「「はぁー・・・」」
久遠、溜息、窓辺にて。
刹那も同じく溜息を吐いていた。
溜息の原因は分かっている。昨日の夜、はぐれ悪魔の討伐に行った時にリアス・グレモリーに存在がばれた。
さすがに自分だとはばれていないが、一応隠密と言うかあの人の切り札的扱いの自分はあまり表に出たくない。
まぁ、昨日言った通り敵対する気もないので、見つかったら素直にばらすつもりでいるが
ただ、そうなったらあの人に何を言われるだろうか。スキンシップが大々的に行われるだけか。
「素直に逃げてもよかったんじゃないか?」
「それであっちに敵対してると思われたら、次あった時即攻撃だよ?」
「結局攻撃されたがな」
「それなら、討伐後すぐに離れればよかったじゃない」
「お前が話しかけてきたからだろうが」
「歩きながらでも話はできるでしょうが、それに迎え撃ったの私じゃない」
見にくい言い争い。いくら言ったところで後の祭りなのだが愚痴を言いたいだけだ。
そんなことをしていると部室の扉がノックされた。
「どうぞー」
刹那が答える。まぁ、ここを訪れる人物は限られている。と言うか一人だけだ。
「失礼します」
予測通り。
「どうした。ソーナ」
「どうした、ではありません。昨日の夜、リアスに会ったそうですね?」
「・・・さて、何のことやら?」
刹那がとぼける。
「クロノと名乗る謎の人物。貴方たちの事ですよね?」
「へぇー。自分の芸名と同じ人物が居たのか。世の中狭いな」
正直、見苦しい。
「貴方たちの事ですよね?」
と再度ソーナは聞く。手に魔力を込めて。
「はい、そうです。自分です!」
もはや脅しである。
「・・・はぁ。今日の朝、リアスに頼まれました。クロノと言う人物を探すのを手伝ってくれって」
うわぁ。厄介なのに目をつけられたなぁ。
「なら当分依頼は久遠に任せるか」
「正直、それもあまり意味がない気がしますが」
「まぁ、無いよかマシってやつだ。あまり意味がないのは分かってる」
うん。私もそう思う。だって
―――
◇◆◇
生まれた時から
一つの
いわゆる二重人格。ただそれだけだったならまだよかった。
だけどただの二重人格じゃなかった。私は女。俺は男。そして肉体は表に出ている人格が出る。
すなわち、女にも男にも変わる。どっちが主人格なのか、そんなのはなかった。どっちも表でどっちも裏。どっちにもなれる。
今でこそ勝負に勝った俺を軸として学校に通っているけど、生まれたばかりの子どもがそんなことわかるわけがない。
どっちの人格も子どもなのだから。
当然、周りは気味悪がった。子どもが女になったり男になったりするんだ。
そしてそれで終わりじゃない。その
裏の世界では神器と呼ばれている特別な力。だが周りはそんなことを知らない一般家庭だ。
結果、自分は捨てられた。こんな体に生まれた自分が不運なのか。それとも人ならざるモノとして殺されなかったことが幸運だったのか。
赤子同然の子どもが一人で生きていけるわけがない。そうして彷徨っているときにあの人に拾われた。
◇◆◇
「無理をして隠す必要もないですし、ばらしてしまえばいいのでは?」
ソーナが言う。俺としてもそれでいい気がするのだが
「でも、自分は割と変な立場だからな。ばれないようにしてほしいってあの人に頼まれてるし」
自分のポジションはあの人の私兵だ。
そして、この学園で自分の体質を含めそのことを知っているのはソーナだけ。
学校では『時鳥刹那』として通っている。まぁ、割と気にせずに入れ替わっているんだが。
肉体に変化があるとはいえ、大きく変わるわけじゃない。久遠の胸は対してないし。ちなみに本人も全く気にしてない。
声は変わるが、久遠が俺に似せているのでばれない。
ちゃんとした双子だったのなら、入れ替われるくらいに久遠は俺に成りすませる。
もちろん、逆に俺が久遠に成りすますことだってできるが。
「リアスはしつこいですよ。我欲が強いと言いますか、執念深いと言いますか」
「うげぇ」
本当に厄介そうだ。こりゃ、学園では必要以上にグレモリーとその眷属に関わらない方がいいな。
「とりあえず私からは『怪しい人物はいなかった』と報告しておきましょう」
「いいのか?友人に嘘をついて?」
「いえ。嘘じゃありませんよ?私にとって貴方たちは怪しくありませんから」
うわぁ。騙しだ。詐欺だ。
「生徒会長がそんなんでいいのか・・・」
「そうですか。では、クロノの正体は『時鳥刹那』だったと報告しておきましょう」
「すみませんでした。ごめんなさい」
自分とソーナは昔からの付き合いだ。完全に俺の扱いを心得てる。
「全く・・・。話は変わりますが貴方たちに頼みたいことがあります」
なんだ?
「最近、この町に堕天使が居ることは知ってますか?」
「ああ。それらしい力を感じたな。それに、確か二年の兵藤が悪魔になったのも関係があったっけ?」
確か、堕天使の女を彼女にしてその数日後悪魔になった事があった。堕天使の痕跡も消して。
「どうやらその堕天使達が町はずれにある教会に潜伏して何かをしているようなのです」
「それを調べてこいと?」
「ええ」
「それってグレモリーの仕事じゃないか?」
グレモリーとソーナはほぼ同じ立場だが、悪魔として町を管轄しているのはあいつだ。
「堕天使全体の意志で動いているのであれば私もリアスも下手に動けません。戦争に繋がりかねませんから」
なるほどね。その点、ほぼ個人である自分は自由に動ける。
「了解。必要なら潰そうか?」
「いえ、調べるだけでいいです。仮に独断だったとしてもそこから先は私たちの仕事ですから」
ソーナはその辺真面目だよな。あの人ならついでにやっちゃってとか言いそうなのに。
「わかった。うまくやるさ」
「危険を感じればすぐに引いてください。久遠もよろしくお願いします」
俺と久遠が入れ替わる。
「了解。まかせて」
さて、うまくやりますかね。
主人公sの性別について迷ったので、ならどっちにもすればいいじゃないというノリでこうなりました。
ここで学園での設定を少し。
時鳥刹那 3年B組 文芸部部長
学園には刹那(性別:男)として通っているが頻繁に久遠と入れ替わっており、周りも気付いていない。(体育等体を晒す場合は必ず刹那が受けている)
久遠の状態でも刹那として関わっており、久遠として関わっているのはソーナのみ。
生徒会メンバーは良く手伝ってくれる一般生徒と言う認識。