苦々しいリーダー【艦これ二次創作】   作:シグ&リデ=覚醒

14 / 20

今回からちょくちょく提督が喋りますが、あくまでサブキャラなので…しつこいようですが、オリ主タグはつけません。



第拾弐話「焦燥~死装束の消息~」

 

そろそろ晩御飯の時間を迎えるそんな時。暁は軽くスキップをしていた。

 

ようやく言葉がまとまったので、今から執務室に言って北上の沈没を報告しにいくのだ。

 

「あぁダメだわ。こんな笑顔で報告したら司令官に怒られちゃう…」

 

とは言うものの、笑顔が絶えない暁。まるで恋する乙女のように体をクネクネさせながら、彼女は提督邸に入っていった。

 

……執務室に提督の姿は無かった。机上のメモによると工廠にいるそうだ。暁はやっぱりかと言わんばかりの表情でため息をつく。

 

それでも笑顔は止められない。暁は緩みきっている自分の頰をペチペチ叩き、ルンルン気分で執務室…及び提督邸を後にした。

 

その時だった。暁の前に1人の偽者が現れたのだ。その偽者は激しく息を切らし、暁を見かけてホッとしたような表情を見せた。

 

そしてそのまま、偽者は思いっきり暁の両肩をガッと掴む。その時にふわっと髪の匂いがしたので、偽者の正体が分かった。

 

「暁…大変よ!北上の奴が生きてるわ!長門と海風が助けたのよ!」

 

彼女は息を整えながら、暁にそう告げた。それを聞いた暁は目を白黒させ、思わず下にしゃがみ込んでしまう。

 

「嘘…嘘よっ!だ、だって…!」

 

「……暁、落ち着いて聞いて。多分誰かが私達の計画を盗み聞いて、それをあの2人に横流ししたのよ。何か心当たりない?」

 

私達の計画。この偽者はそう言った。此処で暁は偽者の正体が曙なのを確信し、しばらく考えた後で首を横に振った。

 

「そう…しょうがないわね…」

 

暁は怒りに打ち震えていたのだが、この時にふと気が付いた。この偽者が明らかに焦っており、柄にもなくソワソワしていると。

 

しかしそのことを尋ねることはしなかった。自分が尋ねる前にその偽者の方からある提案をされたからだ。

 

「暁、時間が無いの。私が何とかしておくから、あなたは何処かに隠れてなさい」

 

……これを聞いてポカンとする暁。曙は少し苦い顔をするも、直ぐに暁を立たせて、無理やり暁を歩かせ始めた。

 

「ま、待ちなさいよ!どうして隠れなきゃいけないのよ!諸々の説明を…」

 

「あぁもう!犯人があんただってバレてる可能性が高いからよ!あたしが匿うって言ってんの!良いから早くどっか行きなさい!」

 

暁はこの時に心から思った。どうしてこの偽者はここまで取り乱して慌てているのだろうかと。しかしその理由は聞けなかった。

 

……彼女は慌てて駆逐艦寮に戻り、ぶつぶつ偽者の悪口を言いながら必要なものを集める。

 

そしてその寮の倉庫に…響の所へ向かい、いつも通りに入り口の扉を開けて中に入る。

 

「ひーびーきー?」

 

暁はニコニコした笑顔で響の名を呼びつつ、奥の方に入っていく。

 

「……来たか」

 

一方で響はとても眠たげだった。彼女はどうやら先程の暁の声で目が覚めたらしく、目をパチパチと動かしていた。

 

それを見て何を思ったか、暁は持っていたものを床に置いて、思い切り響に抱きついた。困惑する響なんて気にせずにギュッと。

 

「な、な、何を…!?」

 

「ふふっ、あのね響。これからはずーっと一緒に居られることになったの!だから…もう1人ぼっちにさせないわ!」

 

暁は笑顔を爛々と輝かせて、声を張り上げてそう言った。それを聞いて顔を真っ青にする響なんて気にせず、嬉しそうに。

 

……その後、響は暁から全てを聞かされた。北上の殺害に失敗したことなども全部。響はその話の間、ずっと息を飲んでいた。

 

~~~

 

「ふぅ…やはり瑞鳳さんの料理が最高ですね。私もちゃんと見習わないと」

 

そう独り言を呟きながら歩くのは赤城。どうやら彼女は今日も瑞鳳の残飯処理に付き合っていたようで、お腹をさすっている。

 

……ずっと顔色が悪かった瑞鳳がある日を境に元気になった。詳しい経緯は聞けなかったが、元気になったから良しとしている。

 

「さて…少し遅くなってしまいましたね。今日の晩御飯は…確か飛龍さんの担当でしたね。早く帰って手伝わないと」

 

あんなに食べたのにまだ食べるのか。瑞鳳にはつくづくそう言われたりもしたが、食べるのが大好きな彼女は気にしていなかった。

 

特に…瑞鳳ほどではないが、飛龍もかなり料理が上手い。というか、自分の暮らす戦艦空母寮に料理上手が多い気がする。

 

「ふんふふーん♪」

 

彼女は呑気に鼻歌を歌いながら、スキップ気味に寮に向かっていた。

 

……その道中だった。赤城は想定外のものを見てしまう。それを見た赤城は、思わず曲がり角に姿を隠してしまう。

 

(なっ…あ…あれって…!?)

 

赤城は少し体を震わせていた。元より人のオーラとかに敏感だった彼女は、そこで見かけた人物に途轍もなく恐怖を感じた。

 

そう、そこにいたのは…不機嫌な海風と、殺意しか見せていない長門・北上だったのだ。

 

彼女らは横並びになって、それなりの早足で無言のまま歩いていた。方向から察するに提督邸に向かっているのだろう。

 

赤城はそれを暫くの間呆然と眺めた。結局は食欲に負けてそれを見なかった事にしたのだが、好奇心は掻き立てられていた。

 

 

 

提督邸の鍵は開いていた。北上らはその事に少し驚きの表情を見せつつ、アイコンタクトだけ取って足を踏み入れた。

 

そして何も考えずに執務室に向かう。海風が相変わらず遅れそうになっていたのを長門がフォローしつつ、歩みを進める。

 

……執務室から人がいる気配がした。今回はきっちりノックをして部屋の中に入り。

 

「あれ、3人ともどうしたの?」

 

提督の姿を確認した。どうやら、工廠から帰って晩御飯を食べている所のようだ。

 

「……提督、単刀直入に聞くぞ。暁が何処にいるか知らないか?」

 

「え、暁さん…?知らないなぁ」

 

「あーそっかー。ありがとね提督ー、んじゃそういうことで!」

 

「ちょちょっ!?待って待って!?」

 

提督は何の情報も握っていない。それだけ確認した3人はすぐに退室しようとする。しかし提督がそれを認めるはずもない。

 

よって提督は3人に説明を要求する…のだが、北上が軽く仕事の報告をした後、そそくさと3人は退室して行ってしまった。

 

……ハッキリ言って無礼な行為だ。だが3人にそんなことを気にする余裕は無い。

 

提督は当てにならない。3人は提督邸から外に出た後でそれを確認し、この日は活動を辞めにして、解散する事にした。

 

理由は3つ。今日は色々とあって疲れ果てているから。もしもの時の予防線として3人一緒に行動できるようにするから。

 

そして、慌てなくても良いと思いたかったからだ。先程の移動中に北上は2人からあの盗み聞いた内容も耳に入れていた。

 

「こういう時こそ、冷静にねー」

 

「あぁ、分かっている…つもりだ」

 

「……私もです」

 

口ではそう言うものの、どっからどう見ても焦っているようにしか見えない。

 

だがその状況でも口調が変わらない北上に励まされる形で、長門も海風も深呼吸が出来たのが良かったようで。

 

3人は想いが1つになったことを確認し、それぞれの寮に戻って行くのだった。

 

~~~

 

実を言うなら、今日から本格的に活動するつもりでいたのは間違いない。

 

だが雷と電にあんな泣きそうな…深刻そうな顔で頼まれてしまった以上、自分の予定を少し変更せざるを得ないだろう。

 

目を覚まして暫く経ってから、川内が考えたのはそのことだった。

 

「うっし!じゃあ早速行動に移す…前にご飯!今日の晩御飯は何かな」

 

川内は軽く準備運動をして、キッチンに向かった。寮の中は相変わらずの静けさだった。

 

……キッチンに入った時、目に入ったのは机の上の一皿。その皿には、物凄く上品にサンドイッチが盛り付けられていた。

 

(おぉー!凄く美味しそうじゃん!)

 

そう思いつつ急いで手を洗い、川内はそのサンドイッチを頬張った。中は薄い卵焼きとレタスで、程よくマスタードも効いていた。

 

恐らくこれを作ったのは熊野だろう…なんて考えつつ、川内はペロッと平らげて、今日はちゃんと皿を洗ってからキッチンを後にした。

 

 

 

寮から外に繰り出した時。此処で初めて川内は気が付いた。

 

「しまったなぁ…。あの2人から『どの』寮かを聞くのを忘れてたね~」

 

とは言え、状況から考えるに…駆逐艦寮だろう。川内はそうあたりをつけて、足早に駆逐艦寮に向かう。

 

そして目的地に到着すると、川内は建物の裏に回った。倉庫には1つだけ窓があるため、そこから中を覗こうとしたのだ。

 

(ありゃ、少し窓の位置が高いね~。まぁあの程度なら余裕でしょ)

 

川内は何回か屈伸をした後、思いっきり縦にジャンプして窓の鉄格子にぶら下がり、音を立てないように中を覗いた。

 

……直ぐには気が付かなかった。しかし川内は奥に人影を見つけ、その光景に思わず息を飲んでしまう。

 

そう…聞いていた通り、暁と響がそこにいたのだ。かなり遠目になるから細かいことは分からないが、添い寝をしていると思われた。

 

添い寝。そう言えば聞こえは良いが、寝るにしては明らかに響の姿勢がおかしいし、何より響から活力を感じなかった。

 

(こ、これ…ちょっと想像以上だね~。流石にこれを見過ごすわけには…)

 

川内は1回地面に降り、腕を組んで考え込む。此処で彼女は、雷電が助けに行くのを躊躇った理由を改めて理解した。

 

「確かにあれは…ちょっと割り込むの怖いよね~。というか私もぶっちゃけ響ちゃんを救出しにいくのすっごく怖いんだけど」

 

小声でそう呟きつつ、川内はその場をウロウロしながら考え込んだ。しかし結論は出ず、彼女は溜息をついてその場を後にした。

 

そう、そもそも今日は元々の別の予定があった。予め調べておいた多摩達の死地に行って、調査するという大事な予定が。

 

(ま、こんな所でウロウロしても何も産まれないしね~。取り敢えず寮に帰りましょ)

 

そう思い、超特急で寮に帰宅する川内。これから必要な道具を揃える為である。

 

と言っても、実は雷と電に頼まれたあの後に、既に1つの鞄にまとめて隠しておいたので、それを部屋から持ってくるだけだ。

 

(うしっ!これで後は…あぁそうだ!大事なものを忘れてるよね~)

 

川内はふと忘れ物を思い出し、ニシシと笑って同じ寮内のある部屋に入り込んだ。正確にはある人物の寝室に入り込んだ。

 

その部屋の主は布団でグッスリと眠っているようだ。彼女の表情から察するに、今は幸せな夢を見ているのだろう。

 

(んじゃ、ちょっとお借りしますね~)

 

川内はそーっと部屋の棚に近づき、その上に大事そうに置かれていたそれを、自分の鞄の中に割と乱暴に放り込む。

 

だが此処で、またも川内は魔が差したのだろう。折角鞄にいれたそれを一度取り出して、使い方を確かめようとしたのだ。

 

「ふふっ、可愛い寝顔だね~」

 

川内は不敵な笑みでそう呟き、それを構えてその可愛い寝顔に近付き。

 

パシャッと寝顔を撮影してから、してやったり顔で部屋を足早に去っていくのだった。

 

~~~

 

忘れていた。装甲置き場にも探照灯を常備していたんだった。川内は自分で自分のやったことに苦笑いをしていた。

 

「あちゃー、部屋から持ってくる必要性ゼロだったね~。ま、別にいっか!」

 

川内はささっと着替えて、夜の海に繰り出した。因みに、防衛プログラムのブレーカーは既にさっき下ろしてきている。

 

彼女の鞄の中には、少しの食料と手拭いと磁石と針金、それと探照灯が9本。

 

そして…倉庫から予め持ってきておいた軍手と、さっきくすねてきたカメラが入っていた。

 

「さて…確かこっちの方だね~。しっかしまぁ…やっぱり夜は最高だね~!テンションが!めっちゃ!上がって!くるっ!」

 

川内はかなり上機嫌で海上を移動していた。そのため彼女は、目的地に予定より早い時間に到着し、作業を早く始めることが出来た。

 

しかし作業始めてすぐ。川内は異変に気が付いて思わず手を止めてしまう。

 

そう、明らかに情報量が多すぎた。正確に言えば…まるでついさっき空爆が降ってきたような、そんな量の破片が落ちていたのだ。

 

「うーん、何があったんだろ?後でこれも調べなきゃかね~」

 

……破片の殆どは海に沈んでいる。潜水艦ではない川内はそれを拾えないので、探照灯の明かりと共に写真を撮っておく。

 

川内は調査が上手くいきそうなことに喜びつつ、何かしらの呪怨を感じるこの場の空気に、飲み込まれそうになっていた。

 

しかし彼女は意志を強く保ち、海に沈む破片を見つけてはパシャパシャ写真を撮る。

 

「ふーっ。取り敢えず何かあったのは間違いないね~。でも写真だけじゃちょっと弱いなぁ。何か良いもの落ちてないかね~」

 

川内は少しその現場から離れ、探照灯を爛々と照らしながら付近をうろつく。

 

……表には出していなかったからあまり気付けないが、彼女はこの『呪い』の真相を探ることにかなりの熱意を持っていた。

 

何としても、みんなと仲良くなると決めていた。そんな彼女の熱意が伝わったのだろう。

 

「おっ!?あ、あれって…!」

 

それが探照灯の光をキラッと反射した時。川内の眼もキラキラと輝いた。

 

彼女はそれに慌てて近付き、探照灯の光を当てて詳細を確認する。

 

……そこにあったのも、さっきまでに見かけた破片の一種には違いない。

 

だが沈んでいた場所が極端に底が浅く、川内でも拾い上げられる位置にあったのだ。

 

「うわぁ、超ラッキーじゃん!」

 

嬉しそうに軽くぴょんぴょん飛び跳ねながらその破片の写真を撮り、持ってきた軍手をはめてからその破片を拾い上げた。

 

……手で持った時は何てことも無かった。だが水面から上に破片を上げると、ずしっという重みが川内の手を襲う。

 

それを下に落とさないようにそっと眺める。そして…その破片の外側に何やら型番らしき数字が入っているのを確認する。

 

……流石に型番を見ただけで詳細が分かるほどの知識量はない。川内はそれを持ってきた手拭いで包んで、鞄にしまい込んだ。

 

「よしっ、今日はこの辺で帰りますか!誰かが見つける前に防衛プログラムのブレーカーを戻さないといけないしね~」

 

川内はそう独り言を口にして、荷物をまとめてその場を後にした。彼女が鎮守府を出発して3時間が経とうとしていた。

 

……この時の川内は知らなかった。この破片が落ちていた場所は、北上が多摩の偽連装砲を拾った場所にかなり近いということを。

 

~~~

 

真っ先に提督邸に向かわず、川内はもう1度駆逐艦寮に戻ってきていた。

 

「ふっふーん!この私が本気を出すべき時が来たみたいだね~!」

 

小さい声でそう意気込み、再び寮の裏に周って、あの格子の下まで来ると。

 

鞄から磁石と針金を取り出して服のポケットに入れ、また屈伸をする。鞄は少し自分から離れた場所に置いておく。

 

(うっし、いっくぞぉ!)

 

手をぶらぶらさせた後、また垂直に飛び上がって格子に捕まった。音を立てずそれをやり遂げる彼女は、本物の忍者のようだ。

 

そして川内は中を覗いた…と言っても、中の様子は微塵も変わっていない。彼女はホッと胸を撫で下ろし、ポケットから針金を取り出す。

 

これは前鎮守府の時から愛用しているもので、こういう鉄製のネジ締り錠を外から開ける時に、必ず使うものだ。

 

……割と高い位置の小窓。そしてこの倉庫の使用回数がそもそも少ないのもあり、鍵がズボッと鍵穴に刺さりっぱなしだった。

 

なので川内がやる事としては、窓と窓の隙間から針金を入れて、鍵にそれを引っ掛けてくるくる回して窓を開ける事だ。

 

(うーん、やっぱ錆びてるね~。でもこの引っ掛かり具合なら余裕っしょ!)

 

川内は手慣れた様子で鍵を回す。前鎮守府の秘書艦の秘密の部屋に入るために、ピッキングを特訓しておいて本当に良かった。

 

そして遂にその時がやってくる。窓を開ける事が出来るほど鍵を回せたのを確認して、川内は微笑みつつ1度下に降りた。

 

(よーし、針金は鞄にしまってーっと。えーと…カメラカメラ…あぁあったあった)

 

川内は持ち物を変え、もう1度格子まで戻ると、音を立てないようにそっと窓を開けた。

 

……のだが。

 

(うえっ!?何この臭い!?)

 

部屋の中から激しい異臭がしたのだ。川内はカメラを落とさないように気を付けつつ、嫌そうな表情で鼻をつまんだ。

 

……異臭の正体は直ぐに分かった。窓の直ぐ真下の所で、みりんとお酢の瓶が割られた状態で放置されていたのだ。

 

周りの荒れ具合から察するに、何かを取ろうとして誤ったのだろう。まぁ犯人は恐らくそこにいるレディさんだろうが。

 

(もー、掃除ぐらいしようよ!あの2人は臭いとか気にならないのかな!)

 

川内は不満げにしつつ、何とか態勢を整えてカメラを構え、2人が添い寝する所を激写することに成功した。

 

(よしっ、後は提督邸に行くだけだね~。それじゃあ2人ともお休み!)

 

そして音を立てないようにそっと窓を閉め、ポケットから磁石を取り出した。

 

……鍵を閉めるのは開けるのより簡単だ。磁石で引き寄せれば良いのだから。

 

彼女は鍵が閉まったのを確認すると、直ぐに飛び降りて荷物を纏める。

 

しかし…その場を後にしようとした彼女はふと気が付いた。こんだけ集めた写真、及びそれが入ったこのカメラをどうするべきかと。

 

もちろん理想は自分で北上らに見せに行くことだろう。しかしもしもの可能性を考えると、直接の接触はベストとは言えない。

 

何より、彼女らの行動パターンが分からない。もしかしたら今も彼女らは夜な夜な何処かに繰り出しているのかもしれない。

 

……それに、今直ぐにあそこにこのカメラを渡すと、自分に救出以来を出した依頼主である、雷と電に情報が全く行かなくなるだろう。

 

川内はそう考え、予定を変更した。自分は依頼主であるあの2人に応えるのが先決だと考え、もう1度針金を取り出した。

 

「ふっふっふー。普通の鍵も針金でチョチョイのチョイで余裕綽々だね~」

 

そんなことを呟きつつ、さっきよりも呆気なくガチャリと音を立てて扉を開ける。

 

そして…忍者のような佇まいで寮内を移動し、雷と電の部屋を総当たりで調べて見つけると、直ぐさまその部屋に侵入した。

 

(おぉ、2人ともぐっすりだね~)

 

雷も電も、朗らかな顔で…胸につっかえていたものがポロッととれてスッキリしたような顔で、幸せそうに寝息をたてていた。

 

それを見た川内もつられるように笑みをこぼす。だが…諸々のリスクと、早く提督邸に向かいたい気持ちがあり、迅速に行動する。

 

まず川内は例のカメラを目立つ場所に置き、次に部屋に転がっていたペンと何かの袋を拾い上げて、ペンの蓋を開けた。

 

(あぁ…何て書こっか…。ま、面倒くさいし『後は宜しく』でいいでしょ!)

 

キュッキュッとその袋にメモを残し、それをカメラの横に置いておく。

 

……川内は満足そうな顔をして、ブレーカーを戻しに提督邸に向かおうとした。

 

しかし此処で1つ、些細なミスをしてしまう。地面にあった紙を軽く踏んでしまい、クシャと音を立ててしまったのだ。

 

(やべっ!?)

 

慌てて足をバッと離す。そして周りを見渡す。だが2人の反応は無かった。

 

川内はホッと胸を撫で下ろし、何を踏んだかを改めて確認した。そこにあったのは1枚の画用紙で、ペンで絵が描かれていた。

 

……茶髪が2人と、銀髪紺髪が1人ずつ。4人で仲睦まじげに遊んでいる絵だった。

 

これが何を意味するか。流石の川内も直ぐに気が付き、それを拾い上げて眺めた。

 

恐らく、これを描いたのは姉の方だろう。末っ娘の複雑な髪型が上手に描けていたから。本物を見ながら描いたとしか思えないから。

 

(……ったく。何だかんだ2人ともお姉ちゃんが大好きなんだね~)

 

正直言って。この絵に響が居たことに驚きも喜びもあった。それでも川内は笑みをこぼし、絵を元の位置に戻して2人を見た。

 

……さっきと変わっていない。2人とも安らかな顔をして眠っている。

 

ふと好奇心が湧き上がり、電の頰を指でぷにぷにする。その時に反応はなかったが、暫くすると「うーん」と言いながら寝返りを打った。

 

川内は同じことを雷でもする。そして予想通り…2人とも同じ反応だった。彼女はそんな2人を暫く眺めたり突いたりしていたのだが。

 

(はっ!い、いけない!早く提督邸に向かわないと…!う、うぅ…)

 

……心が揺らいでいた。だが彼女は意識を強く持ち、名残惜しそうな顔はしつつも、幸せそうな2人を見ながら部屋を後にした。

 

そしてその約1時間30分後。

 

「ふぃぃーっ!今日のノルマ終了!」

 

誰にも見つかることなく無事に川内は提督邸から帰還し、ついでに入渠も済ませてから寮の自室に帰ってきていた。

 

もう夜が終わろうとしているのが分かる。彼女は布団にゴロンと仰向けになって、服のポケットに入れておいた破片を取り出す。

 

(さて…上手くいけば良いんだけど…。ま、後は成るように成るでしょ!)

 

まるで弱くなりつつある月明かりに照らすように破片を宙に掲げる川内。だが直ぐに腕をポフッと下ろして大の字になる。

 

(だから…後はあの2人と北上さん達に任せましょうかね~。んじゃあお休み~)

 

……今日は色々と頑張った。そう自分に言い聞かせたら一気に疲れがブワッとやってきた。そして川内は直ぐに眠りにつく。

 

自分の思惑が上手くいくと信じて。

 

~~~

 

次の日の朝。具体的な時間帯を言えばマルロクマルマルになろうとする辺り。

 

「うーん…?」

 

「あ、おはようなのです。朝なのです」

 

雷は電に体を揺すられて目を覚ました。そして眠たげな表情をして軽く目をこすりながら、壁にかかっている時計を見た。

 

「……もう電?まだこんな時間じゃないのよー。起こさないでよー」

 

確かに…雷を毎朝起こすのが電の日課ではある。だが今日に限ってはいつもより数10分早い。雷はそれを咎めようとした。

 

自分の言葉を聞いた電が、あわあわしつつ謎のカメラを指差すまでは。

 

「……えっ、何あれ?」

 

「あ、朝起きたら既にあったのです!」

 

「へぇー」

 

雷は1回伸びをすると、電を横に退かしてスッと布団から出て立ち上がり、何の躊躇いもなくそのカメラを手に取った。

 

そしてこれまた何の躊躇もなく弄り始める。電はその後ろで心配そうな表情をする。

 

「……ってかこれ、青葉のカメラよね?何でこんな所にあるわけ?」

 

「はわわっ!そ、それなら本人の所に返さないと…!わ、私達が怒られるのです!」

 

「いや、待って電」

 

……此処で雷がようやく気が付いた。

 

恐らくカメラばっかりに気を取られすぎていたのだろう。何か文字が記されていた袋が床に落ちていることに気が付かなかった。

 

まだ心配そうにしている電をよそに雷はそれを拾い上げ、書かれていた文字を読み上げた。

 

「あ、後は宜しくって言われても…ど、どういうことなのです?」

 

「というかそもそも誰よ!勝手に私達の部屋に入ってきて、変なメモと青葉のカメラを押し付けて、私の傑作を踏みつけてったの!」

 

腹立たしそうな顔をして、皺が付いてしまっている自作の絵を拾い上げる雷。彼女はカメラを電に渡して、その紙の皺を直す。

 

その間に電はカメラのスイッチを適当に押した。すると写真一覧がパッと顔を出す。

 

電の目に真っ先に入ったのは、恥ずかしそうにポーズをとる高雄の写真だった。

 

またそこから写真をスクロールしていく。そして見慣れない海域の写真が出で来た後、遂にあの写真が表示された。

 

「はわわっ!?」

 

「ちょ、ちょっと電!急に大きな声出さないでよ!ビックリしたでしょ!」

 

「そ、それどころじゃないのです!い、雷ちゃん…この写真を見るのです!」

 

慌てた様子で電は雷にそれを見せた。暁と響が添い寝しているあの写真を。

 

これを見た雷は、目を白黒させた後で電からカメラを受け取り、他の写真も漁る。

 

「……分かったわ電」

 

「な、何がなのです?」

 

「これ、撮影したの川内よ」

 

「はわわっ!そ、そうなのです!?」

 

「えぇ、間違いないわ。そして多分、このメモを残したのも川内ね。でも…後は宜しくってメモの意味だけが分からないわ…」

 

そう言い、雷は腕を組んで考える。電もそんな彼女につられるように考え込む。しかしこれと言った納得のいく答えは出なかった。

 

結局そのままタイムオーバーを迎え、2人は朝ご飯を食べるために部屋を後にした。もしもの時用にカメラは隠しておいた。

 

 

 

いつもの鍛錬のため、いつもの場所に雷と電は既についていた。そしていつものように赤城と神通と那珂の3人を待っていた。

 

「ったく…赤城さんは色々と準備があるから仕方ないとして、あの2人は…というか那珂は、遅刻癖を何とかするべきだクマ」

 

「えぇ、球磨姉さんの言う通りですね。いつもいつも…懲りないんですからあの方は」

 

球磨と大井の愚痴がまた始まった。周りがそんな空気になったのも気にせず、雷と電は周りをキョロキョロ見渡していた。

 

分からないことがあれば報告・連絡・相談というのを知っていた2人は、誰かにこの話をふっかけようと思ったのだ。

 

しかし…内容が内容。迂闊に広めて良い話ではないだろう。それも分かっている。

 

「こ、困ったのです…」

 

2人は悩んでいた。何より先程から青葉が明らかに不機嫌なのが見えているから。カメラを探していると思われる顔をしていたから。

 

……その後、相変わらず反省の色が無い那珂と神通が駆けつけると、赤城も顔を見せて鍛錬が始まった。今日は柔軟中心のメニューだった。

 

そして此処で、2人にとっても想定外のピンチが訪れてしまう。

 

それは2人組に分かれて鍛錬していた時。不意に雷と電の所に赤城がやって来たのだ。

 

先に気が付いたのは電だ。電と目があった時に中腰になって2人と視線を合わせる赤城。

 

「はわわっ、あ、赤城さん…ど、どうしたのです?私達に用なのです?」

 

「あ、いや…用って程じゃ無いんですけど、暁さんの姿が見当たらないものですから、お2人が何かご存知かなぁと思いまして」

 

……ヤバい。この質問が自分達に飛んでくることは、少し考えたら予測出来たはずなのに、回答を全く用意していなかった。

 

もちろん馬鹿正直には答えられない。2人は分かりやすくあたふたする。

 

しかし此処でまた想定外の助け舟が。ふと3人の所に曙がやってきたのだ。

 

「あぁ暁なら、昨日は夜更かししてたみたいだし、寝坊でもしてんじゃないかしら?」

 

「はぁ…そうですか。分かりました。ありがとうございますね曙さん」

 

「……別に気にしないわよ」

 

そうだけ言って曙はそそくさと江風の元へ帰っていった。2人はそんな曙の様子を呆然と眺めた後、頭に同じ疑問を浮かべた。

 

しかし…それが疑問だというのは分かるのだが、具体的な言葉には出来ないというただのモヤモヤした気持ちにしかならなかった。

 

だがこの出来事がきっかけで、雷はようやくあるアイディアが頭に浮かぶ。

 

というのも、さっき元の場所に戻る曙を眺めている時、視界にあのコンビが入ったのだ。視線を合わせないようにしているあの2人が。

 

雷は電をつついて振り向かせた後、周りと少し距離を取り、ひそひそ声で話す。

 

「ねぇ電、やっと分かったわ」

 

「え、な、何がなのです?」

 

「川内はきっとこう言いたかったのよ。あの2人にカメラを押し付けろってね」

 

そして雷は、本人らにバレないようにそっとあの2人を指差した。1組だけ他とかなりの距離を取っていた海風と長門を。

 

……電は雷の説を推した。

 

「で、でも…どうするのです?流石に直接の接触は危険なのです」

 

「ふふっ、簡単よ。海風より先に寮に帰って、あいつの部屋にカメラを放置して何食わぬ顔で退散すれば良いのよ」

 

「はわわっ!で、でもそれは…」

 

「何よ」

 

「う、うぅ…わ、分かったのです」

 

雷は本気だった。確かに海風の行動力を2人とも知らないからこれも危険行為なのだが、それでも雷はやる気満々だった。

 

電もそんな彼女の圧に負けてしぶしぶ雷の作戦を飲み、その後は黙って鍛錬に集中した。

 

 

 

「は、早っ…早い…のです…」

 

鍛錬が終わって解散の命令があった後、雷は直ぐに寮に真っ直ぐ走っていく。

 

もちろん電もその後を付いて行こうとした。だが余りにも雷の行動力が凄まじく、彼女は完璧に置いてかれていた。

 

それでも何とか意地を見せ、足を止めずに駆逐艦寮に辿り着く。

 

そして中に入って自室に向かうと、入り口から雷がヒョコッと顔を出して待っていた。

 

「おっそーい!」

 

「はわわっ…い、雷ちゃんが…はや…早い…のですっ!はー…はー…」

 

「もー全く…ほら電!さっさとする!」

 

雷はカメラを持っていない方の手で乱暴に電の腕を掴むと、彼女を引っ張っていく。

 

そして…海風の部屋に辿り着くと、雷は電に見張りを任せてそそくさと部屋の中に入り、目立つ所にカメラをポンと置き。

 

電とアイコンタクトを取って、2人揃ってその場を後にした。この間およそ15秒だ。

 

そして…寮からまた出かけようとした時。2人は丁度あの海風とすれ違った。お互いに挨拶は無かったが、その時に2人の心臓は高鳴った。

 

だが何であれ、これで全責任は無事にあいつに押し付けられた…だろう。2人はホッと胸を撫で下ろし、仲良く手を繋いで出かけるのだった。

 

~~~

 

海風は呆然と立ち尽くしていた。

 

理由は明白。部屋に何故か置かれていた、カメラの中を見てしまったからだ。

 

そこには色んな写真が入っていた。しかし彼女の目を引いたのはあの空爆の破片の写真。

 

そして…添い寝をする暁と響の写真だ。

 

「こ、これ…!」

 

波のように突然押し寄せてきた情報の量に、海風は少したじろいでいた。だが彼女は直ぐにハッとする。こんな所で慌てている場合じゃないと。

 

(そ、そうだ…!ま、まずは、北上さん達に知らせないと!)

 

そう思うや否や、海風はカメラを手に部屋を出て、北上らがいるところに向かっていた。

 

 

 

海風は走った。我を忘れて走った。自分に体力が無いのを忘れて走った。

 

そのせいだろう、巡洋艦寮に着いてホッとした時、彼女は膝が笑って動けなくなる。

 

その上、不運なことに寮に直ぐに入ることが出来ない。玄関前に人がいたのだ。

 

会話から察するに、重巡洋艦の3人だろう。恐らく…カメラが見つからなくて凹む青葉を、2人が慰めている状況だと思われる。

 

……マズい。自分がここにいることはバレていないが、そのうちバレるだろう。

 

だが、海風は慌てなかった。こんな時の為に秘策を用意してあるのだ。

 

彼女は姿を見られないように建物の裏に回り、そそくさと北上の部屋の前に向かう。

 

というのも…北上の策として常日頃、部屋の窓の鍵を開けっ放しにしているのだ。こうすれば此処から寮に侵入出来る。

 

だから海風も、此処から入ろうと試みた。というか、部屋の中にカメラを入れるまでした。

 

「まぁまぁ…気にすンなって!」

 

寮の玄関の方から、無性に癪に触る大きな声が聞こえるまでは。恐らく3人の様子を見かけて、青葉を励ますついでに茶化しにきたのだろう。

 

海風は舌打ちをして元来た道を引き返し、影から玄関前の様子を眺めた。彼女の予想通り、無駄に脳裏に刻まれる赤紅髪が増えていた。

 

「しっかしまぁ…柄にもなくガチ凹みしてンなぁ青葉さンよ!」

 

「……うるさい。帰ってくれる?」

 

「ちょっ…おいおい!そいつはひでー話だな!江風さンは別に、あんたを茶化そうとしてるわけじゃ無いンだぜ!?」

 

……いや、茶化してるじゃないか。海風は心からそう思った。すると何か無性に腹が立ってきたのか、彼女は足を動かしていた。

 

真っ先に気が付いたのは熊野だった。彼女は直ぐに表情を曇らせてドア横に移動した。

 

それを見た高雄も気が付き、青葉を無理やり引きずって、2人揃ってドア横に退いた。

 

「ンっ?どうしたンすか?」

 

江風はそう言いつつ徐に後ろを振り向き。そこにあった人影を見て表情で少し驚きを表した後、直ぐにニヤケついた。

 

そのニヤケ顔を見た海風は益々腹を立てたが…言及するつもりは無かった。江風の調子を崩せたらそれだけで満足だった。

 

だが…人を茶化すのが好きな江風が、この状況をスルーするはずがなかった。

 

「……何しに来たンだ姉貴?此処はあンたの巣じゃないぞ」

 

「さぁ別に。江風には関係無いでしょ」

 

「けっ、そうかよ」

 

海風は明らかな不機嫌オーラを出しつつ、話しかけんなという風を装って堂々と玄関から巡洋艦寮に入っていった。

 

それを見た江風は気分を害したのか、不満そうな顔を浮かべて、小声で海風の悪態をつきながらその場を後にするのだった。

 

 

 

玄関から入ってきた自分に気付いた北上と長門を1度は無視し、海風はカメラを取りに北上の部屋に向かった。

 

それを不思議に思ったのだろう。2人は情報交換を中断して海風の後を追った。

 

(えっと…あ、あったあった)

 

そして北上の部屋に入った海風は、死角に置いておいたカメラを屈んで拾い、画面に例の写真を表示させようとカチカチと弄っていた。

 

その時だった。

 

「ねぇ何してんのー?」

 

「ほぁっ!?」

 

北上と長門が合流してきたのだ。思わず海風は咄嗟にカメラを体の後ろに隠す。しかし長門がそれをあっさりと取り上げる。

 

「あれー?これって青葉ちゃんのカメラだよねぇ?何で海風ちゃんが持ってるのー?」

 

「あ、あわわ…!そ、それには深いわけがあってですね…じゃなくて!大変なんです!2人ともその写真を見てください!」

 

みっともなく両腕をパタパタさせて必死に訴える海風。それを聞いた長門と北上はカメラに映されているものを見た。

 

……青葉の寝顔だった。恐らく慌てた拍子に変な所を押してしまったのだろう。

 

「可愛い寝顔だねぇ青葉さん」

 

「で、これが?」

 

「ふぇっ!?そ、それじゃないです!もっと重要な写真が…!」

 

此処でようやく海風は立ち上がってカメラを長門から奪い、見せたかった例の写真を表示して、2人に返した。

 

……此処でようやく、北上と長門は真面目な態度になった。それもそうだろう。今まで知らなかった情報がてんこ盛りだったから。

 

2人は暫く保存されていた写真をポチポチと眺めていた。そして…さっきの海風と同じタイミングで2人も思わず手を止めた。

 

「なっ…これは…」

 

「へー。暁ちゃんと響ちゃん、今はこんな感じで2人で居るんだねぇ」

 

ふふっと笑う北上に思わず長門と海風は苦い顔を見せる。そして3人は、揃ってあることに気が付いていた。

 

そう、撮影者だ。これは簡単に特定が出来た。写真の背景が明らかに夜だったから。

 

よって3人が次に取る行動も決まっていた。此処がまさに巡洋艦寮であるから。

 

 

 

「おー、ぐっすりだねぇ」

 

3人は川内の部屋にやってきていた。北上は海風に見張りを頼み、こっそり部屋の中を捜索する。とは言ってもめぼしい物は1つだけ。

 

気付いたのは北上だ。彼女は眠っている川内を眺めていたのだが、その時に見つけた。

 

(あっ、これかー)

 

……川内は大切そうに何かを握りしめて寝ていた。北上は起こさないようにそっと彼女の手を開き、中にあった何かの破片を回収する。

 

そして長門を呼んで2人揃って退室した。長門は濡れた軍手を手にしていたのだが、その時にそれを元の場所に戻していた。

 

この時に実は、長門は部屋の中にあるものがあったことに気が付いていた。しかし今は見なかったことにして部屋を後にするようだ。

 

……玄関前に重巡洋艦の3人がいる。海風の口からそれを聞かされた3人は、北上の部屋の窓から寮を出ることにした。

 

因みに、青葉のカメラは川内の部屋に置いておいた。本当なら持ち主に返すべきなのだろうが、あの写真をまだ見られたくなかったのだ。

 

そして寮から出て広い道に来た時に、3人は話し合った。

 

……秘書艦を3人も失った提督も、何もしていないわけではない。彼はありとあらゆる空爆を調べており、それを1つの冊子にまとめていた。

 

そのことを北上は知っていた。だからその冊子を見に北上は向かうことになった。

 

そして…長門の提案により、長門は寮の倉庫を調べることになり、海風は北上のサポートに徹することになった。

 

「うん、それじゃあまた後でねー」

 

「な、長門さん!お気をつけて!」

 

「あぁ。検討を祈るぞ2人とも」

 

そして3人は別れ、長門は巡洋艦寮の裏にもう1度向かい、2人は執務室に向かうのだった。

 

 

 

続く

 




次回、最終回
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。