三門市にはボーダー本部を中心とした警戒区域がある。放っておけば三門市のあちこちに開いてしまうゲートを誘導し、そこから侵攻してくるトリオン兵と戦う区域である。
地木隊は7ヶ月ぶりにその警戒区域に足を踏み入れ、防衛任務についていた。
「んー、駿とランク戦やってた時も思ったけど、帰ってきたって感じがする!」
人っ子1人いない警戒区域の街中を、スキップでもしそうなテンションで彩笑は歩いていた。その彩笑の左側を並んで歩くように天音が付いていき、2人の数歩分後ろを月守が歩いていた。
「地木隊長、もう、怒って、ない、です、か?」
隣を歩く天音が無表情ながらも不安げな声で彩笑に尋ねた。彩笑はキョトンと一瞬だけした後笑顔になり、
「アハハ、もう怒ってないよ神音ちゃん。ありがと!」
そう言って天音の頭を撫でた。
「(今日、は、2人とも、撫でて、くれた)…、どう、いたしまして?」
小首を傾げながらそう言う天音が彩笑の目にはたまらなく可愛く写り、しばらく撫で続けた。
彩笑は満足するまで天音を可愛がると、今度はクルリと180度反転し月守に向かって言った。
「でもあれはムカつくよね!?咲耶はどう思う!?」
天音に見せていた態度すらも180度回転したかのような、怒りを含んだ声で彩笑はそう言った。月守は苦笑しつつ、
「まあ、少しはそう思ったよ」
やんわりとした声で彩笑に肯定を示した。
「だよね!」
それを聞いた彩笑は、ビシッ!と効果音が付きそうな勢いで月守を指差した。
*** *** ***
遡ること数十分前の出来事だ。
「…ってことで、ボク達が嵐山隊の代理で来た地木隊です。引き継ぎよろしくお願いねー」
彩笑はにこやかにそう言い、一礼した。
防衛任務交代の際には、それまで防衛任務を担当していた隊と交代する隊で引き継ぎ作業が行われる。それまでの任務中でどんなトリオン兵が攻めてきたのか、普段と異なる事はなかったか等を説明し、次の隊に任務を引き継ぐのだ。この報告は現場同士、オペレーター同士でそれぞれ行われている。
慣れれば素早く正確にできる報告作業なのだが、地木隊の直前に担当していたのは正式な隊ではなく、どこの隊にも所属していないフリーな正隊員の合同チームだった。
報告してくれたのはまだ不慣れな隊員だったようで、引き継ぎ報告があやふやだった事に加え、
「え?次の担当は嵐山隊じゃないの?」
「こいつら間違えて来たとかじゃねぇの?」
「嵐山さんに会えると思ってたの……」
「てか地木隊なんていたっけ?」
報告が始まる前から報告が終わるまで、報告してくれた隊員以外の合同チームのメンバーはヒソヒソとそんな事を話していた。
報告時の並びは彩笑が少しだけ前にいて、その後ろに月守と天音が並んだ状態だったのだが、その彩笑の後ろ姿しか見えていないはずの月守ですら、
(あ、彩笑キレそう)
と判断できる程の怒気を放っていた。
彩笑は、
「正隊員は防衛任務をしっかりできてこそ正隊員。順位やポイントは二の次!」
という自論を持っているため、まだ任務を終えていないのに気の抜けたことを言っている彼等に腹を立てていたのだ。
実際はボーダー入隊時からの付き合いである月守と、同じ隊のメンバーのことはよく見ている天音だけが彩笑の怒気を察知していた。
『彩笑、落ち着いて』
月守はトリオン体に組み込まれている、特定のメンバーにのみ飛ばせる無線通信で彩笑に注意を促した。
『…こいつら何人かベイルアウトさせていい?』
彩笑は無線に応答したが月守の予想通りキレる寸前だったようだ。
『規則違反になるから駄目』
『いや、こいつらムカつくし』
『とにかく今は落ち着いて。愚痴やら何やらは後で俺が付き合うから、今は素直に引き継ぎましたって言いなよ』
『…ちっ』
月守の説得の甲斐あってか、
「引き継ぎしました。皆さんお疲れさま!あとはボク達に任せて休んでいいよ!」
辛うじて笑顔と判断できそうな表情でそう言いい、無事に引き継ぎを終えた。
引き継ぎを終えた合同チームは本部に帰投していったが、その帰る後ろ姿すら気怠げだった事に彩笑は更に苛立ち、そんな彩笑を月守が必死になだめ続けていた。
*** *** ***
そして現在。
「うにゃー!やっぱ何回思い出してもムカつくー!」
彩笑は機嫌が直っていなかった。いや、厳密には、直ってまた悪化してをひたすらループしていた。
(よっぽどイラついてたんだな)
月守はそんな事を考えながら、変わらず彩笑の後ろに付いて歩いていた。ちなみに天音はなんとか彩笑に機嫌を直してもらおうと頑張って話しかけていた(彩笑は天音に八つ当たりすることはない)。
天音が頑張ってる訳だからなんとかこの状態を打開したいなぁ、と月守はぼんやりと思考を巡らしていた。
そして、
『えーっと、テステス。ただいま無線通信のテスト中です。…皆さん、私の声は届いてますか?』
月守の思いもよらぬ方向から彩笑の機嫌を直す一手が飛んできた。
「『真香ちゃん!こちら地木彩笑。真香ちゃんの声、ちゃんと届いてるよ!』」
さっきまでの怒気は何処へやら、と言いたくなる程に明るく嬉しそうな声で彩笑はその無線に答えた。
「『えっと、こちら、天音神音、です。真香、の、声、ちゃんと、聞こえてる、よ』」
続けて天音がその声に答えた。彩笑同様に、少しだけ弾んだような嬉しそうな声でだ。
最後に月守が答えた。
「『こちら月守咲耶。しっかりと聞こえてるよ、真香ちゃん』」
月守も2人同様に、嬉しそうな明るい声で答えた。
3人からきちんと応答が返ってきた所で、まなか、と呼ばれたオペレーターが、
『はい、3人とも通信状態良好ですね。…復帰早々で防衛任務ですけど、頑張りましょうね』
そう答えて通信状態良好を知らせた。
「うん、頑張ろっか!」
その声に彩笑はそう答えようとしたが、そう答える前に3人の無線に何かが聞こえてきた。
そしてそれはよく耳を澄ませば、
『…うぅ、ヒック。が、がんばりばじょうぅ、うぅ』
泣きながらの、嗚咽が混じった真香の声であるのが分かった。
「『ど、どうしたの真香ちゃん!?大丈夫!?』」
真香が泣いているのを理解した彩笑はすかさず無線で問いかけた。
ほんの少しの間を空けて、真香が答えた。
『だ、大丈夫、です。ただ、嬉しいんです。また、この4人でチームを組めて、また任務できるのが、嬉しくて泣いちゃいました…!』
と。
この感受性豊かなオペレーターは和水真香(なごみまなか)。地木隊最後の、欠かす事できない4人のメンバーだ。
*** *** ***
まだトリオン兵と一度も交戦していないが、真香の音声越しの涙で彩笑がもらい泣きしてしまったために地木隊は手頃な民家の屋根の上で休息をとっていた。
「『…2人とも、もう大丈夫かな?』」
ある程度タイミングを見計らって、屋根に座り込んでいた月守が問いかけた。
『あ、はい。もう大丈夫です、落ち着きましたよ月守先輩』
先に答えたのは真香だった。真香の言葉通り、落ち着いた声での返事だった。
「ボクも大丈夫だし」
続いて彩笑も答える。言葉こそ淡白だが、その実、嬉しいのだということを月守も天音も感じ取っていた。
2人とも大丈夫と言った所で月守は話を進める事にした。
『オッケー。それじゃあさ、真香ちゃん。さっきまでのチームのオペレーターから引き継いだ内容を軽く説明してくれるかな?』
『えっと、了解です。…現場との情報の擦り合わせをするって事ですか?』
真香の返事の奥には小さい音だがキーボードを叩く音が混じっていて、多分ログを遡る作業と並行して会話してるのかなと月守は思った。
『まあ、そんなとこ。ほら、久々の任務なんだし丁寧に行こうってことで』
月守はサラッとそう言ったが、実は引き継ぎ時に彩笑がいつブチ切れるかヒヤヒヤしていた為、ちゃんと聞いておらず、ここでしっかり確認しとこうという意図があった。同じ理由で天音もハラハラしていて引き継ぎを聞いておらず、彩笑もイライラして内容が頭に入っていなかったので、実際は誰一人ちゃんと引き継げていなかったのだ。
しばらく無線からタイピング音が響いた後、真香から報告が届いた。
『前のチームの時間帯のログを見た限りだと、トリオン兵はバムスター4体にバンダー2体、あとはモールモッドが6体の計12体討伐してますね』
『んー、1任務中に12体なら量としては普通だよね』
彩笑が呟くようにそう言い、天音が頷いて肯定を示した。
『ですね。…流し読み状態でログ見ましたけど、今日はどの時間帯もこんなペースみたいです。あ、今気付いたんですけど、今日の交戦記録を見るとトリオン兵はいずれも複数で来てます。単品で来てるのは一件も無いです』
真香が追加で知らせてくれた情報を3人とも頭にインプットする。
『量は普通、でも相手は常に2体以上で出現ってことだね』
月守がざっくりとまとめて言葉に出して確認し、彩笑と天音が頷いて肯定した。
『はい、合ってます。…あ。たった今嵐山隊と本部から連絡入りましたよ。外向けのお仕事が思ったより長引きそうで、この時間は丸々私たちの任務になるそうです』
真香は肯定と更に追加の情報を与えてくれた。
防衛任務に一通り必要な情報が揃うと、民家の上に座っていた彩笑が立ち上がった。
「さて、それじゃ後は作戦立てながら巡回するよ」
彩笑はそう言うと、近くの民家の屋根にヒョイっと跳び移った。
月守と天音は同タイミングで「了解」と答え彩笑の後を追った。
ヒョイ、ヒョイ、ヒョイ
と、いつくか民家の屋根の上を3人で跳び回る。
「久々なんだし、戦い方はシンプルに行こうよ」
「私、も、賛成、です」
彩笑がそう言い、天音がそれに賛成する。
それを聞いた月守は、ほんの少しだけ思案して、
「…敵が複数で来るなら、俺がそいつらを分断して浮いた奴から彩笑と神音で倒してく、その間他の敵は俺が足止めするとかどう?」
と提案した。
「ならそれで行こうよ。分断はとりあえず半分ずつで」
そしてあっさりと彩笑はその作戦を採用した。
そこで天音が小さく挙手して、月守に質問した。
「えっと、敵が、奇数だったら、どう、します、か?」
「なるべく半分近くに分断するよ。数偏ったりして上手く分断できなかったら、多い方を俺が足止めしとく」
作戦と呼ぶには大雑把だと思うが、何せ7ヶ月ぶりの実戦なのだからがっつり連携を取るよりも個人の技能に任せてフォローは最低限にした方がいいと月守が判断した結果の、この作戦だった。
全体の流れを決めた所で、彩笑が次の内容に話を進めた。
「あ、神音ちゃん。ボク達の方の連携は…」
と、そこまで言った所で彩笑の言葉を遮る大きなサイレンが『警戒区域中に』鳴り響いた。
「「「!」」」
3人ともそのサイレンの意味をよく理解している。
任務が開始される合図であり、それはつまり、
『ゲート、開きます!』
トリオン兵がゲートを通って攻めてきたということだ。
「『場所は!?』」
『皆さんの位置から、西に850mです!』
彩笑の質問に対し真香は素早く的確に答える。
ゲートの発生地点を聞いた3人は迷わずその地点めがけて移動を開始した。
「神音ちゃん!連携は1人が敵の態勢崩してもう1人が斬るヤツで行くよ!」
「分かり、ました…!」
移動しながら彩笑と天音は簡単に連携の確認を済ませた。
それと同時に、
「現着!」
「思った、より、近かった、です」
「ゲートの感じからして、モールモッド4体くらいかな?」
地木隊3人はゲート発生ポイントに到達した。だだっ広い、大きな爆発でもあった後かのような開けた場所にゲートが開きかけていた。
ゲートが開ききる前に、再び真香から通信が入った。
『月守先輩の言う通り、モールモッド4体です!』
そしてその通信が切れると同時にゲートが完全に開き、トリオン兵が現れた。月守と真香が言う通り、自動車サイズの本体に鎌が付いた戦闘用トリオン兵『モールモッド』が4体だった。
その4体を視認した所で彩笑が合図を出す。
「戦闘開始っ!」
合図と共に、地木隊7ヶ月ぶりの戦闘が開始された。
*** *** ***
4体のモールモッドは横並び状態でゲートから現れた。月守は負傷して吊った右腕ではなく、左腕を動かし掌を上向きにかざした状態で、
「炸裂弾(メテオラ)」
と呟いた。
呟くと同時に正方形のトリオンキューブが現れ、3×3×3の27個に分割され、放たれた。
中距離の間合いで戦うポジションの中でも、銃型トリガーを使わず弾丸を放つ者を『射手(シューター)』と言い、月守の戦闘スタイルはその射手に分類されるものであった。
月守が放ったメテオラは4体のモールモッドを2体と2体に分断するように放たれたもので、群の真ん中の地面にヒットした。
メテオラは文字通り着弾と同時に炸裂し、広範囲に攻撃できる射撃用トリガーである。月守の放ったメテオラは弾速が遅いためモールモッドはあっさりと避けるが、その分威力(炸裂範囲)重視のため、大きな爆発音と共に衝撃が広がりモールモッドを完全に2体ずつ分断することに成功した。
分断を成功させた月守は叫ぶ。
「そっちは任せた!」
そして返事すら聞かぬまま、片方のモールモッド2体に向かって再びメテオラを放つ。事前に決めた作戦の通りだ。
任された彩笑も叫ぶ。
「りょーっかい!いくよ、神音ちゃん!」
そして天音と並びながら月守が分断したもう片方のモールモッド2体に向かって距離を詰めて行った。
天音は右腰に差した孤月を抜刀しながら言う。
「隊長、先に、私、崩します」
「分かった!」
天音が前、その僅か後ろに彩笑という縦型の布陣で2人は1体目のモールモッドの間合いに入った。
モールモッドの武器は、トリオン兵の中でも屈指の硬度を誇る二本の鎌である。その二本の鎌が、間合いに入った獲物を刈り取るべく振るわれた。
(二本、同時。ううん、右の、方が、少しだけ、早く届く)
天音は瞬時に、ほぼ同時に振るわれたように見える二本の鎌の僅かなズレを見切り、対策を取った。
(サブ側、「シールド」展開)
使ったトリガーは「シールド」。その名の通り盾となるトリガーだ。特性としては、範囲を狭くすればする程耐久度が高くなる事とある程度距離を離した所にも設置できる事。
天音は掌サイズまで狭めたシールドを、モールモッドが振るった右鎌の付け根部分に来るように展開した。防ぐ、というよりは動きを阻害するために。
ガギン!
という音と共に天音のシールドはモールモッドの右鎌の動きを止め、モールモッド全体の動きも僅かに鈍くする事に成功した。
そしてもう片方の左鎌を、
「ん」
天音は孤月を振るい下段からの切り上げを放ち、思いっきり弾く形で相殺した。
モールモッドの態勢が、大きく仰け反り崩れた。
「ナイス!」
天音が「崩しました」と声をかけるより早く、彩笑はそう言い、
ザシュン!
という音と共にモールモッドの『目』の部分に両手を突き刺すような形で止めを刺していた。
「…!(隊長、やっぱり、速い…!)」
「次行くよ!今度はボクが態勢崩す!」
天音は目にも留まらぬ彩笑の速攻に呆気を取られていたが、彩笑はそんなことお構い無しのようで次のターゲットを見据えた。
彩笑は止めを刺したモールモッドの目から両手を抜く。その両手には、天音と違うタイプのブレード型トリガーが握られていた。
軽量ブレード『スコーピオン』。天音の使う『孤月』と比べて脆いのだが、重さがほとんどゼロで出し入れ自由、形状を自由に変えられる攻撃手用トリガーである。
彩笑はナイフ状に展開したスコーピオンを握ったまま、残ったモールモッドとの距離を一気に詰め、その間合いに躊躇なく踏み込む。天音の時と同様にモールモッドは二本の鎌を振るい攻撃するが、彩笑はそれを難なく回避して側面に回った。
「脚もらうよ!」
彩笑は普通の正隊員には反応すら困難な速度で反時計周りに動き、目にも留まらぬ速さの斬撃でモールモッドの脚を片側のみ斬り落とし、バランスを崩した。
片側のバランスが崩れたモールモッドの隙を見逃さず、天音はモールモッドの目に孤月を突き刺し、そのまま上へと振り抜いた。
2体のモールモッドからはトリオンがみるみる漏出していき、やがて、
『モールモッドの反応、2体とも消えました!』
戦いをモニターでチェックしている真香から通信が入り、撃破を確認した。
「神音ちゃん、ナイス!」
彩笑はそう言いながら手を掲げている。天音はハイタッチを求められているのだと理解し、同じように手を掲げて、
「ありがと、ございます」
と言いながら2人はハイタッチを交わした。
にこやかな表情を浮かべていた彩笑だが、
「…って、まだ咲耶の方が残ってんじゃん!」
残りの2体を思い出し、そちらに目を向けた。
その視線の先には、彩笑ほどではないがモールモッド2体がかりの斬撃を上手く避けながら、細かくキューブを放って戦う月守がいた。
月守は2人の戦闘にも意識を割いていたのか、自分のことを見ている彩笑にすぐ気付き無線で連絡を入れた。
『彩笑、こいつら崩すから、それを捌いて』
と。
その通信を聞いた彩笑が返事をするより早く、月守は行動に移った。
月守は後退しながら向かってくる2体のモールモッドに向かって、アンダースローのようなモーションで27分割したメテオラを放った。
足元に撒かれたメテオラをモールモッドは避けきれず踏みつけてしまった。
踏みつけたメテオラの爆発により、近くのメテオラが爆発、そのまた近くのメテオラが更に爆発と爆発は拡大していき、メテオラ全ての衝撃によりモールモッド2体は脚を完全に破壊された。
その光景に、彩笑は思わず笑いかけ、いや、盛大に笑いながら跳躍した。
「アシストが丁寧すぎる!」
心の底から楽しそうに彩笑は言い、オプショントリガーを1つ展開した。
「グラスホッパー!」
展開したのは空中機動ができるジャンプ台トリガー『グラスホッパー』。彩笑は足元にそれを展開して、さながら弾丸のようにモールモッドに突撃した。
動きが取れずになす術のないモールモッドは、彩笑のスコーピオンにあっさりと切断され倒された。
モールモッドを倒して立ち上がると、その近くには月守がいた。
「倒させるスタイルは継続するわけ?」
「まあね。倒し切っても良かったけど……、久々だし、思いっきり動きたいだろ?」
「うん!さっすが咲耶!分かってるね!」
天音の時と同様に、ハイタッチを求める彩笑に月守は左手を素直に掲げて答えた。
パチン!という小気味良い音が、モールモッドの残骸が転がる警戒区域に響いた。
地木隊はその日、なんの問題もなく計15体のトリオン兵を倒し防衛任務を終えた。
ここから後書きです。
読み返して疑問に思ったことは、
「警戒区域内に更地とかあったか?」
でしたが、すぐに、
「あ、大規模侵攻の後だから、ここは天羽が戦った場所のつもりで書いたんだ」
って思い出しました。
ひとまずここまでです。
続きはまた、別の時にまとめて更新します。