第15話
アーシアが使い魔と契約してから二週間弱。
イッセーから何故か昨夜、部長が夜這いに来たとかバカげた妄想を聞かされた。
そして、今度は部長が何かに悩んでいるとことで木場と合流して部室に向かう。
「部長のお悩みねぇ……多分、グレモリー家に関わることじゃないかな?」
「朱乃さんなら、何か知ってるかな?」
「あの人は部長の懐刀だから、恐らく………ッ!?」
「気付いたか。(これは、グレイフィアの臭い?)」
「どうしたんだよ?」
「イッセー、オカルト研究部に悪魔の客人だ」
「悪魔の?」
「ここに来て、初めて気付くなんて……この僕が……。龍呀くんは何時から?」
「悪魔の臭いだと分かったのは校舎を出た辺りからだ」
「流石はドラゴンスレイヤーの鼻だね」
そして、少し警戒しながら部室に入る。
「チワーッス。あれ、グレイフィアさん?」
「…………」
グレイフィアはオレのことを見ると一礼したのでオレも一礼する。
そして、オカルト研究部部員が揃うと部長が話をし始める。
「全員揃ったわね?」
「お嬢様。私かお話しましょうか?」
「いいえ、私がやるわ。実はね……」
部長が何かを説明する前に部室の中に魔法陣が展開された。
そして、魔法陣から現れたのは…………
「「「「!?」」」」
「フェニックス……」
金髪のホストの様な格好をした男性悪魔だった。
「ふぅ~、人間界は久しぶりだ。会いに来たぜ愛しのリアス」
「…………。(コイツがライザー・フェニックス。声だけは格好いいのに……)」
「誰だ、コイツ?」
「この方はライザー・フェニックス様。純血の上級悪魔であり、フェニックス家の御三男」
「フェニックス家?」
「不死鳥フェニックスの悪魔だよ。フェニックスは日本で言う鳳凰だ」
「そして、グレモリー家の次期当主の婿殿」
「グレモリーの当主って…………まさか!?」
「すなわち、リアス・グレモリーお嬢様の御婚約者様に在らせられます」
「婚約ぅぅぅぅう!?」
イッセーは部長が婚約していることに驚きのあまり声を荒らげる。
「いやー、リアスのクイーンが入れてくれたお茶は美味しいものだな」
「痛み入りますわ」
ワーオ!朱乃の奴、ライザーに向け毛嫌いしている態度を全開にしてるよ。
そして、当のライザーは部長の髪をいじったり、太ももを撫でたりしていた。
「いい加減にしてちょうだい。ライザー、以前にも言ったはずよ。私は貴方とは結婚しないわ」
「だが、リアス。君の御家事情はそんな我儘が通用しないほど、切羽詰まってると思うんだが?」
「家を潰すつもりはないわ。婿養子だって迎え入れるつもり。でも、私は私が良いと思った者と結婚する」
「先の戦争で激減した純血悪魔の血を絶やさないというのは、悪魔全体での問題でもある。君のお父様とサーゼクス様も未来を考えて、この縁談を決めたんだ」
「父も兄も一族の者も……皆、急ぎ過ぎるのよ。もう、二度と言わないわ」
「ライザー……貴方と結婚しない!」
部長がそう宣言するとライザーが右手を部長の顎の下に当て、顎クイッをした。
「ッ!?」
「俺もな……リアス。フェニックス家の看板を背負っているんだよ。名前に泥を塗られる訳にはいかないんだ」
「…………」
「部長!」
「俺は君の下僕を全員焼き付くしてでも、君を冥界に連れて帰る」
「お二人ともそこまでです」
二人が魔力を解放し始めているので止める。
するとライザーの目が見下した様な目に変わる。
「なんだ?何故、ここに下賎で下等種族の人間が居るんだ!」
「彼は私の協力者よ!下賎な者呼ばわりしないで!」
「フンッ!」
「お嬢様、ライザー様。私はサーゼクス様から命を受けてこの場に居ります故、一切の遠慮は致しません」
グレイフィアもオレと同じでケンカをする二人を牽制する様な言葉を言った。それを聞いたライザーはやはり俺の時とは態度が違った。
「最強のクイーンと称される貴女に、そんなことを言われてしまうと流石の俺でも怖いよ」
「最強のクイーンですか…………。(その最強がそこの彼に軽々と吹き飛ばれましたが……)」ボソッ
ライザーから『最強のクイーン』と聞いてグレイフィアは何かを呟いた。
「グレイフィア?」
「何でもありません。旦那様方もこうなることを予想されていました。よって決裂した場合の最終手段も仰せつかっております」
「最終手段?どういうこと、グレイフィア?」
「お嬢様がそこまでご意志を貫き通したいのであれば、ライザー様とレーティングゲームにて決着をと」
「レーティングゲーム?何処かで……そうだ!生徒会長がたしかそんなことを」
「爵位持ちの悪魔が行う、下僕を戦わせて競うチェスに似たゲームだよ」
「チェス……」
「私たちが悪魔の駒と呼ばれるチェスの駒を模した力を有しているのは、そのためですわ」
「そうだったのか」
「俺はゲームを何度も経験しているし勝ち星も多い。しかし、君は経験どころか、まだ公式のゲームの資格すら無いんだぜ?」
「…………」
「本来、レーティングゲームに参加できるのは成熟した悪魔だけですわ」
「じゃ、じゃあ、無茶苦茶不利じゃん!」
「不利なのはそれだけじゃないです」
「え……!?」
「リアス、念のため確認して置きたいんだが君の下僕はそこにいる人間以外全てなのかい?」
「だとしたら、どうなの?」
「フッハハハハ」パチン
ライザーは部長から下僕はこれだけと聞いた途端に笑いだし、フィンガースナップで指を鳴らし魔法陣を展開する。
すると魔法陣から15人の女性や女の子が出てきた。
「此方は15名。つまり、駒がフルに揃っているぞ」
「美女、美少女ばかり15人だと、なんて奴だ!」
「また始まったよ……」
「くぅぅぅぅぅ、何て男だ…………」
「お、おいリアス。この下僕くん、俺を見て号泣してるんだが……」
「その子の夢はハーレムなのよ……」
イッセーの夢を聞いたライザーの眷属はイッセーの変態さに呆れている。
「キモいですわ」
「フッフフフ、なるほどね。ユーベルーナ」
「はい、ライザー様」
ライザーはユーベルーナという女性を呼ぶと白昼堂々とディープキスや胸等を触るのをイッセーに見せつけていた。
また、オレと木場は小猫とアーシアの目を塞ぐ。
「なっ!?」
「見えないです、龍呀先輩」
「真っ暗です」
「二人にはまだ早いし、教育に悪影響だ」
「僕も同感だね」
「お前には一生できまい。下級悪魔くん」
「うるせい!そんな調子じゃ、部長と結婚しても他の女の子とイチャイチャするだろう!この種蒔き、焼き鳥野郎!」
「貴様、自分の立場を弁えて物を言っているのか?」
「知るか!俺の立場はな、部長の下僕ってだけだ!」
「ッ!!」
「それ以上でも以下でもねぇ!」
「イッセー?」
イッセーは即座に赤龍帝の籠手を展開し、ライザーの眷属に突っ込む。
「ゲームなんざ、必要ねぇ!この場で全員、倒してやらぁぁぁぁ!」
「イッセーさん!?」
『Boost』
「ミラ」
ライザーからミラと呼ばれた女の子は眷属の中から飛び出る。また、その子の手には棍棒があった。
「こんな小さな女の子が?やりづらいぜ」
イッセーがそう口から溢すとミラは一気にイッセーの懐へと入り込もうとするが…………
【パチンッ!】
1つのフィンガースナップで指を鳴らす音が部室に響き渡り、ミラはイッセーの懐へ入ろうとしたが、いつの間にかミラとイッセーの足が凍り付いていた。
しかし、それだけはなく部室全体が凍り付いていたのだ。
「な、なんだこれは!?」
「グレイフィア、貴女がやったの?」
「いえ、私は何も……」
「だとしたら…………」
部長はまず、グレイフィアに聞いてからオレの方へ視線を向ける。
「あのさ、イッセーもライザーさんも頭に血が上り過ぎてませんか?」
「龍呀……まさか、貴方がこれをやったの?」
「あっ、すみません。イッセーが無謀にも動いたので魔力を少し解放しちゃいました。アハハハ」
「そ、そう。イッセーを止めてくれて、ありがとう」
「人間が、ここまでの魔力を持っているだと……」
「あの、グレイフィアさん。そのレーティングゲームってオレも参加できますかね?」
「非公式のゲームなので、可能かもしれませんが」
「なら、オレも参加します」
「龍呀!?」
「オレも一応オカルト研究部の部員なんで、部長が困ってるなら力を貸しますよ」
「貴方、分かっているの?レーティングゲームは遊びではないの!もしかしたら、死ぬかもしれないのよ?」
「大丈夫ですよ。オレはフェアリーテイルの滅竜魔導士ですから、そんな柔じゃないですよ」
「では、お二方とも10日後にゲームを行います。よろしいですね?」
「俺は構わない」
「私もよ」
「それでは、10日後の夜に」
こうして、ライザーとのレーティングゲームを10日後に行うことになった。
オリ主の滅神魔法について
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完全習得(永久的)。
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一時的な習得(今章限り)
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今後も使える(条件有り)
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ごめん、使えなかった。