genocidertale   作:上新粉

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*ふははは!この僕を侮るなよBoiled egg。こんな拘束でいつまでも抑えておける訳ないだろ?

*さぁ、早く此処を抜け出して奴の計画を台無しに──

*ふむ、決意については研究しているつもりだが……未だに挫く手段が解らないのは困りものだ。

*なっ!……戻ってきてたのかよ。

*そうだね、一先ずこの花で研究するとしようか。ふふふふ……

*お、おい……僕に何をする気だ……?やめ……く、くるなっ!来るなぁ!!


すのーふる

 ルインズを離れた僕達は手足が凍えてしまいそうな極寒の地、スノーフルの一本道を歩いていた。

 

「……ねぇ、交替しない?」

 

*寒いならママの所に戻ったら?

 

何時来ても寒いものは寒いのでFriskと代わって貰おうと思ったのだけれど、彼は少しだけ拗ねた口調で突き返されてしまった。

僕はただ扉を開けたままにして貰おうと手を打っただけなのに僕だけトリエルに甘えていたのが悔しかったのだろうか。

体は君のなんだから別にいいじゃないか。

 

*でも君だって嬉しかったんだろう?

 

そんな事……。

 

*…………

 

し、仕方ないじゃないかっ。自分の選択とはいえママのぬくもりなんて記憶が薄れるほど受けてこなかったんだから!

 

*もう〜素直じゃないなぁ?まだ恥ずかしがる様な歳じゃ無いでしょ?

 

なっ…………もしかしてさっきの事根に持ってる?

 

*そんな事ないよぉ。僕は君の考えに賛同しただけで他意はないからね?

 

ふ〜ん……そう言う事にしとく。っていうかほんとに替わって欲しいんだけど?

 

*……ほらほら、君の英雄が待ってるんだから早く行こう!

 

ちょっとぉ!?話の逸らし方が雑じゃないかな!

 

*はははっ、ほら!そんな事言ってる間にスノーフルの町に着いたよ?

 

強引に話を切られた僕は渋々諦めて前を見ると、そこはスノーフルの町だった。

 

 

うむむ…………やっぱりおかしい。

僕はFriskに此処までにモンスターに遭遇したか聞いてみたが彼は首を振った。

話してて気づかなかったのだとしたら僕らは相当な間抜けだけどそれ以前にギミックを何一つ解いていないしパピルスやサンズに一度として会っていない。

 

僕達がこの世界に来た時から感じていた違和感は早くも確信へと変わった。

 

「Frisk」

 

*そうだね、此処は僕達の知る世界軸とは全くの別物のようだ。

 

「そう。僕らの現状として一番近いのはLOVEを上げ続けた屑のサンズかな」

 

あいつ曰く、元々僕とは関わる筈の無い世界から僕のLOVEに気付いて殺しに来たと言っていた。

どうやって来たかまでは教えてくれなかったけれど、あいつならガスターと接触した可能性は考えられるね。

そうなると今の所、僕らを此処に飛ばしたのはガスターって説が有力かも知れないね。

 

ただ黒幕の見当が付いた所で未だ戻る手掛かりの無い僕達は、考えを切り替えてまずはパピルス達の家に向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 パピルスの家の扉をノックするとカンカンという軽快な音と共に直ぐに扉が開かれた。

 

「兄ちゃんなら部屋から出てこないぞ!用があるなら俺様が伝えて…………」

 

中から出てきたのは元気な声でそう答えたパピルスであった。

パピルスは僕の存在に気が付くと口を開いたまま固まっていた。

僕も心の準備が出来る前に扉が開かれたので同じように固まってしまった。

 

暫しの静寂が続いた後、漸く我に返った僕と時同じくしてパピルスが叫んだ。

 

「ニィャァァァァァアアアアッ!?ニンゲンが帰って来たぞぉ!兄ちゃぁぁん!兄ちゃぁぁぁん!!サァァァァァアアアアンズ!!!」

 

そしてパピルスは叫びながらサンズの部屋の扉を乱暴に叩き続けた。

僕は突然の出来事に意味が分からずただ茫然と彼の背中を眺めていた。

 

*帰ってきた?

 

やがてサンズを呼び出すのを諦めたパピルスは肩を落として玄関口に戻ってきた。

 

「ニィャ~、済まないなニンゲン。兄ちゃんは貴様が居なくなってからずっと出てこないのだ」

 

*彼は僕に似た人間とあった事があるようだね。

 

どうやらそのようだ。

そしてあの時のトリエルが呟いた名前から僕らと同じ『フリスク』だったみたいだね。

詳しく話を聞きたいけれどこのままじゃ難しいし此処は別人だと伝えよう。

 

「えっとね?落ち着いて聞いてほしいんだけど」

 

「どうしたんだニンゲン?俺様になにか伝えたい事があるのか?」

 

「ええと……その……」

 

……僕が別人だと知ったらショックを受けるだろうなぁ。

 

*騙す方が後で悲しませる事になるよ?

 

わかってる…………解ってるよ。

僕は深呼吸をすると、覚悟を決めてパピルスへ真実を伝えた。

 

「…………そうだったのか。いや、ありがとうな!俺様は危うく兄ちゃんをぬか喜びさせてしまう所だった!」

 

「いや、こっちこそごめんね?」

 

「なに、貴様は全然悪くないぞ!あのニンゲンじゃないならあのニンゲンが戻ってくるのを待てば良いだけだからなっ!」

 

こんな何もかも僕の記憶と違う世界でも彼だけは変わらずに居てくれた事があまりにも嬉しくて僕はいつの間にか涙を流してしまっていたみたいだ。

 

「なっ!?ど、どうしたニンゲンのそっくりさん!何処か痛いのか!?」

 

「な、なんでもないよっ。それよりそのニンゲンについて聞かせて欲しいな?」

 

心配するパピルスに大丈夫であると告げて僕は目元を拭い、本来の目的である情報の収集を始めようと何とか気持ちを切り替えてパピルスに訊ねた。

 

「おお!貴様もニンゲンの事が気になるのか?良いぞ俺様の知ってる事ならなんでも教えてやる!」

 

パピルスはとても嬉しそうにこの世界に来たニンゲンについて話してくれた。

それでわかった事は三つ。

まずそのニンゲンはモンスター達が地下世界に閉じ込められてから最初に落ちてきた人間だという事。

次にニンゲンはアズリエルと共にバリアを壊す方法を地下中探し回っていたが、ある時二人揃って行方不明となってしまったらしい。

そしてそれ以降モンスター達の殆どが()()()になってしまったとの事だった。

 

僕達は彼の説明によってこれまでの状況に納得がいった。

 

「そうか、それでトリエルやサンズもこんな状態なのか……」

 

「そうなんだ……兄ちゃんが怠け者なのはいつもの事だが最近は特に酷いんだ」

 

*サンズ……

 

……ま、アイツの怠け癖は別に良いけど、何か知ってる可能性もあるし一度会っておこうかな。

 

「ねぇパピルス、サンズに会わせてもらってもいいかな?」

 

「ニャ~……それがな、さっき呼んでみたが出てこなかったんだ」

 

「それなら僕に考えがあるよ、任せておいて」

 

「ほんとかっ!流石ニンゲンのそっくりさんだな!」

 

唐突に感激しだしたパピルスに手を引かれて僕はサンズの部屋の前まで連れていかれた。

 

「よしっ!頼んだぞそっくりさん!」

 

「はは、それじゃあドアがぶつかると危ないからパピルスは離れてて」

 

「そうだな!わかった!」

 

僕はパピルスを少し遠ざけて扉の前に立った。

 

*どうするんだい?

 

ん~、トリエルみたいに洒落でも言ってみる?

 

*え……なにかあるの?

 

え、ないよ?というか駄洒落はあんまり好きじゃないからね。

 

*えぇ〜……?

 

まあ僕に任せておいてってば。

 

僕は扉をノックすると中のサンズに聞こえるように呟いた。

 

「そんな所に篭ってて良いのかいサンズ、僕のLOVEを見てみなよ。とても二人きりになんて出来ないと思うけどな?」

 

*ちょっとフリスク!?

 

大丈夫大丈夫、心配しないでよ。

そう言って僕が心配するFriskを宥めていると、不意に扉が開き出てきた骨の手が僕を捕える。

その次の瞬間には目の前が暗転した。

 

 

「おい……何のつもりだクソガキ」

 

お、どうやら無事釣れたようだね?

 

*自分が餌って……っていうかこれからどうすんの!?

 

心配性だなぁ、大丈夫だよ。

サンズが警戒してるのは僕が彼の能力を知ってるって事だけで僕の今のLOVEは1だからね?

屑の彼じゃなきゃ出会い頭に殺しに来るような事はしないよ。

 

*え?……あ、ほんとだ。

 

Friskが理解してくれた所で僕はサンズに自己紹介を始めた。

 

「僕は君の知らない別世界から来たニンゲン……って言えば信じてくれるかな?」

 

「無理だな」

 

あら……サンズに即答されてしまったけど仕方ないね。

僕は諦めて話を変える事にした。

 

「ま、そんな事よりこの世界の事と落ちてきたニンゲンについてもう少し詳しく聞きたいんだけど教えてくれないかい?」

 

「ニンゲンについて?パピルスから聞いてただろうが」

 

「盗み聞きとは感心しないねぇ?でもまぁそうだね。だから彼が知らない事を色々とね」

 

僕は含みのある笑いをサンズに見せつけてやると彼は警戒を強めて僕を見据える。

 

「……知らねぇな」

 

「気が早いねぇ、まだ僕は何も言ってないよ?そうだね、僕が聞きたいのは…………ニンゲンの行方、かな?」

 

「……」

 

おっと、やっぱり何か知ってるようだね?

僕はゆっくりと近付き警戒するサンズへ質問を続ける。

 

「知ってるんじゃないかな?ニンゲンが何処にいるのか……既に死んでいるのか」

 

「……っ!し、知らないな。知っていたとしてもお前に話す義理はない、さっさと消えな」

 

サンズはこれ以上答えてはくれなさそうだった。

でも黙秘は立派な回答だからそれでよしとしようか。

 

此処で『最悪な時間』を過ごしたくは無いからね。

 

「まあ、僕からはこれ以上君に関わる気は無いから安心してよ。じゃあね怠け骨くん?」

 

「な……てめぇ」

 

それだけを伝えると僕はサンズの部屋を出て行った。

リビングに出た僕は律儀に先ほどと同じ位置で待っていたパピルスに声を掛けた。

 

「ありがとねパピルス」

 

「兄ちゃんと話したのか!?兄ちゃんは元気だったか?」

 

「うん、たぶん近い内に外に出るんじゃないかな?」

 

「ほんとか!?ありがとうなそっくりさん!!」

 

僕がそう伝えるとパピルスは僕の両手を掴んでとても感謝してくれた。

ただちょっとだけ不満があったので僕はもう一つだけ彼に伝える。

 

「僕の名前はFriskだよ。次会う時はその名前で呼んで欲しいかな?」

 

次に会う時がリセット前だったらだけどね。

パピルスは快諾してくれたので僕は満足しながら彼らの家を後に出ていった。

 

*こんな時にこんな事言うのは不謹慎かもしれないけど……フリスク、楽しそうだね?

 

僕が楽しそう?

彼にそう言われて僕は口元に手を当ててみると、口角が上がっている事に気付いた。

言われてみれば皆と話してて楽しいと感じたのはいつ以来だろうか?

それこそ僕が生きていた時以来かも知れない。

 

確かに不謹慎だよね?皆を救う為に頑張らなきゃいけない時だっていうのに。

 

*でもさ、今まで頑張ってきた君なら少しくらい楽しんだり寄り道したって罰は当たらないよ。

 

はは、自分のしたい事は目的を果たしたらでいいかな。

でもそうだね、今は如何すればいいかも分からないし今回は自由に動いてみるよ。

 

*うん、じゃあ次は……

 

ま、順当に行くならアンダインに会いに行く事になるかな?

僕は滅多にしないスキップをしながらウォーターフェルへの道を進んでいった。

 

 




*むーっ!むぐぐ!むーむぐぐぐむー!!(おい!クソ卵!絶対邪魔してやるからな!)

*はは、まだまだ実験は始まったばかりだよ。
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