モンスターハンター:オールドテール   作:Patrick

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〜登場人物紹介〜
・主人公
名前:クライン・クルーガー 17歳
武器:アサシンカリンガ
防具:バトルシリーズ

名前:マハト・アルペンハイム 18歳
武器:ブレイズブレイド改
防具:クックシリーズ

名前:マルクス・バルト 15歳
武器:ボーンランス
防具:チェーンシリーズ

名前:ティモ・ランケ 15歳
武器:アルバレスト
防具:チェーンシリーズ



第6話 沼地を照らす閃光

ーココット村ー

 

サボテンの花を無事に村へ持ち帰ったことで、ココット村で流行していた病は終息した。

 

レクサーラの一件で、クラインとマハトがもたらした功績は極めて大きく、二人は村を代表するハンターとしてその名を広めることとなった。同時に、ハンターたちと行動を共にする機会が増えたデニス隊商も、村の発展に多大な貢献を果たすようになる。村の流通は大きく変わり、レクサーラからも物資が供給されるようになった。これにより、ココット村の物流は大きく変貌を遂げ、繁栄の兆しを見せ始めた。

 

最も顕著な変化は、犬猿の仲とされていた《マハト=アルペンハイム》と《デニス=オーケン》の関係にあった。デデ砂漠でのドスガレオス討伐を経て、お互いの誤解や偏見が解け、以前よりも親しい間柄となったのである。それに伴い、"自尊心の塊"と評されていたデニスの性格もずいぶんと柔和になった。

 

それまでのデニスは、自身の弱さを認められず、失敗を他者のせいにすることが多かった。しかし、デデ砂漠での共闘を経て、その余計な自尊心を捨て去り、より前向きな人間関係を築けるようになった。村長も「この変化はサボテンの花以上の功績だ」と評したほどである。

 

相変わらず口喧嘩は絶えなかったものの、二人の間には信頼関係が見え隠れし、周囲も安心して彼らのやり取りを見守っていた。

 

村の基盤が整い、近隣にもココット村の名が知れ渡り始めた頃、二人の少年がハンターを志して村を訪れた。

 

彼らの名は《マルクス=バルト》と《ティモ=ランケ》。共に16歳の少年で、メルチッタという村の出身だった。二人はハンターになる夢を抱き、ココット村に移住してきた。

 

メルチッタはココット村から西にいったところにある、大円湖と呼ばれる大きなクレーター湖の周辺に位置する比較的新しい村である。この地には多くの飛竜が飛来し、モンスターによる被害も少なくないが、元々この村を興したのがハンターたちだった。そのため、村の住民の大半はハンターであり、彼らが村を守っていた。

 

それでも、メルチッタでハンターを続ける選択肢を捨て、二人がココット村を選んだ理由は明確だった。ココットの英雄の存在、そしてクラインたちの活躍を耳にしたからだ。村長はこうした志を持つ若者たちに寛容で、村に受け入れることを躊躇しなかった。家屋が不足する場合には新たに建設するなど、村の拡大を見据えて行動していた。

 

現在、ココット村にはクラインを含めた約10名のハンターが在籍している。その中でも、クラインとマハトのペアは特に注目を集めていた。他のハンターたちの中には年長者や経験豊富な者もいたが、彼らの実力はイャンクックをようやく討伐できる程度にとどまっていた。全盛期とされる《紅翠の双星》時代に比べると、ココット村の評価はかなり低かったのが現状である。

 

しかし、レクサーラでの一件以降、その評価は徐々に見直されつつあった。《紅翠の双星》の息子というネームバリューもあって、クラインの名は村外でも独り歩きを始めていた。

 

そんな中、メルチッタ出身のマルクスとティモも、クラインの名声に惹かれて村にやってきた。村長は彼らの教育役として、クラインとマハトを指名したのだった。

 

ージォ・テラード湿地帯ー

クライン達は《沼地》という名称で登録がされている狩猟地に来ていた。《ジォ・テラード湿地帯》という名称のここは、昼間でも日の光が入らずに一年を通して高湿度な環境となっている場所である。

 

薄暗い湿地帯のため良質なキノコが豊富で、採取依頼で訪れるハンターも少なくない。さらに、奥地には洞窟も存在しこちらも良質な鉱物が豊富である。

 

クライン達がメインとしている《森と丘》とは生態系も異なり、小型モンスターではイーオスと呼ばれる赤い体色を持つ小型の鳥竜種が生息している。

 

このイーオスは喉元で出血性の高い毒を生成する器官をもっており、これを主な攻撃手段としている。他の小型鳥竜種と同様、ドスと呼ばれる個体をリーダーとして群れで活動しており、ランポスとは近縁種である。

 

より大型になったドスイーオスはもちろん攻撃性が上がっていて、個体によってイャンクックなど小型飛竜と同等の大きさに達する個体も存在している。群れのリーダーであるドスイーオスを討伐することで簡単に機能停止することはできるが、尋常ではない体力を持っているので討伐はそう容易ではない。

 

「―――と言ったところがドスイーオス達の特徴かな」

「「はい!先生!」」

 

今回の依頼はドスイーオスの討伐である。この《ジォ・テラード湿地帯》はミナガルデギルドが管轄している狩猟地で、ココット村のハンターがこの地に依頼に赴くことは少なかった。この沼地の南方には《クルプティオス湿地帯》という似たような環境の沼地が存在し、そちらはミナガルデとは別のギルドが管轄している。

 

クラインを先生と呼ぶ新米ハンターであるマルクスとティモ。それを後ろから眺めるマハトは元気のいい後輩2人を悠々と眺めていた。

 

「本来はドスランポスから狩るのがいいんだけど、今回は沼地の生態調査も兼ねてるから、君たち2人には立ち回りだけ簡単に教える形にするからね。変に手は出さないように」

 

「「はい!!先生!!」」

 

もうそれしか言わないんじゃないか?と心配してしまうが、純粋に怖気づいているだけなのだ。普段は活発である彼らは大型モンスターの相手が今回初めてとなる。それに加えて初めて来る狩場という状況も重なってより緊張しているのだろう。

 

マハトがそれを見兼ねて声をかける。

 

「お前らは俺の近くから離れるなよ?今回クラインがほとんど一人でやることになるだろうから、後ろから動きをよく見てろ。」

「「はい!!!先生!!!」」

 

イーオスの鳴き声よりも大きい声が沼地のベースキャンプにこだました。

 

ーエリア5―

 

イーオスの鳴き声が辺り一帯にこだまする。仲間を呼び徐々に集まっていく。その数6体。どうやらゲネポスも交じっているようだ。そして、その中でひときわ大きな個体がドスイーオスだ。

 

エリア5は沼地の中央に位置するエリアとなっており、モンスターが最も往来するエリアである。狩猟の際はここが主戦場となることがほとんどだろう。そして、沼地を縄張りとしているモンスターが居座るエリアでもある。

 

今回の狩猟目的であるドスイーオスの姿も、ここにあった。

 

「それじゃ、僕がドスイーオスを引き付けるから、周りのイーオスの討伐はお願いね。」

「了解した。よし、お前ら、念のためドスイーオスに意識を配りながら、周りのイーオスとゲネポスの対峙を頼んだ。」

「は、はい!」

 

マルクスはヘヴィボウガン《アルバレスト》を構えながら、落ち着いてボウガンの弾丸を装填し始めた。

 

対してティモは目の前の小型モンスターにすら怖気づいているのか、返事を返さずにその場に立ちすくんでいた。それを見かねてマハトはティモに話しかけた。

 

「ティモ、あんまり無理するとは言わないが、イーオス程度に怖気づいてたら、これから先が思いやられずぞ。」

「あ、はい…!すみませんでした!」

 

目を覚ましたようにティモは慌てて《アイアンランス改》を構え始める。ランスの基本的な攻撃は盾を構えながら、自身の身長ほどの槍で突くことである。特殊な攻撃として、盾を構え槍を前方に向けて走りながらというものがあった。

 

「あ、おい!今突っ込むなとは言ってねぇ…!」

 

ティモは槍を前方に向けて、群れの中に通り飛び込んでいった。

 

「あ!ティモ!」

 

相方の好からぬ暴走にマルクスも思わず弾丸を装填する手が止まった。

 

「おらぁぁぁあああ!」

 

無謀と言えるマルクスの突進は、ことごとくイーオスやゲネポスに当たらず、ただ突進をしているだけになった。ランスの弱点は前方以外からの攻撃である。イーオスの群れの横を通り抜けるティモの横はまさに攻撃の隙だらけであった。

 

「あのバカ…!」

「大丈夫!僕が行く!」

 

マルクスの元へ向かおうとしたマハトに静止の声をかけるクライン。新米ハンターはまだまだモンスターの狩猟に慣れていない。どちらかには必ず1人は付いていないと、一瞬に危険に陥る可能性があった。

 

マルクスの傍から離れるわけにもいかないとわかっていながらも、大型モンスターと相対している以上、クラインがいけないと判断しようと思ったマハトだったが、クラインがティモの元に行くと判断した。

 

群れはリーダーのドスイーオスを含めて総勢10匹。

 

圧倒的に多い群れの数のため、クラインはティモを一人にするのを危険と感じた。

 

ティモはスタミナが切れるまで走り抜け、気が付けばエリアの中央まで来ていた。そこはクラインとドスイーオスのすぐ近く。

 

「あ、あれ…?」

「ティモ!君テンパりすぎ…!」

 

姿勢を解いたティモの視界には、自身が持つランスと頭一つ大きいドスイーオスの姿があった。

 

「ひぃぃぃい!!」

 

思わぬ敵の登場に足が竦む。脇を締め盾の影に隠れたティモだったが、すぐ後ろからピチャッと音が聞こえる。盾を前方に向けたままティモは顔を後ろに向けると、イーオスが近づいていた。

 

「わぁぁぁああ!」

 

すっかりパニックに陥ったティモは身体を回転させ迫るイーオスに向けて穿つ。槍はイーオスの左側面を掠っただけで、そこまでのダメージを与えられなかった。

 

「ティモ!武器をしまってマハトのところに戻るんだ!」

 

クラインはドスイーオスと戦いつつも、視線を外してティモの様子を伺っていた。この距離であれば、ドスイーオスがティモを攻撃することもあり得る距離だ。ドスイーオスの気がティモに向かないように、攻撃を与えながら、相手の攻撃を見切り、ティモを観察する。

 

ティモは身体が反射的に動いて攻撃を行っているが、その攻撃をいずれも掠るばかりで、まともな攻撃もできていない。

 

「ティモのやつ…!なにやってんの…!?」

 

遠くで見ていたマルクスも思わず突っ込む。マルクスは《通常弾Lv1》で辺りのイーオスに的確にダメージを与えていく。

 

「マルクス!攻撃しながらも俺についてこれるか?周りのイーオスを蹴散らしながら、ティモんとこ行くぞ!」

「え!?それって群れのボスに近づくってことですよね?」

「当たり前だ!ティモが危ない!お前は付かず離れずの距離を保って、俺の後ろから援護しておけば大丈夫だ!」

 

そう指示を出して、マハトは大剣を抜刀状態のままティモの方に向かって歩き出す。

 

「わ、わかりました…!」

 

マルクスは、慌てながらも指示通りマハトの後方に張り付きながら、近づく敵に攻撃を当てていく。

 

マルクスとティモもまた正反対のハンターだ。使っている武器はライトボウガンとランスと全く異なるがそれだけではない。ライトボウガン使いのマルクスは冷静に周りを見れる性格で、緊張しながらもそれなりにモンスターと対峙することができる。

 

対してマルクスは純粋かつ臆病なところがあった。言われたことを真っすぐにしてしまうような子だった。素直なんだが、単純一途なところが狩りにも影響してしまう。

 

ドスイーオス対クライン。群れのイーオス対ティモ、そして救助に向かうマハト&マルクスペア。この三すくみがエリア3で行われていた。

 

ティモは相変わらず、混乱しながらイーオスの群れに囲まれている。見たところ、1匹もまだ狩れていない。彼が持つアイアンランスはハンターが最初に支給される武器の一つだ。そのため、切れ味があまりよくなく、イーオスほどのモンスターであっても、仕留めるのに相当数攻撃を加えなければならない。

 

マルクスも同様とは言え、ライトボウガンの性質上、ある程度の攻撃力は使う弾丸や距離によって増減はする。

 

マハトは後ろから付いてくるマルクスにも注意を配りながらティモへ接近する。途中、イーオスが襲ってくるが、冷静に対処し退ける。クラインはドスイーオスを引き付けている。

 

クラインもハンターになって1年が過ぎていた。飛竜の討伐経験はまだイャンクックしかないが、それなりにモンスターと渡り合う基本的な動きは形になっていた。

 

マハトはティモとの距離がある程度近づき、周りのイーオスがこちらに気を向けていないタイミングで一度納刀する。そしてアイテムポーチに手を伸ばし、《閃光玉》を手にする。

 

以前のマハトであれば、こういったアイテムを使うことはあまりしなかった。しかし、クラインと共に狩りをしていく中で、アイテムを使うことにより狩猟の快適性が上がることを実感。それからは、自身でも使うようにしている。

 

「ティモ!目を瞑れ!」

 

できる限り、大きな声を出して言ったが、いっそ届いてなくてもいい。さっきの様子を見るに、おそらく聞いていないだろうと思った。

 

マハトはイーオスの群れの中央を狙って閃光玉を投げ込む。手から離れてしばらくして空中で閃光が放たれる。

 

「うわぁああ!!」

 

マハトは目を瞑っていたが、閃光の破裂音の中に、ティモが叫ぶ声が聞こえてきた。

 

すぐに目を開けて、イーオスの状態を確認するマハト。残り4体になっていたイーオスの群れは閃光により目が眩んでくらくらと頭を振り回している。ゲネポスも同様だ。

 

そしてクラインの方を見ると、うまいことドスイーオスにも命中したようだった。閃光玉に背を向けていたクラインは直に閃光を見ることがなかったため、大きな隙ができたドスイーオスに攻撃を続けている。

 

「マルクス!俺がほかのイーオス達をやる。1匹でもいい!確実に仕留めろ!」

「はい…!」

 

マルクスは後方から迫っていた一匹に向き、弾丸を撃つ。マハトはティモの周りにいた群れに向かい、一匹ずつ縦斬りで一撃を食らわせていく。

 

「おい!ティモ!お前は盾構えたまま動くなよ!」

「え…!?マハトさん!?」

 

白む視界の中でやっとマハトの声が届いたか。ティモは持っていた盾を構えてそのまま固まる。マハトは閃光で動けなくなっているイーオス一匹一匹に攻撃を与えていき、周りにいた四匹が全員、地面に倒れこんだ。

 

マハトは大剣を納めると、ティモの元へ駆け寄っていき。槍を構えている左腕を掴んで引っ張る。

 

「うわあぁあああ!」

「てめぇ!さっさと目を開けろ!戻ってこい!」

 

イーオスは狩り終わり、ドスイーオスが1匹のみの状況。ハンター有利となり、あとは4体1で狩りに行きたいところだが、怒りが収まらないマハトはそれどころではなかった。

 

「お前なに勝手な行動してんだ!?自分がどんな状況だったかわかってるか!?」

「す…すみませんでした…。」

 

ティモは持っていた槍を地面に落として頭をうなだれる。

 

「一回ベースキャンプ戻るぞ。マルクスはともかくお前は一旦、留守番だ。」

「は、はい…。」

 

ドスイーオスを狩猟する中、エリア5の端の方で叱るマハト。狩り中の緊張感はないが、下手をしたらティモが危険だったかもしれない。パーティでの狩りは一人の勝手な行動が、全体を窮地に陥れることもありうる。

 

ましてや、マハト達は新米である2人のハンターの面倒を見る立場だ。なんならクラインもまだ新米と言って差し支えない。最も先輩であるマハトの責任は重大であった。

 

「戻るぞ。お前はさっさと武器を拾っちまえ。」

「はい…。」

 

武器を拾うために身を掲げたティモを見て、次に一人でイーオスの相手をしていたマルクスの方を見ようと振り返った。

 

「マルクス…」

 

マルクスは後方にいたイーオスに攻撃をしているのが視界に入る。だが、マハトの注意はそのさらに後方にあった。

 

「嘘だろ…?」

 

エリア5の入り口には黒色の体色をした大型の飛竜が立っていた。鱗とは異なる独特な質感を持つ、その飛竜の名は《毒怪鳥ゲリョス》。

 

「マルクス…!」

 

いつのまに?と考える間もなく、最も敵と距離が近いマルクスの元に駆けだすマハト。ティモは状況が飲み込めておらず、突然走り出したマハトに気が付くと「はぇ?」と情けない声を出した。同時に、視界の先にあるゲリョスの姿をティモも確認した。

 

マハトが駆けだしたタイミングで、マルクスが相手にしていたイーオスは吹っ飛び絶命したようだったが、次には突進してくるゲリョスの姿がマルクスの視界に入る。

 

ゲリョスは突進しながら首を振り、口から紫色の液体を吐き出しながら迫ってくる。ゲリョスは体内に毒袋という器官を持ち、ここで生成した毒を吐き散らしながら攻撃してくるのが特徴的だ。毒液は地面に付着するとジュウゥゥゥと音を立てる。

 

マルクスは迫るゲリョスの気迫にやられ足が竦む。そこを寸前のところでマハトが飛び込み、その勢いのままマルクスに激突。二人は地面に倒れて、その横ぎりぎりをゲリョスが通過していく。

 

地面に倒れたマハトはすぐに顔を上げて、ゲリョスに視線を戻す。またもティモを一人にしてしまったことに不安を覚えて、立ち上がりながらティモを探す。

 

突進してきたゲリョスの死角になってしまい、ティモの姿見えなくなっている。同じ方向にいたクラインの姿も見えず、大きな体格を持つドスイーオスの尻尾だけが少し確認できた。

 

「くっそ!こんなことに…!」

 

突進して前のめりに倒れたゲリョスが起き上がろうとしていた。次の行動でどちらに向くかで、最悪な状況に陥る可能性はおおいにあった。もし、標的がティモに向いてしまったら、間に合わない。

 

「マルクス…。今から全速力で逃げて、ベースキャンプに戻るんだ。この状況で二人をかばっている余裕もない。」

「わ、わかりました…!」

 

マルクスは立ち上がり、ライトボウガンを納める。そのまま出口に向けてマルクスは駆けだす。同時にマハトもゲリョスの気を引かせるための一撃を食らわせるのに、走り出す。

 

ゲリョスは立ち上がったかと思うと、その場に立ち止まり首をカクンカクンと前後に振り出す。カチンッ!カチンッ!石をぶつけ合うような音が聞こえてきた。

 

マハトはゲリョスの討伐経験があった。ミナガルデにいた時に、他のパーティの助太刀として狩猟したことがある。なのである程度、ゲリョスがどんな攻撃をしてくるかはわかっていた。

 

「閃光だっ!!」

 

マハトが叫び、周りの仲間に呼びかける。カチンッ!カチンッ!と石をすり合わせるような音が聞こえたかと思うと、ゲリョスは翼を大きく広げ、首を伸ばすと同時に辺りに閃光がはじけた。

 

気が付いたマハトはゲリョスから視線を切り、閃光をやり過ごす。瞼越しでもはっきりとわかる光が徐々に暗くなってきたのを確認して、ゆっくりと目を開ける。

 

閃光は一瞬だが、ゲリョスが次の攻撃に移るには十分な時間だった。ゲリョスは再び突進を開始しており、さきほどまでティモがいた咆哮に向かって突進をしていた。

 

「まずーーー。」

 

ゲリョスを追う形でティモの元へ向かおうとしたその時。

 

「マハト!!」

 

すぐ左の方から、クラインの声が聞こえた。

 

視線をそちらに移すと、ゲリョスの突進方向とは真逆に走るクラインとティモの姿があった。

 

「クライン…。」

 

すぐに踵を返して、マハトはエリア5を抜けるために走りだす。

 

突進が終わったゲリョスは地面に倒れこんでいる。その横には、閃光で視界が奪われ辺り構わず攻撃をするドスイーオスの姿もあった。

 

ーベースキャンプー

 

「本当にすみませんでした!」

 

ベースキャンプに戻りティモは開口一番にクラインとマハトに頭を下げて謝った。マハトはそれに対して軽く頭を小突く。

 

「たくっ!テンパってるとはいえ、あれはねぇよ。別にお前が怪我しようが何だろうが、俺らはこれっぽちも痛くねぇ。でもな、こっちはお前らの面倒を任されてんだよ。勝手な行動されてなんかあったら俺らの責任なんだ。」

「はい…本当にすみません。」

 

ティモは泣きそうな顔を浮かべている。マルクスはそれを気まずそうに見つめる。

 

「ま、反省はしているみたいだね。最初に言った通り、本来なら順番を踏んで戦うべき相手だと思う。だから戦闘にはあまり参加はさせないって言ったんだ。気が動転しちゃうのもわかる。けどね、ハンターはいつでも冷静さが大事だよ。」

 

クラインはあまり強い口調ではなく、窘めるように言った。冷静さとはクラインの代名詞のようなもの。この場にいる誰よりも冷静さを持ち合わせているのは、クラインだろう。マハトはその説教を聞いて、自分もそこは見習わないとなと考えた。

 

「さて、ティモには今回反省してもらうとして、問題ができちゃったね。」

「あのゲリョスだな。ギルドからも何も聞いてないし、俺たちが村からこっち来てる最中に現れたんだろうな。」

「だろうね。ドスイーオスだけなら、難なく狩れるんだろうけど、あんなのがいたらやりづらいよ。僕もまだゲリョスなんて戦ったことないし。」

 

クラインの飛竜討伐経験は実はさほど多くはない。ハンターランクを加味しても、ゲリョスくらいの討伐依頼が流れてきてもおかしくないが、やはり優先的に依頼を任されるほどでもなかった。ハンターになってまだ2年は経過しているが、ココット村の事情を含めると、そこまで多くの飛竜討伐の依頼が舞い込んでくるわけでもなかった。

 

「俺がゲリョスを引き付けて、その間に討伐を進めてもらうってのもありだぜ?」

「う〜ん。それが一番無難かなぁ。でもそうなると…。」

「マルクス達には一旦、留守番かな。」

「はぁ…。」

 

ティモが肩を落としながら落ち込んだ。

 

「仕方ないよティモ。俺たちじゃまだまだ至らないことばっかりでさ。」

 

気を使ってマルクスがフォローしてくれた。その様子を見て、クラインもマハトもなんだかいたたまれない気持ちになってしまった。自身の無力感はハンターをやってたら誰しもが感じるものである。やはり、最初から狩りがうまくいく人なんていない。

 

「そ、そんなに気を落とさないで。僕なんて今年で2年目だよ?まだまだ討伐経験も少ないし、君たちとそんなに大差ないって…!」

 

クラインがフォローした。実際、ティモ達と1年しか変わらないクラインである。クライン自身もまだまだハンターとして未熟と感じる場面は多々ある上に、討伐経験もそう多いものでもない。新米といえばまだまだ新米である。

 

このメンバーの中で一番ハンター歴が長いのがマハトだ。マハトはハンター歴4年目を迎えるハンターだ。4年目はそれなりに成熟し、経験豊富ともいえるレベルである。ハンターランクもクライン達よりもずっと上で、本来であればリオレウスなどの飛竜を討伐できるランクにまでなっている。

 

ただ、半年ほど前にココット村に帰郷しクラインに付きそう形で依頼をしているので、ランクは上がっても今まで狩ったことのあるモンスターのばかり戦っている。その状況にやきもきすることもあったが、クラインとの狩りも悪くないと当人は思っているので、そこまで気にしてはいなかった。

 

「二人には悪いが、一旦留守番しててくれ。俺らが準備したら出るからよ。」

 

マハトは身支度を整えるために、ベースキャンプの中に戻っていった。マハトがキャンプに戻ったのと同じタイミングで、荷車の音が沼地の霧の奥から聞こえてきた。クラインが気になって、そちらに目をやると、荷車を牽くアプトノスの姿が見えた。それは、クライン達が乗ってきたハンター送迎用の荷車である。

 

「あれ?引き返してきたのかな?」

 

狩猟地までの送迎は、ギルドが手配する場合や、近くを通る商人に頼むなど様々だ。今回は、クライン達がギルドから直接、沼地調査の依頼を頼まれているため、送迎はギルドが行っていた。

 

ハンターを狩猟地へ送迎した後は、依頼内容によってその場へ待機してもらうか、一度近くの村や街にいって数日後に迎えに来てもらうこともある。

 

今回は、ドスイーオス一頭の討伐依頼ではあるが、その後、狩猟地の環境調査も兼ね合わせているため、1週間近くクライン達は滞在する予定であった。なので迎えにくるのはまだ先のはずである。近隣にはミナガルデとは別のギルドを構える街があり、そこに滞在すると聞いていたが、何かあって戻ってきたのだろうか?とクラインは考えた。

 

やがて、荷車がクライン達のいるキャンプに近づいてきて、そこでアプトノスに乗る人物が、送迎してくれた人物と違うことに気が付く。

 

「おお!もしかしてもうドスイーオスの狩猟が済んだのかい?」

 

アプトノスに乗るギルドの従事者が呑気そうに言う。

 

「いや、それがちょっとトラブルがありまして…。」

「トラブル?あ!もしかして毒怪鳥でも乱入してきたかい?」

 

さも知ったように言う従事者を見て、クラインは疑問を浮かべる。ギルドの従事者は肩にかけている鞄を漁りだした。

 

「え?知ってるんですか?」

「僕はその件できたんだ!」

 

ギルドの従事者はそう言いながら、鞄から一枚の羊皮紙を取り出す。それはギルドが発行する依頼の発注書だ。

 

「こんなことは稀なんだけど、追加発注さ!ほら。」

 

そういってクラインはその依頼書を渡された。内容はゲリョスの捕獲依頼と書かれている。

 

「捕獲ですか?」

「別に被害が出たわけじゃないんだけど、あのモンスターから取れる特殊なエキスが必要な案件が別であってね。それで捕獲の依頼ってわけ。君たちがココット村から移動している最中に、目撃情報が入ってね、ちょうど現地には君たちもいるから。ついでってわけじゃないけど、頼まれてくれないかなって。」

 

移動している間に狩猟地の状況が大きく変わることは茶飯事だ。依頼を受けて移動している間に、対象のモンスターがいなくなるということもあるらしい。今回は、ドスイーオスだけのはずが、クライン達が向かっている間にゲリョスもこの狩猟地に出現したということだった。

 

「今回、ココットの新米ハンターもいるんだろ?もちろんランクの関係で受注は不可能さ。あくまでクライン君とマハト君への依頼さ。」

「わかりました。拝命します。ただ、ドスイーオスの討伐が終わってないんで、その期限の方が…。」

「それを含みで全部で3日ほど時間を見てる。迎えにくるのは明後日のお昼ごろさ。」

 

一つの依頼には50時間の制限が設けられている。今はドスイーオスの狩猟依頼に赴いて、だいたい3時間ほど経過しているだろう。時間は十分あった。

 

「それじゃあ、依頼契約の処理はこっちでやっておくんでよろしくね!あと追加で支給品も持ってきたからさ。捕獲用の品も少し多めにしてある。今回追加発注で、自前の罠なんかないだろうしね。」

「それは助かります。」

 

従事者に案内されクラインは荷車の中を除く。そこへマハトもやってきた。

 

「キャンプの中で聞いてたよ。追加依頼だって?あのゲリョスの?」

 

キャンプの中でおおよその会話は聞いていたマハトは頭と腕の防具を外した身軽な恰好で出てきた。クラインはマハトに見せるようにひらひらと依頼用紙を見せた。

 

「ま、ゲリョスの捕獲くらいならなんとか…。」

 

マハトは依頼書を受け取り眺めた。

 

「マルクス!ティモ!荷下ろし手伝って!」

 

クラインは外でボーっと立ったままだったマルクス達に話しかける。「はい!」と二人が元気よく返事をして、荷車の中へ向かう。荷車の中は簡易ベッドなどが備えつけられており、支給品ボックスも入ってそれなりに広さがある。快適とは言えないが、移動中の寝食は問題ないような造りになっていた。

 

マルクスとティモは二人で支給品の整理を始めた。支給品はギルド側が用意する応急薬や携帯食料、携帯砥石など基本的なアイテムが格納されていた。

 

「クラインさん!これってなんですか?」

 

マルクスは支給品ボックスの中に入っていた見慣れない拳大のボールを持ちながらクラインに聞いた。

 

「それが捕獲用麻酔玉さ!罠にかけて、モンスターを眠らすんだ。ただし、弱らせておかないと簡単に起きちゃうから、いきなりは使えないけどね。」

「捕獲用麻酔玉…。スゴイ、これでモンスターが眠るんですね。」

「そ!輸送中の間でも起きる心配はないよ。ま、道中、追加で麻酔玉を打つ必要はあるんだけどね。」

 

捕獲用麻酔玉は弱ったモンスターに投与することで、たちまち意識を失わせることができるアイテムである。弱っていないモンスターに当てても、眠ることはあるが攻撃を与えるとすぐに起きてしまう。必ずモンスターが弱った時に投与しなければならない。

 

ハンターが扱う武器には睡眠や麻痺といった属性が付与されている物もあるが、それらよりも強力だ。劇薬のため赤色の染料が施されており、一目で危険だとわかるようになっている。また、アイテムは支給品専用となっており、これもまた危険であるためハンターが独自で作れないようになっている。

 

ただ、支給品専用アイテムでありながら、捕獲依頼では必ず必要で、捕獲タイミングの見極めが難しく無駄打ちしてしまうことも少なくない。支給品は限りがあるため、捕獲用麻酔玉を使い切ってあえなく依頼失敗ということも多いため、一部のハンターからは一般アイテム化してくれと言った声も上がっていた。

 

「貴重なアイテムだから、変に触って使えないようにしないでね?」

「わかりました…!」

 

マルクスとティモは荷車の支給品ボックスの中から、キャンプに備えてある支給品ボックスにアイテムを詰め込んでいった。

 

「どうする?クライン?さっき言ったように別々に分かれて狩猟してくか?」

「そうだね。ドスイーオスはすぐ狩れると思う。問題はゲリョスの乱入だよね。二手に分かれるのもいいと思うけど、時間も限られそう出し、集中撃破の方がいいと思うんだよね。」

「だよな。捕獲といえど、立ち回りも大変だしな。そしたら先にドスイーオスからやってくか!」

 

 

ーベースキャンプ内ー

 

「荷物はこんなもんか…。」

 

マルクスは新たに支給されたアイテムをボックスの中に入れて、取り残しがないか改めて支給品を確認していた。

 

「なぁ…マルクス。」

 

「ん?」

 

「お前は怖くなかったのか?俺たち、あんな大きなモンスターと対峙するなんて初めてだぞ?村にいたころは、モンスターの襲撃もあったけど、避難されて、いつも遠くから見てた。それに村のハンターがなんとかしてくれたから、近くで見ることもなく、あんまり恐怖心も感じてなかった。」

 

「何言ってんだよ。俺たちもうハンターだろ?覚悟は決まってるさ。怖いことには変わりないけどね。」

 

「そうだよな…。怖いよな…。」

 

「なぁティモ。ヘンリックさんのこと覚えてるだろ?」

 

「忘れるわけねぇよ。」

 

「僕達は死ぬために、ハンターになったわけじゃないんだ。」

 

マルクスとティモの脳裏には、かつてメルチッタにいたハンターのことを思い出していた。彼らの故郷メルチッタは、ハンターが多く住んでいる。そのハンターもメルチッタを拠点にして活動をしていた。しかし、ある古龍の討伐依頼に出たきり、村に帰ってくることは無かった。

 

ヘンリックというそのハンターは、古龍の狩猟依頼で命を落としてしまう。まだ幼かったマルクスとティモは、その出来事がきっかけで、ハンターという職業の現実を知った。それでも2人がハンターになったのは、結局は憧れの部分が大きいと思う。しかし、それと同じくらい、あの時のヘンリックと同じ立場、景色、感情を抱いてみたいとマルクスは考えていた。

 

ハンターを続けた先に待つのは死なのか、それ以上の何かなのかはわからないが、その見えない何かを求めてマルクスはハンターになった。

 

「マルクス…。俺もいつかあんな巨大なモンスター倒してみたいな。」

 

「はは!いつかね!今日はさすがに無理だもんな。でもせっかくの機会だ。無駄にはしたくないよね。」

 

ベースキャンプの中、二人は同じ決意を抱いていた。

 

ーベースキャンプ外ー

 

クラインとマハトは次の狩りに備えるべき、作戦を考えていた。端的にはゲリョスとドスイーオスの分断である。マハトがゲリョスを引き付け、その間にクラインがドスイーオスを狩る。その後、クラインはマハトと合流してゲリョス捕獲に動く。

 

概ねはこの流れで良かった。問題点は、ちゃんと分断ができるか、マハト一人でゲリョスをどのくらい引き留めることができるのか、である。

 

そこへ、支給品の片付けが終わったマルクス達がキャンプの外に出てきた。

 

「あのマハトさん!クラインさん!」

 

ティモは申し訳なさそうな顔を浮かべながらマハトとクラインに話しかけてきた。

 

「さっきは本当にすみませんでした。」

 

ぺこっと頭を下がるティモ。先ほどのことはティモも反省していることをマハトはわかっていた。先ほどの説教ですでに怒りの感情は消えていたため、反省していればマハトはもう謝ることでもないと思っていた。だが、このタイミングでの謝罪には次に出てくることは何となく予想が付いた。

 

「まぁ、もういいって。それより悪かったな。今回あまり…」

 

「ドスイーオスの討伐ですが、もう一度手伝わせてください…!」

 

マハトの言葉を遮って、ティモは頭を上げて真っすぐにマハトを見つめる。

 

「お前な…。さっきのことは反省しているとは思うけど、立ち回りだってまだまともに…。」

 

言いかけてマハトは、まっすぐにこちらを見るティモの真っすぐな目を見つめた。

 

駆け出しハンターの頃は、誰しも野心に満ちているものだ。マハトも例外ではなかった。マハトがココット村でハンターとなり村長の元で、退屈な採取依頼をこなしていた時のことを思い出す。その時のマハトは自尊心が高く、自分の力に絶対的な自身があった。それ言い換えれば無鉄砲で命知らず。イャンクックの討伐で挫折しなければ、マハトは命を投げ出すような狩りをしていたことだろう。

 

だが、その経験があったからこそ、マハトは成長できて、それなりの飛竜とも対峙できるようになっている。

 

最初こそ、ティモのお願いは、新米ハンターの謎の自身によるものだと思っていた。だが、見つめるティモの目には確固たる覚悟が目に見えた。

 

「わかったよ。ドスイーオスだけな。ただし、クラインが付いていく。」

 

マハトはティモの覚悟を受け取った。ティモはパァっと表情を明るくした。

 

「ありがとうございます!!」

 

隣にいたマルクスも笑みを浮かべて、嬉しそうにティモを見る。

 

「そんなわけで、クラインよろしくな。」

 

「いいって。それなら君たちにも作戦伝えておくね。」

 

「「はい!!!!!先生!!!!!」」

 

ーエリア3ー

 

クラインの腰ほどの高さにまで育った草がエリア中を埋め尽くすエリア3は、ハンターにとって戦いずらいことで有名だった。視界が悪い上に、草のせいで移動もしずらいエリアである。

 

ドスイーオスはゲリョスとは違うエリアに留まっていたようで、ドスイーオスを筆頭とするイーオスの群れがこちらのエリアに移動してきていた。

 

「ここにいたか。そしたら俺は他のエリアでゲリョスを探してくるから、ここは頼んだぞクライン!」

 

「OK!任せて。」

 

マハトはドスイーオスに見つからないよう、来た道を戻っていった。

 

「よし、マルクス、ティモ。今回は君たちがメインとなってドスイーオスを引き付けてくれ。さっき話した内容を忘れないで立ち回ってくれ。」

 

「はい。」

 

「先生。」

 

イーオス達に発見されないよう、二人は静かに答えた。ティモは先ほどの錯乱状態とは打って変わり、とても落ち着いたように思える。しかし、声が微かに震えているのをクラインは聞き逃さなかった。

 

ここでの作戦は、マルクス達の覚悟を買って、二人にメインであるドスイーオスの討伐を任せることにした。しかし、この後に控えるゲリョス戦に向けて、クラインも体力を温存しておかなければならない。結果として二人がドスイーオスの討伐に当たるのが効率が良いというのがマハトとクラインの判断だった。

 

ただ、ドスイーオス級の敵を相手にするのは二人は初めてなので、保護者としてクラインはついてきた。そのため、周りのイーオスの処理をしつつ、ドスイーオスと戦う二人にも注意しなければならない。

 

マルクスはボウガンを構えて、弾を装填する。ティモはドスイーオスとの距離を詰めるために駆けだしていった。クラインはマルクスの背後で腰を低くし、いつでも駆けだせる体勢を作っていた。

 

背の高い草をかけ分けながらドスイーオスに近づき、草をかき分ける音に気が付いたドスイーオスがティモの方を向いた。すぐに頭を上空にあげ、独特な甲高い声を上げる。それに気が付いて、周りのイーオスも臨戦態勢に入った。

 

それを合図に、マルクスの後ろから飛び出すクライン。クラインは走りながら、先手を切ったティモの様子をみつつ、周りのイーオスを確認していく。草が邪魔で全身を見ることは難しいが、草の上に頭が出ているため、どちらを向いているかはわかる。クラインは、腰に収めた剣の柄を握りながら、距離を詰めていった。

 

ティモは槍を抜き放ち、走った勢いのままドスイーオスに一撃を食らわせる。ティモのランスの攻撃力は、ドスイーオスを相手取るには十分とは言い難い性能をしているが、それでもドスイーオスの気を引くには充分だった。ランスを構えたまま、ステップでドスイーオスの脇へ回り込む。一撃を加えたら、すぐに横に飛んでまた一撃を食らわせる。時計回りを意識しながら、徐々にドスイーオスの向きを変えていく。

 

マルクスはドスイーオスが背を向けたのをボウガンのスコープ越しに確認し"通常弾Lv.2"を放った。着弾と同時にドスイーオスは怯み、これをチャンスにティモはさらに追撃する。マルクスも続けざまに弾を撃ち続け、ドスイーオスに着実にダメージを重ねる。

 

「いいコンビだな。」呟きながら、クラインはイーオスを1匹1匹確実に仕留めつつ、マルクス達の動きも見ていた。ティモは近・中距離の攻撃でモンスターの気を引きながら、マルクスの遠距離射撃でもダメージを与えていく。

 

クラインとマハトのコンビの場合、ドスイーオスのような中型のモンスターを相手にすると、同じタイミングでの攻撃が難しい。マハトの大剣は重量がある分、攻撃後の隙が多いため、その隙を埋めるようにクラインが立ち回るのが癖付いていた。クラインとマハトの近接武器2人のコンビも悪くはなかったが、マルクスとティモもまた、いいコンビネーションだと言えた。

 

ティモは先ほどよりも落ち着いており、冷静にドスイーオスの動きを見ることができていた。ドスイーオスに対する恐怖はあったものの、それでも援護してくれるマルクスのことを考え、気が抜けないと集中力を高める。

 

一心不乱に槍を突き、攻撃がきそうであれば盾を構えて受ける。ランスの基本的な立ち回りについては、まだまだ未熟だろうが未熟なりに考えて、一挙手一投足に集中して、動きを修正しつつ、戦闘に身体を慣れさせる感覚をティモは実戦で学んでいた。

 

ティモとマルクスが挟み撃ちの形でドスイーオスに攻撃を仕掛けている最中、クラインは周りにいた5頭ほどのイーオスを殲滅させていた。クラインは一息ついて、周りを見渡す。特に異常は見られず、これ以上イーオスの姿が無いことを確認する。エリア3の視界の悪さにより、姿が見えない可能性も考えたが、数秒待てど、新しいイーオスの姿は見えなかった。

 

ティモとマルクスは、着実にドスイーオスにダメージを与えられている。クラインがある程度、弱らせておいたとはいえ、彼らの武器だけでは、やはり攻撃力不足は否めない。クラインも加勢に加わる。

 

「ティモ!いい感じだ!さっきよりも落ち着てるようだね!」

 

クラインは剣を構え飛び込んだ勢いで横からドスイーオスに一撃を食らわせる。その一撃でドスイーオスはのけぞり、体を揺らせ呼吸を整えているようだった。ドスイーオスに疲れの兆候が見える。その間もドスイーオスの背後からマルクスの弾丸が浴びせられていた。

 

「集中力を切らしちゃいけないけど、そろそろ君の武器、切れ味落ちてるんじゃないか?」

 

クラインはティモの壁になるようにドスイーオスとティモの間に入る。その間に、ティモは一度下がって、武器を研いで来いという意志表示である。

 

「はい!ありがとうございます!」

 

ティモはランスを背中に掛け、後ろに下がって距離を取った。

 

「マルクス!そろそろいけると思う!逃がさないようにしっかり見ておいて!」

 

反対側にいるマルクスに声を掛け、このエリアから移動しないよう伝える。マハトが今、どのエリアで戦っているかは不明だが、下手に移動されると危険が増す。クラインは何としてでも、このエリアでドスイーオスを倒そうと決めた。クラインは怯んでいるドスイーオスに飛びかかり追撃を加えていく。

 

「クラインさん!!」

 

その時、後方からティモの声が聞こえ、クラインは一瞬だけティモの方に視線をやった。ティモの姿を確認して、そのさらに後ろに黒い飛竜の姿が、草の合間からちらっと見えたのを確認した。

 

「くそっ、もうちょいなのに…!」

 

どうやらゲリョスがエリア移動してきて、こちらと合流してしまったらしい。マハトと別れて、モンスター同士が合流しないようにしようとしても、やはりあれだけの巨体を、足止めするのは厳しかったようだ。

 

「ティモ!」

「は、はい!」

「交代だ!僕がマハトの方に加勢に行くから、何としてでもマルクスと2人でドスイーオスを倒せ!」

「わかりました!」

 

クラインはドスイーオスに気を払いながら、少しづつ後退し、変わるように前に躍り出たティモとすれ違い、そのままゲリョスの方に走っていった。

 

「マハト!」

「すまない!クライン!やっぱり足止め厳しいわ!」

「しょうがいないよ!このまま押し切ろう!」

 

ゲリョスを挟み込む形になる。ゲリョスはマハトの方を向いた。そのまま前方に毒液を吐きかけ、それがマハトの目の前に着弾。ジューっと音を立て、草が見る見るうちに枯れていく。毒液の威力をクラインに教えるには充分なものであった。

 

「あれには気を付けろ!頭を上げたら前方から退避するんだ!」

「了解!」

 

クラインはマハトの忠告を聞き、まだこちらに気が向いていないゲリョスの後ろ脚付近を斬り付ける。斬りつけた感触はこれまでに戦ったどのモンスターとも違い、弾力のある独特な感触が伝わった。ゴム質の表皮を持つことは知っていたが、ここまでしっかりとゴムのような質感を持っていることに、クラインは一瞬驚いたが、その質感になれる慣れる間もなく、可能な限り斬り付ける。

 

攻撃を続けるクラインに気が付いて、ゲリョスがクラインの方へ向いた。モンスターの中ではあまり大きい部類ではないゲリョス。特徴的なトサカを持つ顔がこちらを向いて、小さな目とクラインの目が合う。視界に自分が捉えらたことを認め、バックステップでゲリョスと距離を取る。

 

クラインの背後にはドスイーオスを相手にしているマルクス達がいた。ドスイーオスはマルクス達と距離を取り、離脱の姿勢を見せる。

 

「マルクス達はそのままドスイーオスを頼む!!」

 

マルクス達はゲリョスの動向に気を取られ、ドスイーオスから意識がそがれていた。それをクラインの一声で意識を向け直す。

 

「追いかけるよ!ティモ!」

「お、おう…!」

 

駆けるドスイーオスを追うために、マルクス達は一度武器をしまって走り出す。ゲリョスの視線が一瞬、走るマルクス達に向いたのに気が付き、クラインは横からゲリョスの脚目掛けて剣を一振りする。剣がゲリョスのゴム質の皮に当たる感覚はやはり、まだ異様な感じがした。

 

ーエリア3ー

 

ドスイーオスを追って、マルクス達は隣のエリアにやってきた。このエリア3にはランゴスタが多く生息しており、イーオスだけでなく、ランゴスタにも注意を払わなければならない。

 

ランゴスタは巨大な蜂のような姿をした甲虫種のモンスターで、虫嫌いな人が見たら卒倒するような見た目をしている。ハンターでない一般の人が見ても、鳥肌が止まらないだろう。

 

ランゴスタの攻撃性は極めて低いものの、腹部に持っている麻痺性の毒を受けてしまうと、ハンターですら全身が痺れてしばらく身動きが取れなくなる。巨大な羽音と共に近づいてくるのが分かるのだが、それでもその一撃を喰らってしまうことが多々ある。

 

ゲリョスから逃げるようにこのエリアにやってきたドスイーオスは、新たに合流した手下のイーオスと共に、マルクス達を待ち構えていた。すでに何度も攻撃を与えて、弱ってきているはずだが、その素振りは一切見せていない。

 

というより、ドス系の鳥竜種モンスターに限ってだが、弱った際に見せる行動に変化がないのが特徴である。飛竜級のモンスターであれば足を引きずったり、どこかの部位に何らかの変化がみられる傾向にあった。そのため、瀕死を見極めるのが難しいモンスターでもある。それがマルクス達の心を削る。

 

最初こそクライン達の加勢により、それなりにダメージを与えていたような感覚だったが、マルクス達だけになった途端、その感覚は無くなる。不安感がマルクス達を包み込んだ。

 

ドスイーオスは便宜上、大型モンスターに分類されるモンスターではあるが、手練れのハンターからは中型とも言われるレベルのモンスターである。だが、マルクス達のような新米ハンターにとっては、凶悪な大型モンスターに変わりはない。ましてや、初の大型モンスターの狩猟である。

 

エリアを移動して、マルクス達は辺りの様子を確認する。ランゴスタとイーオスの群れ。そしてドスイーオスがいる。クライン達の監督を離れたことで不安が増した。だが、今は自分たちでなんとかしないといけない。その気持ちがマルクスの覚悟を固める。

 

収納していたヘヴィボウガン"アルバレスト"を展開する。弾倉を確認し、弾を確認した。その様子を隣で見るティモも、覚悟を決める。

 

「ティモ!周りの雑魚は僕が蹴散らすから!ボスを頼むよ!」

 

「わかった…!」

 

ティモが先陣を切って、イーオスの群れの中央にいるドスイーオス目掛け、槍を構えて突進した。ランスの基本的な攻撃の一つで、槍を構えて突き進む突進攻撃がある。ランスの十八番ともいうべき攻撃手段である。スタミナ消費は激しいものの、攻撃しながら敵との距離を縮めることができる。

 

大盾を構えているとはいえ、モンスターの攻撃にさらされる。大きな攻撃であれば、一撃で吹っ飛ばされてしまうが、このエリアにいるモンスターであれば、その心配はなかった。ティモは突進により、大きくドスイーオスとの距離を縮める。槍が回りのイーオスにも辺り、攻撃に当たったイーオスが声を上げる。

 

ドスイーオスとの距離が十分縮んだところで、構えてた槍で相手に向かって大きく突く。それによりドスイーオスは怯んだ。

 

マルクスは、ティモに群がる小型モンスターを片付けるため、イーオスやランゴスタに攻撃を開始。ドスイーオスは的が小さいため、ティモが戦っている間、一緒に攻撃するのは難しい。そのため、マルクスは支援に回ることを決めていた。

 

ティモが応戦する中、ティモに向く小型モンスターの意識をマルクスに向ける。イーオスはともかくランゴスタは体力自体、そこまで多くなく、少し攻撃すればその場から逃げてもくれるので、今のところ、そこまでの脅威にはなっていなかった。対してイーオスは群れの長がいる以上、その子分であるイーオスがその場を離れるわけにも行かず、ドスイーオスに加勢する。そこをティモが足止めをする形である。

 

幼馴染のティモとハンターを目指したころから、マルクスは率先してティモのサポートをしていた。ティモはあまり頭で深く考えないタイプだ。武器の適正も接近武器一択。その中でもランスを選んだのは、マルクスのアドバイスによるところである。

 

ティモは同年代の中でもガタイがいいため、小回りの利く武器よりも一撃が大きい武器が推奨された。大剣やハンマーなどの重量級の武器にしようと考えていたティモだったが、攻守ともにバランスの優れたランスをマルクスは勧めた。

 

大剣やハンマーは一撃が大きく、力が強い者が使えば威力は期待できるものの、一方で守りには脆弱性が見られる。大剣は剣の腹で攻撃を受け止めることもできるが、ガード性能に間しては乏しい。いずれもモンスターの動きを呼んで、回避することを求められ、冷静な把握能力が必要となる。

 

ティモは猪突猛進な性格で、マルクスはティモのことをよく知っていたからこそ、ランスを勧めた。火力面では劣るものの、攻守でバランスに優れた武器は他にはない。そして、いざという時に我が身を守る大きな盾は、狩りの生存率を大きく上げる。そう思い、マルクスはランスを勧めた。いざという時にティモを守るために。

 

マルクスはティモに近寄る小型モンスターの排除に努める。ティモは状況把握が苦手な分、その弱所をマルクスが補う。ティモと二人でハンターを目指すと決めた時から、自分はサポートに回ると、そう決めていた。

 

ティモは盾でドスイーオスの毒液や爪による攻撃を防ぎながら、ヒット&アウェイでダメージを与えていく。幾度か攻撃していると、ドスイーオスは怯み、それを見て手数を増やす。確実にダメージを与えながらも、慎重に攻撃を加えていた。

 

ティモも恐怖心が次第に薄れ、冷静に敵の動きを見切れるようになっていた。冷静になって分かったことだが、攻撃パターンはそこまで複雑でもない。最も注意しなければならないのが、毒液による攻撃である。ドスイーオスが体内で生成した毒駅を口腔内から発射するその攻撃は、触れれば致命傷となる攻撃である。ティモが持つランスの盾ほどの大きさであれば、何とか防ぎきれる。

 

あとは、鋭い爪や牙による攻撃であるが、ドスイーオスの腕はそこまで長くなく、ある程度の距離を保っていれば、その爪がティモに届くこともない。牙による噛みつきも、動きが単調な分、見切るのも容易だった。ドスイーオスも疲弊してきたのか、動きが少し鈍くなっている。

 

最初こそ気が急ぎ、とにかく攻撃を与えないといけないと思い込み、無謀にも攻撃をしていた。マハトに怒られたことや、一度ベースキャンプに戻って、マルクスと話したことにより、幾分落ち着きを取り戻していた。

 

今は一種のゾーンに入っている状態である。視線は常にドスイーオスに向け、一挙手一投足を観察。攻撃のそぶりがあれば、盾を構えるか、回避の予備動作を取る。攻撃を避けて、リーチのある槍で敵の攻撃が当たらない間合いから攻撃をする。ランス自体は比較的重量があるため、3度ほど付いたら若干のインターバルが必要になる。攻撃を防いで、2、3度突いて、敵の次の動きを伺う。

 

そう繰り返し、何度目かの突き攻撃を加えた瞬間、ドスイーオスがこと切れるように地面に崩れ落ちた。ドスイーオスの喉元にまで溜めていたであろう毒液がブクブクと泡立つような音が聞こえ、微かに聞こえるうめき声と共に、地面に倒れこむ。

 

「へ…?」

 

盾を構えつつ、ティモはドスイーオスから目線を逸らさずにいた。次の動きに備えるために、観察していた、ついぞドスイーオスが動くことはなかった。

 

「やったのか…?」

 

ティモに群がる小型モンスターを排除していたマルクスは、後方からドスイーオスとティモの様子を眺める。ドスイーオスが地面に倒れこんだのを見て、何頭かのイーオスがエリアを後にしていくのが見えた。ランゴスタはあいかわらず、どこから湧いてくるのかわからないが、ティモやマルクスに近寄ってくる。

 

だが、マルクスも一旦、モンスターへの攻撃を止め、ドスイーオスの様子を伺った。

 

「ティモ…!?」

 

遠目からではわからずに、マルクスはボウガンをたたむ。そしてティモの元へと走り寄って行った。

 

「やったのか?」

 

ティモの元へ駆け寄ったマルクスが確認を促す。ティモは武器を構えたままだった。

「本当に俺らで倒したのか…?」

 

先ほどまで、あれほど脅威に感じていたドスイーオスが、静かに横たわるのを見て、実感がわかず二人はただ茫然とドスイーオスの亡骸を見つめた。

 

ーベースキャンプー

 

気が抜けると、一気に体が重くなり、その思い体を無理やり動かしてなんとかベースキャンプに帰還したマルクス達。初の大型モンスターの討伐による達成感は感じれず、二人とも虚無感をいただいていた。

 

「疲れたね…。ティモ。」

「ああ…。必死すぎて実感が全然湧いてこないし、本当に依頼達成できたのかな…。実は寝てるだけとか?」

「まさか!でも、喜びというか、達成感の類は湧いてこないね。むしろ、生き延びた安堵の方が大きいかな。」

「ああ、それだ。安堵。解放された感覚が大きいや…。」

 

二人はベースキャンプの中にも入らず、その場で倒れるように地面に腰をついた。生物の気配が感じられない沼地に、二人の息遣いだけが聞こえていた。

 

そのまま、地面に座っていると、クライン達の話し声が聞こえてきた。どうやら二人もベースキャンプに戻ってきたようだ。

 

「お!マルクス!ティモ!お疲れ様!どう?ドスイーオスの方は?」

「はい!無事倒せたみたいです…。」

 

その返事に、クラインは笑顔を見せる。そして改めて「お疲れ様」と声を掛けた。

 

「あの!クラインさん達の方は…?」

「無事、捕獲完了!あとはギルドの人を待って、対応してもらおう。」

「もう終わったんですか!?」

「確かに早いね。思ったよりすぐに弱ったから、もしかしたら多少弱ってたのかもね。」

「えぇ…。」

 

マルクスはベテランハンターとの差を感じた。

 

「ま、君たちもよくやってくれたよ。初めての大型討伐で、とても緊張したと思う。それに危険度言えば、ドスイーオスはそれなりに高いしね。君たちにお願いするには少し心配だったんだけど、無事でよかったよ。」

「それは…、最初クラインさん達も一緒に戦ってくれてたから…。」

「それもそうだけど、結局君たち2人で、討伐まで行けたんだ。経験値としても、かなり良かったんじゃないかな。」

「…。」

 

「ヘンリックさん、見てくれてるかな。」

 

隣に座っていたティモがポツリと呟く。マルクスは上空を眺めながらティモのその言葉を聞いた。

 

上空で爆ぜた鮮やかな信号弾が沼地の風に流され、煙が散り散りになる。沼地の曇り空を眺め、はるか上空にいるであろう偉大なハンターの顔を思い浮かべるマルクス。

 

「きっと見守ってくれてるよ。上空じゃなくて湖からかもしれないけど。」

「マルクス…。足引っ張らないように頑張るな。」

「はは!別に足引っ張ってるなんて思ったことないよ。」

「違うよ。いつも俺のこと気にかけてくれてたんだろ?立ち回りとかさ、俺にランスを選ばせたのもきっと…。今まで気が付かなかったけど、マルクスのサポートがあっての狩りなんだなって思った。今日の狩りを通して色々なもん見えた気がする。」

「やめてよ…。そんな改まって…。」

 

マルクスは少し恥ずかしくなってティモの話を切った。

 

「いい経験になったみたいでよかったよ。」

 

後ろで話を聞いていたクラインが声を掛けてきた。

 

「あ、クラインさん…。」

 

ティモはクラインの方に顔を向ける。

 

「クラインさんとマハトさんの二人のコンビを見て、タッグで狩りをするってこういうことなんだって思いました。んで、マルクスはそういうことちゃんとやってくれてた…。」

「最初、一人で突っ走ってたやつとは思えない感想だな!」

 

マハトが茶々を入れる。クラインは信号弾を手に持っていた。

 

「ま、何はともあれ依頼達成だ。」

 

クラインはそう言って、上空に信号弾を放つ。発行しながら赤い煙が尾を引くように上空まで伸びる。はるか上空で弾が炸裂し黄色い閃光が爆ぜた。大きな音が辺りに響き、マルクスとティモはその信号弾の残像を眺めていた。




【ハンターランクについて】

ハンターランク(HR)は、ハンターズギルドが定める狩猟実績と実力の指標である。
クエストの達成状況に応じてランクが昇格し、より難易度の高い狩猟任務を受けることができる。

ハンターランクの細かい仕組み、上限などはギルドによって異なる。

【共通する特徴】
・達成したクエスト危険度に応じて、付与されるポイントが異なる。
・ランクが上がることで受注可能なクエストやギルドの支援が増える
・昇格には「特定のクエストをクリアする」必要がある
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