「なぁ、ユー……寄りにもよって何でこれなんだよ」
と、チトは顔を赤くしながら、もじもじと体をくねらせる。なぜならば、今チトが着ている服は、服にしては手足の露出が多く、それでいて足の間は下着のように食い込んで半分だけ露出している特殊ななりをしているからだ。
お気づきの方もいるだろう。そう、俗に言うスクール水着をチトは着せられているのである。
「ロマンだから?」
さらりと言ってのけるユーリ。ちくしょうてめぇ、覚えてろよ。チトは頭の中で難癖を飛ばす。
しかし、なぜチトがこんな格好をしているのか。それは簡単に説明すると、チトとユーリがボードゲームをしていて、「負けた方が言うことを聞くってのはどう?」とユーリが持ちかけたのだ。
いいだろう、その勝負のった。軽く酒の入っていたチトはその申し出を受けた。
受けた結果がこれである。ユーリの出した条件はこれだ。
「その格好で寝るまで言うこと聞いてね。よろしく」
「寝るまで……おい、冗談だろ」
チトは時計を見てみる。夕食を終え、ゲームに負けて一時間も経ってない。少なくとも、あと数時間ほどはこの格好をしなければならないのだ。
まだ家の中だけだからましだが、下手に手足を露出したこの格好の方が逆に羞恥心を煽る。なんだ、このまたの付近の布面積は。何でわざわざ下着のような形をしているのか。
「っていうか、なんでお前がスク水なんて持ってるんだよ」
「いつかスク水プレイしようと思ってたから」
「変態かよ」
「ちーちゃんが好きすぎて仕方ないだけさ」
ぱちり、とユーリはウインクをする。いや可愛くやったって誤魔化されないからなとチトは少し腹を立てる。だが、約束を受けてしまった以上、それを全うしなければ自分のプライドが許さない。いや、こんな服着せられる自体プライドも減ったくれもなくなっている気はするが。
(恥ずかしいから着替えさせてなんて言ったら、それこそ負けな気がする)
チトは腹を括ることにした。たかが数時間だ、それまではいつも通り過ごせばいいのだ。何の問題がる。
「分かったよ……寝るまでだよな」
「まぁ、お風呂入るときまででいいかな」
「おいまさかこの格好で風呂に入れって言うのかよ」
「水着だからちょうどいいじゃん?」
「そういう問題かよ……」
チトはもう考えることが面倒くさくなってきた。ええい、分かった分かった、なるようになれだ。
「あーもう、分かったよ。何すればいいんだよ」
「んー、それでお夜食作って」
「てめぇ私をメイドにするつもりか」
「なんでも言うこと聞くって条件、承諾したじゃーん?」
「分かったよ、なに作ればいいんだよ」
「じゃあ……ジャガイモのチーズ焼き」
「……分かったよ」
「あ、やけどしたら危ないかもだから、はいエプロン」
と、ユーリはどこから用意したのか、フリフリのエプロンをチトに手渡す。スク水エプロン。なんだよこれ。本当に。
「……ありがとよ」
チトはエプロンを受け取ると、それを着こんで冷蔵庫からジャガイモを取りだし、夜のつまみを作りだした。
ユーリは、チトの姿を後ろからじっとりと眺める。フリフリのエプロンはチトの為に選んで買ったものだ。真正面から見ると裸エプロンの用でとてもそそられる。
そしてチトが後ろを振り向けばスク水がご挨拶。にょっきりと伸びる足、少しだけ見えるお尻の肉がたまらなくエロい。ああ、チトが寝てる間にサイズを計って、ピッタリなサイズを探し出してよかったと心底思った。
チトはフライパンを取りだすため、しゃがんで舌の戸棚を開ける。ぴっちりとしたスク水が肌に貼り付いて体のラインが一層際立たせられる。特にお尻周りがすごい。ユーリは自分の右手が伸びていることに気が付いて慌てて抑え込む。まだだ、まだ。今料理中なのだから危ないぞ。
ユーリは自ら提案をしておきながら、生殺しをされて居る気分になってしまう。いっそ最初から襲ってしまえばよかった。いやしかし、この機会を逃すとスク水エプロンも拝めなかったかもしれない。
チトは夜食を作るために、屈んだり立ったり、体を捻ったりを繰り返す。その度に体のラインがそれぞれ際立って、手を出そうにも我慢をしているユーリはお預けを食らい、チトに関してはぎち、とスク水が少しだけ体を締め上げて体のラインが浮いていることを自覚させられ、顔が赤くなるのを抑えられなかった。
*
「んー、おいしかった」
ぷはー、とビールを煽ったユーリは、チトの作ってくれたポテトチーズを平らげ、満足げな顔を浮かべる。チトは「やっと一個終わった」とやや疲れた顔で机に突っ伏す。むに、と物足りない胸が机の上に乗る。
しかし、さすがは人類の英知が生み出した水泳用着、あのチトの物足りないバストにもしっかりと形を持たせ、机の上に乗って形を変えるその膨らみをユーリの目に届けてくれた。
「……ちーちゃん」
「ん、なんだ?」
まだなんかさせるつもりかよ。そういおうと思っ他チトだったが、視界の先にユーリが居ない。と、思ったらユーリが後ろに組みついてきて、思わず声を上げる。
「っひゃっ!?」
うわ、恥ずかしい声出した。チトは顔が赤くなるのを感じたが、そんなものいざ知らずとユーリは自分の顔をチトの背中に押し付け、すりすりとその感触を顔いっぱいに感じた。
「ちょゆ、ゆー! んっ、ばか、なにしてる!」
「んぁあ……ざらざらしてあったかくて、きもちいい」
「ああもう、こんなことになるんだろうと思ってたよ! 一回離れろ!」
「やだー」
ぎゅう、と回した腕の力を強め、ユーリはチトを逃がさないようにする。チトは一瞬逃げようとしたが、ユーリの力の入れ具合をスク水越しに感じて諦めた。
(ダメだこりゃ、もう逃げられそうにないな……)
はぁ、とため息を吐く。ユーリにもいつか同じ目に合わせてやるとチトは決める。
抵抗しなくなったチトを見て、ユーリは自分にGOサインを出す。すんすんとまず背中の匂いを堪能し、前に回した手でチトの体のラインとスク水の手触りを楽しむ。胸元に近づいたり、脇腹に手を伸ばすとチトの体が少しだけ跳ねるのが可愛くてたまらない。
「……ユー、触り方」
「触り方が、なぁに?」
「……分かってるくせに」
チトは少しだけ後ろに視線を向け、ユーリを恨めしそうに見つめる。その表情がたまらなくかわいくて、ユーリはチトの体を床に押し倒す。
「っ、わ!」
とん、とチトは簡単に転がされてしまい、旧型スクール水着のあられのない姿を再び晒されてしまう。ユーリは間髪入れず、チトの胸元に顔を埋める。
「んっ!」
すー、すー、とユーリは存分にチトの香りをスク水越しに楽しむ。開いた左手をそっと胸元に置き、軽く指を押しこむ。裸や、下着越しとは違う新たな境地は、癖になりそうだった。
するり、と手を脇に回して、そのまま体のラインに沿って撫でまわす。びく、びくとチトが震える。ユーリはあえてそこしか責めない。
脇、脇腹、お腹、おへそと手を滑らせる。チトの吐息に艶が混じり始める。まだ、まだだ。今理性を吹き飛ばしたら、せっかくの楽しみが感じれなくなる。
す、と、さらけ出された太ももに手を伸ばす。熱い。火照ったチトの太ももは、少しばかり華奢だったが、それでも必死に女を主張していて可愛らしかった。
「ちーちゃん、可愛いよ」
「……う、っさい」
ちゅ、と太ももにキスをする。チトの方が跳ね上がる。愛おしそうにユーリはチトの素肌を楽しむ。水着と足の境目が、これでもかと本能をくすぐってきた。
「ん、はぁ」
チトの太ももを存分に味わったユーリは、一度体を起こしてチトを見下ろす。恥ずかしくてたまらないチトは、耳まで真っ赤にして両手で顔を覆っていた。
「……ちーちゃん」
「…………なに」
「…………可愛い」
ユーリは、チトの片方の手を無理矢理どける。やや反抗的な、羞恥で目元がうるうるしているチトの目が自分を見ている。ほんとうに、可愛いなぁ。
「みるなよ……ばか」
ふーふー、と少しい気を荒くするチト。その抵抗できないと理解しつつ、それでも尚反抗しようとする彼女の意思がたまらなく好きなのだ。
…………正確に言えば、その反抗の意思を粉々に砕く瞬間こそが、ユーリはたまらなく好きだった。
ユーリは自分の顔をチトの顔に押しこむ。あとどれだけ彼女の羞恥に染まるこの姿を堪能できるのか必死に考える。勿体ないかなー、でもなー。そろそろ私も持たないなー。
そんなことを考えてはいたのだが。
案の定、あっという間にどうでもよくなっていた。
了