虞美人さん、人理修復中のカルデアにて   作:heater

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HFのセリフと映像に映画館で驚きの連続。
そしてあの影には虞美人さんはサーヴァントになる前だったら対応できたのだろうかと、ちょっと考えてしまいました。


本人が思っているほど冷たくはない

 

 ある時に、私が嫌悪し苦手で相容れない筈のサーヴァントが召喚された。

 名前はポール・バニヤン。アメリカ民話に登場する幻霊(ホラ話)。アメリカ合衆国の伝説上の巨人、西部開拓時代の怪力無双のきこり……の少女。

 何故少女なのだろう。確かに性別が違って語られることは少なくないけれど、このサーヴァントに至っては子供な上に女性な理由は分からない。

 原点の属性としては間違いなく苦手の筈だけど、無邪気な少女である以上無碍にするのは妙な罪悪感に苛まれる。やめて、その無垢な瞳で見ないで。

 しかし、思い返すとこのカルデアに居る少女は少々危うい面がある。

 霧の夜に現れる連続殺人鬼の少女と童話の象徴である少女は無邪気に残酷なことをすることがあるし、ポール・バニヤンは油断をすれば巨大化し開拓する。ジャンヌのサンタは比較的常識がある方だけれど、偶に倫理観が真面目で流されることもあるので不安な部分もある。

 あと、ジャックに至ってはマスターが男である代わりというように私の中に還ろうとすることがある。再生できるとはいえ流石の私もそれは無理なので逃げるしかないが、時に彼女は他の面子と協力して襲い掛かるので手に負えない。霧を出されプレゼントで囲まれ、斧で道をふさがれ本の世界で自身の名前が分からなくなった時は文字通りの恐怖であった。

 ……あれで遊んでいるつもりだから、質が悪い。

 

「あー虞美人だー」

 

 と、少女について考えていると当の本人達が現れた。

 ……しかし何故この少女たちは私を見るなり駆け寄ってくるのだろう。子供に好かれるようなことはしていない筈なのに。

 

「お母さんっぽいから!」

 

 ……それは年齢の話じゃないわよね? そうよね?

 

「…………」

 

 え、何故そこで黙るの? なんで目を逸らすの? なんで肩に手を置くの?

 …………そう言えば最近眠ってなかった気がする。そうね、それが原因ね。ちょっと自室で眠ってこよう。

 

「最近虞美人眠そうだねー」

「ねー」

 

 後ろでなにか声が聞こえたが、何故か頭に入ってこなかった。

 

 

 

 

 

 

「すまない虞美人、俺と一緒に水着でレースに参加しないか」

「ちょっと待って、説明を求めるわ」

 

 ある時、カルナに突然レースに誘われた。

 この英霊は一言足りないことが多いが、いつもに増して言葉が足りない。この男に限ってフェルグスのようなナンパはしないだろから、恐らく何かしらの出来事(イベント)だとは分かりはするけれど。

 

「ああ、特異点で女神主催の夏イベントとして二人組でレースをし、優勝すると願いが叶うので、マスターのために参加した方が良いと言われてな。二人組で参加するのにお前を誘おうと思うのだが、俺より水着着用はお前が似合うと思った次第だ」

 

(※意訳:特異点が発生し、イシュタルが解決策として夏のイベントに嵌め込んでレースをし、優勝組に願いを叶える権利として聖杯を譲渡するので、あるカルデア職員に言われて参加した方が良いと言われた。その際に虞美人(お前)と組んで参加しようと思うのだが、ドライバーは水着着用が必須とのこと。俺は水着は分からないうえに虞美人(お前)の方が水着が似合うと思うから、参加するとしたらドライバーをやってはもらえないだろうか?)

 

 この男に言葉で説明を求めた私が駄目だったのだろうか。いや、まだこれは言葉足らずとしては良い方なのかもしれない。

 その後カルナの持っているチラシなどと照らし合わせ、大方の話は理解した。そして理解はしたがこのような衆目監視にさらされるなど御免を被る。祭りごとは他の連中に任せればいいだろう。

 そもそも、主催者があの女神(イシュタル)だ。終わった際には文字通りの天災が訪れそうである。そちらの対策をした方が後の楽となりそうだ。その事をカルナに話すと「確かに。確かに」と同意を得られたので共に対策を施すことにした。あと何故二回言ったのだろう。

 

「ところで、何故私を誘ったの? 他に適正なヤツが居るでしょうに」

「ああ、虞美人(お前)が一度眼鏡をかけている所を見た時に昔のマスターであるジナコを思い出した。そうしたら不思議と声をかけてしまった」

 

 不思議とそのジナコと一緒にされるのは嫌な気がした。何故だろう。

 

 

 

 

 

 

 ある時、イシュタルカップを一応形だけ観戦をしていた。

 参加者はどういうサーヴァントなのかと一瞥して――なんというか、目を疑うサーヴァントが多かった。

 

「ふ、準備は良いだろうな。私の足は引っ張るなよ」

 

 水着でメイドね。アルトリアが頭を痛めていなければ良いけど。あ、割と大丈夫そうだ。まだ良い方なのだろうか。

 そしてエクスカリバーはモップ、セクエンスはピストル。そしてモップとピストルの合体宝具で足を止めグレネードで爆破。……メイドってなにかしらね。

 

「余の歌声をこれを機にさらに響かせよう!」

 

 嬉しそうに笑うネロ。男装の筈なのに水着は美しさ重視。彼女に突っ込むものはもはやこのカルデアにはいない。

 ――彼女の歌声が何故ダメージを与える事を教える者は、いない。

 

「風紀は守らなければ」

 

 風紀に関して私は良く分からないけれど、彼女が風紀を守っているのか、と問われれば疑問がある。……霊基を変えたとはいえマスターの寝床に入る上に溶岩を泳いでいた3人組の一人だ。ランサーになったことで変わっていればいいけれど……いえ、清姫の方はあまり変わらなかったので微妙ね。

 

「フケイ、デアルゾ」

 

 …………

 さて、次は誰かしら。

 

「せっかくだもの。楽しまなくっちゃ! 行くわよ二人とも!」

 

 あの子がこういった催しに参加するとは意外である。誰かに唆されたのだろうか。

 それと彼女の水着はどこかで見たことがある。3分で力が尽きそうな……

 

「うー、あつい」

 

 ……バーサーカーがセイバーになるとああなるのね。……よし。

 あと、近くに変質者がいるけど大丈夫かしら。乗り物はあれで大丈夫なのだろうか。不安である。

 

「イェーイ!! お主ら、乗ってるかー!」

『イェーイ!!』

 

 ロック……ロックね。

 確かカドックが好きだったはずだけど、彼女を見たらあのカルデアスタッフ達のように乗るのだろうか。……いえ、「あれはロックではない!」と言うか、「お主もロック好きなんじゃろ!」と言われパートナーに抜擢されてそうだ。そしてカドックの胃が死ぬだろう。

 

 ……サーヴァントも暑さにやられるようである。

 この後レースが脱獄レースになったり、やはりイシュタルが悪だくみを考えていたが、カルナと施した対策もありなんとか特異点は修復された。

 ……レースとはなんなのだろう。

 

 

 

 

 

 

「虞美人、俺と一緒にコロシアムに優勝(ローマ)を取りにいかないか」

「お前、ワザとやってないかしら」

 

 ある時、カルナにパートナーとして再び誘われた。

 いや、今回の誘いは分かっている。私にとっては二度目であるネロ祭への誘いだろう。あのマスターが「ローマ!」とY字になっていたので嫌でも分かる。後でマスターには安眠効果のある飲み物を差し入れようと思う。

 しかしまた誘うとは、私はジナコとやらにそんなに似ているのだろうか。……メガネで引きこもり気味な所? え、それだけ?

 しかしネロ祭は相手を殺害(消滅)させたりする行為は出来ない。それに呼応したのか私の宝具も禁止されている。生憎と私は役に立たないし興味もない事を伝えるとカルナは「そうか。そうか」と納得して引き下がった。……だから何故二回言うのだろう。

 

「それはそうとカルナ。マシュを見なかった?」

「マシュならば、先程マスターと共に居たが。槍を持って嬉しそうに……」

『槍?』

 

 私がマシュを探していることを伝えると、カルナのセリフに対し二人同時に疑問符を浮かべた。カルナ自身も自身のセリフに途中で疑問を持っている。

マシュの武器は盾よね。あれ、でもマシュは原初のルーンで槍を持って長身で……

 

「……ねぇ、カルナ。ちょっと付き合って貰えるかしら」

「ああ、構わない」

 

 妙な違和感と疑問。

 これは私達に関与しない筈なのに影響を受けている無視できない事象。祭の裏で起きているこの違和感(出来事)を払拭することと、私の思考を纏めるためにある場所にカルナと共に向かっていった。

 

 

 ・

 ・

 ・

 

 

「ちょっと待ちたまえ! 違和感程度で私の所に来て捕まえるのはどうかと思うのだがネ!?」

「貴方を犯人です」

「せめて娘とイベントに参加させてくれたまえ!」

 

 結論を言うならば、案外間違っていなかったりした。

 やはりこれからはなにかあったらコイツを捕まえるか、フランを前に出しておこうと思う。

 

 

 

 

 

 

 

「不老不死が手に入るとしたらどうするか、ですか?」

「ええ」

 

 ある時の話だ。

 第7の特異点に行く前に、私はマスターにそう聞いた。

 特異点の場所はギルガメッシュが治めるバビロニア。ギルガメッシュと言えば世界最古の英雄で不老不死を求めた存在として有名だ。その説明を受けている時にマスターが「不老不死を求めた王様か……もしかしてこの特異点で叶えていたりして」と何気なく言っていたので、私はついそう聞いてしまった。

 聞いた後に少し後悔はしたし、何故質問したのかは分からない。

 彼の回答を聞いて何かが変わるわけでもないのに、何故口に出してしまったのだろう。

 答えが是でも非でも、私の感情は間違いなく陰になるというのに。

 

「状況によるかもしれないですね」

「曖昧ね」

「ごめんなさい」

 

 マスターは私の嫌味に苦笑いをすると、次に言葉を続けた。

 

「もし今の自分が死ぬ間際になって、皆を残してしまって悲しまれて、世界が滅ぶとしたら不老不死を望んでしまうかもしれません。だけど……」

「けど?」

「普段であれば、終わりがあるからこそできることもあるから、不老不死は自分から望まないと思うんです」

「……そうね」

 

 マスターは、私が長い時を生きたことを知らない。だから、この発言は彼の善性からくる発言だと、理解している。

 私は不老不死を求め縋ってきた者を多く知っている。蟲の身体となっても、赤子に魂を入れてでも生に執着した者を、知っている。そのようなことをしてまで不死(コレ)にこだわるなど、理由が、私には、分からない。

 ……もしかしたら今のマスターならば不老不死を求めるなど、あっさり否定してくれると思ってしまったのだろうか。

 

「でも、不老不死を追い求める人の気持ちは分からないこともないと、思います」

 

 マスターはそんな言葉を言い、さすがに国を亡ぼしたりするのはダメだと思いますが、と付け加え、次の言葉を言った。

 

「生きたいと思う事に、嘘があるのは嫌ですから」

 

 その言葉に、私は何故か言葉を返せなかった。

 

 






「つまり……生きることに嘘も真もあるものか、ね」
「ごめんなさい、さすがにあの二人のようには無理です」
「?」

冗談は兎も角、最後に言葉を返せなかったのは主人公の表情も起因しているという事で、お願いします。
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