genocidertale   作:上新粉

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*But Nobody Came


?????

ここは……?

 

パピルスと共にコアの中心へと飛び込んだ後、気が付くとどこかで見た事がある様な真っ暗で先が見えない空間が拡がっていた。

此処が何処なのか、僕達はどうなったのか。

だが、そんな事を考える暇もなく突然答えはやって来る。

 

「うっ……これは……フリスク(キャラ)の……記憶?」

 

突如襲い来る果てなき記憶の奔流に僕は立っていられないほどの目眩を覚え、その場に膝を着いてしまった。

 

うっ……なに……これ。自分の存在がぼやけて……恐い……いや……いやだ!?止めてよっ!

 

……助けて、Frisk。僕が……分からなくなる……恐い……。

 

僕は必死に自分自身の記憶にしがみつこうとするも、他人()の記憶が抗う事を許さず一つになろうとなだれ込んで来る。

 

これが僕が望んでいた結果なの……?なんて事だ……僕は彼になんて恐ろしい事を頼んでしまったんだ……。

ごめん、ごめんなさいパピルス……お願い……謝って赦される事じゃないのは解ってる。僕の事は恨んでくれていい、だから君だけは変わらないで……!

 

僕は自分を確立する要因が失われる最後の時までただひたすらに願った。

例えそれが矛盾した願いだと解っていても僕は願わずには居られなかったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから幾許かの時が流れ僕が僕の記憶を受けるだけの器となり始めた頃、僕の目の前に見覚えのあるスケルトンが

姿を現した。

 

「パピルスか、君は全ての記憶を受け終えたのかい?」

 

「……うん」

 

「そうかい。それで、君はどうするんだい?」

 

どうやら()()()()世界線のフリスクがパピルスへ訊ねようとしていたらしい。

 

僕は霞掛かった意識の中でパピルスの返事を待った。

パピルス僕の前まで歩いてくると両腕を広げて笑いながら答えた。

 

「俺様は正直まだ分からない事だらけで戸惑っている。だけど、俺様は()()()()()()()()()()()()()()()()()()事にしたぞ!」

 

「それは……」

 

パピルスの言葉が僕の心を直接揺さぶる。

今の台詞は確かに(フリスク)の記憶に残っている……だけど何故だかそれだけじゃないような気がする。

しかし……解らない、今の僕には答えに辿り着く事は出来ないようだ。

 

「ありがとう、それじゃあ行こうか?」

 

「ニャハハ!そうだな、皆も待ってるからな!」

 

そう言ってパピルスは僕の手を引いて暗闇を歩き始めた。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

フリスクとパピルスがコアの中枢へ飛び込んでから一時間が経とうとしている。

その間キャラがずっと大人しかったのは以外だったけど未だ彼女達は戻って来ない。

僕はもしかしたらなんて不安からサンズに声を掛ける。

 

「サンズ……」

 

「何も言うなよ?俺だって冷静で居られる自信がねぇんだ」

 

「う、うん……」

 

そう彼に凄まれた僕は開こうとした口を再び閉じた。

 

そうだ、彼だって心配で仕方ないけどパピルスの言葉を信じて待ってるんだ。

なら僕がフリスクを信じないでどうするんだ。

 

僕は心に巣食う不安を霧散させ、コアの中枢を見つめる。

その時、コア中心が一瞬光を放った。

 

「今っ……」

 

「どうした、何かあったか?」

 

「いや、今コアの中心が光ったんだ」

 

「あぁ?あそこは超高温だから光る位するだろ」

 

そういって呆れたようにため息を吐くサンズ。

だけど僕にはそれが偶発的なものだとは思えなかった。

 

「サンズ!近くに誰か居ないか分かるかい?」

 

「はぁ?まぁソウルを持ってる奴なら分からなくは無いが、ここには俺とお前さんとそこのガキしか……っ!?」

 

そう言って周囲を見回していたサンズだったが突然動きが止まったかと思うと次の瞬間には彼は僕とキャラを抱えてその場から大きく距離を置いた。

 

「……おいおい、笑えねぇぞコイツは」

 

「ははっ、正に化け物だな。」

 

サンズが殺意を滾らせて睨み付けるその先には紫のボーダーが一本入ったセーターに青いスカート、そして赤いマフラーと顔を隠さないように頭蓋骨をお面みたく斜めに掛けた僕よりも大人びた女性がその姿を現したのだ。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「あれは……フリスク?」

 

「だとしても不用意に近付ける状態じゃねぇな」

 

サンズは口ではそう言っているものの、やっぱりパピルスの事が気に掛かるのか以前の様に先制を仕掛けるような事は無かった。

 

それにしても……僕には少し雰囲気が違うけど大人になったフリスクのように見えていた。

けれどサンズ達にはどう見えているんだろうか。

 

僕がサンズとフリスクと思われる女性を交互に見ていると彼女の方から話掛けて来た。

 

「サンズ?どうやら君の反応を見るに僕のLOVEは相当高いみたいだね」

 

「……そうだな、桁を数えるのが馬鹿馬鹿しくなる程にはな?ところで……冗談抜きで答えてくれ、パピルスは如何した?」

 

サンズは左目を青く光らせて彼女の体を浮かせた状態で訊ねた。

何時でも溶岩に落とされそうな状態でありながらも彼女は至って冷静に返した。

 

「パピルスの事なら心配しないでいいよ。肉体は共有してるけれど意識ははっきりしてるから。ほら、パピルスからも答えてあげなよ」

 

彼女が右上に目線を移しながらそう言うと、お面の様に掛かっていた頭骨が突如動き出した。

 

「ニャーハッハッハッハ!心配は要らないぞ兄ちゃん!俺様はフリスクと一緒に居るからな!」

 

「なぁ!?だ、大丈夫なのかパピルス……?」

 

「何も心配することはない!今はフリスクが身体を動かしてるだけで俺様も動かせるからな!」

 

「あ、ちょ……パピルス!」

 

パピルスの言葉を証明するかの様に彼女は突然屈託のない笑顔で右手を大きく振り出した。

不意打ち気味に向けられた彼女の笑顔に僕は顔が熱くなるのを感じ、慌てて俯き顔を隠す。

 

「はぁ……まあそういう事さ。彼は恐らく君の知ってる彼と変わってないから安心しなよ」

 

「そ、そうか……取り敢えずそれについては一先ず信じるとしよう。だがそのLOVEで説明も無しにお前さん自身を信じる程お人好しじゃあねぇぜ?お前さんが俺達と一緒に居たフリスクだって証拠もねぇしな?」

 

サンズの質問にフリスクは困った様な笑みを溢すと少し迷ってから答え始めた。

 

「残念だけど僕のLOVEが高い理由は僕自身解らないね。予想としては記憶と共にLOVEも受け継いでいるとかは考えられるけどね?」

 

「成程な……お前さんが解らねぇっつうんじゃ俺達も知りようがねぇな」

 

「そうだね。ついでに言えば僕が君達の知ってるフリスクである確信は僕自身持てないから……そうだね、取り敢えず僕の事はパリスとでも呼ぶと良いよ」

 

「確信が持てないって……一体……?」

 

記憶が混乱しているから?それとも記憶が抜けているとか?

 

だけど彼女から語られたのはそのどちらでも無かった。

 

「Frisk、本当に申し訳ないけれど今の僕には君との思い出は知識の一つでしかないんだ。だから君の知ってる僕とは言い切れないし、きっと別人の様に感じるんじゃないかな?」

 

「で、でもっ!パピルスは!」

 

「彼も同じだよ。違いがあるとすれば全ての世界線で彼自身の根っこが変わらなかった事だろう。僕に不信感を抱いていた時だって彼は僕への説得を諦めて居なかったみたいだからね」

 

そんな……折角希望が見えてきたっていうのに…………いや、違う。

フリスクは別に記憶を失ったわけじゃない……なら、彼女が僕が知っている彼女ならきっと取り戻す方法があるはずだ!

それにパピルスとフリスクがここまで頑張ってくれたんだ!

僕がこんな所で挫けてる場合じゃない!

 

「フリスク、君の事は僕が必ず何とかして見せるよ!」

 

「Frisk……解った、でも先に解決する事があるんじゃないかい?その後でならお願いするよ」

 

僕の突然の宣誓に彼女は一瞬きょとんとしてたが、僕の言った意味を理解すると柔らかい笑みで答えてくれた。

僕も彼女に応える様に大きく頷いた。

 

「ふふっ、じゃあサンズ。悪いけどgrillby'sにいるキャラ達を結界の所まで連れて来てくれないかい?」

 

「はぁ……もはやお前さんを信じられないとか言えるような空気じゃねぇしな。分かったよ、来るようには伝えておくぜ」

 

「ありがとうサンズ。けどもし君が納得行かないなら僕は何時でも付き合うよ」

 

サンズは僕達を降ろすと、背中越しに気だるげに手を振りながら扉の前で姿を消した。

 

「それじゃ、僕達も結界に向かおうか」

 

「そうだね」

 

「勝手にするがいい、私はついていかんぞ」

 

「なに!?遠慮する事はないぞ!勿論キャラも一緒だ!」

 

「な!?おい馬鹿何をする!!離せ貴様ぁ!」

 

パピルスがキャラを連れていく為に彼女を右脇に抱えて歩き出す。

僕も苦笑しながら彼女達の後に付いていく。

 

「Friskもおいで?僕も近道を知ってるんだ」

 

近道……?

どこかで聞いたようなフレーズに首を傾げつつも僕は差し出された左手を握ると彼女は一気に駆け出した。

 

「ま、単純に次元を歪めてるだけだけどね?」

 

そんな彼女の説明を聞きながら僕達は目の前に突如現れた裂け目に飛び込んで行ったのだった。

 




*______(しかし だれも こなかった)
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