Frisk達が突如暗闇に飲み込まれその姿が消えて無くなった直後、キャラは何も見えない虚空へ敵意を向けて呼び掛ける。
「奴らをどうするつもりだ……ガスター」
直後、その呼びかけに答えるように何も無かった空間から白いお面の様な顔を浮かべたモンスター、W.D_Gasterが姿を現した。
*今の私はモンスターとは異なる存在だよ。
ガスターは口角を僅かに上げるとキャラの質問にこう答えた。
「勿論、彼らは特別な処で心朽ちるまで隔離させて貰うよ」
「その理由を聞いてるんだ。あいつ等を会わせるように仕組んだのは貴様だろう」
キャラの言う通りガスターはFrisk達が途方も無く世界を繰り返している間、この瞬間の為に研究と仕掛けを延々と積み重ねていたのだ。
その理由は──
「それは……この世界『UNDER TALE』の継続。その為に彼らの存在が妨げになると判断されたのだよ」
「世界の継続?確かにジェノサイダーは世界を壊そうとしていた。だがFriskの目的は世界を救う事ではないのか?」
キャラはガスターよりジェノサイダーとの関係と共にその話を聞かされていたからこそアズリエルの力を借りてFriskを連れてきたのだ。
先程の二人の会話に不安を覚えない事も無いが、それでも二人の誤解が解けたのならば大丈夫だとも思っていた。
だからこそガスターの行動の理由が理解出来ずに居たのだ。
「キャラ。確かにいきなりだったとは思うけど、あのままじゃ奴が世界を壊していた可能性も十分にあったと思うし……ガスターのやった事が間違いとは僕は思わない……かな」
この世界のアズリエルの立場を考えればそんな考えになるのも理解してるキャラは特に言い返すことはせずにガスターの返答を待った。
「いたっ!キ、キャラ!?」
……キャラは何も言い返さずになかよしカプセルを一発だけぶつけた。
そんな二人の様子を微笑ましく見ていたガスターだが、キャラの無言の圧力に肩を竦めると漸く説明を始めた。
「まあ、彼の言ってる事も半分間違いではないさ。世界が壊されるのは私にとっても一番に避けなければいけない課題だったからね。だが……ジェノサイダー君だったかな?彼がやろうとしていたのは
「世界の封印?ますます解らんな」
「はは、それについては君達には関係ないから気にしなくていい。君たちはこれからもリセットを繰り返しながら時空が修正されるのを待つといい」
ガスターはそういって結界へと振り向き歩き出した。
その直後、キャラが一足飛びで具現化したナイフをガスターの背中に突き刺した。
「キャラ!?一体何をしてるんだい!」
キャラはアズリエルの呼びかけには答えず、無表情で刺さった箇所を見つめるガスターへと声を掛けた。
「お前らの考えなんてものは知らん。だが私はお前よりFri……ジェノサイダーの方がまだ信じられるのでな」
「ふぅむ……もう一人の方ならまだしも彼が危険なのは満場一致だと思っていたのだがねぇ。それに最初に私に助けを求めたのは君じゃなかったかい?」
そういいながらガスターは何事も無かったかの様にキャラから離れていった。
「そうだな、確かに私は奴が嫌いだし奴から皆を守る為にお前に助けを求めはした。だがそれでも奴とは伊達に長い時を共に過ごしてないんでな。ただの腐れ縁だが少なくとも今のお前よりは何万倍も信用出来るな」
ガスターは残念そうに肩を竦めるが、やがて再びキャラ達に背を向けると間もなくして姿を消した。
「……まぁ、君が何をしようが今更出来ることもないがね」
と、最後に一言だけ残して。
その言葉を受けたキャラは既に何も無くなった空間に向けて言い返した。
「はっ、私の諦めの悪さは奴からの折り紙付きだぞ?」
「キャラ……」
複雑な表情で自身を見つめるアズリエルに気付いたキャラは彼の所へ戻り、彼の右手をそっと握って言った。
「大丈夫だ、私の親友はお前だけだ」
「…………」
「…………ただし、この世界のお前じゃないからな。勘違いするなよ!」
途端に気恥ずかしさを覚えたキャラは照れ隠しにそう付け加えた。
だが、アズリエルにとっては今はそれで十分だとばかりにあどけない笑顔で彼女の手を握り返した。
「これからもよろしくね!──っていたいいたい!?痛いってばキャラぁ!」
「うるさいっ!それよりさっさと奴らを探しに行くぞ!」
アズリエルの予想外な反応に何故だか負けた気がしたキャラは腹いせになかよしカプセルを二十発程ぶつけてから結界を出ていった。
アズリエルも涙目ながら慌ててキャラに追いつくとその手を取って共に姿を消した。
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NERVELESS TALE
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突然視界が真っ暗になったかと思えば次の瞬間には見覚えのあるゴールデンフラワーに囲まれて寝そべっていた。
何が起きたのか分からないけれど最後に聞こえた声から察するにガスターの奴が何かしたのかもしれない。
*フリスク、大丈夫?
「大丈夫……ってFriskも来てるのかい?」
*そうみたいだね。だけど此処は一体……?
解らないけど……ここが記憶通りのルインズなら先に進めばトリエルの家があると思うし、兎に角進んでみようか。
取り敢えず情報を集める為に先に進む事にした。
だけど僕達は直ぐに違和感を覚えた。
*ねぇ、フラウィーが居ないみたいだけど……。
フラウィーが居ないって事は最初の人間が落ちた時か、彼を殺してからリセットした時かのどちらかかな……けど誰も来ないのはどういう事だろう。
辺りを見回したり暫く待ってみたが誰かが来る事は無かったので僕達はマイホームへと向かう事にした。
そこからも今までとは違う状況に僕等は戸惑いを隠せないでいた。
フロギーやナキムシャ達はその場に居るだけで襲ってこようとはして来なかったり、ナプスタブルックはやる気が起きないと言って直ぐに消えてしまったりと僕らの記憶にない事態が立て続けに起こっていたのだ。
そうして特に何かに遮られること無く僕等はマイホームへと辿り着いた。
「着いたけど……結局トリエルとは会わなかったね」
*取り敢えず呼び鈴押してみたら?
別に開いてるし入っても良い様な気がするけど、まあそうだね。
僕は彼の言う通りに呼び鈴に手を伸ばして一度だけ鳴らして待っていたが誰かが出てくる様子は無かった。
……どうしようか?
*うーん、もう一度押してみる?
いや、既に開いてるし中に入ってみて怒られたら謝ろう。
Friskは少し困った様な顔をしていたけど僕は気にする事無く建物へと入る。
中は掃除が殆どされていないのか床に埃が溜まり隅には蜘蛛の巣が出来ている。
埃が積もった床には足跡はついておらずここ数年は誰も通って居ないように見て取れた。
*マ……トリエルさんは部屋に居るのかな?
たぶんね。というか普通にママって呼べばいいのに。
*だって……恥ずかしいし……。
別にまだ恥ずかしがる様な年齢でもないけど……リセットしてるし?
*リセットしても記憶は残るんだから恥ずかしいに決まってるでしょ!?
あはは、そんな事言ったら数百万歳の僕達は『フォッフォッフォッ』って言わなきゃいけないのかい?
別に気にしなくていいでしょ?僕は良いと思うよ。
*…………まぁ、その通り……だね
あ、ほらママの部屋だよ。
忍び込む?それとも全力で開く?
*え、えと……
分かった、後者だね。
僕は彼が答える前に扉のノブを捻ると、大きな音を立てて目の前の扉を開ききった。
「えっ?だ、だれ……」
中には予想通りトリエルが部屋に籠って居たが突然の来訪に顔を上げてこっちの様子を窺っていた。
「ハウディー!こんな所に引きこもって如何したんだい?」
「あっ…………いえ、あなたこそこんな所までどうしたのかしら?おうちに帰りたいのなら扉を開けるわ」
トリエルは一瞬信じられないものを見たような驚きの表情を見せたが、直ぐに目を伏せると僕に訊ねてきた。
僕はその様子を不審に思いながらも質問に答える。
「僕は帰りたいのはあなたの思ってる所じゃないかな。けど確かめたい事があるから外には出たい」
「……えぇ、わかったわ。ついていらっしゃい」
そういってトリエルは僕の横を通り過ぎ扉を開けて廊下へと出ていった。
*ママ……
トリエルの様子が心配なのは分かるけど、一先ずは先に進むよ。
*分かった……けど、また戻って来ちゃダメかな?
…………はぁ、仕方ないな。向こうが認めてくれればね?
*うんっ!
ああもうなんだかなぁ……僕一人で浮き沈みして道化を演じてたと思うと腹が立ってくるよ。
あ~あ、度を超した無自覚も罪になればいいのに。
*……?
いいよ。君に言っても理解出来ないだろうし僕自身認めたくない部分もあるから気にしないで。
*えっと……
それより扉の前についたよ……ってこれは普通君が言う所だろ?
僕がFriskの代わりにナレーター役をしている間にトリエルが魔法で大きな扉を開いていた。
「さぁ、この先を進めばるいんずを出れるわ。ここは私しか開けられないから二度と戻ってくる事は出来ないけれど、ここでやり残した事は……えっ?」
僕は虚ろな目で訊ねるトリエルをギュッと抱きしめて彼女にお願いをした。
「また戻ってくるから……開けておいて……ママ、だめ?」
「フリスク……えと、何でもないわ……」
「ママ……お願い」
誤魔化すように顔をそむける彼女に僕は再びお願いする。
「……フフ、あなたはおかしな子ね?あったばかりのおばさんの事をママだなんて」
トリエルは暫く動かしてなかったであろう口角をぎこちなく動かして微笑んだ後、僕を優しく抱きしめ返してくれた。
「解ったわ、ここは開けておくから何時でも帰っていらっしゃい」
「うん、ありがとう」
そう言ってママのふんわり感と暖かさを名残惜しみながらも僕は彼女から体を離した。
「いってきますっ!」
僕は元気よく伝えると駆け足で扉を潜り抜けていった。
*…………フ……フフフ……良い度胸じゃないかクソマッド。
*僕を怒らせたらどうなるか思い知らせてやる。