如椅子をガタガタ揺らすほどに、笑い出した。
「はえ……?」
そんなルイスを見るルイズにも、大きな違和感。
なんだか鼻の辺りが何かむずむずする。
「ん、ふえぇ!?」
鏡を見るとそこに写っていたのはなんとも間抜けな顔。
両の鼻からパスタを一本ずつ垂れ下げていたルイズの顔が写っていた。先ほどむせたときに鼻の器官を通り飛び出したのだろう。
「あは、あはっ! あはははは!」
「~~~~~~っ!!」
ルイスの手からルイズは布巾をふんだくると、勢い良くそれで鼻をかむ。
「は、はれ……?」
にょろーんと、パスタは全部だしきれずに、布巾につくことなく、ルイズの顔へと延びたままだった。
「ちょ、やめてっ! お、お腹苦しい……うふふふっ!」
「ふ、ふるひゃい!」
しかし、ルイズが何度やってもパスタは出てこない。
「ろ、ろうなってるのひょお!」
「ふふふ……取ってあげるからじっとしてなさい、もうっ。」
ルイズの目が再び涙に濡れそうになってきた頃、すっかり別の理由で涙に濡れたルイスがルイズの顔を押さえて、片方のパスタに手を伸ばす。
「きっと、こうなってるのよ。なんともまあ……器用にボケたわね、ルイズ。」
「ふが、ふぎゅ。」
そういってその手をルイスが引くと、反対の鼻へパスタが引っ込み、やがて引っ張ったパスタが全て出ると、ルイズの鼻から違和感が消えた。
つまりパスタは、Uの字にルイズの鼻から飛び出していた……何とも乙女泣かせで、嫌な奇跡である。
「ほら、他に変になってない?」
「あ、ありがとう……って! もとはあんたが原因じゃない!! しれっと無かったことにして良い顔してんじゃないわよぉ!」
「きゃ~♪」
まるで歳の近い姉のような顔をするルイスに思わずときめきかけて、その者が諸悪の根元であることを思い出したルイズは、後ろにあるベッドから枕を投げようとしたが、埃が舞って料理が食べられなくなりそうなので、なんとか踏みとどまった。
「……ふん!」
「あらら、拗ねちゃった。ま、良いか……それも今のうちだけだし。」
再び席について、ふたりで食事をとっていると、なんだかだんだんと不思議な気分に包まれてきた。
胸が熱い、動機が激しい……ルイズの意思とは関係なく、体が勝手にふとももをもじもじとこすり合わせている。そういえば、さっき使い魔は何と言っていたか。他に変なところはないかと、聞いていなかったか。ルイズがそれを冷静に読みほどくと、ひとつの危険をひしひしと感じ始めた。
まさかーーあの言葉は心配からきたものではなく、ルイズの状態の確認だったのならば。
ルイズは目の前のクリームパスタに、思わず青ざめる。
ルイスの方にはクリームは使われていない。ただの野菜のペペロンチーノだ。
つまり、まさか、この白い液体は……。彼女ならありうるのかと、ルイズは思わずにはいられなかった。
「はぁ、はぁ……っ! ま、まさかほんとに、ルイス、あなたっ……!」
「え? ああ……嫌ねもう。母乳なんてわたしは出ないし、出てもそんな効果ないわよ。」
でも……と言って杖をルイスが振ると、ルイズは
「水の魔法を使って少しだけ、細工しちゃったけどねっ♡」
「え……はーっはーっ、まさか、は……嘘、でしょ……?」
そんなルイズをうつ伏せに寝かせると、シエスタにしたように、胸と布の隙間へと指を滑らせていくルイス。今度は、布越しではなく衣服の隙間まで、彼女の指が侵入していく。
「はぁはぁ、やだ……もういやぁ。」
「てへ、シエスタ見てたらまたこう……なんか込み上げてきちゃったの♡」
「シエスタって……誰よぉ、ひゃひんっ!」
聞き覚えのない名前を出され、何とか抗える口だけで抵抗するルイズだが、口答えすら許さないと言わんばかりに、快感が襲いかかってくる。
「ふふ、お風呂の入る時間くらいは残して終わりにしてあげるわよ……多分だけど。」
「嫌ぁ、今日はもう……許してぇ!」
「さ、使い魔と主人の絆を深めるために、仲良くするわよ、ル・イ・ズ♡」
「やら……やらぁ!この、この色欲魔ぁ!!」
「正解。だってわたし、
「は、何て……あぁんっ♡」
直ぐにまたルイズは、昼間のように何も考えられなくなった。そして結局約束も守られず、サイレントで防音完備の中、朝日が昇る時まで好き放題にされてしまう。
その後にようやくベトベトな体で腰砕けのまま、お風呂へと連れていかれると、枯れた声でルイズが虚空へと呟いた。
「こんな使い魔、もう無理。誰よ、これ……。」
「わたしはあなたよ。ルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエール♪」
「そんなの嘘よ……ぐす、もう使い魔なんて要らないから帰ってよあんたぁ……。」
「もう、そんなこと言わないで。週一くらいでこれからよろしくね。ああでもしないとわたし、枯れて死んじゃう♡」
「うう……誰か助けて~っ!」
そんな初日にして動けないままに弱音をはくルイズを、つやつやてかてかとした笑顔で、石鹸まみれの手を、胸を、布を使って、卵肌のルイズの体を、甲斐甲斐しくルイスが綺麗にしていた。
その日、何故か前日昼間より部屋に籠って何かのマッサージをしていたメイド一人と、使い魔とコミュニケーションをとっていたメイジが一人、どういうわけか同じように腰に力が入らず立つことが出来なくて、仕事と授業を欠席した。
また、香水の瓶を落とした男貴族が、それをプレゼントした作り主に拾われた挙げ句に、周りがそれを好きな人へのプレゼントかと騒ぎ立てた。そのせいで、男が手をつけていたもう一人の女性が泣き出してしまい、二股がばれてさんざんな目に遭ってしまったらしい。
≡キャラクターメモ≡
・ルイス
超努力した今は亜人なメイジ 。風のスクウェアに覚醒後、100年かけてはひとつの属性のランクをひとつずつ上げていき、他の属性も無理矢理身に付けている。
普通の人間ならこんな牛歩、寿命で死ぬかくじけている。
・ルイズ
本人が思い描いていた人生の分、一生分はもう夜の営みをしてしまった気がしている。
必要な代償が多きすぎて、有能な力を持つ使い魔なのに全く嬉しいと思えない。
・シエスタ
まだむっつり官能小説を読むような女の子ではないが、別の方向に道を間違え始めている。
・「わたし、枯れちゃう♡」
もちろん嘘である。
・ギーシュ戦
拾ってしまうと問題を起こす人不在により回避