滅竜魔法を持って、悪魔の学園へ   作:黒牙雷真

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第50話

《sideイッセー》

 

 

サーゼクス様の声で、グレイフィアさんの転移魔法で転移させられると気付いた時には、既に部室についていた。

 

そして、最初に俺たちの存在に気付いたのはテロリストではなく。ギャスパーと小猫ちゃんだった。

 

 

「あれ? 部長にイッセー先輩?」

 

「………」チラ、モグモグ

 

「えーっと、どういう状況かしら?これは?」

 

 

部長が驚くのも無理もない。何故なら、ギャスパーはソファーの上で俺が貸したゲームをピコピコとやっており、小猫ちゃんは一心不乱にお菓子を食べている。

 

また、部室の壁には至る箇所に猛獣の鋭い爪か何かで切りつけたあとや穴が空いていた。何より一番驚くのが────。

 

 

「むぐぅぅっ!?」ジタバタ

 

「んんっ!んぐっ!んぐぅぅぅ!」ジタバタ

 

「んんんっ!んんんっ!」ジタバタ

 

 

ギャスパーを捕らえようとした魔導師たちが縄で亀甲縛りせれて天井から吊るされており、加えて猿轡を咥えさせられており、だめ押しに臍の当たりに蝋燭をギリギリ当たるか当たらないかのラインで立てている。

 

こんな状況を見たら驚くのも仕方ない。そして、こんな状況をギャスパーが説明してくれた。

 

 

「それがですね………いきなり、この人たちが襲ってきて小猫ちゃんが対処していたんですが。この人たちが小猫ちゃんを怒らして、こうなりました」

 

「怒らした?」

 

 

ギャスパーの説明に疑問を抱き、ギャスパーに俺は聞いた。

 

 

「この人たちは、小猫ちゃんのお菓子を踏み潰したんですよ。それも多分、龍呀先輩のお手製のお菓子を………」

 

「「あ………」」

 

 

ギャスパーの返答で、小猫ちゃんが怒った理由に部長と一緒に納得してしまった。そりゃ、怒るわ。

 

 

「五月蝿いですよ。このメス豚ども」パチンパチン

 

「「ん“ぐうううっ!?」」

 

「小猫ちゃん、怖ッ!?」

 

 

魔導師たちが五月蝿かったようで、雷を帯びた掌で亀甲縛りで動けない魔導師たちのお尻を容赦なくひっぱたいた。加えて、戦車の駒の力も遠慮無しに使ってるようでひっぱたいた力でグルグルと回転している。小猫ちゃんまでドSになってる………。

 

 

「ふ、二人が無事なら、そ、それでいいわ………」

 

 

流石の部長も小猫ちゃんの豹変振りには引いているようだ。俺もこれは引いている。

 

 

「あっ、小猫ちゃん。龍呀から、魔力結晶を小猫ちゃんに渡すよう言われてたから渡すよ」

 

「ありがとうございます」ガリッ、ゴックン

 

「「ッ!!」」

 

 

ポケットに入れていた魔力結晶を小猫ちゃんに渡すと、小猫ちゃんは直ぐにそれを口に放り込み、結晶を噛み砕いた。

 

すると、魔法のセンスがない俺でも分かるくらい。デカい魔力が小猫ちゃんの中にあるのが感じられた。加えて憶測だが、小猫ちゃんが噛み砕いた魔力結晶の属性はどうやら、《雷》だったようで小猫ちゃんの身体に某雷の忍者のような薄い水色の雷が目視できるくらい帯電していた。

 

 

「こ、小猫ちゃん………それって………」

 

「雷の鎧です」

 

「やっぱり。それに技名も同じかよ……」

 

「イッセー、雷の鎧とは何かしら?」

 

「えっと、とある漫画の技を龍呀が小猫ちゃんの《雷の鎧》のモチーフにしたと思うんですが、能力は全身体能力向上と、この雷に触れた相手に致命傷を与えるものだと思います」

 

「そうなの、小猫?」

 

「はい。その通りです、部長。龍呀先輩の修行で身に付けました」

 

 

小猫ちゃんが部長の質問に返答すると帯電した雷が収まる。てか、小猫ちゃん。《雷の鎧》を制御できるのかよ!?

 

 

「と、取り敢えず。小猫とギャスパーが無事ならそれでいいわ」

 

「す、すみません」

 

 

部長が言うように確かに二人が無事で良かった。

 

 

「イッセー、アザゼルから受け取った腕輪をギャスパーに」

 

「はい、部長!ギャスパー、コイツを腕に付けてみろ」

 

「イッセー先輩、これは?」

 

「アザゼルの奴が、神器の暴走を抑える効果があるという腕輪だ」

 

「この腕輪にそんな力が………」

 

 

ギャスパーは、俺から受け取ったアザゼル製の腕輪を付ける。しかし、ギャスパーの神器はまだ暴走したままだ。

 

 

「あれ?何も起きねぇぞ?」

 

「もしかして、不良品かしら?」

 

 

腕輪でもダメだとするとどうする?龍呀が知っている物語の俺はどうやって、この状況を乗り越えた? 頑張って色々と龍呀の言葉を思い返しているとある言葉を思い出した。

 

 

───イッセーの血をギャスパーに飲ませれば、ギャスパーの神器はギャスパーの制御下に完全に置かれますよ────

 

 

そうか!俺の、赤龍帝の血だッ!? そうと決まれば、ギャスパーには悪いが俺の血を飲んでもらうことにした。それにまず………。

 

 

「アスカロン!」

 

Blade!

 

 

新たな音声と共に、赤龍帝の籠手から甲から伸びたアスカロンで右手の掌を軽く一閃する。少し痛いが我慢だ。そんな俺の行動を見せた部長は声をあげる。

 

 

「い、イッセー?!」

 

「大丈夫ですよ、部長。ギャスパー、よく聞け?龍呀の奴、本当は俺たちとは別の世界の人間なんだとさ」

 

「えっ?」

 

 

俺の言葉で驚くギャスパーに、龍呀に俺が主人公だと聞いた時に感じたことを包み隠さずに伝える。

 

 

「そんでさ、あいつの知ってるもう一人の俺はさ。その世界に存在する、とある物語の主人公なんだとよ。驚くよな?スケベで変態で弱っちくてどうしようもない俺がだぞ?」

 

「そんな俺でも主人公になって、色々な人に憧れられる対象になったりしてるんだと思う。だからさ、ギャスパー。俺たちのために、俺の血を飲んでくれ」

 

「………」

 

「これからも俺は、お前も含めてグレモリー眷属としてリアス・グレモリー様を守りたい。多分、俺だけじゃあ、どうしようもない時がある。そんな時、ギャスパーが力を貸してくれれば守れるはずだから」

 

「頼む!力を貸してくれ!」

 

「イッセー、あなた………」

 

 

そうだ。俺は龍呀の知ってるような“兵藤一誠”には成れない。不様に負けるかもしれない。けれど、俺一人じゃなくて、お前や木場、小猫ちゃん、朱乃さん、ゼノヴィア、時には部長やアーシア、守る存在である二人にも頼ってしまうと思う。けれど、どんな不細工でも仲間を守りたい。大切な女性たちを守りたい。だから、頼む、ギャスパー!

 

 

「イッセー先輩………」

 

「分かりました。イッセー先輩は、僕を見捨てずに親身になってくれました。こんなことで恩返しの一つができるのであれば、飲みます」

 

「ギャスパー!」

 

「では、いただきます」ペロリ

 

 

ギャスパーが俺の右手から滴る血をペロリと舐めると空気が一辺した。不気味で言い知れない悪寒が俺の身体を駆け巡ってた、のだが───力が覚醒してもギャスパーは締まらなかった。

 

 

『やっぱり、血ィィ生臭くて不味い………』

 

「おいおい………」

 

 

どうにかギャスパーの暴走は止まったようなので一安心だな。あとは、残りのテロリスト共だ。

 

 

「ギャスパーの暴走も収まったことだし。魔王様たちのところへ行くわよ。三人とも」

 

「「「はい、部長!」」」

 

 

俺たちは、みんながいる新校舎に向かおうとすると旧校舎の廊下に何かが飛来してきた。

 

 

「な、なんだ?!」

 

「フフフフ!この俺は簡単に蹴り飛ばすとは。やはり、最高だよキミは!狩谷龍呀ッ!!!」

 

「ヴァ、ヴァーリ!?」

 

 

どうやら、ヴァーリは龍呀と戦闘していて、それにより新校舎からここまで吹き飛ばされて来た様だ。てか、新校舎からここまでどんくらいあると思ってんだ。規格外過ぎるぞ龍呀………。

 

そんなことを思っていると態勢を立て直したヴァーリが粉々に粉砕された『白龍皇の鎧』を瞬間で修復する。

 

 

「奴の鎧は、修復能力があるのかよ!?」

 

『俺たち二天龍の鎧は、所有者に余力があればいくらでも再生可能だ。相棒』

 

「ドライグ!?」

 

『俺たち二天龍は、どちらかが再起不能になるまで戦いは止まらんさ。それが俺たち、二天龍と称されたドラゴンの戦いだ』

 

「なら、俺もいつかはヴァーリみたいに何度でも禁手化が可能になるのか!?」

 

『可能性はゼロではない』

 

「それだけ知れれば十分だ!」

オリ主の滅神魔法について

  • 完全習得(永久的)。
  • 一時的な習得(今章限り)
  • 今後も使える(条件有り)
  • ごめん、使えなかった。

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