genocidertale   作:上新粉

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*インストールカンリョウ……FEDシステムサイシュウセットアップカイシシマス。

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GENOCIDER TALE X NERVELESS TALE

この世界のキャラが地下に落ちて来てからそろそろ2ヶ月が経とうとしていた。

そんな僕は今日も今日とてスノーフルにあるパピルス(とサンズ)の自宅で憧れの彼と甘い一時を過ごしていた。

 

「起きろキャラァァァァッッ!!朝だぞぉぉぉぉぉっっっ!!!」

 

「ん〜ぅ……む……」

 

布団は一気に剥ぎ取られて肩を掴まれ激しく揺さぶられる僕は寝惚けるフリをしながらパピルスへ左手を伸ばす。

因みに彼が混乱してしまうのを防ぐ為に僕は身体の持ち主であるキャラを名乗っている。

 

「ニャッ?何だまた寝惚けて居るのかぁ……仕方ない奴だ」

 

「ん……ぅ……」

 

すると彼はいつもの様に優しく僕を抱き上げてくれた。

 

あぁ……幸せだぁ。彼女も一度味わえばきっと病みつきになるのになぁ〜。

 

僕は早打つ鼓動を抑えながら落ちないように彼の首にそっと左腕を回す。

起きている事を悟られない様に自然を装って……。

 

「…………!」

 

何時もならこのまま彼はリビングまで僕を連れて行ってくれるのだが、今日の彼は様子が違った。

彼は僕を抱いたまま立ち止まり、動きだす気配が無い。

 

どうかしたのだろうかと僕が彼の様子を見ようとそーっと薄目を開けてみると……。

 

「…………」

 

「!?……………………すぅ」

 

う……どうしよう。パピルスと目が合ってしまった。

 

僕は気まずさと恥ずかしさでつい目を逸らしてしまった後で、取り繕うようにそっと目を閉じて寝息を立てるがもう遅かった。

 

「キャァァァァラッ!!貴様も兄ちゃんの怠け癖が伝染ったのかぁぁぁぁぁぁッッ!!?」

 

パピルスは僕の脇を抱え上げると、叫びながら凄い勢いで回りだした。

 

「わわっ、ちょ!?ごごごごめんっ!寝たフリしてたのは悪かったからぁっ!少し、少しで良いから話を聞いてぇぇぇっ!!?」

 

「飛んでけ怠け癖えぇぇぇぇぇええぇっっ!!!」

 

「いやァぁあぁぁぁぁぁあぁあぁぁあぁぁぁぁぁぁあぁぁあぁあぁぁあ!!??」

 

め…………目が…………うっぷ……やば……い……。

 

「ニ、ニィアァァァァッ!?」

 

今にも意識を手放してしまいそうになっていたその時、ベッドのへりに足を取られたパピルスが僕諸共ベッドに倒れ込んでしまった。

 

「うぐ……ぅ……ぐふっ」

 

「う〜ん…………はっ!大丈夫かキャラッ!?」

 

廻る世界の中で僕を呼ぶパピルスの声が遠くから聴こえてくる……。

あぁ、これ以上この景色を見ていると……うぷっ……色々と拙い気がする。

 

「……ごめ、少しだけ動かないでいてくれるかい?」

 

僕は彼にそう頼むとゆっくりと目を瞑って眩暈が落ち着くのを待った。

 

 

 

 

 

 

……そろそろ良いかな。

 

5分程して漸く眩暈が落ち着いて来た僕は再び目を開きパピルスと目を合わせる。

心配そうに僕を見つめる彼の気持ちを嬉しく思いながら彼に優しく優しく微笑む。

 

「ありがと、もう大丈夫だよ。それと……さっきはごめん」

 

「お、俺様こそごめんよ!兄ちゃんがキャラに怠け癖が伝染った時にって治す方法を教えてくれたんだけど、上手く出来なくて……」

 

落ち込む彼を慰める様に頭を撫でながら何処からか見ているであろう黒幕の姿を思い浮かべる。

 

きっと今頃どこかで腹を抱えながら見てるんだろう?

 

「心配しないでよパピルス。君のお陰で怠け癖は飛んでいったよ」

 

「ほんとかっ!?それは良かったぞ!貴様まで兄ちゃんみたくなってしまったらどうしようかと思ってたんだ!」

 

安心した様子のパピルスから僕は視線を扉の方へ移す。

覗いてるなら恐らく扉の先からだろうか?

 

彼をどうにか懲らしめてやろうと考えていると視界に入っていた扉が大きな音を立てて勢い良く開かれた。

 

「フリ、じゃなくて……キャラ!大変だよ!あっちのキャ……ラ……が……」

 

「…………ええと」

 

慌てて入って来たFriskだったが僕達の方を見たまま固まってしまった。

僕はその様子に疑問を覚えながら改めて今の状況を整理してみる。

 

仰向けに横たわる僕とその上に覆い被さったままFriskを見つめるパピルス。

そして此処までの経緯を知らないFriskが僕らを見て固まっている。

……うん、これは完全に誤解されてるね。

とっ、とにかく後々気まずい事になる前に今この場で誤解をといておかないとっ。

 

「Frisk?これはその……」

 

「!?ご、ごめん!ななななにも見てないから!」

 

僕は弁解すべくFriskに超えを掛けるも、彼は話しを続ける隙も無く慌てて部屋を出て行ってしまった。

 

「ニ?どうしたんだフリスクッ!?」

 

「あ、ちょっと!?」

 

更には突然部屋を飛び出して行ったFriskを追ってパピルスも同じように部屋を出て行ってしまった。

パピルスも下に降り部屋に残された僕はベッドから上体だけ起こして溜息一つ吐くと、誰もいない空間へ声を掛けた。

 

「……で、この状況をどうしてくれるんだい?サンズ」

 

僕の問いに反応するように突然目の前に現れたのは、バツの悪そうな顔をしたスケルトン。

 

「いや……わりぃ、オイラも流石にあのタイミングでFriskが来るとは思わなかったんだ」

 

「だろうね?君も弟が心配だったんだろうしまあいいさ。ただ一つ言わせて貰うなら、僕がパピルスとそういう仲になる事はないよ。それでも彼に余計な口出しをして僕の安らぎを邪魔するのなら……()()()()()()()()()()()()()

 

僕は紅い眼を見開いてサンズに警告を発する。

彼は暫く黙ったまま警戒する様に僕を睨み返して居たがやがて顔の力を抜いて答えた。

 

「お前さんの事は嫌いだが、あいつに変な事をしないっつうんなら約束しよう」

 

「あは?こんな子供に忠告するような事じゃないと思うけどそれは安心していいよ」

 

「お前さんみたいなクソガキだから忠告してんだよ……確かに聞いたからな?」

 

それだけ言い残すとサンズは僕の目の前で消え去った。

 

全く過保護なお兄ちゃんだね彼は。

僕にとってパピルスは親しい兄のような存在だというのに。

あ、そうするとサンズは妹を虐める悪いお兄ちゃんって事になるのか……サンズが兄は嫌だなぁ。

 

──っとそうだ!こんな事をしている場合じゃなかった。

早くFriskの誤解を解きに行かなきゃ!

 

僕はベッドから飛び降り、さっさと部屋を出ていくのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕が下のリビングに降りると予想以上に人が集まっていた。

取り敢えず初めにFriskの誤解を解く為に彼に声をかける。

 

「Frisk!良かった、さっきの事情を話そうと思ってたんだ」

 

「ああ、それならさっきパピルスから何があったのか聞いたから大丈夫だよ……その、変な勘違いしちゃって……ごめん」

 

そっか……彼に聞いたのか、なら良かった。

顔を赤くして俯くFriskの話を聞いて僕はほっと胸を撫で下ろし、改めて周囲を見渡す。

そして僕は此処では見ない三人の内の一人に声を掛けた。

 

「それで君は……久しぶり、でいいのかな?」

 

「そうだな変態、先ずはお前が何故その姿で居るのか聞かせて貰おうか」

 

えっ?出会い頭に変態呼ばわりされる様な事をしたつもりは無いんだけど……?

と言うかアズもフラウィーも如何してそんな冷めた目でこっちを見てるんだい?

 

謂れのない侮蔑を受けた僕は頭を捻って原因を考えてると、心優しいフラウィー君が補足をしてくれた。

 

「おい変態()()。こっちも暇じゃ無いんだからさっさと話せよ」

 

野郎……ああ、そういう事ね。

まぁ別に勘違いさせたままでも良いんだけど、何かある度にこんな事言われるのは流石に心外だし正しておこうか。

 

「ええと、その前に一つ聞きたいんだけど……この中で僕が男の子だと思う人は手を上げてくれるかな?」

 

……5……いや、さり気無くこっちのキャラも上げてるからパピルス以外全員かな。

 

「…………」

 

えぇ……うん、ごめん。

キャラ達はいいや、僕も明言してきた訳じゃ無いし喋り方とか一人称だけ聞いたら判断つかないだろうから。

サンズについてもまあ、いっか。

弟が男に言い寄られるなんて嫌だもんね?

けどねぇ…………?

 

僕はジト目でFriskへと視線を向ける。

彼は僕と目が合うと気まずそうにゆっくりと視線を逸らした。

 

「Frisk、何か言いたい事はあるかい?」

 

「え……あの……本当に?う……えと……ごめん。今の今まで気付かなかったよ……あ、そっか。だからホットランドの時……」

 

ん、ホットランド?あ〜、そういう事ね。

 

うん…………流石にショック大きいなぁ。

はぁ……でも仕方ないか、自業自得でもあるし……うん。

今後少しでも意識してくれれば儲けものだと前向きに考えよう。

 

「別に良いけどね、君が知っていようが知らなかろうが僕の想いが変わる訳じゃないし?」

 

「そ、そうだね!僕達はずっと親友だもんね!」

 

「「……………………」」

 

リビングをなんとも言えない沈黙が包み込む。

 

…………モウイイヤ、ハナシヲモドソウカ。

 

「えぇと……ごめんごめん、話がズレちゃったね?まぁここまでの経緯を話すと──」

 

気を取り直して僕は彼女との出会いから今に至るまでを掻い摘んで伝えた。

 

「──と、言うわけで僕が彼女の身体を借りてる訳なんだ」

 

僕が概ね説明を終えると難しい顔で考えていたキャラが僕に問い掛けてきた。

 

「なぁ、フリスク」

 

「ん、なんだい?」

 

「思ったのだが……やはりお前は口調か一人称を変えた方が良いんじゃないか?」

 

…………おかしいな、その話は終わった筈なんだけど……僕の聞き間違いかな?

 

僕は再びキャラに聞き返した。

 

「キャラ、これまでの経緯の中で質問があるんだよね?」

 

「いや、話は概ね解った。だがお前の見た目でその一人称はやはり誤解を生むと思うのだ」

 

残念な事に聞き間違いじゃなかった。

彼女はここまで食いついて居るのだろう。

話を出した自分が言うのもなんだけどひとの性別なんて正直どうでも良いじゃないか。

と言うか口調についてはキャラにだけは言われたくないな。

 

「はぁ……そんなこと言われても突然変えられるものじゃないし、仮に僕が自分の事を私とか言い出したら違和感があると思うよ?」

 

「むぅ……それもそうか」

 

どうやら彼女なりのジョークだったのかな?

ま、納得してくれたなら何よりだね。

 

「兎に角、こっちはそんな感じだったけどキャラ達の方も何かあったみたいだね?」

 

「ああ、お前には苦労させられたよ。まあ色々と収穫はあったのが唯一の救いかな」

 

そう言ってキャラはパピルスが用意してくれたお茶を一啜りすると、僕らがこっちに飛ばされた後の話を聞かせてくれた。

 

 

 

 

 

 

「なるほど……ぼんやりと君達と戦った記憶が有るのはそういう事だったんだね」

 

「ふふ、そうか。なら彼奴はちゃんと仲間に会えたのだな」

 

そう呟いたキャラは何時ものサイコパスな笑顔とは違い目を細めた柔らかい笑みを浮かべていた。

 

*…………

 

やっぱりキャラは凄いなぁ、僕がしようとしてる事を既に実現させてしまっているんだから。

僕は話を聞いて鮮明になった記憶を思い浮かべながら彼女へ感謝の念を抱いていると、キャラが不意に表情を戻して話し始める。

 

「だが……少し不安な事がある」

 

「不安な事?」

 

「ああ、ガスターは確かに私達の目の前で死んだ……だが、最期にあいつに言った台詞が引っ掛かるのだ」

 

 

─だが次は君の思い通りにさせないさ─

 

 

ガスターは塵となる前にそう言ったらしい。

キャラ達には信じられない話だが、僕とFriskには心当りがあった。

奴自身が言っていた事、そしてこの世界での実験が成功しているのであればガスターは死ぬことは無い……いや、正しくはどれだけ死のうと奴の記憶や存在が失われる事はないのだ。

奴は存在する全ての世界線に同じ記憶を持っている。

だから奴の妨害はこれからも有ると考えた方がいいだろう。

 

「フリスク……」

 

似たような答えに辿り着いたであろうFriskが心配そうに僕を見る。

僕は彼に目で頷くとキャラ達へ向き直り皆へこれからの動きを伝えた。

 

「キャラの不安の通りガスターの邪魔はこれからも入るだろうね。そして奴は全ての世界線の自分と記憶を共有しているから止める事も容易じゃない」

 

「馬鹿な……クソっ、奴の余裕の意味はそういう事だったのか」

 

「はぁ!?なんだそりゃ?じゃああの卵野郎は実質死なないって事かよ!」

 

納得の行かない事実にキャラとフラウィーは苛立ちを露わに机を叩く。

アズリエルに関してはあまり実感が湧かないのか首を捻って悩んでいた。

皆の反応はそれぞれだけど正直言った僕自身ですら信じたくない話なのだから仕方ないね。

 

そんな中、不意にFriskが手を挙げて皆の注目を集めた。

 

「え、えと……考えたんだけどさ、ガスターにも協力して貰える様に話し合って見たらどうかな?」

 

「おおっフリスク!それは名案じゃないか!?」

 

パピルスはFriskらしい提案が大層気に入ったみたいだけれど、彼とは対称的に僕やキャラ達は浮かない顔をさせていた。

と言うのもキャラから聞いた話やこれまでの奴の言動から察するにFriskとガスターの願いは共存出来るものではないからだ。

 

無論絶対に有り得ないわけじゃ無いが……それはどちらかに妥協を強いる形となるだろう。

 

「Frisk、君はもしガスターに『自分達以外の世界に関わらないのなら協力する』と言われたら妥協出来るかい?」

 

「それは……うぅ……」

 

直ぐに答えられないのが答えだろう。

悩み抜いた結果大丈夫だと答えた所で彼は幸せにはなれない。

だがガスターが言ってくる妥協点としてはそれ以上は望めないだろう。

そもそも僕らの存在を脅威に感じてるのならそれすらも許さないだろうからね。

 

だから僕はFriskが答える前に口を挟んだ。

 

「ま、実際一番現実的な手段ではあるし方法の一つとしては考えてみるさ」

 

「そうだな、万一上手く行けば奴の存在を全て消し去るよりは手間はかからんしな」

 

キャラは椅子の背もたれに寄り掛かりながら天井を眺めつつ僕の言葉に賛同した。

他の皆も同意見らしく同様に頷いている。

 

さて、取り敢えずの方針はそんな所かな?

後は奴に会いに行く方法と……やっぱり僕らの目的の為に例の実験を成功させる必要があるかな?

 

「おい、フリスク。ちょっといいか?」

 

僕がどうすれば良いのか考えていると不意にキャラが真面目な顔で呼び掛けてきた。

 

「「へ、どうしたのキャラ?」」

 

「ややこしい……ジェノサイダー、お前だ!」

 

「え?あ、ちょっとま──」

 

「コイツと個人的に話がある、お前らは此処で待ってろ」

 

キャラは苛立たしげに僕を呼ぶとこの手を引っ張って家を離れた。

 

 

 

 

 

パピルスの家を出た僕達は嘗て彼が立ち塞がったスノーフルとウォーターフェルの境の雪道へとやって来た。

 

「さて、この辺りで良いか」

 

「個人的な話だなんてどうしたの?僕は基本的にはノーマルだから愛の告白とかはちょっと困っちゃうな?」

 

「黙れ、用があるのはお前じゃない」

 

わぉ、相変わらず冗談が通じないねぇ?

別に良いんだけど……それより僕に用事がある訳じゃないって事はつまりそういう事だよね?

 

「この世界の君に話したい事があるって事だよね?」

 

「そうだ、一度奴に身体を返してやれ」

 

「……大丈夫なのかい?」

 

彼女は決意が揺らいでるとはいえその強さは並じゃない。

今は彼女の心の隙を突いて主導権を握っているが、今の僕には一度解放した彼女を再び取り返せる確証はない。

 

それでもキャラは問題ないと力強く答えた。

 

「……解った、じゃあ後は任せたよキャラ?」

 

「任せておけ」

 

そういう事だからね、予定とは違うけど……キャラ、君に身体を返そう。

 

*ふん、私を解放した事を死ぬ程後悔させてやる。

 

大丈夫さ、他ならぬ君自身が任せろと言ったんだからね?

 

*クズが、あんな甘ちゃんと私を一緒にするな。

 

僕は毒を吐く彼女の変わらない態度に苦笑しながら身体の主導権を返す。

 

 

キャラ、僕は君()を信じてるよ。

 

 

 

 




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