パリーン!!
カップが割れた音が響いた。アーシアが落としたのだ。
「ど、どういう事ですか・・・主は、主は死んでるって!!」
瞭太の予想通り、アーシアは取り乱した。信仰深いアーシアなら取り乱しても可笑しく無いと予想していたのだ。
「ここの喫茶店は魔王もお気に入りの店でね、裏の世界の事は知ってたけど魔王から聖書の神の死を聞いた時は俺も驚愕したさ」
瞭太はサーゼクスに三大勢力の現状を教えてもらった。先の大戦で魔王四人が死に、聖書の神も死んだ事を話してもらった。堕天使の勢力は被害はあったが殆ど失う事は無かった。
瞭太はアーシアの目を見て言った。
「キミは何度も聖書の神に祈ってたでしょ?」
「は、はい」
「じゃあ何で神様は心優しいキミを見捨てたの?」
「そ、それは私の祈りが足りなかったから・・・あ!」
アーシアは聖書の神の死で、ある事実に気づいた。
「祈ってたけどキミは救われなかった。何故なら聖書の神は見てなかったからね、死んでるから」
瞭太は語りだした。
「これは俺自身の個人的な考えだから気にしないでね。聖書の神は人間に試練を与えるけど、試練を乗り越えた者には更に厳しい試練を与えると思ってる。人間を信じてる故に更に過酷な試練を与え続ける、人間の可能性を信じてね」
瞭太は自分の手元のカフェオレを飲む。
「それにこの世界の神様は聖書の神だけではない、日本神話の天照や北欧神話のオーディン等がいるからね・・・とは言うもの俺も神様は信仰してる・・・3人だけだがね」
パルテナ
『私達の事ですね』
ナチュレ
『当たり前じゃろ』
ハデス
『おじさん嬉しいよ~』
瞭太の言葉でほくそ笑みを浮かべる3人。
「瞭太さんも神に祈りを捧げてるんですね」
アーシアの顔はやはりショックなのか少し元気が無かった。
「教会側にはまだ隠してるクソッタレな計画がある・・・いや、この話はここまでにしよう」
瞭太はこれ以上アーシアにショックを与えると危険な気がしたから話を止めた。
「(【聖剣計画】・・・パルテナ様達の奇跡で調べてもらったけど本当に反吐がでるな)」
ナチュレ
『やはり人間は滅ぶべきじゃの』
パルテナ
『私も人間の可能性を信じてますが聖剣計画。あまりにも酷すぎます』
ハデス
『当時の計画発案者は追放されたけど、その計画の結果を利用して聖剣の適合者を出してる事実があるからね~』
「瞭太さんも信仰してますけど、何の神様ですか?」
アーシアは瞭太も神に信仰してるのを思い出して、瞭太に聞くと瞭太は良いことを思いついた。
「アーシア。改宗してみるかい?」
「改宗ですか?」
「カトリックやキリストは制約が厳しいでしょ。アーシアに夢があったでしょ?」
「は、はい。お友達を作って一緒にお花を買ったり、いっぱいお話ししたり」
アーシアは教会にいた時の夢を語った。しかし教会のルールでそれは出来なかった。だから彼女は我慢したのだ。これも主の試練だと・・・
「ここは教会じゃないから我慢しなくていいよ。それに俺が信仰してる神様は厳しいルールなんて存在しないよ」
「お友達をいっぱい作ったり、お買い物をしたり、お話をいっぱいしてもですか?」
瞭太は笑顔でアーシアに言う。
「大丈夫だよ、それに現にキミは天罰をくらってるかい?」
「え?どういう事ですか?」
瞭太は右手を差し出した。
「今アーシアは俺と楽しくお話をいっぱいしてる。だから俺とアーシアはもう友達だ」
アーシアは瞭太に聞く。
「わ、私は日本語が読めませんよ、漢字だって書けませんし」
「友達が困ってるなら手を差し出す。それが友達だ」
「私と・・・私と友達になってくれますか?」
瞭太はアーシアに抱きついた。
「もう友達だから!!だから・・・今は泣いてもいいよ」
その言葉でアーシアは・・・
「グスッ・・・うわぁぁぁぁ!!」
「もう大丈夫です。本当にありがとうございました」
「気にしないで」
アーシアは決意した顔になった。
「私、瞭太さんが信仰してる神様に改宗してみようと思います」
「今まで信じてきた主を捨ててもかい?」
「・・・はい。形あるものは、いつかは壊れていく定めです。それが神であろうと・・・」
アーシアの顔には迷いが無かった。
「・・・着いてきて」
瞭太はアーシアを店の奥に案内した。
瞭太とアーシアの前には【スマブラマーク】の扉がある。
「この先に俺が信仰してる【光神話】の神様がいるよ」
「え?この扉の先にですか?」
瞭太は扉を開けた。
眩い光がアーシアを包み眩しさで目を瞑るアーシアだったが目を開けると・・・
「ここは?」
「ようこそアーシア。【スマブラ界】のエンジェランドへ」
次回、アーシアが3人の神に会う!