理由は星に願いはかなったけどダメージを割と負った。とだけ。すいません。
ある時、葛飾北斎がカルデアに召喚された。
正月にヤマトでよく食べるという様々な雑煮とやらをエミヤが作り、適当に味見をしている中の報告であった。
曰くマスターが夢で繋がり、カルデアに召喚されたとのこと。正しくは葛飾北斎の娘でタコが北斎本人だとか。……え、タコ?
ともかく、ドクターが「ジャパニーズHENTAIの先駆者!」や、ダヴィンチが「仲間か」などと呟いている。子供サーヴァントは今のうちに遠くにやっておいた方が良いだろう。
しかし、このカルデアも随分と英霊が増えたものである。項羽様が未だに来ないことは文句を1日かけて言いたいけれど、比較的ヤマトのサーヴァントが多いのはマスターがヤマト出身だからだろうか。それだけで英霊に偏りが出るとも思えないけれど、やはり呼ばれやすい相性というものがあるのだろう。
「……アルトリアが多く呼ばれているのもそれが原因かしら」
おそらくそれはないと信じたい。そもそも相性でだけで呼ばれるのならば、あの教授などが呼ばれるはずがない。マスターはどう考えても善性の人間である以上、あのような犯罪の象徴などと考えが合うなどないだろう。たまに話している所を見るけれど、あれはただの馬鹿話だったりトランプで遊んでいるだけだったりするしね。
「それに、相性だけなら私が呼ばれるとは思えないわ」
相性だけの問題ならば善性のマスターに私が呼ばれるはずがない。項羽様に会う以外に英霊になった目的のない状態の私が、相性で良いはずないのだから。
……なによ、蘭陵王。私を見てなんで微笑んでいるの。なんで嬉しそうにするの。私別におかしいことはなにも言って……ちょっと、なんで撫でて良いかとか聞くの。私変なこと言っていないでしょ。……だからなんでますます笑顔になるの。確かに私はマスターが死ぬまで面倒みると言ったわよ。それとこれとがなにか関係が……待ちなさい、絶対なにか勘違いしているでしょ。ちょっと、だからその表情をやめなさい!
◆
「酔って疲れたら爆散して再構成すればいいのよ」
「やめて」
ある時、百重の塔という訳の分からない建物が特異点として現れた。
純度の低いモノとはいえ、もはや特異点で聖杯が出てくることに疑問は持たなくなった私を含めたカルデア一同であったけれど、相も変わらず現れる建物に関してはよく分からない。前回のチェイテピラミッド姫路城と比べればマシではあるけれど、どういう理屈で建っているのよ、この建物。
この特異点自体はどうやらヤマトの鬼が原因らしく、最上階まで登らせることを目的とした代物らしい。外壁などから登ることは不可能で、内部を上っていった所で多少『酔って』『疲れの症状』がでるらしい。ならば私が登って疲れたら宝具を使用して爆散して敵をなぎ倒し身体を再構成すれば簡単に登れる、とマスターに提案したら止められた。……いい考えだと思ったんだけど。
「確かにそれならば効率よく進めますね!」
「……時折
失礼ね。ヤマト玩具の達磨落としのように一階から順に壊して行こうとしたり、変わらず外壁から登り続けるライコウよりは良いと思ってもらいたい。……はいはい、宝具は禁止ね。相変わらず過保護なマスターなこと。いざと言う時以外は使用しないから、使用しなくてもいいくらいの指揮を執りなさい、と言うとマスターはいつもの様に意気込んだ。
その後、百重の塔の近くに温泉を発見した。曰く、浸かると酔いと疲れが早くとれるらしい。……コリは取れないのかしら。
疲れているのならばゆっくりしても良い、と言われたけれど、生憎とマスターが塔を登っているのにゆっくり浸かるつもりはない。当然疲れたら入るだろうけど、出来る限りはマスターと共に特異点解決に勤しもうと思う。ただでさえ目を離したらすぐ危険に陥るのだ。特異点に付いて来た以上は傍で面倒を……え、過保護? ……気のせいよ。
◆
「エミヤ。お前、
「よし、何故その考えに至ったか経緯を話してもらおうか」
ある時私が質問をすると、エミヤは周囲に誰も居ないことを確認してから拭いていたコップを置き私に質問を返した。
ちなみに私がそのように聞いた理由は簡単であり、最近来た二人目の魔法少女に対する態度が問題だったからだ。10歳程度の少女をじっと見て「ほほう……」などと呟いたのだ。まさに事案発生である。
「……それに関しては、説明が難しいのだがな」
エミヤは私の説明に対し、どう説明したらいいのか分からないように額に手を当て考え込んだ。
私自身は年が離れていようと、異種だろうと同性であろうと別に同意があれば特に問題はないと考えている。なので、別にエミヤが
「別にお前がどういった趣味を持っても良いけれど、マスターに迷惑はかけないようにしなさい。……同意の上で隠れるなら勝手にしなさい」
「その納得は困るのだが!」
私がエミヤの肩に手を置き、応援することを伝えると、エミヤは何故が不本意かと言うように反発をした。……何故かしら。もしかして本命はやはりイリヤのほうなのだろうか。それともやはり可愛ければ誰でもいいのだろうか。
私がそう聞くと、エミヤはますます頭を抱えたのであった。
◆
ある時、チョコの反乱が起きた。自分で言っておいて訳が分からないけれど、この表現以外に当てはまるものがないのも事実であった。
今までのバレンタインとかいうお菓子会社の策略による2月14日に向けてチョコの香りがカルデアに充満することはあったけれども、今回は文字通りチョコがカルデアを埋め尽くした。
チョコ、板チョコ、チョコボ〇ル、カカオ農園~素人は黙っとれ~、チョコを制作するパラケルスス人形、
くっ、こんなにチョコが溢れてしまえばマスターとて、もうチョコを見たくなくなるはず。本命の項羽様から見ると義理も義理義理なものけど、気まぐれであげようと思っていたプレゼントが台無しになるじゃない。ここは最初にマスターから貰ったようにお茶にするべきだろうか。それとも前回のように適当な料理でも振舞えば良いだろうか。ふ、前回のマスターは見物だったわね。項羽様のために練習した料理をあんなに美味しそうに――ってそうじゃない。今は今回のバレンタインをどうするべきかを考えるべきだ。
チョコは駄目。できるだけ遠いイメージの物が良い。
ケーキも駄目。マシュと被ってしまう。
料理……は悪くないけれど、前回お返しで料理系をマスターは多く貰っていたし……
価値のあるモノ……なんて私は所有していない。それにあの英雄や太陽の王が渡しているものと比べたら明らかに価値は下がる。いえ、マスターは価値で物事を判断せず、送られたものは素直に喜ぶタイプだ。価値は関係ないのだろうけど……衝撃には欠ける。
「……と言うより、私がなんでこんなに悩まないといけないのよ」
そうだ。そもそも私がバレンタインなどというものに頭を悩ませることがおかしいのだ。
これは人間の文化な上に、あげる義理もないのだ。最初の様にマスターが私にプレゼントをしたら返す程度で良いだろう。そうしよう。
……けれど、
「アイツが間抜け顔で嬉しそうにする表情が見られないのは――」
――そうね。
幸い考える時間はある。溢れかえったチョコの処理に時間はかかるけれど、いざとなれば私らしく、昔マスターにあげた、自作した菓子でも渡そう。バレンタインなんて馬鹿げた
ちなみにエミヤの出番が多いのは単純に書きやすいからです。もっと多くキャラは出したいのです。