ジャック・ザ・ハーレム   作:サイエンティスト

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 それぞれの馴れ初めが語られる回の始まりです。一番手は妙に大胆な眠り姫。
 一応六人の血式少女たちそれぞれのジャックとの馴れ初めは考えてありますが、納得がいくものかどうかは未知数です。まさか語るだけで数話使うわけにもいきませんのであっさり風味。
 なお、親指姉様と赤姉のジャックとの馴れ初めに関してはほぼ別作品どおりのため、この二人が語る回はたぶん無いです。






ジャックとの馴れ初め(眠り姫編)

「う、うーん……」

 

 朝、ジャックはいつもより少々早めに目が覚めた。

 昨日は色々あって六人の血式少女たち全員と恋人になるという非常におかしな体験をした日だ。あの騒ぎは比較的朝方の出来事ではあったものの、他の血式少女たちやハル、視子といった人物への説明やその他諸々、及び視子による六人の血式少女の精神・肉体面での健康チェックなどで一日は潰れてしまった。尤も悪影響らしい悪影響は見られなかったらしいのでそこは一安心であった。

 なのでついに今日から六人の少女達との恋人生活が幕を開けるのだが――

 

「眠り姫、また僕のベッドに……」

 

 ――始まって早々だいぶおかしな状況であった。さすがに三姉妹全員ではなかったものの、その内の三女である眠り姫がいつのまにかベッドに潜り込んでいたのだ。

 もちろん朝起きたら隣に女の子がいたという状況に驚きを覚えはしたものの、昨日一日でジャックもそれなりに鍛えられている。今更三姉妹の内の一人がベッドにいた所で取り乱したりはしない。

 

(分かってはいたけど、眠り姫って凄くスタイル良いなぁ……)

 

 ただし男としては胸の高鳴りを抑えることはできなかった。昨日とは違い眠り姫はジャックの身体に抱きつくような形で眠っていたものの、その凶悪なまでに豊かな胸の膨らみが身体にこれでもかというほど触れているのだ。

 いくら恋人が六人できようと、ジャックはまだまだ恋愛も男女関係も完全に素人。故にその女の子な柔らかさの前に平静を保つのは難しい。

 

「ほ、ほら、眠り姫? 起きて、朝だよ?」

 

 なので離れてもらうため、まだ朝早いが起すことに決める。幸せそうな顔でぐっすり眠っている所を起すのは心苦しいものの、妙な気を起して不埒な行為を働くわけにもいかない。

 

「……んー……おはよー、ジャック……」

 

 しばらく身体を揺り動かした所、眠り姫はぼうっとした感じで目蓋を開けた。

 しかし状況はしっかり認識できているらしく、ジャックの顔を瞳に映すとにっこりと嬉しそうに微笑みを浮かべた。ジャックが思わずどきりとしてしまうくらい、可愛らしい微笑みを。

 

「う、うん。おはよう――じゃなくて、どうしてまた僕のベッドにいるの? 昨日は別の世界の記憶と混濁してたから仕方ないかもしれないけど、今はもう自分の記憶もしっかり思い出したんだよね?」

「ジャックと一緒に、寝たかったから……それに、ボクたち……恋人、だから……」

「そ、それはそうなんだけど……うーん……」

 

 どきりとする微笑みのまま言う眠り姫に対し、言葉に詰まってしまうジャック。

 自分たちが恋人同士なのは本当のことだし、この様子から察するに眠り姫の記憶ではジャックたちはいつも一緒に寝ていたに違いない。だとすると新たな習慣を得てしまったようなもののはずだし、それを突然変えるのは難しいだろう。故にジャックは強く言うことはできなかった。

 

「眠り姫、君は僕がその……ケダモノだってことは僕よりも知ってるんだし、これはちょっと無防備すぎなんじゃないかな?」

 

 その代わり、しっかり危険性は伝えておく。

 ジャックとの馴れ初めはそれぞれ異なるらしい六人の血式少女たちだが、何故かジャックはケダモノという認識だけは完全に共通している。無論ジャック自身はどのようにケダモノなのか全く身に覚えは無いものの、こう言えば伝わるであろうことは分かっていた。

 この言葉には予想通り、眠り姫もぽっと頬を染める。

 

「……ジャックは、無理やりはしないから……大丈夫……」

「そ、それは君の記憶の中の話で、この僕なら本当にしちゃうかもしれないよ? それでも良いの?」

「……優しく、して……くれるなら……」

(ええっ!? 優しくするならしても良いの!? いや、何考えてるんだ僕は!?)

 

 しかし何故かそのまま頷かれてしまい、一瞬ジャックは不埒なことを考えそうになる。

 恋人となった時すぐさまキスをしてきたことや、元の記憶が戻ってもベッドに潜り込んできたことから考えると、眠り姫は大人しい顔に似合わずかなり大胆な子なのかもしれない。

 

「と、とにかく! できればこんな風にベッドに潜り込んでくるのはやめようね?」

「……嬉しく、ないの……?」

「そりゃあ嬉しいか嬉しくないかで言えば嬉しいけど――って、そうじゃなくて!?」

 

 思わず邪な本音を吐露してしまうも、眠り姫は特に気にした様子は見せなかった。まあジャックはケダモノだと思っているはずなのだから、今更この程度のことでは驚くに値しないということか。

 

「……ボクの記憶だと、ボクたち……毎晩、抱き合って寝てた……」

「そ、そうなんだ。凄くラブラブだったんだね……?」

 

 予想通り、やはり眠り姫とジャックは毎晩一緒に眠っていたらしい。となると恋人関係は極めて良好だったのだろう。その事実にジャックはそこはかとない安堵を覚えた。

 

(でも、本当にそれだけで済んだのかな? 可愛い女の子、それもこんなスタイルの良い眠り姫と抱き合って眠るなんて……)

 

 そして同時に微かな不安も覚えてしまう。

 眠り姫は控えめに言ってもとても女性らしい身体つきの持ち主。そんな少女、それも自分の恋人が毎晩自分に抱きついて眠りにつく。別の世界の自分のこととはいえ、どう考えても毎晩穏やかに眠りにつけたとは到底思えなかった。

 

「そして、いつも……ジャックに、襲われた……」

(……うん、済まないからケダモノ認定されてたんだよね。でも絶対これ眠り姫にも原因があると思う)

 

 これも再び予想通りの答えが返ってきたものの、内容が内容なので先ほどとは違い安堵は覚えられなかった。覚えたのは別の世界の自分への同情と共感、それと若干邪な羨望だけである。こんなにスタイルが良くて綺麗な女の子を毎晩襲っていたらしい自分への。

 

「そ、そうだ! 眠り姫、良かったら君の記憶の話を聞かせて欲しいな! 朝ごはんの時間まではまだ時間もあるし、良かったらどんな風に僕たちが恋人になったのかを聞かせてよ!」

 

 抱いてしまった邪な羨望を振り払うため、ジャックはひとまず話題を変えることにした。

 恋人となった六人の血式少女達はそれぞれ異なる過程を経てジャックと恋人になった記憶を持っているらしいが、その詳細はまだ誰からも話してもらっていない。なのでずっと気になっていたのだ。別の世界のこととはいえ他ならぬ自分が経験した恋愛話、むしろ気にならない方がおかしいというもの。

 

「……良いよ……でも、ボク……あんまり話すの、得意じゃないから……」

「大丈夫だよ。時間はまだまだあるし、ゆっくりで良いから聞かせて欲しいな?」

「ん……頑張る……」

 

 あまり口数の多い方ではない眠り姫だが幸いにもこくりと頷いてくれる。

 まあ他に五人も恋人がいる点を除けば、ジャックと眠り姫はこの世界でも恋人になったと言える。もしかしたら二人の昔話程度の認識で幾分話しやすいのかもしれない。

 

「じゃあ一旦起きようよ。だから、できればいい加減離れてくれると助かるんだけど……」

「んー……もうちょっとだけ、ダメ……?」

「う……」

 

 大変危険な身体つきで抱きついてきている眠り姫だが、どうもまだ離れたくないらしい。ジャックの胸に縋り付く形で、薄いネグリジェから深い胸の谷間を晒しながら見上げてくる。しかもどこか悲しげに見える表情で。

 

「し、仕方ないなぁ。もうちょっとだけだよ?」

「ん……ジャック、好き……!」

 

 そんな顔をされたら断ることなどできるわけがない。

 故にジャックはしばしの間温もりと柔らかさに耐えるのだった。幸せそうに微笑み更に密着してくる眠り姫に、終始胸の鼓動を高鳴らせながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それで、一体どうして僕なんかと付き合うことになったの? やっぱり何かきっかけとかあったんだよね?」

 

 しばらく抱きつかれるがままで過ごしおよそ十分。やっと満足して離れてくれた眠り姫と共に、ジャックは並んでベッドに腰かけて話を切り出した。

 眠り姫に限らず、恋人となった残り五人の血式少女たちは皆仲間や友人という関係性であった。その関係を踏み越えて恋人になったのだから、何らかのきっかけがあるのは明白だ。幾ら何でもきっかけも無しに関係が発展することはありえない。

 

「……きっかけなら……たぶん、アレ……」

「アレ?」

 

 やはりきっかけが存在したらしく、小さく頷く眠り姫。

 お喋りが苦手な眠り姫のために予想がつくことは自分で口にしてあげたかったものの、残念ながらこればかりは何一つ思い至らなかった。恐らくそのきっかけは別の世界のジャックが経験したことで、今のジャックは経験していないことだから。

 

「ボクが廊下で、寝てた時……ジャックが、部屋に運んでくれたこと……」

「えっ、それがきっかけ? それくらいこの僕でもやってることじゃないかな?」

 

 そう思っていたというのに、きっかけはこの世界のジャックもやっていることだった。

 廊下に限らず、眠り姫が部屋の外で寝ている姿を見かけたらジャックはいつも部屋に運んであげている。これがきっかけなら何故今まで眠り姫との恋仲に発展しなかったのだろうか。

 

「その時のジャックは……ボクをベッドに運んだ後、倒れたから……」

「そ、そうなんだ。確かにそんなカッコ悪い出来事は記憶に無いな……」

 

 疑問に思っていたところ、そんな情けない違いが明らかとなる。

 眠り姫を部屋のベッドに運んであげたことは今までに幾度と無くあるものの、それを終えた途端に倒れるなどという経験はさすがに無かった。恐らくきっかけというのはこの倒れた時のことを指しているに違いない。

 

(貧血で倒れそうだったから部屋で休もうとしてたら、途中で寝てる眠り姫を見つけたってとこかな? 確かに倒れそうでも無視はできないし、部屋に運んであげた所で力尽きたんだな、たぶん……)

 

 自分のことだからこそ余計に情けなく思えてくるものの、行動の理由自体は完璧に納得できた。

 幾ら解放地区の中、それも黎明の施設内とはいえその辺で無防備に眠る女の子を放っておくのははっきり言って不安しかない。不埒なことを考える輩がいないとも限らないし、眠り姫は控えめに言ってもスタイル抜群だ。危険性が皆無とは絶対に言い切れない。

 だからこそ別の世界のジャックも体調の悪さを堪えてまで部屋に運んであげたのだろう。もちろん同じ体調で同じ状況に遭遇したなら、ジャックだって同じ事をする。

 

「目が覚めたら、青い顔で倒れてるジャックがいて……無理して運んでくれたって、分かったから……とりあえず、ぎゅっと抱いて一緒に寝た……」

「えっ、何でとりあえず抱きしめたの!? ていうかそのまま一緒に寝たの!?」

「ジャックを、休ませてあげたくて……それに、ボクもまだ眠かったから……」

 

 思わず理由を問いかけると、今も若干眠たげな答えが返ってきた。いつもわりと遅くまで寝ている眠り姫にとっては、やはりちょっと早起きしすぎだったのかもしれない。

 

(眠り姫らしいといえばらしいけど、そんなスタイルで抱かれる僕の方もちょっと考えて欲しい……絶対目が覚めたら固まってただろうなぁ、僕……)

 

 貧血で倒れて目が覚めたら眠り姫に膝枕してもらっていた時も驚いたが、今回の場合は比較にならないほどの驚愕を覚えたことだろう。あんなに豊かな胸を持つ眠り姫に抱きしめられて平静を保てるわけがない。

 そんなことを考えていたせいか、ジャックはついついその豊かな胸に視線を注いでしまうのだった。まだ眠り姫は胸元が若干開いたネグリジェ姿なせいで、余計にその二つの膨らみに目を惹かれてしまう。

 

「また、目が覚めた時は……ジャックは、ぐっすり眠ってた……」

「あ、あれ、普通に寝てたの? 固まってたりしてなかった?」

「ん……ボクの胸に、顔を埋めて……幸せそうに……」

(そりゃあ幸せそうな顔するよね。あんな胸に顔を埋めてたら――って、僕は一体何を考えてるんだ!?)

 

 予想外の答えに問いを重ねた所、返ってきたのは別の世界の自分を若干羨ましく思ってしまう答え。確かにあんな胸に抱かれたなら男としてはとても幸せな気分になれることだろう、と一瞬納得してしまうくらいに。

 

「そ、それで、その後どうなったの? 僕、君に何か変なことしたりしなかったよね……?」

「目を覚ましたジャックは……理由を、聞いてきた……」

 

 幸いにも不埒な真似はしていなかったらしく、眠り姫は首を横に振って否定を示す。

 まさかきっかけが欲望のままに襲い掛かったことだったりしたらはっきり言って笑えないし、それが別世界の自分のしでかした所業であろうと責められるのは今ここにいるジャック自身だ。なのでそこはかとない安堵を覚え、ほっと胸を撫で下ろすことができた。

 

「そこは正直に答えたんだよね。君には別に隠す理由も無いだろうし。そしたらどうなったの?」

「ジャック、恥ずかしがってたけど……とっても、幸せそうだった……お母さんに抱かれるのは、こんな気持ちかなって言って……」

「そう、なんだ……」

 

 微笑ましそうに、そして懐かしそうに自らの記憶を語る眠り姫。そんな可愛らしい笑みを目にしてジャックが覚えたのは同様の微笑ましさ、そして腑に落ちる感覚であった。

 

(何となく眠り姫を好きになった理由が分かった気がする。たぶんこの優しさっていうか慈しみの心っていうか、母性的なものに惹かれたんだろうなぁ、僕は……)

 

 その生まれの特殊さから、血式少女と血式少年は両親がいないと言って差し支えない。

 つまり父母の愛情に飢えているのだ。育ての親がいてもきっとそれは例外ではない。だからこそ別の世界のジャックは眠り姫に恋をしてしまったのだろう。眠り姫のとても女性らしい身体つきが、そして漂わせる雰囲気やその優しさが、母親とその愛を連想させるから。

 

(な、何かもの凄いマザコンみたいだなぁ、別の世界の僕……)

 

 気持ちは分からないでもないものの、他ならぬ自分だからこそ容赦なくそんな感想を抱いてしまう。

 恋愛の対象、それも三姉妹の三女である眠り姫に母性を見出してしまうとはどう考えてもマザコンではないだろうか。なので別の世界の自分自身に対し、微妙に幻滅してしまうジャックであった。まあ眠り姫の様子や話の内容から察する限りだと、お互いの関係は極めて良好だったらしいのでそこは素直に尊敬するが。

 

「だからボクは、ジャックをもっと幸せにしてあげたくて……時々ベッドに、お邪魔するようになった……」

「つ、付き合ってもいないのにベッドに潜り込むようになったの? 君って本当に意外と大胆だよね、眠り姫……」

「ん……それ、何度も言われてた……!」

 

 何故か非常に嬉しそうな微笑みを浮かべて教えてくれる眠り姫。やはり別の世界のジャックも同様に大胆だと感じて何度も口にしていたらしい。

 

「そういう経緯があって、僕は段々と君に惹かれていったんだね。そこからはボクでも何となく予想が付くよ。たぶん告白したのは僕からだったんじゃないかな?」

「ん……ん……!」

(やっぱりね。でもそれって、純粋に眠り姫のことが好きになってたから告白に踏み切ったってことで良いのかな? その内襲いかかっちゃいそうだから今の内に恋人になっておけば大丈夫――とか考えてないよね、僕?)

 

 幸せそうな笑みで頷く眠り姫に対し、ジャックは心中でそんな打算的なことを考えてしまう。

 仮に毎日眠り姫がベッドに潜り込んできたなら、それは実に辛い日々だったことだろう。スタイル抜群の女の子が、それも恋心すら抱き始めた相手が毎日自分にくっついて寝ているのだ。理性を保ち続けることは極めて困難なことだったはず。大胆にもジャックが告白に踏み切ったのはそういう背景があったのかもしれない。

 すなわち襲ってしまう可能性があるのなら理性を保てている内にそれが問題ない関係になっておこう、という考えが。ジャックだって思いついたことなのだから、別の世界のジャックだって当然考えはしたに違いない。

 

「えっと、君は普通に受け入れてくれたの? 告白されて困ったりとかはしなかった?」

「んーん……ボクも、ジャックのことが好きだったから……嬉しかった……!」

 

 どうやら眠り姫は記憶だけでなく抱いた感情もしっかり得ているらしく、満面の笑みで返してきた。告白されて嬉しかったのは本当のことらしい。そんな幸せいっぱいの笑みを見せられて、またしてもジャックはドキリとさせられてしまった。

 

「そ、そうなんだ。でもさっきも言ったけど、さすがに付き合う前から一緒のベッドで寝ようとするのは大胆すぎだと思うよ?」

「だけどボク、好きな人と一緒に寝るのが……幸せ、だから……」

「う……」

 

 遠回しにその大胆な行為を止めるようお願いした所、返ってきたのはとても純朴な夢の言葉だった。それも夢が叶ったおかげか夢心地の魅力的な表情で、僅かに頬を朱色に染めて。

 

(そんな顔されたら強く言えない……ていうか、今考えてることもたぶん同じだったんだろうな……)

 

 だからこそ別の世界のジャックも眠り姫の大胆な行為を止められず、告白に踏み切るしかなかったのだろう。

 尤もその時は眠り姫が好意を口にしたかどうかは不明だが、口にしていなかったとしても止める気が無いのは表情から察せたはず。そしてジャックがそう思ったということは、別の世界のジャックも同じように思った可能性が高い。やはり告白は必要に迫られた上でのものだったに違いない。

 

「それに、王子様に……好きな人に、キスで眠りから覚ましてもらうのも……夢だった……」

「お、王子様って……」

 

 ちょっとした同情と僅かな羨望を別世界の自分に向けていたジャックだが、そんな妙に嬉しそうな言葉に引き戻される。

 一瞬おつうのことかと思ってしまったものの、この場におつうはいないし眠り姫が視線を向けているのは他ならぬジャックだ。

 

(もしかしなくても僕のこと、だよね? ていうか、何か凄い期待に満ちた目をしてる……これは今キスして欲しいってことかな?)

 

 今のジャックと眠り姫は一応恋人同士。実際昨日は不意打ち気味とはいえ唇を奪われてしまったのだから、キスくらいなら何の問題も無いと言える。だがジャックは恋人達への気持ちがまだ分からないので、そんな状態でキスするのは不誠実に思えていた。

 なので昨日眠り姫にキスされてから、ジャックはまだ誰ともキスしていない。直後にハーメルンが嬉々として迫ってきたりアリスが怖い表情をしていたものの、それらは赤ずきんがジャックの気持ちを代弁してくれたため何とか押し止めることができた。

 しかしまだ口にしていない言葉をほぼ完璧に代弁してくれたあたり、もしかすると赤ずきんの記憶の中でジャックが似たようなことを言っていたのかもしれない。尤もその場合は赤ずきんにとってジャックが言う側だったことになるので、また別の世界のジャックは赤ずきんに告白された側だという非常に疑わしい状況になるのだが。

 

「眠り姫、昨日言ったけど僕はまだ君たちへの気持ちが分からないんだ。それなのにキスするだなんて、やっぱりそんなの不誠実だよ……」

「して、くれないの……? ボクたち、ジャックに……乱暴、された記憶があるのに……」

「その言い方は誤解を招くからやめようね!?」

 

 ある意味ではそれが事実だからこそ、眠り姫の言葉に戦慄を覚えてしまうジャック。

 自分は何もしていないのに、六人の血式少女にはある意味ジャックに乱暴された記憶があるというこの状況。それでも責任を取れるのはジャックだけなのだからはっきり言って不公平過ぎる。せめて自分にも六人とそれぞれ恋人として過ごした記憶があれば良かったのだが。

 

(でも、眠り姫の言うことも一理あるのは確かだ。それにこんな不誠実な関係を築いてしまった以上、僕には皆を幸せにする義務があるんだ。向こうがそれを望んでるんだし、今更不誠実だとか何とか言って断るのは良くないかな……?)

 

 責任を取るためとはいえ、今のジャックは六人もの少女と同時に交際をしている不誠実極まる男。ならばジャックには六人を幸せにする義務がある。こんな状況でも誠実でありたいと願うなら、恋人の願いは何でも可能な限り叶えて幸せにしてあげるべきではないだろうか。

 それに何より、ジャックがキスしてくれないと分かったせいか眠り姫は酷く悲しげな表情をしている。まだ気持ちが分からないとはいえ、眠り姫もまたジャックの大切な恋人。できればその悲しげな顔を心からの笑顔にしてあげたい。

 

「……うん。分かったよ、眠り姫。キス、しようか?」

「え……」

 

 故にまた一つ覚悟を決めたジャックは、幸せにするべき恋人に身体ごと向き直った。まさか本当にしてもらえるとは思っていなかったのか、眠り姫は一瞬呆けた表情をしていた。

 

「ん……キス、する……!」

 

 しかしすぐに幸せいっぱいの笑みで頷き、そのままゆっくり目蓋を閉じる。

 幸せそうな笑みを浮かべたまま目蓋を閉じている眠り姫は、まるで安らかな寝顔を浮かべて眠っているような美しい姿であった。これからキスをするという状況も相まって、余計にジャックの胸はうるさく高鳴っていく。

 

「えっと、それじゃあ……」

 

 胸の内の激しい鼓動をはっきりと感じながら、ジャックは眠り姫の両肩に静かに手を置く。

 ジャックに乱暴されたと言えなくも無い記憶を数多く持っていても、実際に体験したことではないからなのだろう。両手が肩に触れた瞬間、緊張を示すように眠り姫は僅かに身体を固まらせた。

 

「キス、するよ……?」

 

 可愛らしい反応にまたしても胸のドキドキを深めつつ、その安らかな寝顔にも似た美しい面差しへと顔を寄せていく。

 緊張による喉の渇きと、昂ぶって耳の奥でもうるさく聞こえる鼓動。それらが徐々に強まっていくのを感じながら、ジャックは目蓋を閉じてさらに顔を寄せていき――

 

「んっ――」

 

 ――ついに眠り姫と唇を重ねた。

 正直なところ初めてキスされた時はほぼ不意打ちに等しかったため、感触や実感はさほど感じられなかった。

 だがゆっくりと唇を重ねた今回は違う。眠り姫の瑞々しい唇の柔らかさも、仄かな温もりも余す所なく感じられた。それによって胸の内に生じた、いっそ苦しさすら覚えそうなほどの多幸感も。

 

「――ふぁ……」

 

 唇を重ねていた時間はほんの十秒にも満たない僅かな時間。

 とはいえ以前からジャックに恋心を寄せていたらしい眠り姫にとっては非常に価値のある時間だったのだろう。キスを終えて目蓋を開いた時には、眼前には夢心地に蕩けた空色の瞳が揺れていた。

 

「こ、これが、キスかぁ……な、何か、変な気分だね?」

「……でも、幸せな気分……じゃあ、今度はボクから……」

「えっ――っ!」

 

 ある意味初めてのキスに対する感想を口にしたところ、お返しとばかりに今度は眠り姫からキスしてきた。まるで日常的に行って身体に染み付いた動作のように、あまりにも自然な動作で。

 そのため実際にキスされたとジャックが理解したのは、唇を重ねられてから一拍置いた後であった。

 

「はっ……き、君って本当に大胆だよね、眠り姫……」

 

 照れ臭さと確かな喜びによる頬の熱さを感じながら、恋人の大胆さに舌を巻く。

 昨日いきなりキスしてきたことも、今朝ベッドに潜り込んで来ていたことも、眠り姫は何もかもが大胆だ。どちらかといえば物静かで大人しいタイプだと思っていたのだが、胸の内はなかなかに情熱的なタイプなのかもしれない。

 

「……姉様たちみたいに、ネムって……呼んで……?」

「えっ? ね、ネム?」

「ん……ん……!」

 

 その証拠と言うべきか、眠り姫は熱に浮かされたような表情でそんなことを口にしてくる。お姉さんである親指姫などが口にする愛称で自分を呼んで欲しいという、実に可愛らしい願いを。

 

(眠り姫の記憶の中だと僕はそう呼ぶようになってたのかな。確かに愛称で呼んだ方が仲良しって気がするし……)

 

 もしそうなら三姉妹故に似たところがあるはずの親指姫と白雪姫も、同じように愛称で呼んで欲しいと思っているのかもしれない。だとすればこれは恋人達との関係を良好にするための貴重な情報と言えるだろう。とりあえずジャックはこの情報を頭の片隅に留めておいた。

 

「うん、良いよ。それじゃあこれからはそう呼ばせてもらうね、ネム?」

 

 眠り姫は大切な恋人の一人だし、他ならぬ本人の望みだ。なのでちょっと気恥ずかしいが迷い無く愛称で名を呼んであげた。

 

「ジャック……好き……!」

「うわっ!?」

 

 すると嬉しさで感極まった感じの眠り姫がぎゅっと抱きついてくる。普段漂わせているどこかのんびりとした雰囲気に反してその動きは素早く、不意を突かれたジャックは受け止めきれずにそのままベッドへ押し倒されてしまった。

 

「ジャック、もっと……キス、しよ……?」

「……っ!」

 

 そんな胸がドキドキする状態にも関わらず、可愛らしいおねだりまでしてくる。うっとりと夢心地の表情を浮かべ、しかもその豊かな膨らみをジャックの胸に押し付けるような形で。

 

(よ、欲望に飲まれちゃダメだ! でも、眠り姫可愛すぎるよ……! それに何ていうか、凄く色っぽい……!)

 

 ここはジャックの部屋でベッドの上、それも眠り姫は生地が薄く若干露出も多めのネグリジェ姿。貧血で倒れがちとはいえ、こんな状況で何も感じずにいられるほどジャックは不健康な男の子ではない。胸の上に広がる柔らかさも相まって、最早理性が焼ききれそうなほどであった。

 おまけに相手は別の世界でジャックに散々いかがわしいことをされた記憶を持つ、六人いる恋人の内の一人で妙に大胆な女の子。そして母性すら感じてしまう優しさや包容力の持ち主だ。きっとジャックが欲望に飲まれて何かをしでかしたとしても、優しく受け止めてくれるはずの。

 

「ジャック……大好き……」

(……うん、もうダメだ。飲まれずにいられるわけないよ、これ)

 

 それに対し、ジャックはつい昨日まで恋愛経験ゼロだった男。どれだけ理性を保とうと努めても勝てるわけが無かった。何故なら別の世界のジャック自身も、この圧倒的な色気と慈愛に飲まれて敗北してしまったに等しいのだから。

 

「んっ――」

 

 故にその魅力に飲み込まれ、何も考えられなくなったジャックは半ば無意識に唇を重ねた。

 そうして柔らかな感触と胸を満たしていく幸せな気持ちを感じながら、眠り姫の刺激的な身体を抱いてベッドの上を転がる。すると逆にこちらが押し倒している状態となり、キスしている現状も相まって更に興奮を煽られてしまう。押し倒されている眠り姫が嫌な顔など見せず、慈愛溢れる微笑みを浮かべているので余計に。

 何だかもう大変なことになってしまいそうだと、まだ僅かに残っている理性の欠片で考えたその瞬間――

 

「ほら、もう朝よ! 特別に起しにきてあげたんだから、さっさと目覚まして私に感謝しなさ――い……?」

「……あっ」

 

 ――正にその大変なことが起きてしまった。

 昨日できたジャックの恋人の一人であり、ケダモノなことなど絶対にさせないと断言した少女であり、眠り姫のお姉さんでもある親指姫にこの現場を見られるという大変なことが。

 おかげで眠り姫の魅力から解放されて冷静に戻ったジャックであったが、生きた心地は全くしなかった。きっと親指姫から見れば途轍もないケダモノなジャックが可愛い妹の優しさと愛に付け込み、襲いかかっているようにしか見えないはずだから。

 

「……さすがはジャックね。朝っぱらから私の妹に手を出すなんて、心底良い度胸してるわ……ちょっとツラ貸しなさい」

「……はい」

 

 ジャックは素直に頷くと眠り姫の元から離れ、背を向けて歩き出した親指姫の後を追う。

 歩く度に軽快に揺れる赤いツインテールは見ていてとても可愛らしいが、残念ながら今のジャックの胸の中には恐怖しか存在しなかった。どちらかといえば感情的な親指姫が極めて冷静かつ静かに対処していることに対する、未だかつて無い恐怖が。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……そこ、座んなさい」

「はい……」

 

 静かに怒っているらしい親指姫に連れ込まれたのは親指姫の部屋。逆らう気が微塵も起きず、半ば恐怖に支配されているジャックは一つ頷いて命令通りベッドに腰を降ろした。

 

(どうしよう……親指姫、絶対今までに見たこと無いくらい怒ってるよ……)

 

 親指姫は何故かさっぱりこちらに顔を向けないのでどんな表情をしているのか良く分からないが、内心では腸が煮えくり返っているであろうことは容易に想像が出来た。どちらかといえば感情的な子のはずなのに、あの光景を見てから一度も声を荒げていないのだ。まるで燃え盛る怒りの炎を噴出させる時を待っているかのように。

 

(まあ、それも仕方ないよね。もし親指姫があの時来てくれなかったら、僕は絶対洒落にならないことをやってた気がするし……)

 

 静かに怒っているであろう親指姫の後姿はかなり恐ろしいものの、本音を言えば感謝したい気分であった。あの時、親指姫が邪魔をしてくれなかったら絶対行くところまで行ってしまいそうだったから。

 なのでジャックは何をされても文句は言わないし、どんな罰だって躊躇い無く受ける心持ちだ。

 

「その……言い訳はしないし、僕がやろうとしたことを誤魔化す気も無いけど、説明くらいはさせて欲しいな。僕は眠り姫をベッドに連れ込んだわけじゃなくて――」

 

 ただし眠り姫をベッドに連れ込んだのではなく、眠り姫の方からベッドに潜り込んできたという事実だけは説明しておこうと思った。だからジャックはこちらを向いてくれない親指姫から視線を床へ落し、小さく説明を始めたのだが――

 

「――っ!?」

 

 ――唐突に無理やり顔を上げさせられ、唇を何かに塞がれる。

 驚愕に見開いた瞳に映ったのは、顔を真っ赤にしながらジャックの唇に自らの唇を重ねる親指姫の姿であった。

 怒りが胸の中で渦巻いていたはずだというのに何故いきなりキスをしてきたのか。ジャックは柔らかな唇の感触を覚えながらそんな疑問を抱いたのだが――

 

「ん……っ、ぁ……ふ……」

「ん、んんっ!?」

 

 ――親指姫は唇を重ねるだけでは飽き足らず、唇の隙間から滑った何かをジャックの咥内に滑り込ませてきた。それが何かなど考えるまでも無い。舌に絡まり蠢くそれは、間違いなく親指姫の舌だった。

 

「――ぷはっ! お、親指姫!? 一体、何を……!?」

 

 しばし咥内を蹂躙された後、やっと解放されたジャックはベッドの上で後退りしながら真意を問う。

 ディープな口付けをされた興奮を覚えているには覚えているものの、驚愕が大きすぎてそれどころではなかった。どうして怒り心頭だったはずの親指姫が突然こんな深い口付けをしてきたのか。

 

「い、一度しか言わないから、耳かっぽじって良く聞きなさい!」

「は、はいっ!?」

 

 疑問と混乱に支配される中、踏ん反り返って真っ赤な顔で言い放つ親指姫に反射的な返事を返す。

 どうも怒っているのとはまた微妙に違うようで、こちらに向けられている顔は真っ赤だが怒りや敵意といった感情は感じ取れなかった。どちらかといえば普段の親指姫が恥じらいながら誤魔化す時に浮かべる表情に良く似ている。まあ頬の赤みは今まで見たことが無いレベルのものであったが。

 

「わ、私だって! 本当はあんたのことが好きなんだからね! ていうか、誰よりもあんたのことが好きなんだから!」

「えっ、そ、そうなの……?」

 

 そんな今にも顔から火が出そうな表情で口にしてきたのは、何とジャックへの好意。

 素直ではない親指姫が自分の気持ちを素直に表わしたことにはとても驚いたが、悲しいかなさほどジャックの心は揺れなかった。と言っても心に響かなかったわけではなく、単に先ほどのディープな口付けの衝撃が大きすぎてちょっと感覚が麻痺しているせいである。

 

「そうよ! だから、誰かにキスしたり恋人っぽいことしたらその三倍は私に同じことしなさいよ! 相手がネムでも白雪でも! もししてくれなかったらジェノサイド化して襲ってやるから覚悟しときなさい!」

「じぇ、ジェノサイド化!? どうしてジェノサイド化する必要があるの!? 僕を退治するつもりじゃないよね!?」

 

 しかしこの発言には感覚の麻痺した心でも多大な驚愕と恐怖を覚えさせられた。

 ジェノサイド化した血式少女はジャックからしても基本的にちょっと怖い存在だ。ブラッドスケルター化とは異なりしっかり理性は残っているものの、それなりに暴力的かつ激しい性格へと変貌してしまうのだ。具体的には笑いながらメルヒェンを血祭りにあげるくらいには。

 真意は不明だがわざわざそんな状態に変貌して襲ってくるなど、どう考えても悲惨で凄惨な光景しか想像できなかった。

 

「嫌ならよーく覚えときなさい! あと、私が嫌がっても恥ずかしがっても恋人らしいことは絶対にやりなさいよ! そしたら、そしたら私だって! 少しずつ素直になってやるんだからぁ!」

「ちょ、ちょっと待って親指姫っ!? 一体どこに行くの!?」

 

 真意は答えず捲くし立てていく親指姫だが、その途中で弾かれたように走り出して部屋を出て行く。

 不穏なことを言うだけ言って去られるのはかなり落ち着かない。なのでジャックも廊下に出て遠ざかっていく背に声をかけた所、親指姫は足を止めて振り向いてきた。遠目でもはっきりと分かるくらい真っ赤に染まった顔で。

 

「自分でも分かんないわよ、馬鹿! この私があんなことして素直に色々伝えたってのに、そのまま顔合わせてられると思ってんの!? 無理に決まってんでしょ! ああもうっ、恥ずかしいっ!!」

 

 それだけ答えると、今度はもう振り返らずにいずこかへと走り去っていく。

 どうやら深い口付けを行い本音を吐露した恥ずかしさに耐え切れず、ジャックと顔が合わせられないらしい。ジャックとしてはまだ聞きたいこと、具体的にはジェノサイド化して襲う理由が果てしなく気になっていたのだが、もう一度声をかけようとした頃にはすでに姿が見えなくなっていた。

 

「うーん……ま、まあ、一応怒ってたわけじゃないみたいだし、問題無しかな?」

 

 ちょっと展開が激しすぎて追いつけていない気もしたが、一先ずそういうことにしておいた。ちゃんと約束を守っていればジェノサイド化して襲い掛かってくることも無いはずなので、ジャックが約束を守れば良いだけの話なのだから。

 

(親指姫の他に恋人は五人もいるのに、何か恋人らしいことをしたらその三倍は同じ事をしろっていうのは正直無茶振りも良いところだけど……仕方ないか。親指姫はだいぶヤキモチ焼きみたいだし……)

 

 先ほどまでの言葉や反応から察するに、親指姫は怒っていたのではなくジャックに襲われる眠り姫を見てヤキモチを焼いていたに違いない。そうでもなければあんなに天邪鬼な親指姫がいきなりキスをしてきた上に舌まで入れてくることなど絶対にありえない。

 最終的にはジャックのハーレムとやらに加わったものの、やはりこの関係に心の底から納得しているわけではないらしい。だからこそ他の皆の三倍は同じ事をしろなどという無茶を言ってきたのだろう。

 

(ていうか僕、さっきディープキスされちゃったんだよね……? 親指姫に、わりとがっつり……)

 

 徐々に展開に追いついてきたジャックは先ほどの感触や味わいを思い出し、一人顔が猛烈に火照ってくる。

 初めてのキスをしたのは昨日で、まともにキスしたのはこの部屋に来る前。それなのに今しがたディープキスまで済ませてしまった。恋人が六人もいる時点でまともな関係が築けないのは最初から分かっていたものの、まさかここまで爛れた関係になってしまうとは驚きであった。

 

「それにしても、眠り姫といい親指姫といいこの三姉妹は大胆すぎだよ……もしかして白雪姫もこんな風に迫ってくるのかなぁ……?」

 

 しかし一番の驚きは三姉妹の大胆さについて。

 三女の眠り姫はジャックが寝ている間にベッドに潜り込んでくるくらい、長女の親指姫はいきなりディープキスをかましてくるくらいに大胆だ。あまりその場面を想像できないが、それなら次女の白雪姫も同じように大胆に迫ってくるのではないだろうか。

 この大胆さが親指姫三姉妹特有のものなのか、それとも血式少女全体のものなのか、あるいは恋する女の子特有のものなのか。残念ながらまだまだ恋愛経験が浅いため皆目見当が付かず、親指姫が去った廊下を眺めながら頭を捻るしかないジャックであった。

 

 

 

 






 年頃の健康な男の子なら眠り姫みたいな子に迫られたら耐えられるわけがありませんよね。まあ私は親指姉様みたいな子の方が好みですが。
 次の投稿がどの作品になるかは分かりませんが、この話の次回はたぶん誰もが一番気になるであろう子の馴れ初めです。六人の中で一番恋愛の二文字から遠そうで度々台詞を噛む子。シーツを纏っていた理由がついに明らかに……!?



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