genocidertale   作:上新粉

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*………………ボクはココだ


けっかい~vsGuster~

 閃光が収まったその場所には彼女の姿は既に無かった。

嫌な想像が一瞬頭を過ぎるが、僕はそれを振り払い彼女へ呼び掛け続けた。

 

「フリスク!ねぇ聞こえてるんだろ!?フリスクってば!」

 

「ふふふ、心配する事はない。君も直に奴の所へ行けるのだからね」

 

そう言って笑みを浮かべるガスターに対して僕の心は薄暗い何かに包まれて行く。

 

「ガスター……どうして……」

 

「どうして?障害は取り除かなければ不具合が起こる、当然の事だろう?」

 

「……僕は君と分かり合いたいのに」

 

「それは出来ない相談だね。私は君達を抹消しなければならない……それに君ももう私を赦せないのだろう?彼女を殺した私が憎くて堪らないはずだ」

 

憎い……そっか、これが誰かを憎むって事なんだね。

僕はフリスクにこんな気持ちをずっと抱かせてしまっていたんだ。

こんな胸が苦しくて吐き気がするような感情を……。

でも、これで彼女の気持ちが少しでも解るなら。

 

僕は憎しみに決意をみ──

 

「Frisk」

 

「キャラ?」

 

「……ほう?」

 

背後から聞こえたキャラの声に振り向いた直後、彼女は僕の頬を思いっきり引っ叩いた。

 

「っ……!?な、なにを──」

 

「お前は奴の全て無駄にする気か?」

 

「でも……僕はずっと彼女にこんな辛い気持ちを押し付けて来たんだ」

 

「だからなんだ?今更そんな事されて奴が喜ぶとでも思ってるのか?」

 

そんな事言われたって……彼女はもう……。

 

そんな僕の考えに気づいたのかキャラは再び僕の頬を平手で叩いた。

 

「何故お前が真っ先に諦めてる、巫山戯るなよガキが」

 

「え……」

 

「私は奴が大嫌いだし、奴がしてきた事を赦す気はない。そんな私の方が奴を信じてるなど笑い話にもならんだろうが」

 

僕はキャラのその言葉に鈍器で殴られたような衝撃を受けた。

そうか、僕は心の底では彼女の生を諦めてしまっていたんだ。

だからガスターに対してあんな感情が芽生えてしまったのだろう。

 

でもそれじゃ駄目だ。僕が彼女を信じないでどうするんだ!

フリスク達は大丈夫、なら僕は僕の出来ることをするだけだ。

 

「サンズ、降ろして貰えるかい?」

 

「ああ、だが降ろした所で動けなくなるぜ?」

 

「大丈夫だから」

 

僕はサンズに降ろして貰うとその場に立ち上がりキャラの目を真っ直ぐ見て言った。

 

「ありがとうキャラ。おかげで目が覚めたよ」

 

「そうか、なら行って来い」

 

僕は頷くと皆に見守られながらガスターの所へと一歩ずつ踏み出していく。

 

「ふむ……不屈のソウルを持っている彼女ならばと思ったが、まさか君も動けるとはね」

 

「ガスター、本当に僕達を消す以外に方法は無いのかい?」

 

「……私の話を聞いていなかったのかね?」

 

勿論聞いているよ。

ガスターを説得してもデバッガーって奴を止めなきゃ結果は変わらないって事だろう?

けどそっちはフリスクがきっとどうにかしてくれる。

だから僕はその後のためにガスターと分かり合いたいんだ。

 

「聞いてたよ。でもそれとは別に君と確りと話し合いたいんだ」

 

「……もし他に方法があると言ったら、どうするかね?」

 

「あるのなら教えてほしい。出来る限り協力したいんだ」

 

するとガスターは呆れた様にため息を吐いた後、こう答えた。

 

「君達を元の世界線の初めの時間軸に戻す。それで君達が数ある世界線と同じ様に終わりを迎えれば私が君達に干渉することはない」

 

「それって……」

 

「ああそうだ、君が一番初めに否定したルートだ」

 

ガスターは僕にそれが選べないだろうという確信を持って話したのだと思う。

何故ならそれは彼女との別れを意味するからだ。

 

「ごめん……確かにそれは出来ない」

 

「だろうね。ならばそこの彼の言葉を借りるとしよう。【この世界は、殺るか……殺られるか】だ」

 

その言葉を皮切りにガスターは僕へ無数のレーザーを放つ。

僕は彼女たちのように器用な事は出来ない。

だけど……だけどこの決意だけは誰にも負けない!

 

「む、この状況下でロードが出来るとは……やはり君はジェノサイダー以上の異常だよ!」

 

僕は以前キャラと戦った時と同じ様にセーブとロードを繰り返して当たる筈の攻撃を躱して行く。

 

「ガスター!話を聞いてよ!」

 

「もう話す事など無かろう?君は私の提案には乗れないと言ったじゃないか」

 

ガスターが緑色のバリアで僕を捉えようとするがその前に左に大きく跳んでどうにか避けた。

 

「違う!全てを拒否してるわけじゃない!僕は彼女と居れるのならそれでも構わない!」

 

世界の皆を救いたい。

確かにそれも僕の願いだ……だけどそれは彼女あっての願いなんだ。

だから僕はパリスから話を聞いた時に凄く後悔した。

僕のせいで彼女を失ってしまったんだと。

 

だけど僕はそれを認めないようにしていた。

それはここまでやってくれた彼女に対する重大な裏切りだから。

でも……それでも……。

 

「僕は彼女が居ない世界なんて考えられないよ!」

 

「……そうか、それが君の本来の人間性なんだな。だが残念だ、彼女を救うことは出来ないよ」

 

「っ!どうして!?」

 

「既に全ての世界線に干渉出来る彼女が生き続ける。その事実が彼女をイレギュラーにしてしまうからだよ。」

 

僕のせいで……僕が願いを彼女に伝えなければ彼女と歩める道があったのに。

 

「…………」

 

「さて、そろそろ時間だろう。ああ良い忘れていたがキャラ、イレギュラーである君も彼らに最期の言葉を遺しておくと良い」

 

「はぁ?おいRotten egg!さっきと話が違うだろ!」

 

「無駄だ、フラウィー。奴が最初から私ではなくソウル達の事を言っていたのは解っていた。私とてジェノサイダーに関わり続けてきたんだからな」

 

「察しが良いね?ま、そういう事だから。最期の時間を邪魔するほど私は無粋じゃないよ」

 

ガスターはそう言ってその場を離れようとする。

だがその時、何処からか高らかな笑い声が飛び込んできた。

 

「ニャーハッハッハッハッハ!逃げようたってそうは行かないぞガスター博士!」

 

「パ、パリス!?」

 

僕は咄嗟に声のする方へ振り向くと、そこにはポーズを決めて立っているパリスの姿があった。

 

「逃げる?どうして私が?」

 

「隠したって無駄だぞ!グレートなパピルス様はフリスクから全て聞いているからな!」

 

あれ、パピルスだけ?って事はフリスクは一体……。

 

僕の不安そうな顔に気付いたのかパリスもといパピルスはこちらにサムズアップしながら笑顔で返してくれた。

 

「フリスクの事なら心配いらない!また後で戻ってくるって言ってたからな!」

 

「ほんと……に?」

 

「ああ本当だ!」

 

フリスクは無事…………よ、よかったぁ……。

僕は緊張が一気に緩みその場に膝から崩れていた。

だがそんな様子を不満げに見つめていたガスターはパピルスに尋ねる。

 

「ジェノサイダーから何を聞いたのか知らないが、私が逃げる理由などあると思うのかね?」

 

「そうだ!確か…………そうそう、今のガスター博士はイ……イ~……レギラー?だからこの場には居られないって!」

 

イレギュラーの事かな?でも確かに言われてみれば今のガスターは誰がどう見ても普通じゃない。

とはいえガスターの切り札なのだからその辺りは考慮してある可能性は否めない。

 

実際にどうなのかは解らないけれど、ガスターはパピルスの話に肩を竦めて答えた。

 

「私のシステムはそんな小規模なものではないよ。なにせ世界(UNDER TALE)全てを対象としてるのだからね?」

 

「えっ!?じゃ、じゃあ俺様は何をすればいいのだ?」

 

「だがまぁ……私の邪魔をするのならば相手をしよう」

 

「パピルスっ!」

 

ガスターが無数の手を動揺してるパピルスへ向けて飛ばす。

しかしその全ての手に水色の骨によって落とされる。

更に落とされた手に付いているソウルは全て青くなり重力の影響を受けるようになっていた。

 

「ほう、流石にやるじゃないか」

 

「ほっ……ニャーハッハッ!これがパワーアップした俺様のあおこうげきだ!」

 

ガスターは感心しながらもガスターブラスターを上空からパピルス目掛けて放つ。

対してパピルスは床から自身の身長程の長大な骨を呼び出してブラスターを凌いでいる。

 

「なるほど……お前も記憶を共有しているのだったな。ならば……」

 

パピルスの強さに納得したガスターは羽のように漂わせていたソウルを今度は全て自身の身体に取り込み初めた。

 

「ぐっ……ふぅ…………はっ……」

 

「ガスター博士?一体何して……」

 

突然身体を丸めたかと思うと苦しそうに呼吸をし始めるガスターにパピルスは心配そうに近づく。

 

「ぐぅ……ふ、ふふ……良いことを教えてやろう……奴の言う通り私は早くこの場を離れなければならない」

 

「そ、それどころじゃないぞ!?ととととりあえず横になって──」

 

パピルスが慌ててガスターを介抱しようとその体に触れた直後、ガスターの身体から飛び出した黒い影のような物がパリスの身体を貫いた。

 

「パピルスっ!?」

 

「え…………なに……が……?」

 

「だから、今の君と遊んでる暇は無いのだよ」

 

「ガ、ガスタァァァァァッ!」

 

倒れ込む彼を目の当たりにしたサンズは左目から青い気焔を滾らせガスターを吹き飛ばした。

そして壁に当たると同時に壁から骨を生やして串刺しにする。

更にはガスターブラスターでその周囲を囲み限界まで放ち続けた。

その間にサンズは直ぐ様パピルスの所へ向かう。

 

「っはぁ……はぁ……パピルス!」

 

「うぐ……兄ちゃん……ガスター博士は?」

 

「大丈夫だ、暫くは動けない筈だ」

 

「カイネ、頼めるか?」

 

キャラも直ぐに駆け寄るとパリスの腹部に空いた穴を緑の光が包み込む。

僕はその光景を横目にガスターの方へと意識を向けていた。

未だ彼は閃光の中に包まれている。

それにサンズの左目が青く輝いているので暫くは抜け出すことも出来ないだろう。

 

だけど何故か嫌な感じがする……。

そう思って近付こうとした直後、閃光の中から三本の影が飛び出してきた。

 

「危ないっ!」

 

狙いは僕以外?多分パリスの身体を此処で確実に仕留める為だ。

僕は急いで駆け出した。

 

お願い!間に合って!

 

全力で駆け出したその数瞬後、三本の影は僕の腕と胴そしてソウルを貫いた。

 

「ニャッ!?Frisk!!」

 

「う……ぅ……良かった……無事で」

 

でも……僕は駄目かな……。

ロードもリセットもする訳にはいかないからね。

ごめん……君を振り回しておいて……最期に君を置き去りにしてしまうなんて……最低だ……よね。

 

「邪魔が入ったか……だが次こそはっ!?」

 

フリスク……また……会える……か…………な。

 




*またあえるよ すぐにでもね?
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