魔法使いは報われない 作:猫月
ありきたりな転生シーンです。
灼熱地獄。まさしくその名にふさわしいように、建物もビルも道路さえも消えない炎に覆われていた。
焼け焦げたのか、潰されたのかは分からないが、仰向けのまま動かない身体で最後の最期が目に映つる。
それは黒い――黒い太陽。
燃え上がる焔の代わりに、黒い黒い泥が舞い上がる。
災厄の星。
――黒い泥が地獄に更に落ちるのを見て、
彼の意識は―――最期を迎えた。
魔法少女リリカルなのは 魔法使いは報われない プロローグ
真っ白な、真っ白な世界。
そんな世界の中心で、背中に羽を生やした金髪の少女が土下座をしている。
普通なら状況が分からずに、混乱して慌てふためくところだが、少年は落ち着いたまま深々と溜息をついた。
「…ぐず」
「あぅっ!!」
「…能無し」
「いぅっ!!」
「…役立たず」
「うぅぅっ――!!」
「…へっぽこ」
「えぅっ、えぅっ!!」
「無責任の、嘘つきの、契約違反の、ちんちくりんの、板胸の、むしろ胸な――」
「すみませんっ!!すみませんでしたよぉ~!!けどそこまで言うことないじゃないですかっ!!てか、最後の方ただの悪口ですよね、板胸とか胸無しとかっ!!言って良い事と悪いことがありますっ!!もうっ!!」
少年に悪口を言われるたびに背中をビクつかせた少女が、ガバリと顔を上げて訴える。が、
「そんなにいきり込んでも、お前がま・た失敗したことには変わりないが?」
「この度は誠に済みませんでした…」
少年の一言で再び平伏することとなった。
その姿を見て少年は深々と二度目の溜息を吐く。
目の前で平伏する羽の生えた少女は、こう見えても幾つかの世界を管理する神様だ。
最上神ではないにせよ、そこそこ力を持つ神様の少女がただの人間の少年に頭を下げる。そこにはもちろん訳があった。
世界に暮らす生き物には寿命や天命といったものがあり、病死だろうが事故死だろうがそれなりの定めが存在する。
だが時折神様たちの手違いや、異端者の煽りを受けてそれを全うできない事がある。
そんな魂に対して救済処置として転生という物があり、神様の手違いで若くして亡くなった少年は、この真っ白な転生の間に四回目の訪問となったのだ。
そしてテンプレ的な転生特典として、少年が神様に願った事は『平穏無事に天寿を全うする事』で――
「それで、今度は何が起こったんですか?死因は?」
「えっとね…転生者が聖杯の泥を何とかしようと力ずく手ふっ飛ばして、君のアパートメントが崩壊しちゃったの。ごめんね、てへっ♪」
「ごめんね、てへっ♪じゃねぇよ!!てか、享年九歳って最短記録更新だぞこらっ!!天寿全うはどこにいったこの野郎っ!!」
かわいこぶった少女に少年が怒鳴りつけると、慌てて頭を覆って少女は身体をちぢ込ませた。
「ごめんっごめんよぉ~!!次、次こそ大丈夫だから、許して、許してよ~」
許しを請いながらびくびくと身体を震わせる神様に、少年は三度溜息を吐いた。
「はぁ…仕方ない。仏の顔も三度までって言うし、これで最後だぞ。あと今度こそ『平穏無事に天寿の全う』頼んだからなっ!!いいかっ平穏無事に、天寿の全うだからなっ!!」
少年は少女を許すと、自分の願いを深く言い聞かせる。
犬を躾けるように何度も何度も言い聞かせるのは、その結果がネギま!の世界で享年11歳。カンピオーネの世界享年12歳。フェイトゼロの世界享年九歳なので仕方が無いことだろう。
少女の神は神妙に頷くと、流石に申し訳なく感じたのか一つの提案を持ちかけた。
「えっとね……本気で申し訳ないと思ってるからね。君にはあと三つぐらい願いを叶えてあげたいと思うんだけどどうだろう?」
「どうだろうって…一つ目も叶えられないのにそんな事出来るのかよ?」
少年がジト目で睨みつけると、少女の神様はうっと息を詰まらせる。
「そ、そこは私の才覚で何とか…」
「信じらんねぇ…けどまあ、そうだな――」
もう一度落としてから、少年は神様の少女を持ち上げる。
三つの願い事をすぐさま思い付いて、少女の神に願ってから。
「―――ああ…いつも通り世界では記憶をなくしてくれよ。赤ちゃんプレイはもうしたくないからな」
「うん分かった。それじゃあ送るね。良い人生を!!」
少年は新しい世界へとその身一つで繰り出すのだった。
読んでくださってありがとうございます。
というわけでテンプレの転生シーンでした。
かわいそうな神様な少女と哀れなオリ主。
三度の死因は全て転生者のせいという裏設定。
三つの願い事は不明です。
チラ裏にすべきか迷ったけど、チラ裏とか良く分からないので一般投稿です。