genocidertale   作:上新粉

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GENOCIDER TALE ~???~

 暗闇に佇み二つの映像(物語)を観測していたガスターは驚きと喜びが入り混じったような表情で椅子から立ち上がっていた。

 

「はははははっ、これがケツイの力か……!副産物ですらこれ程だとは面白い!この分なら彼らが来るのも時間の問題だろう!」

 

ガスターは二つの映像が生み出す灯りだけが照らす深淵の中で高らかに笑い声を上げていた。

普段は冷静沈着なマッドサイエンティストであるガスターを知る者なら本人かどうかすら疑うレベルである。

 

ひとしきり笑い終えた彼は落ち着きを取り戻し闇の中を歩きだす。

本当ならこのまま観察をしていたかったガスターだったが、直ぐに来るであろう彼女達を迎える為にガスターはFrisk達の映像を自身の右眼にうつしながら虚空に出現させた扉の中へと入って行った。

 

「さて、この辺りかな?」

 

ガスターはその先で待機していると突然空間に亀裂が走る。

亀裂は段々大きくなり、やがて空間が割れる音と共に飛び込んで来たキャラ達にガスターは落ち着いた様子で訊ねた。

 

「やぁ、漸く手にした幸せを捨ててまで君達は何しに来たんだい?」

 

ガスターの純粋な興味から出た問いに、紅く染まったダガーナイフ構えたキャラと彼女の肩に乗ったフラウィーが口を揃えて答えた。

 

「「お前をぶちのめす為だ!!」」

 

「そうかそうか、それは楽しみだ」

 

そう言いながらも何食わぬ顔で手を空に掲げたガスターに即座にキャラが反応しナイフで斬り掛かった。

だが、その刃がガスターへ触れる寸前で突如空間が歪みだし彼女の一振りは虚しくも空を切った。

 

「アズッ!」

 

「駄目だよキャラ!ソウルが戻ってない」

 

キャラはすぐ様アズリエルに援護を頼むが、彼まだ力が戻っていない事を告げる。

そんな首を横に振るアズリエルを尻目にガスターはニヤリと笑みを浮かべながら別の世界線へ飛ばす際にアズリエルから奪ったソウルの一つを出して見せた。

 

「実験の邪魔はされたくないからね。君達には次の実験をやって貰う事にするよ」

 

「ちっ、次の実験だと?」

 

キャラはガスターの一挙一動を見逃さぬ様に警戒を強めながら聞き返す。

 

「なに、簡単な話だ。ジェノサイダーの影響を受けて異分子となり得た君達が奴自身に打ち勝つ事が出来るのかというものだ」

 

「馬鹿な、奴らと私達の敵は今やお前一人だ。そんな無駄な事をする気は無い」

 

Friskの心を受け止めた奴ならば同じ様に考える筈だと。

ジェノサイダーの過去を知った今、彼女はそのように考えていた。

 

だがガスターの下に既に()()()()()()を含めた七つのソウルが揃っている事を知らないキャラ達は続く彼の言葉に驚愕を浮かべる。

 

「君の言う通り今のアレが君達と戦う事は無いだろう。だがFriskやパピルスに説得される前の奴ならどうかな?」

 

「なっ……!ありえん。私達は存在ごと時間軸を越えているはずだろう!」

 

「ほう?よく勉強しているね」

 

「時間だけは腐る程あったからな」

 

ジェノサイダーを止め続けていたとは言えキャラには暇な時間などそれこそ掃いて捨てるほどあった。

そこで彼女はその時間を対策の為の情報収集に充てた。

その結果彼女達が当たり前の様に行っているリセットが齎す事象について一部理解するまでに至ったのだ。

 

だが同時にその事象すらも覆す力が存在する。

 

「だが決意を含めた七つのソウルを手にした私ならばその事象すらも覆す事が出来るのだ!」

 

「なんだと!?何故貴様が決意のソウルを!」

 

「ふふふ、私は全ての世界と通じているのだよ?この程度造作もないさ」

 

そう言って大仰に掲げたガスターの手からは無形である筈の闇が形を成していく。

そしてその影が徐々に薄くなり姿を現したのはキャラと瓜二つの全く別の存在、ジェノサイダーの姿であった。

 

「……フリスク!」

 

「キャラ?やっぱり生きてたんだね。にしても珍しいな、君が僕をその名前で呼ぶだなんて」

 

彼女達にはLOVEなんてものは見えないが、それでもその瞳から滲み出る決意が紛れもなくジェノサイダー本人である事を示していた。

キャラは苦虫を噛み潰したように顔を顰めつつも万が一を願い問い掛けてみる。

 

「フリスク、私はおまえと戦うつもりは無い。私と協力して後ろの奴を倒さないか?」

 

「後ろ?」

 

不用心に振り向くフリスクにアズリエルが襲い掛かろうとするのをキャラが慌てて止めたので彼がその事に気付くことはなかった。

 

「やあフリスク、またあったね」

 

「あー……君はさっきのとは別の奴かな?」

 

「いかにも……とはいえ、私がどの世界線の私かなどどうでもいい事だ」

 

フリスクはガスターの姿を暫し観察するとニンマリと口角を吊り上げた。

ガスターがそんな彼女の様子に疑問を抱いた直後、彼の腹部を横切る一筋の軌跡が走った。

 

「…………ああ、これは予想外だ」

 

「そうかい?厄介な存在は真っ先に消す。僕は当然の事だと思うけど?」

 

そう言った彼女の右腕は既に振り切った後を伝える様に袖が揺れ、手に持ったナイフには塵を付着させていた。

ガスターは膝を着いて彼女を見上げたまま否定を示す。

 

「そうではない……君の攻撃が私に届いた事が予想外だと言ったのだ」

 

ガスターはジェノサイダーがナイフを振り抜く瞬間に先程と同じ様に空間を歪ませる事で攻撃が届かない様にしていたのだが、彼女はそれを事も無げに修正し当然の結果として切り裂いたのだ。

 

「ああ、そんな事か。あんまり意識はしてないけれど空間への干渉はこの世界に此処に来た時からやってる事さ」

 

「そうか……そうだったな」

 

フリスクの言っている事が事実だという事を彼は理解していた。

だがそれでも戦闘では一度も使っていなかった事もあり、七つのソウルを持つ自分なら負ける筈が無いと考えていたのだ。

ガスターは足元から塵になりながらも研究者としての好奇心、そして全ての世界の自分へと伝える為にフリスクへ訊ねた。

 

「……その力をモンスターを殺すのに使わなかったのはどうしてだね?」

 

フリスクはその問に暫し考えた後にこう答えた。

 

「まぁ、世界そのものに干渉してたからとか色々理由はあるけど……」

 

「けど……?」

 

「一番はズルいからかな?」

 

フリスクは満面の笑みでそう答えた。

その一言でガスターはおろか、後ろで聞いていたキャラやアズリエル、フラウィー達まで唖然としていた。

 

「あれ?何か変な事言ったかな?」

 

周囲の反応に不思議そうに周りを見渡すフリスクにフラウィーが真っ先に突っ込んだ。

 

「存在自体がズルみたいなお前が今さら何言ってんの!?馬鹿だろお前!」

 

「やだなぁ?僕は刺されても斬られても貫かれても痛いしちゃんと死ぬ()()諦めが悪いだけの人間だよ」

 

当然言葉通りにとる者など居るはずがない。

 

「ははははははっ!!なるほど、どうやら私は根本から君の事を誤解していた様だ!だが次は君の思い通りにさせないさ」

 

だがガスターは何かを理解したのか高笑いを上げながら意味深な言葉を遺して塵へ還った。

 

「次か……その前に全てが終わるよ」

 

フリスクはソウルを回収した後、ガスターの最期を見送ると再びキャラ達の方へ振り向いた。

 

「さて、レアモンスターは殺したし次はボスを殺すとしよう。覚悟は良いかい?」

 

「ちっ、手を組む気は……無さそうだな」

 

キャラは舌打ちをしながらナイフを構える。

はっきり言って勝率はゼロに等しいが逃げる事すら出来ない……というよりフリスクが既に世界を壊す事が出来る状態にある以上此処で止めなければ先が無いのだ。

 

それを理解しているキャラ達は互いに頷き合うと、それぞれの武器をフリスクへ構えた。

 

「アズ、フラウィー!絶対に諦めるなっ!」

 

「「もちろんっ!」」

 

「ははっ、最終戦には相応しい相手じゃないか!精々抗うといい!」

 

こうして世界の滅亡を賭けた戦いが今始まったのだった。

 

 




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